mission 9:scarlet fire, vermillion thunder ~新しい魔具~
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バチバチと雷の火花と、ゴウゴウと燃える炎の籠手が相反する音を立てる。
悪魔が最大放電を放つべく翼を広げるのと、ダンテが足場に乗り移るのは同時。
ダンテは足場を上へ上へと飛び上がり、悪魔の更に上から、炎に包まれた足を叩き込んだ。
「セヤァッ!ライダァァキーーーック!!」
「ーーッ!!」
鋭いジャンプキックを前に、最大放電用に溜め込まれていた悪魔の魔力が霧散する。
軽い脳震盪を起こしたか、よろける悪魔の背中に飛び乗り成功。
その体は常に帯電しているのだろう、蚊が刺すほどの微弱なダメージがやってきた。
不快感がダンテを襲う。
「眺めは最高だが、いいもんじゃねぇな。チクチクピリピリしやがる」
「なら今すぐ降りろ!!」
「やーなこった」
一方的に攻撃出来る機会を手離す奴がどこにいる。
拳を強く握りしめ燃やしたダンテは、自分の足元に広がる羽毛の地を何度も何度も殴りつけた。
やめて欲しいと懇願し、振り落とそうとする悪魔の声など、お構いなしである。
イフリートの炎が悪魔の肌に広がり、じゅうじゅうと肉の焼ける匂いまでしてきた。
「上手に焼けまし……おっと!?」
足場が揺らぐ。
とうとう、ダンテは悪魔の背中から思い切り振り落とされてしまった。
目くらましのつもりか、電撃の雨を周囲に降らせ、赤い雷光にその身を包んで逃げるように飛び去る悪魔。
「……逃げられちまった」
今夜の焼き鳥はお預けだ。ダンテはちょっぴり残念そうに空の彼方を見つめ、そしてコロシアムの廊下方面へと足を向けた。
「ディーヴァ、出てきても大丈夫だぞ」
「………ほんとに……?雷ももう落ちない?」
アラストルを体に押し付けるように抱きしめ(羨ましいぞ畜生め!)、ディーヴァがそっと顔を出す。
その表情は涙目だ。
それはそうか。あれだけの戦闘に、轟く雷鳴。雷が苦手なディーヴァには相当きついものがあったろう。
「雷は去ったからもう落ちないって。ほらよっと!」
「ひゃっ」
アラストルを受け取る流れのまま、ディーヴァを引きあげ、そして腕の中へと閉じ込める。
「かわいいコマドリがオレの腕の中で囀れるよう、怖〜いタカは追い払った」
ロック鳥に例えたりスズメに例えたり、かと思えばタカに例えたりと、コロコロ変わる例え先。
だがそれよりも、ディーヴァが気になるのは、自分を指してであろう、こちらが照れてしまうようなダンテの甘い表現。
「えーと、もしかしてコマドリってあたしのこと、かな…」
「ん。当たり前だろ。
ディーヴァの声はオレにとってコマドリの囀り。コマドリが周りを恐れず囀るには天敵のタカがいちゃダメだからな。
そしてディーヴァを抱きしめればオレが癒されるという仕組み。なんというWIN-WIN」
コマドリの囀りとは、なんと恥ずかしい言い回し。
強く抱きしめられてダンテの胸に埋れながら、ディーヴァは茹で蛸のように顔を赤らめた。
「うーん…声、声かあ。
おっきな鳥さん……あの声どっかで聞いたことあるんだよねぇ。どこだろ?」
むいむいと首を捻る事でダンテの抱擁の中からやっとこさ顔を出して、考え込むディーヴァ。その顔はまだほんのりと赤い。
「トリ頭の声なんて別にどんなでもいいだろ。ディーヴァの声はオレのもの。オレの声はディーヴァのもの。つまりディーヴァの耳に届くのはオレの声だけで十分だろ」
「うわ。変な嫉妬してないで次行こうよ…」
何も口を出してこなかったアラストルも、それには同意した。
「セイッ!」
バキィ!!
さてさて、次に向かうは片方にのみ炎が点灯している扉である。
消えている篝火台へと、ダンテが燃える拳を力一杯ぶつければ、壊れてしまいそうなほどのいい音が響いて魔力を放つ炎が灯る。
イフリート様々だ。
自分の拳と炎とを見比べ、微妙そうな顔を晒すダンテ。
「ダンテ、どうかした?」
「いや……ほんと悪魔の世界って基本、肉体言語だな、と」
「今更?脳筋代表のダンテが言える事かな……」
「ここに来てディーヴァに会うまで、謎や仕掛けを解いてきたのは誰だと思ってる」
『それは俺』「それはアラストル」
「ひでぇな」
次に悪魔が現れても助けてやんねぇぞ。などと心にもないことを思い浮かべながら、火が灯った事によって開いた扉を潜るダンテとディーヴァ。
その先は草木生茂る小さな森のような場所。
霧に包まれ、どんよりした空気が流れてくる。
今も息づく木々があるというに、マイナスイオンひとつ出ていない。
「なんだか怖い……」
「ディーヴァ、オレから離れるなよ」
掃き溜めの気配を察知し、ディーヴァはダンテにぴったりとくっつき、ダンテは警戒して武器を構えて進む。
その行手に魔法陣が浮かび、大量のマリオネットたちが召喚された。その赤い目が一斉にこちらを向く。
ディーヴァがこの空気に怯えるのは当然だった。
ここは人形にその悪しき魂を宿す、悪魔たちの住処だったのだ。
「なんつー大群だ……」
怯えるディーヴァをちらりと見る。
ディーヴァを守りつつ倒し切るのは、さすがに無謀だろうか……?
いや、ディーヴァが足手纏いだとか、邪魔だとかそういうことではない。
もし怪我を負わせでもしたらーー。それだけが不安なのだ。
「へ?きゃっ!?」
間髪入れずディーヴァの体を片手で抱え上げると、ダンテはアラストルの一太刀で周りを薙ぎながら、その場を突っ切った。
揺れ動く視界の中で、ダンテの鬼気迫る表情、破壊されレッドオーブを撒き散らすマリオネットの残骸が躍る。
見ていたくなくて、ディーヴァはぎゅっと目を瞑った。
だが、悪魔を薙ぎ倒し駆け抜けた最奥、扉は残念ながら封印されていた。
この場にいるすべての悪魔を退治し終えなくては、先には進ませてくれないらしい。
時折飛んでくるマリオネットの投げナイフを、見もせずショットガンで撃ち落としながら、ダンテはディーヴァをそっと下に降ろし、安心させるように撫でた。
「ッーー!!
んなっ…炎!?」
その視界にナイフではなく、炎が映る。ここにいる悪魔の気配は、全てが人形のもの。
マリオネットが、炎……?
一瞬にして構えたイフリートの炎の拳で、ダンテはその炎を相殺した。
殴りつけ消した炎の向こう、もうもうと煙が上がり、視界不明瞭だ。
悪魔が最大放電を放つべく翼を広げるのと、ダンテが足場に乗り移るのは同時。
ダンテは足場を上へ上へと飛び上がり、悪魔の更に上から、炎に包まれた足を叩き込んだ。
「セヤァッ!ライダァァキーーーック!!」
「ーーッ!!」
鋭いジャンプキックを前に、最大放電用に溜め込まれていた悪魔の魔力が霧散する。
軽い脳震盪を起こしたか、よろける悪魔の背中に飛び乗り成功。
その体は常に帯電しているのだろう、蚊が刺すほどの微弱なダメージがやってきた。
不快感がダンテを襲う。
「眺めは最高だが、いいもんじゃねぇな。チクチクピリピリしやがる」
「なら今すぐ降りろ!!」
「やーなこった」
一方的に攻撃出来る機会を手離す奴がどこにいる。
拳を強く握りしめ燃やしたダンテは、自分の足元に広がる羽毛の地を何度も何度も殴りつけた。
やめて欲しいと懇願し、振り落とそうとする悪魔の声など、お構いなしである。
イフリートの炎が悪魔の肌に広がり、じゅうじゅうと肉の焼ける匂いまでしてきた。
「上手に焼けまし……おっと!?」
足場が揺らぐ。
とうとう、ダンテは悪魔の背中から思い切り振り落とされてしまった。
目くらましのつもりか、電撃の雨を周囲に降らせ、赤い雷光にその身を包んで逃げるように飛び去る悪魔。
「……逃げられちまった」
今夜の焼き鳥はお預けだ。ダンテはちょっぴり残念そうに空の彼方を見つめ、そしてコロシアムの廊下方面へと足を向けた。
「ディーヴァ、出てきても大丈夫だぞ」
「………ほんとに……?雷ももう落ちない?」
アラストルを体に押し付けるように抱きしめ(羨ましいぞ畜生め!)、ディーヴァがそっと顔を出す。
その表情は涙目だ。
それはそうか。あれだけの戦闘に、轟く雷鳴。雷が苦手なディーヴァには相当きついものがあったろう。
「雷は去ったからもう落ちないって。ほらよっと!」
「ひゃっ」
アラストルを受け取る流れのまま、ディーヴァを引きあげ、そして腕の中へと閉じ込める。
「かわいいコマドリがオレの腕の中で囀れるよう、怖〜いタカは追い払った」
ロック鳥に例えたりスズメに例えたり、かと思えばタカに例えたりと、コロコロ変わる例え先。
だがそれよりも、ディーヴァが気になるのは、自分を指してであろう、こちらが照れてしまうようなダンテの甘い表現。
「えーと、もしかしてコマドリってあたしのこと、かな…」
「ん。当たり前だろ。
ディーヴァの声はオレにとってコマドリの囀り。コマドリが周りを恐れず囀るには天敵のタカがいちゃダメだからな。
そしてディーヴァを抱きしめればオレが癒されるという仕組み。なんというWIN-WIN」
コマドリの囀りとは、なんと恥ずかしい言い回し。
強く抱きしめられてダンテの胸に埋れながら、ディーヴァは茹で蛸のように顔を赤らめた。
「うーん…声、声かあ。
おっきな鳥さん……あの声どっかで聞いたことあるんだよねぇ。どこだろ?」
むいむいと首を捻る事でダンテの抱擁の中からやっとこさ顔を出して、考え込むディーヴァ。その顔はまだほんのりと赤い。
「トリ頭の声なんて別にどんなでもいいだろ。ディーヴァの声はオレのもの。オレの声はディーヴァのもの。つまりディーヴァの耳に届くのはオレの声だけで十分だろ」
「うわ。変な嫉妬してないで次行こうよ…」
何も口を出してこなかったアラストルも、それには同意した。
「セイッ!」
バキィ!!
さてさて、次に向かうは片方にのみ炎が点灯している扉である。
消えている篝火台へと、ダンテが燃える拳を力一杯ぶつければ、壊れてしまいそうなほどのいい音が響いて魔力を放つ炎が灯る。
イフリート様々だ。
自分の拳と炎とを見比べ、微妙そうな顔を晒すダンテ。
「ダンテ、どうかした?」
「いや……ほんと悪魔の世界って基本、肉体言語だな、と」
「今更?脳筋代表のダンテが言える事かな……」
「ここに来てディーヴァに会うまで、謎や仕掛けを解いてきたのは誰だと思ってる」
『それは俺』「それはアラストル」
「ひでぇな」
次に悪魔が現れても助けてやんねぇぞ。などと心にもないことを思い浮かべながら、火が灯った事によって開いた扉を潜るダンテとディーヴァ。
その先は草木生茂る小さな森のような場所。
霧に包まれ、どんよりした空気が流れてくる。
今も息づく木々があるというに、マイナスイオンひとつ出ていない。
「なんだか怖い……」
「ディーヴァ、オレから離れるなよ」
掃き溜めの気配を察知し、ディーヴァはダンテにぴったりとくっつき、ダンテは警戒して武器を構えて進む。
その行手に魔法陣が浮かび、大量のマリオネットたちが召喚された。その赤い目が一斉にこちらを向く。
ディーヴァがこの空気に怯えるのは当然だった。
ここは人形にその悪しき魂を宿す、悪魔たちの住処だったのだ。
「なんつー大群だ……」
怯えるディーヴァをちらりと見る。
ディーヴァを守りつつ倒し切るのは、さすがに無謀だろうか……?
いや、ディーヴァが足手纏いだとか、邪魔だとかそういうことではない。
もし怪我を負わせでもしたらーー。それだけが不安なのだ。
「へ?きゃっ!?」
間髪入れずディーヴァの体を片手で抱え上げると、ダンテはアラストルの一太刀で周りを薙ぎながら、その場を突っ切った。
揺れ動く視界の中で、ダンテの鬼気迫る表情、破壊されレッドオーブを撒き散らすマリオネットの残骸が躍る。
見ていたくなくて、ディーヴァはぎゅっと目を瞑った。
だが、悪魔を薙ぎ倒し駆け抜けた最奥、扉は残念ながら封印されていた。
この場にいるすべての悪魔を退治し終えなくては、先には進ませてくれないらしい。
時折飛んでくるマリオネットの投げナイフを、見もせずショットガンで撃ち落としながら、ダンテはディーヴァをそっと下に降ろし、安心させるように撫でた。
「ッーー!!
んなっ…炎!?」
その視界にナイフではなく、炎が映る。ここにいる悪魔の気配は、全てが人形のもの。
マリオネットが、炎……?
一瞬にして構えたイフリートの炎の拳で、ダンテはその炎を相殺した。
殴りつけ消した炎の向こう、もうもうと煙が上がり、視界不明瞭だ。