mission 9:scarlet fire, vermillion thunder ~新しい魔具~
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奴から発せられ飛んでくる殺気は、今からここが戦場になることを示していた。
あれが相手ではさすがにディーヴァを連れて行動は難しい。
「悪いディーヴァ。
ここにいる方が危険だから、コロシアムの回廊の中に隠れてて欲しい。雷が怖いのはわかってるんだけど、すまん」
「わ、かった……」
自分のことや、ダンテのこと。色々なことで不安になっているのか、揺れ動くディーヴァの瞳。
「かわりにアラストルはディーヴァに預ける。持っていけ」
『悪魔退治なのに俺使わないの!?』
「お前はディーヴァを守ってろ」
『俺、雷属性なの忘れた?電気タイプよ?ピカ●ュウよ??』
「お前のどこが可愛らしい黄色の電気ネズミだ。ソレ好きな上の奴から、本物の雷落とされるからやめとけよ」
『盛りすぎましたすみません』
間一髪、アラストルは救われた。
「雷属性だからといって、雷落としてディーヴァを傷つけたりしないだろ?」
『まあね。
はあ……わかったよ。ディーヴァは俺を使えないし、雑魚悪魔を追い払うのと、話し相手になるくらいしかできないけどね』
ディーヴァがアラストルを抱えて回廊内に隠れるのを見届けてから、ダンテは上空よりゆっくりと外壁に降り立つソレに向き直った。
「貴様か……。
ムンドゥス様に楯突くスパーダの息子というのは」
悪魔が声を発した。低く唸るような恐ろしい声と、その膨大な魔力。
「消えなトリ頭。
それとも痛い目見るか?」
だが、恐ろしさなど微塵も感じないダンテは、軽く挑発してみせる。
『トリ頭』。その言葉で怒ったか、目元がピクピクと痙攣する相手の悪魔。
それが戦闘開始の合図となり、相手が翼を広げ滑空した。
はるか上空高く飛んだ悪魔は、驚異的な高度から勢いつけて急降下してくる。
落ちる重力に加え魔力も合わさり、速度を増してダンテへと一直線に向かう。その巨大な体でボディプレスして潰そうとでも言うのか。
ダンテは体当たりを仕掛けてくる巨体を、真横に飛んでかわした。
雷でも落ちたような轟音とともに、悪魔の体から発せられた電撃が脚を伝い地面を走る。
「当たったら潰した焼きトマトってやつか。ま、当たればだが」
ダンテを潰せず悔しそうな悪魔が、こちらに無数の目を向け睨む。つぶらな鳥の目もあれだけあると壮観だ。
むしろ怖い。顔が無数に連なっているのだから目も多いのは当たり前だが、睨む様子はまるで目目連。
他にどんな攻撃があるのか気になるところだが、ディーヴァが待っている。さっさと目の前の悪魔には巣にお帰り願おう。
それにこうしてダンテが悪魔と相対している間に、いつディーヴァを他の悪魔が襲うかわからない。
ここへ来て最初に現れたトカゲの悪魔がまた現れたらどうする。あの悪魔にディーヴァを喰われるかと思ったのは記憶に新しすぎる。恐怖だ。
ディーヴァにはアラストルがついている。
だが、アレがどこまでディーヴァを守ってくれるのか…それもよくわからない。
なら、戦いを楽しむ余裕はないだろう。
とはいえ、相手の属性は雷。それは分かっている。
炎対雷。相手にとって不足はない。当方に迎撃の用意あり。
ダンテは四肢に装着したイフリートへ魔力を送り、熱く燃える炎を構えた。
「悪いなトリ頭。さっそくジューシーなローストチキンにしてやるぜ…!」
右ストレートにボディブローだ!
炎燃え盛る拳を叩きつけるべく、ダンテが悪魔に向かって駆け出す。
だがあと数歩で悪魔の体に届くというところで、その脚が地面を離れ、ふわりと浮いた。
悪魔がその大きな翼を羽ばたき、嵐のような風でダンテを吹き飛ばしたのだ。
広場に吹き荒れるこの強風の前では、ダンテなぞ落ち葉同然。空を切る拳は虚しく酸素を燃やして消える。
「お、おおお……!?」
自分よりどんなに小さかろうと、ダンテはファントムを倒した相手。悪魔がこんなにも警戒するのは当然のことだった。
ましてや、アラストルだけではなく、誰もが扱えなかったイフリートを手にしているのだから。
しかしこのままでは城壁に叩きつけられる。
強風吹き荒れる中、その風の力を逆に利用して宙で上半身を捻ったダンテは、城壁を足場がわりにする。
城壁で踏ん張り、風を耐えると地に降りる。
そのまま体勢を立て直し、悪魔が羽ばたくのを休憩したところで武器を持ち替えた。
「近づかせてくれないってんなら、こっちにも考えがある」
薄く笑みを浮かべて手にとったのは、グレネードガン。
照準もろくに合わせず、ダンテは小さく舌舐めずりして弾丸を発射した。
連射には向かないはずのグレネードガンを、銃が許すギリギリの短時間の中、撃ち続ける。
相手も空を舞い動くため弾丸が命中するのは全てではない。
だがダンテの腕だ。その内の何発かは悪魔の体の表面で爆発を起こしていた。
焦げた羽毛を見れば、確実なダメージを与えているのがよくわかる。
「やりおったな……くらえ!!」
雄叫びに似た甲高い鳴き声をあげ奴が再び羽ばたくと、奴の魔力に呼応して周りの空気が震える。
悪魔を中心に赤い電撃が発生し、某殺人トラップのレーザーカッターのように横一閃になってダンテを焼き切ろうと次々迫ってきた。
レーザーカッターなど、ゾンビゲームの実写映画でお馴染みだが、ダンテにはそうは見えなかった。
もっと身近で、もっと凶悪なものをダンテは知っていた。
「へえ…ネヴァンの技と同じだな…懐かしいもんだ。
あいつの技で慣れてるオレに、死角など存在しない……!」
かつてテメンニグルで対戦し、その後魔具として力を貸してくれた女悪魔がいる。
その悪魔にもよく似た攻撃が存在した。
仲間となったのちも、暇つぶしの死合い(試合)で何度食らったことか。躱しかたならよく知っている。
電撃で構成された糸鋸のような帯を、棒高跳びのバーを超えるように飛び上がり、身を逸らして躱し切るダンテ。
戦闘を早く終わらせたい思いと、楽しみたい思いが心の中で渦を巻く。
スリルある攻撃を前に、その表情はなかなか楽しそうだった。
「この…ちょこまかと……避けるな!!」
「バーカ。避けるに決まってるじゃねぇか」
あれが相手ではさすがにディーヴァを連れて行動は難しい。
「悪いディーヴァ。
ここにいる方が危険だから、コロシアムの回廊の中に隠れてて欲しい。雷が怖いのはわかってるんだけど、すまん」
「わ、かった……」
自分のことや、ダンテのこと。色々なことで不安になっているのか、揺れ動くディーヴァの瞳。
「かわりにアラストルはディーヴァに預ける。持っていけ」
『悪魔退治なのに俺使わないの!?』
「お前はディーヴァを守ってろ」
『俺、雷属性なの忘れた?電気タイプよ?ピカ●ュウよ??』
「お前のどこが可愛らしい黄色の電気ネズミだ。ソレ好きな上の奴から、本物の雷落とされるからやめとけよ」
『盛りすぎましたすみません』
間一髪、アラストルは救われた。
「雷属性だからといって、雷落としてディーヴァを傷つけたりしないだろ?」
『まあね。
はあ……わかったよ。ディーヴァは俺を使えないし、雑魚悪魔を追い払うのと、話し相手になるくらいしかできないけどね』
ディーヴァがアラストルを抱えて回廊内に隠れるのを見届けてから、ダンテは上空よりゆっくりと外壁に降り立つソレに向き直った。
「貴様か……。
ムンドゥス様に楯突くスパーダの息子というのは」
悪魔が声を発した。低く唸るような恐ろしい声と、その膨大な魔力。
「消えなトリ頭。
それとも痛い目見るか?」
だが、恐ろしさなど微塵も感じないダンテは、軽く挑発してみせる。
『トリ頭』。その言葉で怒ったか、目元がピクピクと痙攣する相手の悪魔。
それが戦闘開始の合図となり、相手が翼を広げ滑空した。
はるか上空高く飛んだ悪魔は、驚異的な高度から勢いつけて急降下してくる。
落ちる重力に加え魔力も合わさり、速度を増してダンテへと一直線に向かう。その巨大な体でボディプレスして潰そうとでも言うのか。
ダンテは体当たりを仕掛けてくる巨体を、真横に飛んでかわした。
雷でも落ちたような轟音とともに、悪魔の体から発せられた電撃が脚を伝い地面を走る。
「当たったら潰した焼きトマトってやつか。ま、当たればだが」
ダンテを潰せず悔しそうな悪魔が、こちらに無数の目を向け睨む。つぶらな鳥の目もあれだけあると壮観だ。
むしろ怖い。顔が無数に連なっているのだから目も多いのは当たり前だが、睨む様子はまるで目目連。
他にどんな攻撃があるのか気になるところだが、ディーヴァが待っている。さっさと目の前の悪魔には巣にお帰り願おう。
それにこうしてダンテが悪魔と相対している間に、いつディーヴァを他の悪魔が襲うかわからない。
ここへ来て最初に現れたトカゲの悪魔がまた現れたらどうする。あの悪魔にディーヴァを喰われるかと思ったのは記憶に新しすぎる。恐怖だ。
ディーヴァにはアラストルがついている。
だが、アレがどこまでディーヴァを守ってくれるのか…それもよくわからない。
なら、戦いを楽しむ余裕はないだろう。
とはいえ、相手の属性は雷。それは分かっている。
炎対雷。相手にとって不足はない。当方に迎撃の用意あり。
ダンテは四肢に装着したイフリートへ魔力を送り、熱く燃える炎を構えた。
「悪いなトリ頭。さっそくジューシーなローストチキンにしてやるぜ…!」
右ストレートにボディブローだ!
炎燃え盛る拳を叩きつけるべく、ダンテが悪魔に向かって駆け出す。
だがあと数歩で悪魔の体に届くというところで、その脚が地面を離れ、ふわりと浮いた。
悪魔がその大きな翼を羽ばたき、嵐のような風でダンテを吹き飛ばしたのだ。
広場に吹き荒れるこの強風の前では、ダンテなぞ落ち葉同然。空を切る拳は虚しく酸素を燃やして消える。
「お、おおお……!?」
自分よりどんなに小さかろうと、ダンテはファントムを倒した相手。悪魔がこんなにも警戒するのは当然のことだった。
ましてや、アラストルだけではなく、誰もが扱えなかったイフリートを手にしているのだから。
しかしこのままでは城壁に叩きつけられる。
強風吹き荒れる中、その風の力を逆に利用して宙で上半身を捻ったダンテは、城壁を足場がわりにする。
城壁で踏ん張り、風を耐えると地に降りる。
そのまま体勢を立て直し、悪魔が羽ばたくのを休憩したところで武器を持ち替えた。
「近づかせてくれないってんなら、こっちにも考えがある」
薄く笑みを浮かべて手にとったのは、グレネードガン。
照準もろくに合わせず、ダンテは小さく舌舐めずりして弾丸を発射した。
連射には向かないはずのグレネードガンを、銃が許すギリギリの短時間の中、撃ち続ける。
相手も空を舞い動くため弾丸が命中するのは全てではない。
だがダンテの腕だ。その内の何発かは悪魔の体の表面で爆発を起こしていた。
焦げた羽毛を見れば、確実なダメージを与えているのがよくわかる。
「やりおったな……くらえ!!」
雄叫びに似た甲高い鳴き声をあげ奴が再び羽ばたくと、奴の魔力に呼応して周りの空気が震える。
悪魔を中心に赤い電撃が発生し、某殺人トラップのレーザーカッターのように横一閃になってダンテを焼き切ろうと次々迫ってきた。
レーザーカッターなど、ゾンビゲームの実写映画でお馴染みだが、ダンテにはそうは見えなかった。
もっと身近で、もっと凶悪なものをダンテは知っていた。
「へえ…ネヴァンの技と同じだな…懐かしいもんだ。
あいつの技で慣れてるオレに、死角など存在しない……!」
かつてテメンニグルで対戦し、その後魔具として力を貸してくれた女悪魔がいる。
その悪魔にもよく似た攻撃が存在した。
仲間となったのちも、暇つぶしの死合い(試合)で何度食らったことか。躱しかたならよく知っている。
電撃で構成された糸鋸のような帯を、棒高跳びのバーを超えるように飛び上がり、身を逸らして躱し切るダンテ。
戦闘を早く終わらせたい思いと、楽しみたい思いが心の中で渦を巻く。
スリルある攻撃を前に、その表情はなかなか楽しそうだった。
「この…ちょこまかと……避けるな!!」
「バーカ。避けるに決まってるじゃねぇか」