mission 22:old enemy ~VS魔帝~ 後編
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でも。
「貴女も『あたし』ならきっとわかるはずなんだけどね……。
ーー考えるな。感じろ」
「え?」
「ダンテならそう言うと思わない?
ここのダンテがどうなのかはわからないけど、少なくとも現実のダンテはそう言うと思う」
少し低くした声でそう伝えると、勢いよく顔を上げてこっちを見てきた。
ダンテの声音を真似して低い声出してみたけど、あんまり上手くいかなかった気がする。
「さっきはあっちが現実でこっちが夢とかわけわからなくなるようなこと言っちゃってごめんね。数学も悪魔の行動についてとかもそうだけど、よくわからない物についてなんていちいち考えるだけ無駄なんだよ。
深く考えちゃだめ」
「うん、数学については考えるだけ無駄だと思う……。数学は滅ぶべきだと思う。将来役に立つわけじゃないし」
「だよね!
でも、すべてを忘れようとするのはもっとだめ。逃げに走らないで。眠りに逃げないで」
全力で数学を罵る彼女に力一杯頷きながら、それ以上にだめなことを指摘する。
「眠るなら、今じゃなくてもいいでしょ。
あとでいっぱい眠ればいい。
貴女も『あたし』なら、眠るよりも好きなことあるよね?」
「眠るより好きなこと……」
三大欲求。
睡眠欲。性欲……は要らないや。頭の中のダンテが全力で文句言ってるけど放置放置。もうひとつが。
「EAT。食べることは『あたし』に共通する好きなことでしょ。
起きないと大好きなもの食べれないよ。リンゴ食べれないよ。
……チーズ、食べれないよ?」
チーズの言葉にぴたりと止まる目の前の『あたし』。
「チーズ……チーズ食べれないのやだ……」
「でしょ?」
「…………よ〜くわかった。あなたもあたしなんだね。かなり食い意地が張ってる」
「うん、『あたし』だからね。否定しない」
恐怖よりもなによりも優先されたチーズへの想い。もしかしたらダンテへの想いよりもある意味強い、なんてことも。
へらりと笑って、それから真面目な顔で目の前の『あたし』に語りかける。
「起きるのをダンテが待ってるよ。ダンテだけじゃない、他の人も貴女の帰りを待ってるの。
ダンテを、みんなを悲しませないで。
現実から……ダンテから逃げないで。
頼むから、この手を取って」
手を取ってと言いながらも、手を差し出すより早く彼女の手の甲へと手のひらを重ねて立ち上がり窓へと誘導する。
「起きよう!朝にしよう!
この夢の世界を太陽が燦々!とのぼるいい天気に変えて、それからさよならしないとね」
その一言一言で、窓の外に広がる暗闇が強風に吹き飛ばされるようにはれていく。
雨上がりの空のように雲間から光が差し込み、街を明るく照らす。
わあ、天使の階段が綺麗に出てる。さっすがあたし!
ディーヴァの服も、怪我も元通りだった。
「これ、あなたが……?すごい……。
けど、あたしには無理だよ。どうやって変えていいか。どうやって起きればいいかわからない」
「あたしも天使の力なんて、ほとんど自分で発動できなかったよ。
でもここは貴女の夢の世界なんでしょ?悪夢に変わってしまったのは魔帝のイレギュラーか何かだと思うけど、基本的には貴女の望みで作られた世界。
なら、天使の力だって使おうと思えば使える。神にも、魔法使いにもなれる。夢ってそうじゃない?
あたしも貴女が望むなら、天使パワーをもっともっと発揮できると思う」
「だったら!
……だったら、ここが夢だとしてもあたしは家族を救いたいし、ダンテも人間に戻したい。幸せに生きててほしい」
語尾を強めた彼女が、眉根を寄せて言う。
苦しくて、悲しくて。そんな気持ちが伝わってきた。
「死んだ人を生き返らせたいってことね。
夢だしいいんじゃない?あたしも夢ではよく家族を生き返らせてる」
最近はそう簡単に家族の夢を見れなくなったけれど。
「わかる気がする。
普通は好きな夢なんて選んで見れないからね。好きな夢見れるなら、人は悪夢なんて見ないもんねー」
「ねー」
「「……自分自身と会話するって変な感じ」」
同じ言葉が重なり、音が調和する。
おかしくてくすくすと笑いあうが、これもまた重なってしまいさらに笑いがこみ上げてしまった。
「……、…………もう大丈夫だよね」
「うん」
「行って来なよ。あとで迎えに行くからさ」
「ありがとう、でも大丈夫。少しだけ会話してお別れしたらすぐに行くよ。
現実のダンテが待ってるもんね」
結界の向こうにはもう、禍々しい気配はない。色もついている。
結界と鍵を解き、部屋の出入り口の扉を開け放つ。
あたしが背中を押してこの世界のディーヴァを部屋から出した先には、死んでいたという家族、そして悪魔でもない人の形をした元気なダンテの姿があった。
「どした?」とダンテに迎え入れられてるこの世界のあたしを見て、やっとほっと一息つけた心持ちだ。
最後の抱擁を交わし合う姿を目に焼き付ける。
家族との幸せなその生活をどんなに望んだことだろう。もう戻らない日々。
あたしもつらい。あたしと同じ存在の『あたし』にもそのサヨナラはきっとつらい。
「もう出かける時間だ。行ってきます。
……だいすきだよ」
涙声でそう言った『あたし』が、家族とダンテに笑顔を向ける。
もうすでに涙でぐちゃぐちゃじゃない。
「またね」
昔、あたしがダンテと共に行ってしまった日と同じ言葉だ。
『ディーヴァ』が家族たちに背を向け、あたしの手を取って歩き出す。
その瞬間、ダンテからもらったネックレスがぷちりと切れて落ちた。
パールとガーネットの装飾が落ちる音がした瞬間、あたし達はこの世界から姿を消した。
「貴女も『あたし』ならきっとわかるはずなんだけどね……。
ーー考えるな。感じろ」
「え?」
「ダンテならそう言うと思わない?
ここのダンテがどうなのかはわからないけど、少なくとも現実のダンテはそう言うと思う」
少し低くした声でそう伝えると、勢いよく顔を上げてこっちを見てきた。
ダンテの声音を真似して低い声出してみたけど、あんまり上手くいかなかった気がする。
「さっきはあっちが現実でこっちが夢とかわけわからなくなるようなこと言っちゃってごめんね。数学も悪魔の行動についてとかもそうだけど、よくわからない物についてなんていちいち考えるだけ無駄なんだよ。
深く考えちゃだめ」
「うん、数学については考えるだけ無駄だと思う……。数学は滅ぶべきだと思う。将来役に立つわけじゃないし」
「だよね!
でも、すべてを忘れようとするのはもっとだめ。逃げに走らないで。眠りに逃げないで」
全力で数学を罵る彼女に力一杯頷きながら、それ以上にだめなことを指摘する。
「眠るなら、今じゃなくてもいいでしょ。
あとでいっぱい眠ればいい。
貴女も『あたし』なら、眠るよりも好きなことあるよね?」
「眠るより好きなこと……」
三大欲求。
睡眠欲。性欲……は要らないや。頭の中のダンテが全力で文句言ってるけど放置放置。もうひとつが。
「EAT。食べることは『あたし』に共通する好きなことでしょ。
起きないと大好きなもの食べれないよ。リンゴ食べれないよ。
……チーズ、食べれないよ?」
チーズの言葉にぴたりと止まる目の前の『あたし』。
「チーズ……チーズ食べれないのやだ……」
「でしょ?」
「…………よ〜くわかった。あなたもあたしなんだね。かなり食い意地が張ってる」
「うん、『あたし』だからね。否定しない」
恐怖よりもなによりも優先されたチーズへの想い。もしかしたらダンテへの想いよりもある意味強い、なんてことも。
へらりと笑って、それから真面目な顔で目の前の『あたし』に語りかける。
「起きるのをダンテが待ってるよ。ダンテだけじゃない、他の人も貴女の帰りを待ってるの。
ダンテを、みんなを悲しませないで。
現実から……ダンテから逃げないで。
頼むから、この手を取って」
手を取ってと言いながらも、手を差し出すより早く彼女の手の甲へと手のひらを重ねて立ち上がり窓へと誘導する。
「起きよう!朝にしよう!
この夢の世界を太陽が燦々!とのぼるいい天気に変えて、それからさよならしないとね」
その一言一言で、窓の外に広がる暗闇が強風に吹き飛ばされるようにはれていく。
雨上がりの空のように雲間から光が差し込み、街を明るく照らす。
わあ、天使の階段が綺麗に出てる。さっすがあたし!
ディーヴァの服も、怪我も元通りだった。
「これ、あなたが……?すごい……。
けど、あたしには無理だよ。どうやって変えていいか。どうやって起きればいいかわからない」
「あたしも天使の力なんて、ほとんど自分で発動できなかったよ。
でもここは貴女の夢の世界なんでしょ?悪夢に変わってしまったのは魔帝のイレギュラーか何かだと思うけど、基本的には貴女の望みで作られた世界。
なら、天使の力だって使おうと思えば使える。神にも、魔法使いにもなれる。夢ってそうじゃない?
あたしも貴女が望むなら、天使パワーをもっともっと発揮できると思う」
「だったら!
……だったら、ここが夢だとしてもあたしは家族を救いたいし、ダンテも人間に戻したい。幸せに生きててほしい」
語尾を強めた彼女が、眉根を寄せて言う。
苦しくて、悲しくて。そんな気持ちが伝わってきた。
「死んだ人を生き返らせたいってことね。
夢だしいいんじゃない?あたしも夢ではよく家族を生き返らせてる」
最近はそう簡単に家族の夢を見れなくなったけれど。
「わかる気がする。
普通は好きな夢なんて選んで見れないからね。好きな夢見れるなら、人は悪夢なんて見ないもんねー」
「ねー」
「「……自分自身と会話するって変な感じ」」
同じ言葉が重なり、音が調和する。
おかしくてくすくすと笑いあうが、これもまた重なってしまいさらに笑いがこみ上げてしまった。
「……、…………もう大丈夫だよね」
「うん」
「行って来なよ。あとで迎えに行くからさ」
「ありがとう、でも大丈夫。少しだけ会話してお別れしたらすぐに行くよ。
現実のダンテが待ってるもんね」
結界の向こうにはもう、禍々しい気配はない。色もついている。
結界と鍵を解き、部屋の出入り口の扉を開け放つ。
あたしが背中を押してこの世界のディーヴァを部屋から出した先には、死んでいたという家族、そして悪魔でもない人の形をした元気なダンテの姿があった。
「どした?」とダンテに迎え入れられてるこの世界のあたしを見て、やっとほっと一息つけた心持ちだ。
最後の抱擁を交わし合う姿を目に焼き付ける。
家族との幸せなその生活をどんなに望んだことだろう。もう戻らない日々。
あたしもつらい。あたしと同じ存在の『あたし』にもそのサヨナラはきっとつらい。
「もう出かける時間だ。行ってきます。
……だいすきだよ」
涙声でそう言った『あたし』が、家族とダンテに笑顔を向ける。
もうすでに涙でぐちゃぐちゃじゃない。
「またね」
昔、あたしがダンテと共に行ってしまった日と同じ言葉だ。
『ディーヴァ』が家族たちに背を向け、あたしの手を取って歩き出す。
その瞬間、ダンテからもらったネックレスがぷちりと切れて落ちた。
パールとガーネットの装飾が落ちる音がした瞬間、あたし達はこの世界から姿を消した。
