mission 9:scarlet fire, vermillion thunder ~新しい魔具~
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勢いよくダンテへとぶつかり、爆音を響かせるイフリートは、自らの依代である籠手をぶつかった相手ーーダンテに強制的に装着させた。
装着された籠手はそれ自体が炎の化身かのように、燃え滾っている。
業火がダンテの全身を、そしてアラストルを包み込んで焼き尽くそうとしてきた。
常人なら耐えられぬ魔神の炎。包まれた瞬間に、骨も残さず消し炭だ。
「う、ぐあああっ!!」
「!ダンテ!!」
悪魔の血をひくダンテも、さすがに苦悶の表情。
しかし、その軍配はすぐにダンテへと上がることとなった。
魔神の炎とダンテが肉体から放出する魔力が混ざり合い、一つになる。イフリートの魔力が、ダンテの魔力によって御されている。
強靭なダンテの魔力が火炎の魔力に勝ったのだ。
……本人は、ディーヴァへの熱い思いが勝ったなどと甘い台詞を吐いていたが。
どうあっても、恋愛方面の甘い熱さに関連づけたいらしい。ダンテらしいといえば、らしい。
ダンテの手足に、御された炎纏う龍の鱗のような籠手がぴったりとはまっている。
御される前はどこか歪な形状だったそれも、ダンテを持ち主と認め、ダンテの体にフィットして見えた。
「フゥ……ベオウルフみたいなものか。
ん?アラストル、こいつは話さないのか?」
『基本無口だからね、普通に武器として使ってあげてよ』
「アラストルが変人魔具なだけか」
『変人魔具……』
なお、それだとダンテがテメンニグルで入手した魔具は、そのほとんどが変人魔具ということになってしまう。
もしかしたら使い手に似たのかもしれない。
ダンテを察知してか、広場の入り口から、 悪魔の呻き声が聞こえてくる。
次いで、入り口の暗がりから幽鬼のように体を揺らし、やってきたマリオネットたち。
「肩慣らしにはちょうどいいな。
マリオネットどもには、名前通りオレの手の内で踊る人形として、イフリートの試運転に付き合ってもらおうか」
ディーヴァは今、紋章の近くで待機している。階段に昇らせなければ安全だろう。
待つように目線だけで合図し、地へその身を躍らせるダンテ。
マリオネット達のど真ん中へ着地すると、周りに向けてファイティングポーズを取る。
第一陣のナイフが振り下ろされたところで、ダンテは籠手で受け止めつつ、ボディを叩き込む。
炎を纏うボディブローの前に、呆気なく吹き飛びガラクタと化すマリオネット。
かといって雑魚であるマリオネットに、自我などろくになく、仲間が倒されても怒りを向けてこない。
次々に、しかし単調にダンテに襲いかかるそれを、ゆっくり見極めてかわしながらストレートパンチや回し蹴り、踵落としを決め破壊していく。
「へぇ……隙はでかいが、その分攻撃力は高そうだなっ、と!」
高く跳躍したダンテは、上空から急降下しつつ、一塊にたむろするマリオネットに向け鋭いキックを入れて一気に殲滅した。
このジャンプキックは、敵を蹴散らすのにも良さそうだ。
バラバラと転がったレッドオーブを回収しながら、ダンテはこの武器を眩しそうに見つめる。
これまた着地後の隙は大きそうだが、この攻撃力だとブレイドの防具すら破壊してしまうだろう。
我ながらいい武具を手に入れたものだ。
「待たせたな」
「お疲れ様。すごいパワーの武器だね」
ディーヴァにも被害はない。
悪魔を倒し終えたダンテは、ディーヴァを待たせていた紋章前にひとっ飛びで降り立つ。
最初から最後まで見ていたのだろう、ディーヴァからの労いを受けつつ、ダンテは視界に映る籠手の炎を見ていた。
「そういえばイフリートの炎は、ディーヴァが触れても大丈夫なんだろうな。火傷させちまうからディーヴァに触れられなくなるとか、オレは絶対嫌だからな?」
「つけてる時はあたしに近づかなければいいと思う……火傷はあたしも嫌」
『……イフリートが熱くないようにしてくれるってさ』
「よし!」
余計なことを。ディーヴァは一瞬そう思ったが、よく考えたらここは悪魔たちの住処真っ只中。
出来る限りダンテの近くにいた方がいいのを思い出した。
ディーヴァに触れられる。
しかもイフリートの炎効果で暖かい。ディーヴァに熱を与えられる。
体温の低いディーヴァに、少しでも熱を伝えられるかもしれないならそれでいい。ディーヴァには心も体もぽかぽかと温かくいて欲しい。
その熱は、めぐりめぐって、自分の温かな幸せに繋がる。
門前広場から元の場所へ戻ると、先ほどまでの天気は何処へやら。
もともとどんよりしていたが、雨が降るような暗い天気ではなかったはず。
そんな空が、突然轟音とともに青く光った。
「きゃあ!!?か、雷……っ!」
ダンテのコートに入り込み、目を瞑って震えるディーヴァ。
ディーヴァは雷が嫌いだ。
動きにくくてちょっぴり邪魔だが、震える子ウサギちゃんのようなそれに加護欲がわき、そのまま抱きしめ撫でる。
「ディーヴァ、たかが雷。オレが一緒だから大丈夫だ」
「そうだけど、怖い無理……」
背中もさすって安心させていると、
再度稲光が空を走った。
今度は赤い。それは、悪魔の魔力に彩られた赤だった。
空に鳥が現れる。なんとも巨大な鳥だ。蜘蛛のバケモノ、ファントム以上の体躯だろう。
それはダンテの好きだった物語に出てくる鳥によく似ていた。
「やや!?あれに見えるはアラビアンナイトに出てくるロック鳥か!
俺の夢の鳥………」
子供の頃、母親がよく読み聞かせてくれたアラビアンナイト。
バージルも一緒になって、母の声が紡ぐ物語にわくわくしたっけ。心地良い声を聞いているうちに、結局寝てしまうこともあった。
……あの頃は平和だった。
読み聞いた物語で出てきたロック鳥。あの背に乗って飛ぶのは長年の夢だった。
思い出したから、過去形ではない。今も夢である。
「よくみて!?ダンテ、ロック鳥とかそんなじゃないよ、顔いっぱいの悪魔だよ!」
「!!?
……まじかよオレの夢返せ……」
が、その姿をひと目見たディーヴァによって、現実に引き戻された。
ディーヴァの言う通り、顔がたくさんついている。極め付けに、ただの魔力ではない。強敵の証、禍々しいその魔力だ。
装着された籠手はそれ自体が炎の化身かのように、燃え滾っている。
業火がダンテの全身を、そしてアラストルを包み込んで焼き尽くそうとしてきた。
常人なら耐えられぬ魔神の炎。包まれた瞬間に、骨も残さず消し炭だ。
「う、ぐあああっ!!」
「!ダンテ!!」
悪魔の血をひくダンテも、さすがに苦悶の表情。
しかし、その軍配はすぐにダンテへと上がることとなった。
魔神の炎とダンテが肉体から放出する魔力が混ざり合い、一つになる。イフリートの魔力が、ダンテの魔力によって御されている。
強靭なダンテの魔力が火炎の魔力に勝ったのだ。
……本人は、ディーヴァへの熱い思いが勝ったなどと甘い台詞を吐いていたが。
どうあっても、恋愛方面の甘い熱さに関連づけたいらしい。ダンテらしいといえば、らしい。
ダンテの手足に、御された炎纏う龍の鱗のような籠手がぴったりとはまっている。
御される前はどこか歪な形状だったそれも、ダンテを持ち主と認め、ダンテの体にフィットして見えた。
「フゥ……ベオウルフみたいなものか。
ん?アラストル、こいつは話さないのか?」
『基本無口だからね、普通に武器として使ってあげてよ』
「アラストルが変人魔具なだけか」
『変人魔具……』
なお、それだとダンテがテメンニグルで入手した魔具は、そのほとんどが変人魔具ということになってしまう。
もしかしたら使い手に似たのかもしれない。
ダンテを察知してか、広場の入り口から、 悪魔の呻き声が聞こえてくる。
次いで、入り口の暗がりから幽鬼のように体を揺らし、やってきたマリオネットたち。
「肩慣らしにはちょうどいいな。
マリオネットどもには、名前通りオレの手の内で踊る人形として、イフリートの試運転に付き合ってもらおうか」
ディーヴァは今、紋章の近くで待機している。階段に昇らせなければ安全だろう。
待つように目線だけで合図し、地へその身を躍らせるダンテ。
マリオネット達のど真ん中へ着地すると、周りに向けてファイティングポーズを取る。
第一陣のナイフが振り下ろされたところで、ダンテは籠手で受け止めつつ、ボディを叩き込む。
炎を纏うボディブローの前に、呆気なく吹き飛びガラクタと化すマリオネット。
かといって雑魚であるマリオネットに、自我などろくになく、仲間が倒されても怒りを向けてこない。
次々に、しかし単調にダンテに襲いかかるそれを、ゆっくり見極めてかわしながらストレートパンチや回し蹴り、踵落としを決め破壊していく。
「へぇ……隙はでかいが、その分攻撃力は高そうだなっ、と!」
高く跳躍したダンテは、上空から急降下しつつ、一塊にたむろするマリオネットに向け鋭いキックを入れて一気に殲滅した。
このジャンプキックは、敵を蹴散らすのにも良さそうだ。
バラバラと転がったレッドオーブを回収しながら、ダンテはこの武器を眩しそうに見つめる。
これまた着地後の隙は大きそうだが、この攻撃力だとブレイドの防具すら破壊してしまうだろう。
我ながらいい武具を手に入れたものだ。
「待たせたな」
「お疲れ様。すごいパワーの武器だね」
ディーヴァにも被害はない。
悪魔を倒し終えたダンテは、ディーヴァを待たせていた紋章前にひとっ飛びで降り立つ。
最初から最後まで見ていたのだろう、ディーヴァからの労いを受けつつ、ダンテは視界に映る籠手の炎を見ていた。
「そういえばイフリートの炎は、ディーヴァが触れても大丈夫なんだろうな。火傷させちまうからディーヴァに触れられなくなるとか、オレは絶対嫌だからな?」
「つけてる時はあたしに近づかなければいいと思う……火傷はあたしも嫌」
『……イフリートが熱くないようにしてくれるってさ』
「よし!」
余計なことを。ディーヴァは一瞬そう思ったが、よく考えたらここは悪魔たちの住処真っ只中。
出来る限りダンテの近くにいた方がいいのを思い出した。
ディーヴァに触れられる。
しかもイフリートの炎効果で暖かい。ディーヴァに熱を与えられる。
体温の低いディーヴァに、少しでも熱を伝えられるかもしれないならそれでいい。ディーヴァには心も体もぽかぽかと温かくいて欲しい。
その熱は、めぐりめぐって、自分の温かな幸せに繋がる。
門前広場から元の場所へ戻ると、先ほどまでの天気は何処へやら。
もともとどんよりしていたが、雨が降るような暗い天気ではなかったはず。
そんな空が、突然轟音とともに青く光った。
「きゃあ!!?か、雷……っ!」
ダンテのコートに入り込み、目を瞑って震えるディーヴァ。
ディーヴァは雷が嫌いだ。
動きにくくてちょっぴり邪魔だが、震える子ウサギちゃんのようなそれに加護欲がわき、そのまま抱きしめ撫でる。
「ディーヴァ、たかが雷。オレが一緒だから大丈夫だ」
「そうだけど、怖い無理……」
背中もさすって安心させていると、
再度稲光が空を走った。
今度は赤い。それは、悪魔の魔力に彩られた赤だった。
空に鳥が現れる。なんとも巨大な鳥だ。蜘蛛のバケモノ、ファントム以上の体躯だろう。
それはダンテの好きだった物語に出てくる鳥によく似ていた。
「やや!?あれに見えるはアラビアンナイトに出てくるロック鳥か!
俺の夢の鳥………」
子供の頃、母親がよく読み聞かせてくれたアラビアンナイト。
バージルも一緒になって、母の声が紡ぐ物語にわくわくしたっけ。心地良い声を聞いているうちに、結局寝てしまうこともあった。
……あの頃は平和だった。
読み聞いた物語で出てきたロック鳥。あの背に乗って飛ぶのは長年の夢だった。
思い出したから、過去形ではない。今も夢である。
「よくみて!?ダンテ、ロック鳥とかそんなじゃないよ、顔いっぱいの悪魔だよ!」
「!!?
……まじかよオレの夢返せ……」
が、その姿をひと目見たディーヴァによって、現実に引き戻された。
ディーヴァの言う通り、顔がたくさんついている。極め付けに、ただの魔力ではない。強敵の証、禍々しいその魔力だ。