mission 4:same sword style ~黒き鎧の魔剣士~
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ダンテにとっての太陽。
その光は、失われつつあった。
「ーーーーーッ」
魔帝ムンドゥスに呼びつけられ、連れていかれた先。
そこは一見すると神聖な場所にも見える、白い空間。魔界の王たるムンドゥスの形をかたどる大きな像が鎮座する場所。
いや、あの像が本体だと思う。なぜなら見た目とは裏腹に禍々しいからだ。
硬質の冷たい床が広がるばかりのこの空間。
低級悪魔の手によって無造作に投げ出され、ディーヴァの体は床に叩きつけられた痛みと、体に食い込み続ける蔦の棘の痛みとで身動きが取れないほど弱っていた。
『もっと力を…。もっと血を……。
人間界を侵略するための、強い強い力を!血をよこせ………!!』
ああ、またこの恐ろしい悪魔が血を求めている。
悪魔が血を求めるたびに、食い込む棘。したたる血。どこまで搾取すれば気がすむの。
乳牛か何かにでもなった気分。乳牛のほうがまだましか。
血を失うごとに、心臓の音が大きくなる。
負担がかかっている。もう、そんなに血を作り続けられないと、心臓が悲鳴を上げている。
体の隅々までは行き渡らない。
貧血?違う、鉄分どころじゃない。
他の絶対量が足りていない。
もう、生きるための血を作るのは無理だ。
ドクドクと流れる血のなんと少ないことか。
皮膚の皮がひどく薄く、白くなった気がする。
はくはく、呼吸が荒く、そして浅くなる。
目も回る。開いてなんていられない。
立ち上がる?そんなことはもうできない。
それほどまでに、血圧がひどく低下しているのが自分でも感じ取れた。
ああほら、手足が小刻みに震えてる。痙攣している。
震えられるだけの容量はあっても、足にも手にも力が入らなくなってきた。
「さむ、…ぃ…」
出した声がおかしい。
自分の声ってこんなに掠れていた?こんなに小さかった?
暖を求めて縮こまろうと必死に動かす体。
その手に、小さなペンダントトップがコツンと当たる感触。
ダンテがくれた、真珠とガーネットが隣り合わせのネックレス。
きゅっとそれを握りしめ、赤い命の源が流れていくのをじっと耐えるディーヴァ。
あきらめちゃ、ダメ。きっと、彼は来てくれるから。
でももうつらい。つらいよ。
ネックレスを握る指の感覚も薄れていく。
手に、ちゃんと握れている?
ダンテの色のストール、ちゃんと身につけている?血の赤とは違う、この赤は、ダンテとつながる証。ダンテが見つけてくれるための、目印。
寒い。寒い。凍えそう。
痛いより、寒い。
氷のよう。
違う。
徐々に力が抜けていくごとに、寒さすら感じなくなっていく。
何にも、感じなくなっていく。
硬質の冷たい床に映る、自身の顔。
ぼやけてよく見えない視界の中、顔だけがぼんやり薄く青白く浮かんで見えたのを最後に、ディーヴァの意識は、深く、深く、目覚め難い眠りの底へと沈んでいった。
眠い。
寝たら、もう二度と目覚められない、そんな気がする。
それでも、ただただ落ちていく。
意識が、感覚が砂のようにサラサラ流れ、消えていく。
何もない。なくなる。
涙も出ない。
虚無。
せめて、ああせめて、ねむるなら、だいすきなあのひとのあたたかいうでのなかで。
***
太陽のレリーフ、その隣には部屋全体を写す巨大な鏡がはめ込まれていた。
普段なら「おお、この前でディーヴァとイイことしたら絶対最高!」とか考えるし、口に出すだろう。
だが、ディーヴァに会いたくてどうにかなってしまいそうなダンテに、それを言う余裕はない。
隣の鏡にうつる自分の顔。
映っているのはいつも通り、ディーヴァがよく褒めちぎるイケメン。
だが、今映っているイケメンの表情は、悲痛な面持ち。
青白く見える綺麗な顔は、今にも泣きだしそうに見えた。
自分で思っておいてなんだが、綺麗な顔、か。
曇り一つない鏡だからこそ、こんなに綺麗に見えるのかもしれないとも思う。
「こんな場所の鏡にしちゃあ、えれぇキレーな鏡だよな。
悪魔共が夜な夜な磨いてるのか?」
『想像するとシュール!』
「だろ?
それに鏡の奥…ミョーに暗黒の波動がビンビン感じるんだよな。
もしかしたらこの向こうに魔界が広がってて、玄関口だから悪魔共が磨いてるとか、そんなかもしれねぇぜ」
誰もいない城内。
マリオネットが濡れた新聞紙、固く絞った雑巾やその他諸々の掃除用具を手に鏡を磨く姿が想像できた。
うわほんとシュール。
「ほら、よくあるだろ?
時計を持ったウサギを追いかけて衣装箪笥の中入ったらそこは別世界で長い国境のトンネルの鏡を抜けたらそこは雪国というか不思議の国でした、みたいなのがよ」
『混ざってる混ざってる。なんかめちゃ混ざってる』
ああ、まだあった。
そう。前もそうだった。
皆既日食のあの日、魔界の片隅に落ちたディーヴァ。
あの時も鏡で行き来した。
そうだ。テメンニグルの中でも、鏡を媒介にする場面があった。
それに、ロダンは鏡は扉、そんな感じのことを言っていなかっただろうか。
そう考えると、鏡はやはり怪しい。
…とはいえ、安直に考えすぎか。
だが疑ってかかるに越したことはない。
ダンテは鏡を、仇でも前にしたかのように睨んだ。
「で、こりゃなんだ?
オレのすること為すこと嫌そうに、虫けらでも見るような目で見てくるバージルのような顔の像だなァ」
『どんなだ』
目の前に鎮座するは、憂鬱そうな表情をした女性の像。なのに、角度を変えるとバージルになる。不思議だ。汚物でも見てくるみたいなその顔、腹立たしい。
その胸がぽっかりと空いている。
胸に何かを差し込むらしい。
…が、この部屋には何もないし、もう他にめぼしいものもない。
ダンテは一度階段塔に戻り、上に登ることを決めた。
城主ルームを出ると、待ち構えていたかのようにマリオネット。
うざったい、とひと蹴りあーれー。
一番高い場所まで登ると、何もない行き止まり。
『なになに。「剣は魂を解き放つ鍵である、鍵は最も高き場所にある」なんだこれ』
「ンなもん、アレのことだろ」
なんだこれも何もない。
ちょっぴり視点を向ければ、空中に台座があり、そこに深々と、一振りの剣が刺さっているのだ。
最も高き場所とは、今いる階。剣とは文字通りすぐそこに刺さる剣のこと。ここまでくると謎解きでもなんでもない。
軽くジャンプして剣をすっぱ抜いたダンテは、そのあっけない入手法に、苦笑するしかなかった。
さらにあっけないのはそれだけではなかった。
『わー。刺されたら痛そうな剣!』
「や、全然痛くないぞ」
『へ?』
死の宣告。そう銘が刻まれた剣は、見た目はごつく、刃がギザギザで凶悪。殺傷力が高そうだったのだが、その実ペーパーナイフより弱かった。
「儀式用だろ。べんにゃべにゃしてる。武器にはならないな」
『へぇ〜。ま、マスターには俺がいるもんね!』
「そうだな。
ん?なんかデジャブ感じるなあ…気のせいか」
それはテメンニグルで登場した、ヴァジュラのことかぁーーーッ!!
その光は、失われつつあった。
「ーーーーーッ」
魔帝ムンドゥスに呼びつけられ、連れていかれた先。
そこは一見すると神聖な場所にも見える、白い空間。魔界の王たるムンドゥスの形をかたどる大きな像が鎮座する場所。
いや、あの像が本体だと思う。なぜなら見た目とは裏腹に禍々しいからだ。
硬質の冷たい床が広がるばかりのこの空間。
低級悪魔の手によって無造作に投げ出され、ディーヴァの体は床に叩きつけられた痛みと、体に食い込み続ける蔦の棘の痛みとで身動きが取れないほど弱っていた。
『もっと力を…。もっと血を……。
人間界を侵略するための、強い強い力を!血をよこせ………!!』
ああ、またこの恐ろしい悪魔が血を求めている。
悪魔が血を求めるたびに、食い込む棘。したたる血。どこまで搾取すれば気がすむの。
乳牛か何かにでもなった気分。乳牛のほうがまだましか。
血を失うごとに、心臓の音が大きくなる。
負担がかかっている。もう、そんなに血を作り続けられないと、心臓が悲鳴を上げている。
体の隅々までは行き渡らない。
貧血?違う、鉄分どころじゃない。
他の絶対量が足りていない。
もう、生きるための血を作るのは無理だ。
ドクドクと流れる血のなんと少ないことか。
皮膚の皮がひどく薄く、白くなった気がする。
はくはく、呼吸が荒く、そして浅くなる。
目も回る。開いてなんていられない。
立ち上がる?そんなことはもうできない。
それほどまでに、血圧がひどく低下しているのが自分でも感じ取れた。
ああほら、手足が小刻みに震えてる。痙攣している。
震えられるだけの容量はあっても、足にも手にも力が入らなくなってきた。
「さむ、…ぃ…」
出した声がおかしい。
自分の声ってこんなに掠れていた?こんなに小さかった?
暖を求めて縮こまろうと必死に動かす体。
その手に、小さなペンダントトップがコツンと当たる感触。
ダンテがくれた、真珠とガーネットが隣り合わせのネックレス。
きゅっとそれを握りしめ、赤い命の源が流れていくのをじっと耐えるディーヴァ。
あきらめちゃ、ダメ。きっと、彼は来てくれるから。
でももうつらい。つらいよ。
ネックレスを握る指の感覚も薄れていく。
手に、ちゃんと握れている?
ダンテの色のストール、ちゃんと身につけている?血の赤とは違う、この赤は、ダンテとつながる証。ダンテが見つけてくれるための、目印。
寒い。寒い。凍えそう。
痛いより、寒い。
氷のよう。
違う。
徐々に力が抜けていくごとに、寒さすら感じなくなっていく。
何にも、感じなくなっていく。
硬質の冷たい床に映る、自身の顔。
ぼやけてよく見えない視界の中、顔だけがぼんやり薄く青白く浮かんで見えたのを最後に、ディーヴァの意識は、深く、深く、目覚め難い眠りの底へと沈んでいった。
眠い。
寝たら、もう二度と目覚められない、そんな気がする。
それでも、ただただ落ちていく。
意識が、感覚が砂のようにサラサラ流れ、消えていく。
何もない。なくなる。
涙も出ない。
虚無。
せめて、ああせめて、ねむるなら、だいすきなあのひとのあたたかいうでのなかで。
***
太陽のレリーフ、その隣には部屋全体を写す巨大な鏡がはめ込まれていた。
普段なら「おお、この前でディーヴァとイイことしたら絶対最高!」とか考えるし、口に出すだろう。
だが、ディーヴァに会いたくてどうにかなってしまいそうなダンテに、それを言う余裕はない。
隣の鏡にうつる自分の顔。
映っているのはいつも通り、ディーヴァがよく褒めちぎるイケメン。
だが、今映っているイケメンの表情は、悲痛な面持ち。
青白く見える綺麗な顔は、今にも泣きだしそうに見えた。
自分で思っておいてなんだが、綺麗な顔、か。
曇り一つない鏡だからこそ、こんなに綺麗に見えるのかもしれないとも思う。
「こんな場所の鏡にしちゃあ、えれぇキレーな鏡だよな。
悪魔共が夜な夜な磨いてるのか?」
『想像するとシュール!』
「だろ?
それに鏡の奥…ミョーに暗黒の波動がビンビン感じるんだよな。
もしかしたらこの向こうに魔界が広がってて、玄関口だから悪魔共が磨いてるとか、そんなかもしれねぇぜ」
誰もいない城内。
マリオネットが濡れた新聞紙、固く絞った雑巾やその他諸々の掃除用具を手に鏡を磨く姿が想像できた。
うわほんとシュール。
「ほら、よくあるだろ?
時計を持ったウサギを追いかけて衣装箪笥の中入ったらそこは別世界で長い国境のトンネルの鏡を抜けたらそこは雪国というか不思議の国でした、みたいなのがよ」
『混ざってる混ざってる。なんかめちゃ混ざってる』
ああ、まだあった。
そう。前もそうだった。
皆既日食のあの日、魔界の片隅に落ちたディーヴァ。
あの時も鏡で行き来した。
そうだ。テメンニグルの中でも、鏡を媒介にする場面があった。
それに、ロダンは鏡は扉、そんな感じのことを言っていなかっただろうか。
そう考えると、鏡はやはり怪しい。
…とはいえ、安直に考えすぎか。
だが疑ってかかるに越したことはない。
ダンテは鏡を、仇でも前にしたかのように睨んだ。
「で、こりゃなんだ?
オレのすること為すこと嫌そうに、虫けらでも見るような目で見てくるバージルのような顔の像だなァ」
『どんなだ』
目の前に鎮座するは、憂鬱そうな表情をした女性の像。なのに、角度を変えるとバージルになる。不思議だ。汚物でも見てくるみたいなその顔、腹立たしい。
その胸がぽっかりと空いている。
胸に何かを差し込むらしい。
…が、この部屋には何もないし、もう他にめぼしいものもない。
ダンテは一度階段塔に戻り、上に登ることを決めた。
城主ルームを出ると、待ち構えていたかのようにマリオネット。
うざったい、とひと蹴りあーれー。
一番高い場所まで登ると、何もない行き止まり。
『なになに。「剣は魂を解き放つ鍵である、鍵は最も高き場所にある」なんだこれ』
「ンなもん、アレのことだろ」
なんだこれも何もない。
ちょっぴり視点を向ければ、空中に台座があり、そこに深々と、一振りの剣が刺さっているのだ。
最も高き場所とは、今いる階。剣とは文字通りすぐそこに刺さる剣のこと。ここまでくると謎解きでもなんでもない。
軽くジャンプして剣をすっぱ抜いたダンテは、そのあっけない入手法に、苦笑するしかなかった。
さらにあっけないのはそれだけではなかった。
『わー。刺されたら痛そうな剣!』
「や、全然痛くないぞ」
『へ?』
死の宣告。そう銘が刻まれた剣は、見た目はごつく、刃がギザギザで凶悪。殺傷力が高そうだったのだが、その実ペーパーナイフより弱かった。
「儀式用だろ。べんにゃべにゃしてる。武器にはならないな」
『へぇ〜。ま、マスターには俺がいるもんね!』
「そうだな。
ん?なんかデジャブ感じるなあ…気のせいか」
それはテメンニグルで登場した、ヴァジュラのことかぁーーーッ!!
