mission 9:scarlet fire, vermillion thunder ~新しい魔具~
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煙が晴れた向こうにいたマリオネットは、普通の個体と違う姿をしていた。
ひしゃげた体躯、といえばいいのだろうか。
ベースは人間の作った人形ではなく、悪魔が作った人形のようで禍々しいオーラを放っている。
奴を統率者として囲むように、通常のマリオネットがひしめいていた。
マリオネットよりも高い知性、そして魔力も感じる。
その嘴にも似た口からは、蛇の舌のようにチロチロと、絶えず炎が細く吐き出されていた。
手に持った回転する車輪型の武器にも炎を移し、殺傷能力を高めている。既に臨戦状態だった。
マリオネットの統率者ーー呪物や呪いが強いとされる『物質』という意味を込めて、ここはフェティッシュ、そう呼ぼう。
奇声をあげ武器を振りかざしてくる悪魔の群勢、そしてフェティッシュ。
迎え討つべく、イフリートに炎を纏わせると、パンチにキックにとマリオネットを蹴散らし、フェティッシュに拳を叩き込む。
まるで鍔迫り合い。左右に持った車輪型武器と、ダンテの腕に装着されたイフリートとの間に炎が理由だけではない火花が散った。
対するさなか、フェティッシュが身体をのけ反らせる。
悪魔の喉元が爆発寸前まで膨れ上がり、そして灼熱の炎が至近距離で発射された。
「あっちーな。一張羅がこれ以上ボロになるのは勘弁だぜ」
持ち前の反射神経で飛び退いて躱すと、ダンテの背後にあった切り株が消炭になっていた。
先ほどのトリといい、クモといい、ここの悪魔はダンテの事をよほど燃やしたいらしい。これからどんどんダンテを焼こうってか。
躱した体勢そのままに、空中に魔力の足場を形成して二段飛びしたダンテは、フェティッシュの背後へとくるりと着地する。
「マリオネットの仲間にしちゃあなかなかしぶといが、背中は防御できないだろ?
チェックメイトだ」
ダンテは思い切り拳を振りかぶる。
強くても元は人形。ダンテの馬鹿力から繰り出された魔具の拳の前に、フェティッシュが内部の絡繰をまき散らしながら吹き飛ぶ。
絡繰はそのまま赤いかけらとなり、キラキラと光を反射していた。
「きゃあああ!」
背後で悲鳴が上がる。振り向いた先、ディーヴァがマリオネットに囲まれていた。
フェティッシュをたおすため意図せずとはいえ、ディーヴァから離れてしまった。
何があろうと必ず守る、そう誓ったはずのディーヴァから。
「クソッ!まだいるのを忘れてたぜ!頼むぞアラストル!!」
『あいよっ!』
自分が行くより速い。
手に取ったアラストルを投げつけ、ディーヴァを囲むマリオネットを切りつけて蹴散らせる。
アラストルなら安心だ。間違ってディーヴァに傷をつけようものなら、へし折られる……それがわかっているのだから。
マリオネットを遠ざけると、ダンテの元へブーメランのように戻ってくるアラストル。
その帰還を待つまでもなく、ダンテはディーヴァを守る位置に戻った。
「ディーヴァ耳塞げ!!」
ドカン!
発射音は煩いが威力が絶大なグレネードガン。
その1発で更に蹴散らすと、銃を持ち替えショットガンを手にして周りの悪魔を一掃していく。
ディーヴァを怖がらせ、危険な目に合わせた悪魔は許さない。
一匹たりとも、逃さない。
ディーヴァを片手でしっかりと抱き寄せ、その片方の腕で悪魔を倒していくダンテの顔は、もはや魔王のそれ。
抱き潰されそうになっていたディーヴァからは見えず、唯一見れた者は、今は物言わぬレッドオーブとなった悪魔たちだけだった。
「よしよし、怖かったな」
いつもは武器を持っていると思えないほどの優しさで、ディーヴァを撫でるダンテの大きな手。
その手のひらを甘受しながら、ディーヴァは自身の体を小刻みに摩った。
「うん……それもそうなんだけど、なんだか寒いの。だるい……」
「おいおい、こんなところで風邪ひいたって治せないぞ……。休ませたいが、休む場所も見当たらない。大丈夫か?歩けるか?」
「熱もないし、風邪じゃない……と思う」
ギョッとして抱きしめる力を強くするダンテから抜け出し、ディーヴァはダンテの手を自分の額に押し付ける。
猫のもののように小さな額に触れるも、熱があるような感じではない。
逆に冷たいくらいで、顔色も若干青白く見えた。
ダンテ自身ずっと思っていたことでもあるが、再会してからのディーヴァは、やたら体が冷えてるような気がする。これも違和感の一部、ということか。
「たしかに熱くないな。
やっぱりこの悪魔だらけの掃き溜めクセェ空気のせいか……?」
「うーん、かなぁ………?」
恐怖で血の気がひいていると取れなくもない。
冷たいなら温めればいい。恐怖しているなら少しでも安心させてやるようにすればいい。いくつになったとしても、目の前にいる大事な子は、悪魔を相手にすれば非力でか弱い女の子なのだから。
ダンテはディーヴァを労るように、その体をすっぽり自身で包み込み、熱を移すように抱きしめた。
「……ディーヴァ、体調がおかしかったらすぐ言えよ?何もなくても、少しでもおかしいと感じたら、すぐに言えよ。…………頼むから」
「??ダンテ、過保護だね。
ありがとう。でも大丈夫だから、今は先に進も?」
「そう、だな」
悪魔を倒し終えた事で、扉の封印が解かれている。
いつでも悪魔を滅せられる状態を保ちつつ、ダンテは続く階段を上がった。
小さな踊り場があり、その向こうはまたも庭園へ続く階段、そして霧深い広場が存在している。
「また悪魔か。
これ見よがしに死んだふりしてやがる」
「死んだふりというか、もともと人形なんでしょ。普通は動かないものよ?」
この踊り場の小窓から見える続き階段や広場には、マリオネット人形が転がり、広場を埋め尽くしていた。
濃霧も相まって、恐ろしい光景だ。
「うーん。一歩出れば、一斉に……かなあ?」
「だろうな」
この広場はトリ頭との広場どころの騒ぎではない狭さ。
戦い辛そうなここにディーヴァを連れていくのは、危険な気がする。
かと言って、置いていくのは先ほどの件もあり気が引ける。
「オレが倒してくるまで、ここで隠れて待ってるか?」
待つのもあり。一緒に行くのもあり。
待つ方を主体に、ディーヴァ自身に決めてもらった……が。
きゅ。
不安そうな顔をして服の端を摘む仕草で全てを悟る。
心まできゅっと摘まれてしまったのは、いつもの事なので言うまでもないだろう。
「悪かった、一緒に行くか」
「うん」
ならば悪魔が動き出す前に攻撃し、数を減らしてしまえばいい。
小窓から狙撃して狩りの大半を終えたダンテは、ディーヴァを守りながら残りの悪魔を楽々倒し終えた。
ここまでの道のりでじゃらじゃらと重たくなっていたレッドオーブ。そのかけらを求める扉に渡賃として捧げ、目の前の大きな扉を開く。
次の場所につながる扉が軋みながら開くと、そこに吹き込むようにしてこの場を満たす霧が吸い込まれていく。
まるで誘われているようで、深い深い霧ごと、闇に吸い込まれるようで。
「うう、こわい……」
「オレがついてる、だろ」
「………そうだね」
異界への入り口にも見えるその扉を、ディーヴァはダンテに連れられて潜り抜けた。
●あとがき
イフリートまでの足場から何度も落ちたのは望月です。グリフォンの背中から落ちたのも望月です。
全方向に動く系とか苦手!DMC3のキューブ移動も苦手だったよ!ウワァァン!!
むしろ、DMC4のグリップ移動もね!
ひしゃげた体躯、といえばいいのだろうか。
ベースは人間の作った人形ではなく、悪魔が作った人形のようで禍々しいオーラを放っている。
奴を統率者として囲むように、通常のマリオネットがひしめいていた。
マリオネットよりも高い知性、そして魔力も感じる。
その嘴にも似た口からは、蛇の舌のようにチロチロと、絶えず炎が細く吐き出されていた。
手に持った回転する車輪型の武器にも炎を移し、殺傷能力を高めている。既に臨戦状態だった。
マリオネットの統率者ーー呪物や呪いが強いとされる『物質』という意味を込めて、ここはフェティッシュ、そう呼ぼう。
奇声をあげ武器を振りかざしてくる悪魔の群勢、そしてフェティッシュ。
迎え討つべく、イフリートに炎を纏わせると、パンチにキックにとマリオネットを蹴散らし、フェティッシュに拳を叩き込む。
まるで鍔迫り合い。左右に持った車輪型武器と、ダンテの腕に装着されたイフリートとの間に炎が理由だけではない火花が散った。
対するさなか、フェティッシュが身体をのけ反らせる。
悪魔の喉元が爆発寸前まで膨れ上がり、そして灼熱の炎が至近距離で発射された。
「あっちーな。一張羅がこれ以上ボロになるのは勘弁だぜ」
持ち前の反射神経で飛び退いて躱すと、ダンテの背後にあった切り株が消炭になっていた。
先ほどのトリといい、クモといい、ここの悪魔はダンテの事をよほど燃やしたいらしい。これからどんどんダンテを焼こうってか。
躱した体勢そのままに、空中に魔力の足場を形成して二段飛びしたダンテは、フェティッシュの背後へとくるりと着地する。
「マリオネットの仲間にしちゃあなかなかしぶといが、背中は防御できないだろ?
チェックメイトだ」
ダンテは思い切り拳を振りかぶる。
強くても元は人形。ダンテの馬鹿力から繰り出された魔具の拳の前に、フェティッシュが内部の絡繰をまき散らしながら吹き飛ぶ。
絡繰はそのまま赤いかけらとなり、キラキラと光を反射していた。
「きゃあああ!」
背後で悲鳴が上がる。振り向いた先、ディーヴァがマリオネットに囲まれていた。
フェティッシュをたおすため意図せずとはいえ、ディーヴァから離れてしまった。
何があろうと必ず守る、そう誓ったはずのディーヴァから。
「クソッ!まだいるのを忘れてたぜ!頼むぞアラストル!!」
『あいよっ!』
自分が行くより速い。
手に取ったアラストルを投げつけ、ディーヴァを囲むマリオネットを切りつけて蹴散らせる。
アラストルなら安心だ。間違ってディーヴァに傷をつけようものなら、へし折られる……それがわかっているのだから。
マリオネットを遠ざけると、ダンテの元へブーメランのように戻ってくるアラストル。
その帰還を待つまでもなく、ダンテはディーヴァを守る位置に戻った。
「ディーヴァ耳塞げ!!」
ドカン!
発射音は煩いが威力が絶大なグレネードガン。
その1発で更に蹴散らすと、銃を持ち替えショットガンを手にして周りの悪魔を一掃していく。
ディーヴァを怖がらせ、危険な目に合わせた悪魔は許さない。
一匹たりとも、逃さない。
ディーヴァを片手でしっかりと抱き寄せ、その片方の腕で悪魔を倒していくダンテの顔は、もはや魔王のそれ。
抱き潰されそうになっていたディーヴァからは見えず、唯一見れた者は、今は物言わぬレッドオーブとなった悪魔たちだけだった。
「よしよし、怖かったな」
いつもは武器を持っていると思えないほどの優しさで、ディーヴァを撫でるダンテの大きな手。
その手のひらを甘受しながら、ディーヴァは自身の体を小刻みに摩った。
「うん……それもそうなんだけど、なんだか寒いの。だるい……」
「おいおい、こんなところで風邪ひいたって治せないぞ……。休ませたいが、休む場所も見当たらない。大丈夫か?歩けるか?」
「熱もないし、風邪じゃない……と思う」
ギョッとして抱きしめる力を強くするダンテから抜け出し、ディーヴァはダンテの手を自分の額に押し付ける。
猫のもののように小さな額に触れるも、熱があるような感じではない。
逆に冷たいくらいで、顔色も若干青白く見えた。
ダンテ自身ずっと思っていたことでもあるが、再会してからのディーヴァは、やたら体が冷えてるような気がする。これも違和感の一部、ということか。
「たしかに熱くないな。
やっぱりこの悪魔だらけの掃き溜めクセェ空気のせいか……?」
「うーん、かなぁ………?」
恐怖で血の気がひいていると取れなくもない。
冷たいなら温めればいい。恐怖しているなら少しでも安心させてやるようにすればいい。いくつになったとしても、目の前にいる大事な子は、悪魔を相手にすれば非力でか弱い女の子なのだから。
ダンテはディーヴァを労るように、その体をすっぽり自身で包み込み、熱を移すように抱きしめた。
「……ディーヴァ、体調がおかしかったらすぐ言えよ?何もなくても、少しでもおかしいと感じたら、すぐに言えよ。…………頼むから」
「??ダンテ、過保護だね。
ありがとう。でも大丈夫だから、今は先に進も?」
「そう、だな」
悪魔を倒し終えた事で、扉の封印が解かれている。
いつでも悪魔を滅せられる状態を保ちつつ、ダンテは続く階段を上がった。
小さな踊り場があり、その向こうはまたも庭園へ続く階段、そして霧深い広場が存在している。
「また悪魔か。
これ見よがしに死んだふりしてやがる」
「死んだふりというか、もともと人形なんでしょ。普通は動かないものよ?」
この踊り場の小窓から見える続き階段や広場には、マリオネット人形が転がり、広場を埋め尽くしていた。
濃霧も相まって、恐ろしい光景だ。
「うーん。一歩出れば、一斉に……かなあ?」
「だろうな」
この広場はトリ頭との広場どころの騒ぎではない狭さ。
戦い辛そうなここにディーヴァを連れていくのは、危険な気がする。
かと言って、置いていくのは先ほどの件もあり気が引ける。
「オレが倒してくるまで、ここで隠れて待ってるか?」
待つのもあり。一緒に行くのもあり。
待つ方を主体に、ディーヴァ自身に決めてもらった……が。
きゅ。
不安そうな顔をして服の端を摘む仕草で全てを悟る。
心まできゅっと摘まれてしまったのは、いつもの事なので言うまでもないだろう。
「悪かった、一緒に行くか」
「うん」
ならば悪魔が動き出す前に攻撃し、数を減らしてしまえばいい。
小窓から狙撃して狩りの大半を終えたダンテは、ディーヴァを守りながら残りの悪魔を楽々倒し終えた。
ここまでの道のりでじゃらじゃらと重たくなっていたレッドオーブ。そのかけらを求める扉に渡賃として捧げ、目の前の大きな扉を開く。
次の場所につながる扉が軋みながら開くと、そこに吹き込むようにしてこの場を満たす霧が吸い込まれていく。
まるで誘われているようで、深い深い霧ごと、闇に吸い込まれるようで。
「うう、こわい……」
「オレがついてる、だろ」
「………そうだね」
異界への入り口にも見えるその扉を、ディーヴァはダンテに連れられて潜り抜けた。
●あとがき
イフリートまでの足場から何度も落ちたのは望月です。グリフォンの背中から落ちたのも望月です。
全方向に動く系とか苦手!DMC3のキューブ移動も苦手だったよ!ウワァァン!!
むしろ、DMC4のグリップ移動もね!