mission 22:old enemy ~VS魔帝~ 後編
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「戻って、これたんだな……」
歪みをくぐり抜けた先に広がっていたのは、魔帝が座していたあの魔界神殿だった。
疲労で脱力してしまった自分の口から漏れたのは、気が抜けたようなそのセリフ。自分の街に帰れたわけでもないのに、少し気が早かったと感じる。
「……!トリッシュ!、さん!!」
オレよりも、誰よりもいち早くディーヴァが、横たわって動かぬトリッシュに気が付き駆け寄った。
あとから『さん』をつけているあたり、まだディーヴァはどう呼んでいいか戸惑っているようだった。
動かぬ体を揺り動かし、一生懸命に呼びかけるディーヴァ。
「なんで、なんで起きないの?ねえ、起きて。起きてよ、トリッシュ!
ダンテは貴女に謝りたいって言ってたんだよ。まだ謝れてない!
そうだよね、ダンテ!?」
「…………ああ」
呼びかけに必死で、結局『さん』が外れていた。
「あたし、貴女とまだ喧嘩してない!ずるい!ずるいよ!!逃げるなんてずるい。
嫉妬させるだけさせといて、どこかに行かないで!
トリッシュには来るべき日に、あたしからの拳一つくらい受けてもらう予定なんだよ?タール&フェザーの刑も執行してない!」
タール&フェザーの刑のところで、バージルがなんとも言えない顔をした。ディーヴァがそれを諦めてなかったことに少しだけ呆れる。
「ねえ、二人もなんとか……!」
オレも駆け寄りたい。なのに、今は体が動いてくれなかった。
隣のバージルも何も言ってこなかった。責めることも、なじることもしない。オレのせいだと知っているのにだ。
ディーヴァはあの時機が動転していたし、自分の体が消えてしまうところだったからほぼ知らないだろう。
トリッシュは魔帝の攻撃から身を挺してオレを守ったことを。
その結果、トリッシュは……。
「オレの、せいなんだ……。オレのせいでトリッシュは倒れてる」
「どうして?どうしてダンテのせいなの」
まんまるなディーヴァの瞳が、悲しみに潤んでいる。
見ていたくなくて、オレは視線を逸らした。
「……聞かなくてもわかる。きっとダンテのせいじゃない。
悪いのは魔帝……あの悪魔、なのね?」
突き詰めれば魔帝のせい。
けれどオレさえちゃんと攻撃を回避できていれば。トリッシュの拘束が解けるタイミングがズレていれば。
たらればの言葉が浮かんでは消える。
オレはオレを許さない。なのに、ディーヴァは許しの言葉をオレにくれた。
ああ、さすがディーヴァだなと思うが、今はあまり嬉しいものではなかった。
「あ!トリッシュは悪魔だよね?あたしの血とか力を分ければまた動けるようになるんじゃ……バージルにしたみたいに!
バージル、腕に傷をつけて?」
「!
だめだ、自分の体調を考えろ。また倒れる。
俺にディーヴァを傷つけることができるわけなかろう!自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「だからって……!じゃあ、自分でやる!バージル、刀を貸して!」
とうとうディーヴァが恐ろしい事を言いだした!
強硬手段に出たディーヴァが、バージルの腰に刺さった刀に手を伸ばす。
「馬鹿者!貸すわけがなかろう!!」
「ぴゃっ!」
もちろん、バージルに思いっきり怒られて止められた。手首を掴まれ、拘束されている。
まったく、危ないことするなよ。
「バージル、離せ。
それ以上強く掴めばディーヴァの手首が折れちまう」
「む。すまない」
まだバージルは力の加減がいまいち理解できていない。こればかりは、人の世で過ごした年月がオレより少ないから仕方ない。
やんわりと言って拘束を解かせ、ディーヴァの目線までしゃがむ。
「ディーヴァ。自己犠牲は褒められたものじゃないって、お前は何度言えばわかる。
つける必要のない傷は負うな。お前が傷付けば、悲しむ奴がたくさんいる事を思い出せ。
ましてや、お前を好いているオレやバージルに傷をつけるように頼むなんて……酷過ぎる」
「酷いこと頼んだ自覚はある。それについてはごめんなさい。でもこんなに傷だらけなのよ?これ以上傷を負っても今更だって思うの」
「女の子だろ。傷は増やすな」
悪魔の血を引くオレ達のように簡単に治るわけでもない。体に傷があろうとディーヴァを愛する気持ちに変わりはないが、傷なんてないに越した事はない。
「あたしの力で起きてくれるかもしれないなら、試すのが普通なのに……」
「もう……もう無駄だ。
ディーヴァの力を与える事は出来ない。トリッシュにはそれを受け取る力もないんだ」
オレ自身の言葉で、心が痛くなった。
自分で言っておいて、自分で勝手に傷つく……どうしようもないな。
ディーヴァもまた、傷ついたようで顔をくしゃりと歪めて、瞳からぼろぼろと大粒の涙を流した。
「ディーヴァ、泣くな。これ以上泣いたり怒ったり、感情を昂らせなくていい。余計な体力を使う」
「……ん。ごめんなさい」
普段のディーヴァからは想像つかないほど静かに涙し、ゆっくりと泣き終える。
小さな嗚咽が止むまで背を摩ってやっていたが、落ち着いたところでオレはその体をバージルの腕の中へと、とん、と託した。
歪みをくぐり抜けた先に広がっていたのは、魔帝が座していたあの魔界神殿だった。
疲労で脱力してしまった自分の口から漏れたのは、気が抜けたようなそのセリフ。自分の街に帰れたわけでもないのに、少し気が早かったと感じる。
「……!トリッシュ!、さん!!」
オレよりも、誰よりもいち早くディーヴァが、横たわって動かぬトリッシュに気が付き駆け寄った。
あとから『さん』をつけているあたり、まだディーヴァはどう呼んでいいか戸惑っているようだった。
動かぬ体を揺り動かし、一生懸命に呼びかけるディーヴァ。
「なんで、なんで起きないの?ねえ、起きて。起きてよ、トリッシュ!
ダンテは貴女に謝りたいって言ってたんだよ。まだ謝れてない!
そうだよね、ダンテ!?」
「…………ああ」
呼びかけに必死で、結局『さん』が外れていた。
「あたし、貴女とまだ喧嘩してない!ずるい!ずるいよ!!逃げるなんてずるい。
嫉妬させるだけさせといて、どこかに行かないで!
トリッシュには来るべき日に、あたしからの拳一つくらい受けてもらう予定なんだよ?タール&フェザーの刑も執行してない!」
タール&フェザーの刑のところで、バージルがなんとも言えない顔をした。ディーヴァがそれを諦めてなかったことに少しだけ呆れる。
「ねえ、二人もなんとか……!」
オレも駆け寄りたい。なのに、今は体が動いてくれなかった。
隣のバージルも何も言ってこなかった。責めることも、なじることもしない。オレのせいだと知っているのにだ。
ディーヴァはあの時機が動転していたし、自分の体が消えてしまうところだったからほぼ知らないだろう。
トリッシュは魔帝の攻撃から身を挺してオレを守ったことを。
その結果、トリッシュは……。
「オレの、せいなんだ……。オレのせいでトリッシュは倒れてる」
「どうして?どうしてダンテのせいなの」
まんまるなディーヴァの瞳が、悲しみに潤んでいる。
見ていたくなくて、オレは視線を逸らした。
「……聞かなくてもわかる。きっとダンテのせいじゃない。
悪いのは魔帝……あの悪魔、なのね?」
突き詰めれば魔帝のせい。
けれどオレさえちゃんと攻撃を回避できていれば。トリッシュの拘束が解けるタイミングがズレていれば。
たらればの言葉が浮かんでは消える。
オレはオレを許さない。なのに、ディーヴァは許しの言葉をオレにくれた。
ああ、さすがディーヴァだなと思うが、今はあまり嬉しいものではなかった。
「あ!トリッシュは悪魔だよね?あたしの血とか力を分ければまた動けるようになるんじゃ……バージルにしたみたいに!
バージル、腕に傷をつけて?」
「!
だめだ、自分の体調を考えろ。また倒れる。
俺にディーヴァを傷つけることができるわけなかろう!自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「だからって……!じゃあ、自分でやる!バージル、刀を貸して!」
とうとうディーヴァが恐ろしい事を言いだした!
強硬手段に出たディーヴァが、バージルの腰に刺さった刀に手を伸ばす。
「馬鹿者!貸すわけがなかろう!!」
「ぴゃっ!」
もちろん、バージルに思いっきり怒られて止められた。手首を掴まれ、拘束されている。
まったく、危ないことするなよ。
「バージル、離せ。
それ以上強く掴めばディーヴァの手首が折れちまう」
「む。すまない」
まだバージルは力の加減がいまいち理解できていない。こればかりは、人の世で過ごした年月がオレより少ないから仕方ない。
やんわりと言って拘束を解かせ、ディーヴァの目線までしゃがむ。
「ディーヴァ。自己犠牲は褒められたものじゃないって、お前は何度言えばわかる。
つける必要のない傷は負うな。お前が傷付けば、悲しむ奴がたくさんいる事を思い出せ。
ましてや、お前を好いているオレやバージルに傷をつけるように頼むなんて……酷過ぎる」
「酷いこと頼んだ自覚はある。それについてはごめんなさい。でもこんなに傷だらけなのよ?これ以上傷を負っても今更だって思うの」
「女の子だろ。傷は増やすな」
悪魔の血を引くオレ達のように簡単に治るわけでもない。体に傷があろうとディーヴァを愛する気持ちに変わりはないが、傷なんてないに越した事はない。
「あたしの力で起きてくれるかもしれないなら、試すのが普通なのに……」
「もう……もう無駄だ。
ディーヴァの力を与える事は出来ない。トリッシュにはそれを受け取る力もないんだ」
オレ自身の言葉で、心が痛くなった。
自分で言っておいて、自分で勝手に傷つく……どうしようもないな。
ディーヴァもまた、傷ついたようで顔をくしゃりと歪めて、瞳からぼろぼろと大粒の涙を流した。
「ディーヴァ、泣くな。これ以上泣いたり怒ったり、感情を昂らせなくていい。余計な体力を使う」
「……ん。ごめんなさい」
普段のディーヴァからは想像つかないほど静かに涙し、ゆっくりと泣き終える。
小さな嗚咽が止むまで背を摩ってやっていたが、落ち着いたところでオレはその体をバージルの腕の中へと、とん、と託した。
