mission 0:nightmare began ~地獄へのバカンス~
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マーナガルムの代わりに、亡霊のようにぼうっと浮かび上がったのは、どす黒い悪意の塊。
3つの赤い目玉。
前回、ディーヴァを攫ったとされる、あの3つ目の悪魔だ。
「ヒッ」
知る恐怖より、知らぬ恐怖。
あそこまで強い『魔』を感じたのは初めてで、ディーヴァはその『魔』の全てを知らない。その恐ろしさを。
だからこそ、マーナガルム以上に、恐怖を感じるその3つの目。
目が合うだけで、心臓を、魂までも鷲掴みにされ、捕らわれているかのよう。
その毒を孕んだどす黒い悪意がディーヴァを捕まえるべく、虚空から闇となってディーヴァに浸透して行く。
逃げよう。
そう思い、ゆっくりと後退して踵を返すディーヴァ。
ドン!!
「きゃあ!?」
そんなディーヴァの体が何かに強く押された。
墓土に押し付けられるかのように、背後の墓穴と落ちゆく体。
「いった…、ヒィッ!」
墓穴にすっぽりと収まり、ふと暗く陰を作る上を見上げる。
そこには、土と血にまみれところどころ肉の剥がれ落ちた、愛するダンテやバージル、レディ、そして大事な家族の亡骸が、じっとディーヴァを上から覗き込んでいた。
目玉がはまっていたであろう、そこには空洞。
空虚なそこからだらりと垂れ下がる、長い蟲、どろりとした液体、腐肉。
それをモロに見てしまい、ディーヴァは口元を押さえた。
『ここがお前の墓標だ』
『お前は喰われた残りカスだ。その自我は消えゆく魂のカケラでしかない』
愛する人達の亡骸からか、それとも3つ目の悪魔からか、頭の中に直接声が響く。
その時、目の端で自分の手がおかしい事に気がついた。
ハッとしてまじまじと見れば、その手は、ところどころ肉が剥がれ落ち、白い骨がちらほら。
自分の体も、亡骸のそれと同じだった。
「うそ…!やだ、あたしはまだ、生きてる…。ダンテだって死んでない……やめて………」
これは現実じゃないこれは夢覚めろ覚めろ早く覚めろ夢なんだから早く覚めて。
ディーヴァの目からは、肉とも涙とも血ともとれない何か冷たいものが流れ落ちていった。
予知の全てがこれならば。…そう、これは警告だ。
絶望に満たされし悪夢の、死の警告。
***
「…、………!、ディーヴァ!!」
自分の声を呼ぶ声が聞こえる。
重たい瞼をゆるゆると持ち上げれば、左右違う虹彩のヘテロクロミアの目が、ディーヴァを心配そうに覗き込んでいた。
「ディーヴァ、やっと起きたわね」
「レ、ディ…?」
ある事件がきっかけで知り合い、仲良くなった世にも珍しい女性のデビルハンター、それがレディだ。
「ひどい顔ね。暑いんだからちゃんと水分くらい取らないと熱中症になるわよ?」
そう言ってディーヴァによく冷えたペットボトルの水を持たせるレディは、今、悩殺的な水着に身を包んでいた。
レディと同様、ディーヴァも水着に身を包んでいる。
背景にはパラソルと水平線。
ここは海。
日に焼けぬよう、白い砂浜にパラソルを刺して、椅子に寝転がっていて、それでうたた寝してーー。
あの悪夢に至る。
「…ありがと」
それにしても、自分は今そんなに酷い顔をしているのか。
…当たり前か、それほどまでに恐ろしい夢を見…いや、体験してきたばかりなのだ。
青い空、青い海。
この景色に似合わぬような、恐ろしい夢を。
「声もひどいわ。大丈夫?」
返事がとても低い声になってしまった。
受け取った水を一口喉に流し込んで初めて、ディーヴァは自分が喉の渇きを訴えていた事に気がついた。
たしかに熱中症一歩手前だった。
「…うん、大丈夫だよ」
…夢の中ではレディも死んでいた。
死んでいたはずの彼女の、動く死体としての顔を思い出してしまう。
ディーヴァは自分の心情を悟られないよう、無理にでも笑顔を作ってみせた。
「そう。ならせっかくの南の海でのバカンス。
昼寝もいいけど、海の中にも行きましょ!」
レディはディーヴァの手をぐいと引き、海へと誘導する。
その反対の手には大きな浮き輪。
ディーヴァの分はディーヴァに持たせ、向かったのは青く透明な海。
足を付け入っていけば、暑くて熱い砂浜との対比で冷たくてとても気持ちがよかった。
水と浮き輪の浮力で持ち上がる体同様に、気持ちもふわり、軽くなって浮上していく気がした。
「ああ、ほんと今回は良い依頼料もらったわ…」
ちゃぷん…、同じように浮き輪に身を預けたレディが、空を見上げながら呟く。
「プライベートビーチだし、声をかけてくるナンパ男はいない。遊泳にはネットが張られているからクラゲもいない。もちろん、サメもね。
安心安全、ゆっくりリゾートを味わえる。おまけに海も透明でとても綺麗。
…それなのに、」
「った!」
でっこ、ぴーん!
レディに額を弾かれてしまった。…意外と痛い!さすがデビルハンター。
「こーら、ディーヴァ。貴女ったらまだ沈んだ顔してるわよ?」
「うう、ごめん…」
ディーヴァの額からレディの指が離れ、彼女のむくれた顔が見えた。
気分は徐々に浮上していた。だが、それはレディが納得するほどには至っていなかったようである。
「ダンテがいないのがそんなに寂しい?…私じゃ不満かしら?」
「そんな事ないよ。
でも、いつも隣にいるダンテがいないのって、やっぱりちょっと寂しい…かな」
寂しげに聞いてくるレディに申し訳なかった。
でも、嘘はつけない。
ディーヴァはレディがそうしたように、空を仰ぎ見ながら思いを伝えた。
…最近はダンテといつも一緒だ。
前の事があってから、より一層共にいる事が多くなった。
隣にいる間も、ぴったりと磁石のように隙間なくくっついている事がほとんどで、例外は仕事の時と満月の夜くらいか。
だからこそ、バカンスとはいえダンテから離れるのが少し、そう、少しだけ怖かったのだ。
「貴女達、ちょっと一緒にいすぎじゃない?ディーヴァが心配なのはわかるけど、余分に心配もしすぎよ。
共依存…とは違うわね。相互依存の『狂』依存になってるように見えるわよ。
別に悪いことじゃないけども」
「『狂』った依存関係?」
レディもダンテとディーヴァの近すぎる距離を知っていた。
それはもう、辟易するほどに。
その事もあって今回誘ってくれたのだろうけれども…。
レディはディーヴァを連れ立って海から上がり、パラソルの下へと移動する。
少しぬるくなったペットボトルを開け、ディーヴァによこすと自分もそれを傾ける。水分補給だ。
喉を上下させ飲み干すと、ようやく続きを言葉にした。
「そう、『狂』依存。
ま、どちらかというとあの男からのディーヴァへの愛の度合いが『狂ってる』に結構分類されそうだけどね」
「でも旅行いくのオッケーしてくれたよ?」
「……そうね。今回の旅行許してくれたのは気まぐれみたいなものよね」
実際は、たまりにたまったダンテのレディに対するツケを半分にしてやる代わり、ディーヴァを借りたのだ。
そういった理由でもない限り、ダンテが旅行なぞ許すわけがなかった。
ちなみにその話し合いの際、半分でなく全額チャラにしろ!いやしない!のやり取りがあったのはいうまでもなく…。
3つの赤い目玉。
前回、ディーヴァを攫ったとされる、あの3つ目の悪魔だ。
「ヒッ」
知る恐怖より、知らぬ恐怖。
あそこまで強い『魔』を感じたのは初めてで、ディーヴァはその『魔』の全てを知らない。その恐ろしさを。
だからこそ、マーナガルム以上に、恐怖を感じるその3つの目。
目が合うだけで、心臓を、魂までも鷲掴みにされ、捕らわれているかのよう。
その毒を孕んだどす黒い悪意がディーヴァを捕まえるべく、虚空から闇となってディーヴァに浸透して行く。
逃げよう。
そう思い、ゆっくりと後退して踵を返すディーヴァ。
ドン!!
「きゃあ!?」
そんなディーヴァの体が何かに強く押された。
墓土に押し付けられるかのように、背後の墓穴と落ちゆく体。
「いった…、ヒィッ!」
墓穴にすっぽりと収まり、ふと暗く陰を作る上を見上げる。
そこには、土と血にまみれところどころ肉の剥がれ落ちた、愛するダンテやバージル、レディ、そして大事な家族の亡骸が、じっとディーヴァを上から覗き込んでいた。
目玉がはまっていたであろう、そこには空洞。
空虚なそこからだらりと垂れ下がる、長い蟲、どろりとした液体、腐肉。
それをモロに見てしまい、ディーヴァは口元を押さえた。
『ここがお前の墓標だ』
『お前は喰われた残りカスだ。その自我は消えゆく魂のカケラでしかない』
愛する人達の亡骸からか、それとも3つ目の悪魔からか、頭の中に直接声が響く。
その時、目の端で自分の手がおかしい事に気がついた。
ハッとしてまじまじと見れば、その手は、ところどころ肉が剥がれ落ち、白い骨がちらほら。
自分の体も、亡骸のそれと同じだった。
「うそ…!やだ、あたしはまだ、生きてる…。ダンテだって死んでない……やめて………」
これは現実じゃないこれは夢覚めろ覚めろ早く覚めろ夢なんだから早く覚めて。
ディーヴァの目からは、肉とも涙とも血ともとれない何か冷たいものが流れ落ちていった。
予知の全てがこれならば。…そう、これは警告だ。
絶望に満たされし悪夢の、死の警告。
***
「…、………!、ディーヴァ!!」
自分の声を呼ぶ声が聞こえる。
重たい瞼をゆるゆると持ち上げれば、左右違う虹彩のヘテロクロミアの目が、ディーヴァを心配そうに覗き込んでいた。
「ディーヴァ、やっと起きたわね」
「レ、ディ…?」
ある事件がきっかけで知り合い、仲良くなった世にも珍しい女性のデビルハンター、それがレディだ。
「ひどい顔ね。暑いんだからちゃんと水分くらい取らないと熱中症になるわよ?」
そう言ってディーヴァによく冷えたペットボトルの水を持たせるレディは、今、悩殺的な水着に身を包んでいた。
レディと同様、ディーヴァも水着に身を包んでいる。
背景にはパラソルと水平線。
ここは海。
日に焼けぬよう、白い砂浜にパラソルを刺して、椅子に寝転がっていて、それでうたた寝してーー。
あの悪夢に至る。
「…ありがと」
それにしても、自分は今そんなに酷い顔をしているのか。
…当たり前か、それほどまでに恐ろしい夢を見…いや、体験してきたばかりなのだ。
青い空、青い海。
この景色に似合わぬような、恐ろしい夢を。
「声もひどいわ。大丈夫?」
返事がとても低い声になってしまった。
受け取った水を一口喉に流し込んで初めて、ディーヴァは自分が喉の渇きを訴えていた事に気がついた。
たしかに熱中症一歩手前だった。
「…うん、大丈夫だよ」
…夢の中ではレディも死んでいた。
死んでいたはずの彼女の、動く死体としての顔を思い出してしまう。
ディーヴァは自分の心情を悟られないよう、無理にでも笑顔を作ってみせた。
「そう。ならせっかくの南の海でのバカンス。
昼寝もいいけど、海の中にも行きましょ!」
レディはディーヴァの手をぐいと引き、海へと誘導する。
その反対の手には大きな浮き輪。
ディーヴァの分はディーヴァに持たせ、向かったのは青く透明な海。
足を付け入っていけば、暑くて熱い砂浜との対比で冷たくてとても気持ちがよかった。
水と浮き輪の浮力で持ち上がる体同様に、気持ちもふわり、軽くなって浮上していく気がした。
「ああ、ほんと今回は良い依頼料もらったわ…」
ちゃぷん…、同じように浮き輪に身を預けたレディが、空を見上げながら呟く。
「プライベートビーチだし、声をかけてくるナンパ男はいない。遊泳にはネットが張られているからクラゲもいない。もちろん、サメもね。
安心安全、ゆっくりリゾートを味わえる。おまけに海も透明でとても綺麗。
…それなのに、」
「った!」
でっこ、ぴーん!
レディに額を弾かれてしまった。…意外と痛い!さすがデビルハンター。
「こーら、ディーヴァ。貴女ったらまだ沈んだ顔してるわよ?」
「うう、ごめん…」
ディーヴァの額からレディの指が離れ、彼女のむくれた顔が見えた。
気分は徐々に浮上していた。だが、それはレディが納得するほどには至っていなかったようである。
「ダンテがいないのがそんなに寂しい?…私じゃ不満かしら?」
「そんな事ないよ。
でも、いつも隣にいるダンテがいないのって、やっぱりちょっと寂しい…かな」
寂しげに聞いてくるレディに申し訳なかった。
でも、嘘はつけない。
ディーヴァはレディがそうしたように、空を仰ぎ見ながら思いを伝えた。
…最近はダンテといつも一緒だ。
前の事があってから、より一層共にいる事が多くなった。
隣にいる間も、ぴったりと磁石のように隙間なくくっついている事がほとんどで、例外は仕事の時と満月の夜くらいか。
だからこそ、バカンスとはいえダンテから離れるのが少し、そう、少しだけ怖かったのだ。
「貴女達、ちょっと一緒にいすぎじゃない?ディーヴァが心配なのはわかるけど、余分に心配もしすぎよ。
共依存…とは違うわね。相互依存の『狂』依存になってるように見えるわよ。
別に悪いことじゃないけども」
「『狂』った依存関係?」
レディもダンテとディーヴァの近すぎる距離を知っていた。
それはもう、辟易するほどに。
その事もあって今回誘ってくれたのだろうけれども…。
レディはディーヴァを連れ立って海から上がり、パラソルの下へと移動する。
少しぬるくなったペットボトルを開け、ディーヴァによこすと自分もそれを傾ける。水分補給だ。
喉を上下させ飲み干すと、ようやく続きを言葉にした。
「そう、『狂』依存。
ま、どちらかというとあの男からのディーヴァへの愛の度合いが『狂ってる』に結構分類されそうだけどね」
「でも旅行いくのオッケーしてくれたよ?」
「……そうね。今回の旅行許してくれたのは気まぐれみたいなものよね」
実際は、たまりにたまったダンテのレディに対するツケを半分にしてやる代わり、ディーヴァを借りたのだ。
そういった理由でもない限り、ダンテが旅行なぞ許すわけがなかった。
ちなみにその話し合いの際、半分でなく全額チャラにしろ!いやしない!のやり取りがあったのはいうまでもなく…。
