mission 23:blue sky ~崩壊と脱出~
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「くそ、確実に攻撃は入ってるはずなのに、決定打が与えられねぇ……。いくらなんでもこのままじゃジリ貧だ。どうしたら……」
悔しそうに唸るダンテやバージルの耳に、そしてあたしの耳にも、囁くような優しい声が届いた。
『ダンテ…諦めないで……大丈夫よ』
「ーー母さん?」
ダンテには、あれが母親であるエヴァの声に聞こえたようだ。
ダンテが小さくそうつぶやく。
部屋の中が稲光の時のような光で溢れたのは、同時の事だった。
魔帝が現れた時とは少し違う、正当で純度の高い、闇の気配。
魔剣スパーダが空間を裂いて、こちら側に何者かを遣わせる。
降り立ったのは死んだと思われていたトリッシュだった。
くるくるくると宙を何度も回転しながらその軽い体躯が水飛沫も立てずに降り立った。
着地ポイントは百点満点!
すごく元気そう!よかった!!
うんうん、そうだよね。悪魔だもの、そんな簡単に死ぬわけなかった。
ホッとして胸を撫で下ろす。
死者には誰も勝てない。死という、悲しくも美しい別れの前には、生者の想いは時に霞んでしまう。
トリッシュが生きていたことで、どこか燻ってもやもやしていたあたしの心が晴れた。
ダンテ、こんな醜い考えのあたしでほんとごめん。
「ダンテ、私の力も使って!」
トリッシュが雷を纏った魔力をダンテに向かって放つ。
雷攻撃そのものとは違う、純粋な魔力。
アラストルのものとは別で、魔剣スパーダの力すら上乗せしているであろう強力なそれを、ダンテは難なく受け止めた。
「トリッシュ!」
助かった、唇がその形に弧をえがく。
ダンテの身に、雷と炎を纏った膨大な魔力が揺らめいている。
なんと羨ましい力だ。
バージルが眩しそうにそう漏らし、自身もトリッシュがしたように腕を差し出す。
「おい愚弟、俺の力も使え。なけなしの魔力の状態のままだが、ないよりマシだろう」
魔力をダンテに向かって放つバージル。
それを与えては、またバージルは回復までに時間がかかるというのに。
ダンテの力を少なからず妬んでいたのに。
なのに、こうして力を貸してくれている。
他でもない、ダンテのため、そして魔帝を倒すという全員の願いのために。
「ああ!助かる!!」
兄からの願ってもない言葉に、その気持ちに、ダンテが嬉しそうに笑った。
ダンテが武器を、ナイトメアβから愛銃のエボニー&アイボリーに変えた。
トリッシュやバージルから得た魔力を。自分自身の魔力を、銃身にありったけ込める。銃が熱く光った。
それを危険視した魔帝は、撃たせるものかとばかりに体の全触手をダンテに纏つかせた。
ダンテの動きは止まらない。止められない。
「決め言葉は?」
トリッシュがそう問えば。
「"大当たり!"」
テメンニグルでも聞いた言葉が紡がれる。
ダンテの巨大な魔力の塊が、弾丸となって銃口から放たれ、魔帝を穿った。
その瘴気、禍々しい魔力、肉体全てを吹き飛ばされ、自らが張った陣へと叩きつけられた魔帝。
滑稽な姿だ。
「くっ……俺にもっと力があれば。
いずれ俺はアレよりも強い力を絶対に手にいれてみせる。絶対にだ」
トリッシュとバージルの助力もあるが、圧倒的とも思えるダンテの元々の魔力を前に、バージルが思いを口にする。
「……バージル?まだ、力を求めるの?
今みたいに協力すればそれでいい話なのに」
いくらダンテの力が強く見えても、それは力を合わせているからで。バージルはまだキチンと回復できてないだけで。
バージルはダンテに劣っていないのに。
なのにバージルは力を求めると、そう言うのだ。
「確かに、誰かと協力すれば容易い。ダンテと共に戦えば悪魔に負けることはそうそうないだろう。
だが、一人きりの時はどうだ?
あのような魔帝なぞ一撃で無に還すような強大な力を手に入れておかなくては、この先いつか後悔する。
力がなくては、守りたいものは守れない。それを俺は、身をもって知った」
ギリ、と唇を噛んでいる。
そんなに強く噛んだら傷がつくのに。治るのは早くても、痛いのに。
切実なバージルの願いの前に、あたしはなにも言えなかった。
『忘れるな。
いつか必ず現世に蘇るぞ!』
バージルが思いを吐露する中、魔帝が捨て台詞を残す。
「あばよ。戻ってきたら、俺の息子によろしくな」
そうダンテが言い返したあとだ。
陣のおかげで現世にかろうじてとどまっていられた魔帝だったが、魔の世界の吸い込む力とダンテの魔力には耐えられなかった。
自らの世界に吸い込まれ、封印されるようにして、魔界の闇へと跡ひとつ残さず消える。
終わった……。場が静寂に包まれる。
ホッとすると同時、ダンテの言葉が気になった。
「ん?ちょっとダンテ?
あたしの体が子供を産めない状態なの知ってるよね。ダンテはいったい何変なこと言っているの」
顔を寄せて小さく言えば。
「大丈夫、いつかはお前の体もよくなるさ。そのいつかの先に、息子がいるかもしれないだろ。
そう吠えるなって。時間が解決するだろうしゆるーく考えとけ」
うぐう……。まるで子供に言い聞かせるみたいに、撫でられてしまった。
これじゃあたしが聞き分けのなってない子供だわ。
「……その場合、息子とは限らないけどね」
「言うようになったなあ」
カラカラと笑うダンテ越しに、胸が詰まったように何かを耐えているトリッシュの姿が見えた。
その目がダンテに、そしてあたしに向いていた。
悔しそうに唸るダンテやバージルの耳に、そしてあたしの耳にも、囁くような優しい声が届いた。
『ダンテ…諦めないで……大丈夫よ』
「ーー母さん?」
ダンテには、あれが母親であるエヴァの声に聞こえたようだ。
ダンテが小さくそうつぶやく。
部屋の中が稲光の時のような光で溢れたのは、同時の事だった。
魔帝が現れた時とは少し違う、正当で純度の高い、闇の気配。
魔剣スパーダが空間を裂いて、こちら側に何者かを遣わせる。
降り立ったのは死んだと思われていたトリッシュだった。
くるくるくると宙を何度も回転しながらその軽い体躯が水飛沫も立てずに降り立った。
着地ポイントは百点満点!
すごく元気そう!よかった!!
うんうん、そうだよね。悪魔だもの、そんな簡単に死ぬわけなかった。
ホッとして胸を撫で下ろす。
死者には誰も勝てない。死という、悲しくも美しい別れの前には、生者の想いは時に霞んでしまう。
トリッシュが生きていたことで、どこか燻ってもやもやしていたあたしの心が晴れた。
ダンテ、こんな醜い考えのあたしでほんとごめん。
「ダンテ、私の力も使って!」
トリッシュが雷を纏った魔力をダンテに向かって放つ。
雷攻撃そのものとは違う、純粋な魔力。
アラストルのものとは別で、魔剣スパーダの力すら上乗せしているであろう強力なそれを、ダンテは難なく受け止めた。
「トリッシュ!」
助かった、唇がその形に弧をえがく。
ダンテの身に、雷と炎を纏った膨大な魔力が揺らめいている。
なんと羨ましい力だ。
バージルが眩しそうにそう漏らし、自身もトリッシュがしたように腕を差し出す。
「おい愚弟、俺の力も使え。なけなしの魔力の状態のままだが、ないよりマシだろう」
魔力をダンテに向かって放つバージル。
それを与えては、またバージルは回復までに時間がかかるというのに。
ダンテの力を少なからず妬んでいたのに。
なのに、こうして力を貸してくれている。
他でもない、ダンテのため、そして魔帝を倒すという全員の願いのために。
「ああ!助かる!!」
兄からの願ってもない言葉に、その気持ちに、ダンテが嬉しそうに笑った。
ダンテが武器を、ナイトメアβから愛銃のエボニー&アイボリーに変えた。
トリッシュやバージルから得た魔力を。自分自身の魔力を、銃身にありったけ込める。銃が熱く光った。
それを危険視した魔帝は、撃たせるものかとばかりに体の全触手をダンテに纏つかせた。
ダンテの動きは止まらない。止められない。
「決め言葉は?」
トリッシュがそう問えば。
「"大当たり!"」
テメンニグルでも聞いた言葉が紡がれる。
ダンテの巨大な魔力の塊が、弾丸となって銃口から放たれ、魔帝を穿った。
その瘴気、禍々しい魔力、肉体全てを吹き飛ばされ、自らが張った陣へと叩きつけられた魔帝。
滑稽な姿だ。
「くっ……俺にもっと力があれば。
いずれ俺はアレよりも強い力を絶対に手にいれてみせる。絶対にだ」
トリッシュとバージルの助力もあるが、圧倒的とも思えるダンテの元々の魔力を前に、バージルが思いを口にする。
「……バージル?まだ、力を求めるの?
今みたいに協力すればそれでいい話なのに」
いくらダンテの力が強く見えても、それは力を合わせているからで。バージルはまだキチンと回復できてないだけで。
バージルはダンテに劣っていないのに。
なのにバージルは力を求めると、そう言うのだ。
「確かに、誰かと協力すれば容易い。ダンテと共に戦えば悪魔に負けることはそうそうないだろう。
だが、一人きりの時はどうだ?
あのような魔帝なぞ一撃で無に還すような強大な力を手に入れておかなくては、この先いつか後悔する。
力がなくては、守りたいものは守れない。それを俺は、身をもって知った」
ギリ、と唇を噛んでいる。
そんなに強く噛んだら傷がつくのに。治るのは早くても、痛いのに。
切実なバージルの願いの前に、あたしはなにも言えなかった。
『忘れるな。
いつか必ず現世に蘇るぞ!』
バージルが思いを吐露する中、魔帝が捨て台詞を残す。
「あばよ。戻ってきたら、俺の息子によろしくな」
そうダンテが言い返したあとだ。
陣のおかげで現世にかろうじてとどまっていられた魔帝だったが、魔の世界の吸い込む力とダンテの魔力には耐えられなかった。
自らの世界に吸い込まれ、封印されるようにして、魔界の闇へと跡ひとつ残さず消える。
終わった……。場が静寂に包まれる。
ホッとすると同時、ダンテの言葉が気になった。
「ん?ちょっとダンテ?
あたしの体が子供を産めない状態なの知ってるよね。ダンテはいったい何変なこと言っているの」
顔を寄せて小さく言えば。
「大丈夫、いつかはお前の体もよくなるさ。そのいつかの先に、息子がいるかもしれないだろ。
そう吠えるなって。時間が解決するだろうしゆるーく考えとけ」
うぐう……。まるで子供に言い聞かせるみたいに、撫でられてしまった。
これじゃあたしが聞き分けのなってない子供だわ。
「……その場合、息子とは限らないけどね」
「言うようになったなあ」
カラカラと笑うダンテ越しに、胸が詰まったように何かを耐えているトリッシュの姿が見えた。
その目がダンテに、そしてあたしに向いていた。
