mission 23:blue sky ~崩壊と脱出~
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内心唸っていると。
「ひとつ聞いていいかしら。
タール&フェザーの刑ってなんだったの?」
こちらに体ごと顔をむけ、じっと見つめてきたトリッシュ。
エヴァさんを模して造られたというトリッシュの美しいかんばせ。ダンテと同じ色の目。破壊力抜群な美人が、純粋な疑問に首を傾げ、穢れなき瞳をこちらに向けている!
今聞く話だったのかなそれ。とも思うが、まさにすべての毒気が抜かれた気分だった。
「悪い、ディーヴァ。オレもその刑よくわからなかった。
ディーヴァの記念すべき初捨て台詞みたいなもんだったから、突っ込まないでスルーしてたけどよ」
うぐ。捨て台詞扱い……。
スルーするなら最後までスルーしといてほしかった!黒歴史ってほどのものじゃないけど、蒸し返さないでほしかった!!
「……、対象に、熱したタールを全身に被らせてから羽毛の中に転がす刑だな」
「バージルは物知りだね。
うん、そう。あたしの羽根まみれにしてあげようと思って」
その瞬間、トリッシュが吹き出した。
なんならダンテも笑った。
「まったく痛くなさそうな刑ね。貴女言ってたわよね?かけるタールは熱いものではなく、冷たいものなんでしょ?
お優しいことで」
「優しくないよ。熱いタールなんて扱ったら、トリッシュさんだけじゃなくてあたしも火傷しちゃう可能性あるでしょ。
だからだよ」
自分の身の安全のためである。決して、トリッシュの体を思ってのことではない。
それのどこが優しいというのか。
「それにねぇ痛くなくてもタールベタベタで気持ち悪いしお口に羽根入って気持ち悪いし、激落ちくん使ってもなかなか落ちないんだからね?」
「激落ちくんっておいおいディーヴァ……」
ダンテ、苦笑してるところ悪い柄激落ちくんシリーズを舐めるなである。
どんな汚れも落としやすい激落ちくんですら、落ちにくいのがタールという代物。
困るのはあたしではない。
「自慢の金髪がまっくろくろすけになって困るのはトリッシュさんなんだからね!
よーく洗った後にしか、髪の毛梳かしてあげないんだから」
「梳かしてほしいなんて言ってないけど?」
むきぃー!
恥ずかしさと怒りで赤くなるあたし。
バージルがくつくつと笑っているのをすぐ背後に感じる。
声に出さないように耐えているのが、バージルの腹筋が震えていることから伝わってきた。つらい。すごくつらい!
「あとこの刑うけると恥ずかしいよ!?
羽まみれな姿で往来歩かせたら、みんなに笑われちゃうと思うの!
トリッシュは……トリッシュさんは、それでもいいっていうの?」
「羽まみれで往来……百匹以上の犬が出てくる映画の中にそんなシーンあったな」
「あー、アレもそれに近いね」
ただアレの場合は、タールではなかったけれど……どちらにしてもみっともない見た目になっていた。
「そもそもそれに使う羽根、お前の羽根なんだろ。お前も汚くなるのはわかってるんだろうな」
「下手をうてば、羽根がなくなった丸裸の天使になってしまうな。ぷくくくく」
「あっほんとだ!!って、バージル!いい加減笑わないでって!」
とうとう口に出して笑い始めたバージルの脇を小突く。
「面白い子……。
天使ってみんなこうなのかしら」
面白い子呼ばわりされてしまった!ショック!
これじゃ、あたしが頭の残念な天使みたいじゃん。そういうののポジションはあたしじゃなくてできたらダンテでお願いしたいのですが。
「ディーヴァしか知らないからわからねえが、オレのことを思って頭に血が上った結果だろ。いい女だ」
「ほんとね」
ダンテとトリッシュが嬉しそうに笑いながら会話する。うん、まあ、あたしが理由でそうやって笑っていられるなら、別にいいか。いや、あたしとしてみれば嬉しくないけど。
「トリッシュでいいわ。貴女すでに私のこと何度か呼び捨てにしてたでしょ?
よろしくディーヴァ」
「よ、よろしく……?でも……でも、」
よろしくと言われた。それに応えたいし差し出された手も握りたい。
けれども、あたしは軽率にそのてをとることはできなかった。
「あ、あたしまだ貴女のこと……ちゃんと認められてないの……ごめんなさい」
「あらどうして?」
悪魔だからとかではない。それについてはもうあたしの中では答えは出てる。この人は悪魔ではない、と。
あたしが思うのは色恋に関すること。
「だって……やっぱり貴女みたいな綺麗な人が相手だと、ダンテがとられちゃうかもしれないって思って、心のモヤモヤがとれなくって……。すっごく、すごーく今更なんだけど。ごめんなさい」
一言口に出してしまえば、あとは心のままに口からぽんぽんと嫉妬してたという意味の言葉が勝手に飛び出す。
やっと気持ちを言葉にできた。
ダンテが満足げに口元を緩ませる姿が、ミラー越しに見えた。そこ、嬉しそうにしないで。
「とらないわよこんな破天荒な男。悪魔を狩る上での相棒よ」
「へっ!破天荒だとさ。人間の常識もしらねぇ悪魔に言われたかねぇな。
バージルもトリッシュもオレより非常識のくせになーに言ってやがる」
嬉しそうに、でも一言多いダンテが言い返す。でもあたしは思うのだ。
「人間の常識を知ってるのに破天荒なダンテには言えることじゃないと思う」
あたしの言葉に、他の二人は同意し頷いた。
「え゛っ。前よりはマシだろ?」
「テメンニグルに登った頃よりはね。でも五十歩百歩。破天荒さはほとんど変わりません!」
ま、それでこそダンテなんだけどね。
「あ。破天荒ついでに思い出したことがある。事務所半壊のままできちまったから、帰ったらまずは片付けが待ってるぜ」
「え。なにそれどういうこと?ちゃんと説明してくれる?」
場所が許せば、思いっきり詰め寄っていた。
この疲れた体に、片付けという鞭打ち?
あたしの眉毛はつり上がっていることだろうダンテが焦っていた。
「マレット島に来る前に襲撃があってな……」
「襲撃……ダンテなら事務所に被害が出る前に、なんとかできそうだけどねー?」
またダンテがはちゃめちゃしたのではないだろうか。テメンニグルの時もそうだった、と返せばダンテはさらに焦った。
「オレだけじゃないぞ。トリッシュのせいでもある。オレだけを責めるのは間違ってるぜディーヴァ!!」
「な、人に罪をなすりつける気!?貴方ほんと悪魔ね!」
「半分はそうだ!」
いわく、ダンテをマレット島に誘き出すためにバイクで事務所に突っ込んだとか。
いわく、投げてきたバイクを魔力を込めた弾丸で撃ったら爆発したとか。
それで部屋や家具は粉々、炎上して燃えただとか。そんな事実が浮き彫りになった。
……二人は、罪の擦り合いをしている。
「二人とも同罪」
聞いているだけで疲れたあたしは、頭ごなしではなく、ネチネチと蛇のように叱りつけ続けた。機嫌は悪い。
その機嫌は直すように言われ、ダンテがついでとばかりに一番言いたかったであろう言葉を紡いだ。
「ディーヴァ、おかえり」
「……うん、ただいま」
これも、場所が許せばダンテに飛びついていた案件だ。嬉しい。
「ダンテもバージルもおかえり」
「ただいまディーヴァ!」
「俺はただいまで「合ってるよ、バージル」……ただいま」
体に回っているバージルの手が、キュッと握られる。その指をあたしはそっと握り返した。
本当の意味で、バージルも一緒に帰れるのだ、そんな気がした。
「それからトリッシュ。貴女にはようこそ、かな?これからよろしくね」
「ええ。改めてよろしく」
今度こそ、あたしは手を差し出し、トリッシュと固く握手を交わした。
全員、笑顔だった。
●あとがき
おかえりとただいまとようこそと。幸せな挨拶。
「ひとつ聞いていいかしら。
タール&フェザーの刑ってなんだったの?」
こちらに体ごと顔をむけ、じっと見つめてきたトリッシュ。
エヴァさんを模して造られたというトリッシュの美しいかんばせ。ダンテと同じ色の目。破壊力抜群な美人が、純粋な疑問に首を傾げ、穢れなき瞳をこちらに向けている!
今聞く話だったのかなそれ。とも思うが、まさにすべての毒気が抜かれた気分だった。
「悪い、ディーヴァ。オレもその刑よくわからなかった。
ディーヴァの記念すべき初捨て台詞みたいなもんだったから、突っ込まないでスルーしてたけどよ」
うぐ。捨て台詞扱い……。
スルーするなら最後までスルーしといてほしかった!黒歴史ってほどのものじゃないけど、蒸し返さないでほしかった!!
「……、対象に、熱したタールを全身に被らせてから羽毛の中に転がす刑だな」
「バージルは物知りだね。
うん、そう。あたしの羽根まみれにしてあげようと思って」
その瞬間、トリッシュが吹き出した。
なんならダンテも笑った。
「まったく痛くなさそうな刑ね。貴女言ってたわよね?かけるタールは熱いものではなく、冷たいものなんでしょ?
お優しいことで」
「優しくないよ。熱いタールなんて扱ったら、トリッシュさんだけじゃなくてあたしも火傷しちゃう可能性あるでしょ。
だからだよ」
自分の身の安全のためである。決して、トリッシュの体を思ってのことではない。
それのどこが優しいというのか。
「それにねぇ痛くなくてもタールベタベタで気持ち悪いしお口に羽根入って気持ち悪いし、激落ちくん使ってもなかなか落ちないんだからね?」
「激落ちくんっておいおいディーヴァ……」
ダンテ、苦笑してるところ悪い柄激落ちくんシリーズを舐めるなである。
どんな汚れも落としやすい激落ちくんですら、落ちにくいのがタールという代物。
困るのはあたしではない。
「自慢の金髪がまっくろくろすけになって困るのはトリッシュさんなんだからね!
よーく洗った後にしか、髪の毛梳かしてあげないんだから」
「梳かしてほしいなんて言ってないけど?」
むきぃー!
恥ずかしさと怒りで赤くなるあたし。
バージルがくつくつと笑っているのをすぐ背後に感じる。
声に出さないように耐えているのが、バージルの腹筋が震えていることから伝わってきた。つらい。すごくつらい!
「あとこの刑うけると恥ずかしいよ!?
羽まみれな姿で往来歩かせたら、みんなに笑われちゃうと思うの!
トリッシュは……トリッシュさんは、それでもいいっていうの?」
「羽まみれで往来……百匹以上の犬が出てくる映画の中にそんなシーンあったな」
「あー、アレもそれに近いね」
ただアレの場合は、タールではなかったけれど……どちらにしてもみっともない見た目になっていた。
「そもそもそれに使う羽根、お前の羽根なんだろ。お前も汚くなるのはわかってるんだろうな」
「下手をうてば、羽根がなくなった丸裸の天使になってしまうな。ぷくくくく」
「あっほんとだ!!って、バージル!いい加減笑わないでって!」
とうとう口に出して笑い始めたバージルの脇を小突く。
「面白い子……。
天使ってみんなこうなのかしら」
面白い子呼ばわりされてしまった!ショック!
これじゃ、あたしが頭の残念な天使みたいじゃん。そういうののポジションはあたしじゃなくてできたらダンテでお願いしたいのですが。
「ディーヴァしか知らないからわからねえが、オレのことを思って頭に血が上った結果だろ。いい女だ」
「ほんとね」
ダンテとトリッシュが嬉しそうに笑いながら会話する。うん、まあ、あたしが理由でそうやって笑っていられるなら、別にいいか。いや、あたしとしてみれば嬉しくないけど。
「トリッシュでいいわ。貴女すでに私のこと何度か呼び捨てにしてたでしょ?
よろしくディーヴァ」
「よ、よろしく……?でも……でも、」
よろしくと言われた。それに応えたいし差し出された手も握りたい。
けれども、あたしは軽率にそのてをとることはできなかった。
「あ、あたしまだ貴女のこと……ちゃんと認められてないの……ごめんなさい」
「あらどうして?」
悪魔だからとかではない。それについてはもうあたしの中では答えは出てる。この人は悪魔ではない、と。
あたしが思うのは色恋に関すること。
「だって……やっぱり貴女みたいな綺麗な人が相手だと、ダンテがとられちゃうかもしれないって思って、心のモヤモヤがとれなくって……。すっごく、すごーく今更なんだけど。ごめんなさい」
一言口に出してしまえば、あとは心のままに口からぽんぽんと嫉妬してたという意味の言葉が勝手に飛び出す。
やっと気持ちを言葉にできた。
ダンテが満足げに口元を緩ませる姿が、ミラー越しに見えた。そこ、嬉しそうにしないで。
「とらないわよこんな破天荒な男。悪魔を狩る上での相棒よ」
「へっ!破天荒だとさ。人間の常識もしらねぇ悪魔に言われたかねぇな。
バージルもトリッシュもオレより非常識のくせになーに言ってやがる」
嬉しそうに、でも一言多いダンテが言い返す。でもあたしは思うのだ。
「人間の常識を知ってるのに破天荒なダンテには言えることじゃないと思う」
あたしの言葉に、他の二人は同意し頷いた。
「え゛っ。前よりはマシだろ?」
「テメンニグルに登った頃よりはね。でも五十歩百歩。破天荒さはほとんど変わりません!」
ま、それでこそダンテなんだけどね。
「あ。破天荒ついでに思い出したことがある。事務所半壊のままできちまったから、帰ったらまずは片付けが待ってるぜ」
「え。なにそれどういうこと?ちゃんと説明してくれる?」
場所が許せば、思いっきり詰め寄っていた。
この疲れた体に、片付けという鞭打ち?
あたしの眉毛はつり上がっていることだろうダンテが焦っていた。
「マレット島に来る前に襲撃があってな……」
「襲撃……ダンテなら事務所に被害が出る前に、なんとかできそうだけどねー?」
またダンテがはちゃめちゃしたのではないだろうか。テメンニグルの時もそうだった、と返せばダンテはさらに焦った。
「オレだけじゃないぞ。トリッシュのせいでもある。オレだけを責めるのは間違ってるぜディーヴァ!!」
「な、人に罪をなすりつける気!?貴方ほんと悪魔ね!」
「半分はそうだ!」
いわく、ダンテをマレット島に誘き出すためにバイクで事務所に突っ込んだとか。
いわく、投げてきたバイクを魔力を込めた弾丸で撃ったら爆発したとか。
それで部屋や家具は粉々、炎上して燃えただとか。そんな事実が浮き彫りになった。
……二人は、罪の擦り合いをしている。
「二人とも同罪」
聞いているだけで疲れたあたしは、頭ごなしではなく、ネチネチと蛇のように叱りつけ続けた。機嫌は悪い。
その機嫌は直すように言われ、ダンテがついでとばかりに一番言いたかったであろう言葉を紡いだ。
「ディーヴァ、おかえり」
「……うん、ただいま」
これも、場所が許せばダンテに飛びついていた案件だ。嬉しい。
「ダンテもバージルもおかえり」
「ただいまディーヴァ!」
「俺はただいまで「合ってるよ、バージル」……ただいま」
体に回っているバージルの手が、キュッと握られる。その指をあたしはそっと握り返した。
本当の意味で、バージルも一緒に帰れるのだ、そんな気がした。
「それからトリッシュ。貴女にはようこそ、かな?これからよろしくね」
「ええ。改めてよろしく」
今度こそ、あたしは手を差し出し、トリッシュと固く握手を交わした。
全員、笑顔だった。
●あとがき
おかえりとただいまとようこそと。幸せな挨拶。
