mission 22:old enemy ~VS魔帝~ 後編
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シャラリ……。
胸元で揺れるネックレスの微かな音で目が覚めた。
そこに広がる世界は小さく、女の子の私室といったところか。
ここが『ディーヴァ』の夢の中という事は、十中八九自分の部屋だろう。あたし自身の実家の部屋にもよく似てるし、内装があたしの好みドンピシャだもん。
正直に言うとこれだけだったら状況はよくわからなかった。
すぐそばにいる自分自身と、自分自身から伝わってくるテレパシーのような心の声のようなものでやっと理解できた。
……本人は目の前でシーツの塊おばけになって震えてるけどね。こりゃ、背後のあたしにも気がついてないかも。
いやだ。忘れたい。起きたくない。逃げたい。
そんな感情ばかりが流れ込んできて、あたしも引っ張られそう。
ネックレスをぎゅっと掴み引っ張られないよう気持ちを落ち着かせる。
大体、どういう状況なのこれ。
今までの記憶は見てきたかのようにわかる。その記憶を読むに、悪魔のいない平和な世界でのいい夢見てたんじゃないの?
なんで悪魔が出てくる夢になった?なんでダンテが人に危害を加えるような悪魔になるの?
いきなり悪夢へと転がる幸せな夢とか、詐欺に引っかかった気分。腹立たしい。
ただ、ナイトメアの中で見たものよりマシかもしれないとは思ってしまった。目の前の自分には申し訳ないけどアレよりここの方がマシな気すらする。
マシとはいえ、真っ暗闇も外の雷も、悪魔と化したダンテも怖いよ?だってぜーんぶあたしの大嫌いなものばかりだもの。
でも目の前に自分自身が怖がってる姿があると、妙にこっちは冷静になれると言うか。
同じ自分なのに、ほんっと変な感じ!
それと目の前の扉の向こうにはこの世界でのダンテがいるらしい。悪魔と化した、恐ろしいダンテが。
シーツおばけのディーヴァは恐怖で何もできないどころか、天使の結界も張れないはず。
あたしがやらなきゃ、悪魔と化したダンテが入ってきて食べられちゃう……。
暗い部屋では扉もわかりづらい。ダンテが破壊しようと扉を叩きつける音を頼りに、あたしは結界を張れますようにと全力で願う。
それによってダンテが入ってこれなくなるようにも。
聖なる力に満ちた手のひらがほんわりと暖かくなり、乳白色の光が一瞬膜のように扉を、部屋全体を覆った。
「わー。結界が自分の意思で張れたぁ……。
あたしすごい。さすが天使の血族。偉いからおうち帰ったら自分にご褒美スイーツ10連発しよ」
褒めてくれる相手は今ここにいないので、自分で自分を労う。って、10連発は多い?
まあ、信じてたけどね。誰かがあたしの手を握って力を貸してくれてる感じするし。ああ、あったかい。
「だ、だれ……!?」
あたしの声で気がついたこの世界のディーヴァが怯えながら声をかけてくる。暗闇の中でわからないからだろう、可哀想になるほどひどく声色は震えていた。
「……えーと。
は、はろー?迎えにきたよ……?」
シーツからそっと顔を出したところを見計らって、あたしは顔を覗き込んで挨拶した。
その瞬間に外で雷が光り、あたしの顔を最悪の形で相手に知らせてしまった。
「ぴぎゃーっ!」
叫びたいのはこっちだよ!
落雷音で飛び上がりそうな中、ホラー漫画でお馴染みの顔をしてシーツの塊から叫ばれてるんだから!
血みどろだし!!
「ド、ドドドドドッペルゲンガー!!
あわわわわ……」
でも、一番はこれ。
自分の顔と同じ顔が目の前にあるから叫んだみたい。わかるよ。ドッペルゲンガーって見たら死んじゃうらしいもんね。
だからといって泡吹いて倒れないでね。あわわわ、だけに。
「お、お、……おばけはイヤー!!」
「ッ!うわあぶな!?」
ブォン!!
空を切って振り回されたのは重たい木刀。
この細腕のどこに木刀そんな力が!と思うなかれ。『あたし』にも火事場の馬鹿力があるのよね。
慌てて後ろに上体を逸らす……というかそのまま倒れてかわす。グギッ。腰が痛い。
目の前の『自分』の行動パターンが分かっててよかった。あと自分の逃げ足の早さにも感謝だ。
「た、たしかにあの夢……というか現実?の中ではダンテのそばにドッペルゲンガーがいた事もあったけど!でもあたしのドッペルゲンガー!?いやだ、いやすぎる……おばけこわい……」
「違うよ?ドッペルゲンガーじゃないよ?おばけでもないよ」
「じゃ、じゃあ何……?」
木刀を握りしめすぎて真っ白になった手をとり、優しくその手の甲に手のひらを重ねる。
あー、顔を見るのは鏡を覗くのと変わらないからまだしも、自分の手を自分で握るって不思議。
「ダンテにはドッペルゲンガーがいたけど、今ここにいるあたしは違う。貴女自身だよ。
……ねえ、貴女が見た白昼夢のようなもの……あれが現実だってもうわかってるんでしょ?」
慈しむようにその頭を撫でる。うーん、自分の頭はまんまるだ!
こわばっていた『ディーヴァ』の表情が少し柔らかいものに変わった。
あたしは、撫でられるのが好きだ。目の前のあたしもそう。
「起きて。
ここにいるディーヴァ……『貴女』にとっては、ホントの現実って悪夢みたいなものかもしれない。悪魔がいて、それに狙われる世界だもんね。
でも、あの世界で待っているのが恐怖や絶望だけじゃない事を思い出して」
もう一度手を取って指を一本一本開かせ、彼女が強く握っていた木刀を床に置かせる。
「ここは夢。今は悪夢に満ちてるけど、貴女が望んだ幸せな夢。
悪夢も幸せな夢も、夢は夢でしかない。
貴女は死んでない。まだ生きてる」
「わからない……。わからないよ。
あたし自身ってどういう事?幽霊じゃないって証明できる?」
証明かあ……自分でもよくわかってないのに困ったな。
説明の難しいことを答えの意味が理解できなくても聞いてしまうのは、好奇心旺盛な『あたし』に共通する悪い癖だ。好奇心は猫をも殺すっていうのにね。
「あたしは……うーん。……魂の一部が形を取ったみたいなものって言えばいいのかなぁ。
それに自分自身の幽霊とかおかしいでしょ。今ここに自分が生きてるのに、自分の幽霊がいるってどーいう事?って思わない?」
「……そういう夢なんじゃないの?
夢って理不尽じゃん。全く意味がわからないものもあるじゃん」
「あー、確かにね。わかる気がする。でもあたしは貴女の一部だよ!
貴女さえ戻れるなら、あたしは貴女の中に還れる……」
「戻れる?還れる?
わけわかんない。余計に頭こんがらがる……。
考えたくない、忘れたい。いやだ、怖い」
木刀を再び向けてくることはなかったが、不安感からか木刀を胸元でお守りよろしく抱えている。
安心、できないよね。同じ自分だからその気持ちはよーく理解できる。
わからないものは、怖い。
胸元で揺れるネックレスの微かな音で目が覚めた。
そこに広がる世界は小さく、女の子の私室といったところか。
ここが『ディーヴァ』の夢の中という事は、十中八九自分の部屋だろう。あたし自身の実家の部屋にもよく似てるし、内装があたしの好みドンピシャだもん。
正直に言うとこれだけだったら状況はよくわからなかった。
すぐそばにいる自分自身と、自分自身から伝わってくるテレパシーのような心の声のようなものでやっと理解できた。
……本人は目の前でシーツの塊おばけになって震えてるけどね。こりゃ、背後のあたしにも気がついてないかも。
いやだ。忘れたい。起きたくない。逃げたい。
そんな感情ばかりが流れ込んできて、あたしも引っ張られそう。
ネックレスをぎゅっと掴み引っ張られないよう気持ちを落ち着かせる。
大体、どういう状況なのこれ。
今までの記憶は見てきたかのようにわかる。その記憶を読むに、悪魔のいない平和な世界でのいい夢見てたんじゃないの?
なんで悪魔が出てくる夢になった?なんでダンテが人に危害を加えるような悪魔になるの?
いきなり悪夢へと転がる幸せな夢とか、詐欺に引っかかった気分。腹立たしい。
ただ、ナイトメアの中で見たものよりマシかもしれないとは思ってしまった。目の前の自分には申し訳ないけどアレよりここの方がマシな気すらする。
マシとはいえ、真っ暗闇も外の雷も、悪魔と化したダンテも怖いよ?だってぜーんぶあたしの大嫌いなものばかりだもの。
でも目の前に自分自身が怖がってる姿があると、妙にこっちは冷静になれると言うか。
同じ自分なのに、ほんっと変な感じ!
それと目の前の扉の向こうにはこの世界でのダンテがいるらしい。悪魔と化した、恐ろしいダンテが。
シーツおばけのディーヴァは恐怖で何もできないどころか、天使の結界も張れないはず。
あたしがやらなきゃ、悪魔と化したダンテが入ってきて食べられちゃう……。
暗い部屋では扉もわかりづらい。ダンテが破壊しようと扉を叩きつける音を頼りに、あたしは結界を張れますようにと全力で願う。
それによってダンテが入ってこれなくなるようにも。
聖なる力に満ちた手のひらがほんわりと暖かくなり、乳白色の光が一瞬膜のように扉を、部屋全体を覆った。
「わー。結界が自分の意思で張れたぁ……。
あたしすごい。さすが天使の血族。偉いからおうち帰ったら自分にご褒美スイーツ10連発しよ」
褒めてくれる相手は今ここにいないので、自分で自分を労う。って、10連発は多い?
まあ、信じてたけどね。誰かがあたしの手を握って力を貸してくれてる感じするし。ああ、あったかい。
「だ、だれ……!?」
あたしの声で気がついたこの世界のディーヴァが怯えながら声をかけてくる。暗闇の中でわからないからだろう、可哀想になるほどひどく声色は震えていた。
「……えーと。
は、はろー?迎えにきたよ……?」
シーツからそっと顔を出したところを見計らって、あたしは顔を覗き込んで挨拶した。
その瞬間に外で雷が光り、あたしの顔を最悪の形で相手に知らせてしまった。
「ぴぎゃーっ!」
叫びたいのはこっちだよ!
落雷音で飛び上がりそうな中、ホラー漫画でお馴染みの顔をしてシーツの塊から叫ばれてるんだから!
血みどろだし!!
「ド、ドドドドドッペルゲンガー!!
あわわわわ……」
でも、一番はこれ。
自分の顔と同じ顔が目の前にあるから叫んだみたい。わかるよ。ドッペルゲンガーって見たら死んじゃうらしいもんね。
だからといって泡吹いて倒れないでね。あわわわ、だけに。
「お、お、……おばけはイヤー!!」
「ッ!うわあぶな!?」
ブォン!!
空を切って振り回されたのは重たい木刀。
この細腕のどこに木刀そんな力が!と思うなかれ。『あたし』にも火事場の馬鹿力があるのよね。
慌てて後ろに上体を逸らす……というかそのまま倒れてかわす。グギッ。腰が痛い。
目の前の『自分』の行動パターンが分かっててよかった。あと自分の逃げ足の早さにも感謝だ。
「た、たしかにあの夢……というか現実?の中ではダンテのそばにドッペルゲンガーがいた事もあったけど!でもあたしのドッペルゲンガー!?いやだ、いやすぎる……おばけこわい……」
「違うよ?ドッペルゲンガーじゃないよ?おばけでもないよ」
「じゃ、じゃあ何……?」
木刀を握りしめすぎて真っ白になった手をとり、優しくその手の甲に手のひらを重ねる。
あー、顔を見るのは鏡を覗くのと変わらないからまだしも、自分の手を自分で握るって不思議。
「ダンテにはドッペルゲンガーがいたけど、今ここにいるあたしは違う。貴女自身だよ。
……ねえ、貴女が見た白昼夢のようなもの……あれが現実だってもうわかってるんでしょ?」
慈しむようにその頭を撫でる。うーん、自分の頭はまんまるだ!
こわばっていた『ディーヴァ』の表情が少し柔らかいものに変わった。
あたしは、撫でられるのが好きだ。目の前のあたしもそう。
「起きて。
ここにいるディーヴァ……『貴女』にとっては、ホントの現実って悪夢みたいなものかもしれない。悪魔がいて、それに狙われる世界だもんね。
でも、あの世界で待っているのが恐怖や絶望だけじゃない事を思い出して」
もう一度手を取って指を一本一本開かせ、彼女が強く握っていた木刀を床に置かせる。
「ここは夢。今は悪夢に満ちてるけど、貴女が望んだ幸せな夢。
悪夢も幸せな夢も、夢は夢でしかない。
貴女は死んでない。まだ生きてる」
「わからない……。わからないよ。
あたし自身ってどういう事?幽霊じゃないって証明できる?」
証明かあ……自分でもよくわかってないのに困ったな。
説明の難しいことを答えの意味が理解できなくても聞いてしまうのは、好奇心旺盛な『あたし』に共通する悪い癖だ。好奇心は猫をも殺すっていうのにね。
「あたしは……うーん。……魂の一部が形を取ったみたいなものって言えばいいのかなぁ。
それに自分自身の幽霊とかおかしいでしょ。今ここに自分が生きてるのに、自分の幽霊がいるってどーいう事?って思わない?」
「……そういう夢なんじゃないの?
夢って理不尽じゃん。全く意味がわからないものもあるじゃん」
「あー、確かにね。わかる気がする。でもあたしは貴女の一部だよ!
貴女さえ戻れるなら、あたしは貴女の中に還れる……」
「戻れる?還れる?
わけわかんない。余計に頭こんがらがる……。
考えたくない、忘れたい。いやだ、怖い」
木刀を再び向けてくることはなかったが、不安感からか木刀を胸元でお守りよろしく抱えている。
安心、できないよね。同じ自分だからその気持ちはよーく理解できる。
わからないものは、怖い。
