mission 22:old enemy ~VS魔帝~ 前編
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両手で円を描き魔法陣のようなものを宙に描く魔帝。その中心から放たれる白く太い光線。
出力最大級のそれは、オレたちを真っ二つにしようと上から下へと届いてきた。
オレはバージルともども、横へ飛んでそれを避けた。
「魔帝ビィーーーム!ってか?出力デカすぎて逆に動きが遅いぜ?」
「だが危険な技だ」
「当たったらな」
その威力を見てバージルが警戒の態度を示す。
ちょっと待て、バージルが警戒?
心配になったのは、バージルが連れているディーヴァ。
「……まさかとは思うが、今の攻撃当たってねぇだろうな」
「無論だ。かすりもしていない」
オレがディーヴァを見るよりも早く、バージルがそう答えた。
「よかった……アレこそディーヴァに当たったらたまったもんじゃない。
攻撃はオレに任せてバージルはもっと後ろに下がっていてくれ」
「…………なんだと?
貴様じゃあるまいし、この俺が女一人守りながら戦えないとでも?」
ディーヴァが心配だからこその言葉だったが、バージルは自分の力量について言われたのだと思ったらしい。ムッとされた。
オレたち兄弟は、たった一言ですぐ喧嘩に発展する。
今回もそうなりそうだった。
「オレだってディーヴァひとり守りながら戦うくらい余裕だっつの!
……ただ、万が一ということもある。
アンタは守りに徹していてくれ。オレはもう二度とディーヴァを失いたくない。
わかってくれるよな?」
が、今はさすがに喧嘩している場合ではない。魔帝との戦いの最中だからかって?
いいや違うね。
ディーヴァのためだ。
それにディーヴァだって、この状況で喧嘩してたら、協力しろと檄を飛ばしてくるだろう。
「随分と慎重になったものだな」
「愛は人間を変えるんだよ。もちろん、悪魔の事も」
「愛などくだらん……が、一理ある」
オレとバージル。どちらも魔人化状態だが、口元に笑みを浮かべあったのが、お互いなんとなくわかった。
魔帝から放たれた攻撃を、縦横無尽に飛び回りながらかわし、会話する。
きっと小煩いハエだと思っているんだろうが、ハエ側であるオレたちからしても撃ってきた攻撃は小煩く感じる。
早いとこ大元を撃ち落とさないとな。
「ストレス発散に魔帝の結界を作る球を破壊しようと思ったが、貴様に任せる」
「ははっ!気持ちだけ受け取っておくぜ」
魔帝の野郎もバージルのストレス発散のために破壊されちゃ、たまったもんじゃないだろう。
そうされて仕方ない事をしでかしてるし、口は出さないが。
「破壊後の狙いは外すなよ、奴の核を素早く討て」
「ああ」
真っ直ぐ、破壊対象を指さすバージル。
バージルはオレみたいに、下手な鉄砲数うちゃ当たる精神じゃないからな。
オレだって狙いは外さない方だが、バージルはそのオレの上を行く。
こういうところは尊敬してるぜ。
「では、俺は眠れる空の天使ディーヴァとともに、貴様の奮闘を優雅に眺めるとしよう」
「優雅に、か。茶も出せず悪いな」
「全くだ」
宇宙空間のような場所じゃあ、優雅もクソもない。
しかし眠れる空の天使とは、まったく……上手いことを言うものだ。
魔帝よりも遥か高く、上空へ舞い上がったバージルがオレを、そして魔帝を見下ろす。
うーむ、見下ろされるのはあまりいい気分じゃないな。テメンニグルでの一件を思い出しちまう。
「はっ……!!」
腹いせに魔帝から飛んできた岩をオレはひとつ粉々に破壊した。
続けざまに放たれた岩石を足場がわりに、前へ前へ……魔帝の元へと近づいていく。
オレが変に足蹴にしたからか、上空にいるバージルの元へ岩石が猛スピードで飛んでいった。
「おいこら岩を飛ばすな、岩を!貴様ワザとか!」
「ディーヴァがいるのにワザとやるわけあるか!たまには弟の尻拭いしといてくれよオニイチャン」
「……まったく、仕方のないやつめ」
片手から光弾を連続で発射し、飛んでいった岩を破壊するバージル。
うわ。巨大な岩が、ドーナツのように丸くくり抜かれてバージルを通して行ったよ。すげー破壊力だな……。
だが、バージルの力量に圧倒されるなかれ。
力を見せつけるように、オレは負けず劣らず魔帝の周りに浮かぶ黒い球を次々に破壊していった。
オレの手によって全て撃ち落とされ、魔帝を守る結界が再び消え去る。
狙いは外すな。素早く核を討て。
バージルの言葉が頭にリフレインする。
オレは魔帝の核が収められている胸へと、攻撃力を高めた光弾を撃ち込んだ。
「これで…………おわりだ……っ!」
体から溢れ出る魔力を使い、オレはまた炎龍を召喚する。
オレを掴もうとしてきた魔帝に向かって、全てを焼き尽くす獄炎と強烈な魔力のエネルギーを体ごとぶつける。
今度こそ確かな手応えがあった。
「やったか……?」
大きく仰け反り、体勢を崩す魔帝を前にオレは小さくガッツポーズを入れる。
が、仰け反ったままの魔帝から、鋭利な光の刃が飛んできた。その全てがオレの中心を捉える。
「ぐっ……がぁ!!」
強力な魔力に貫かれ一瞬にして意識が朦朧とする中、振りかざされる魔帝の巨大な手のひら。
まるでハエや蚊でも潰すように叩きつけられ、オレは地表へと落ちていく。
奴にもダメージは入っていたようで、魔帝もまた、オレと同じように地表に向かってその体を降下させていた。
さらに追撃とばかりに繰り出される大量の火球・メテオスウォーム。
雨のように降り注ぐそれらをかわしきることは出来ず、落ちゆくオレの体に次々にクリティカルヒットする。
「う、ぐ、あああああっ!!」
天から地へ。魔帝が創造したであろう、溶岩で満たされた地表へとオレは叩きつけられた。
気がつけば、オレの魔人化は解かれていた。
メテオが降り注ぐ中、体に走る痛みと場を満たす灼熱の熱さに呻きながらもゆっくりと立ち上がる。
「馬鹿者が。油断するからだ」
「ははは、仕留めたかと思っちまったもんでね」
落ちた先まで追ってきていたバージルが、オレの失態に呆れながら隣にゆっくりと降り立つ。
その身体は、オレとは違い魔人化したままだ。
「あんなでも魔帝だ。あの程度なわけがあるか」
「デスヨネー」
次いで目の前に魔帝が悠然と降り立った。
オレ達の息の根を確実に止める、そのために。
出力最大級のそれは、オレたちを真っ二つにしようと上から下へと届いてきた。
オレはバージルともども、横へ飛んでそれを避けた。
「魔帝ビィーーーム!ってか?出力デカすぎて逆に動きが遅いぜ?」
「だが危険な技だ」
「当たったらな」
その威力を見てバージルが警戒の態度を示す。
ちょっと待て、バージルが警戒?
心配になったのは、バージルが連れているディーヴァ。
「……まさかとは思うが、今の攻撃当たってねぇだろうな」
「無論だ。かすりもしていない」
オレがディーヴァを見るよりも早く、バージルがそう答えた。
「よかった……アレこそディーヴァに当たったらたまったもんじゃない。
攻撃はオレに任せてバージルはもっと後ろに下がっていてくれ」
「…………なんだと?
貴様じゃあるまいし、この俺が女一人守りながら戦えないとでも?」
ディーヴァが心配だからこその言葉だったが、バージルは自分の力量について言われたのだと思ったらしい。ムッとされた。
オレたち兄弟は、たった一言ですぐ喧嘩に発展する。
今回もそうなりそうだった。
「オレだってディーヴァひとり守りながら戦うくらい余裕だっつの!
……ただ、万が一ということもある。
アンタは守りに徹していてくれ。オレはもう二度とディーヴァを失いたくない。
わかってくれるよな?」
が、今はさすがに喧嘩している場合ではない。魔帝との戦いの最中だからかって?
いいや違うね。
ディーヴァのためだ。
それにディーヴァだって、この状況で喧嘩してたら、協力しろと檄を飛ばしてくるだろう。
「随分と慎重になったものだな」
「愛は人間を変えるんだよ。もちろん、悪魔の事も」
「愛などくだらん……が、一理ある」
オレとバージル。どちらも魔人化状態だが、口元に笑みを浮かべあったのが、お互いなんとなくわかった。
魔帝から放たれた攻撃を、縦横無尽に飛び回りながらかわし、会話する。
きっと小煩いハエだと思っているんだろうが、ハエ側であるオレたちからしても撃ってきた攻撃は小煩く感じる。
早いとこ大元を撃ち落とさないとな。
「ストレス発散に魔帝の結界を作る球を破壊しようと思ったが、貴様に任せる」
「ははっ!気持ちだけ受け取っておくぜ」
魔帝の野郎もバージルのストレス発散のために破壊されちゃ、たまったもんじゃないだろう。
そうされて仕方ない事をしでかしてるし、口は出さないが。
「破壊後の狙いは外すなよ、奴の核を素早く討て」
「ああ」
真っ直ぐ、破壊対象を指さすバージル。
バージルはオレみたいに、下手な鉄砲数うちゃ当たる精神じゃないからな。
オレだって狙いは外さない方だが、バージルはそのオレの上を行く。
こういうところは尊敬してるぜ。
「では、俺は眠れる空の天使ディーヴァとともに、貴様の奮闘を優雅に眺めるとしよう」
「優雅に、か。茶も出せず悪いな」
「全くだ」
宇宙空間のような場所じゃあ、優雅もクソもない。
しかし眠れる空の天使とは、まったく……上手いことを言うものだ。
魔帝よりも遥か高く、上空へ舞い上がったバージルがオレを、そして魔帝を見下ろす。
うーむ、見下ろされるのはあまりいい気分じゃないな。テメンニグルでの一件を思い出しちまう。
「はっ……!!」
腹いせに魔帝から飛んできた岩をオレはひとつ粉々に破壊した。
続けざまに放たれた岩石を足場がわりに、前へ前へ……魔帝の元へと近づいていく。
オレが変に足蹴にしたからか、上空にいるバージルの元へ岩石が猛スピードで飛んでいった。
「おいこら岩を飛ばすな、岩を!貴様ワザとか!」
「ディーヴァがいるのにワザとやるわけあるか!たまには弟の尻拭いしといてくれよオニイチャン」
「……まったく、仕方のないやつめ」
片手から光弾を連続で発射し、飛んでいった岩を破壊するバージル。
うわ。巨大な岩が、ドーナツのように丸くくり抜かれてバージルを通して行ったよ。すげー破壊力だな……。
だが、バージルの力量に圧倒されるなかれ。
力を見せつけるように、オレは負けず劣らず魔帝の周りに浮かぶ黒い球を次々に破壊していった。
オレの手によって全て撃ち落とされ、魔帝を守る結界が再び消え去る。
狙いは外すな。素早く核を討て。
バージルの言葉が頭にリフレインする。
オレは魔帝の核が収められている胸へと、攻撃力を高めた光弾を撃ち込んだ。
「これで…………おわりだ……っ!」
体から溢れ出る魔力を使い、オレはまた炎龍を召喚する。
オレを掴もうとしてきた魔帝に向かって、全てを焼き尽くす獄炎と強烈な魔力のエネルギーを体ごとぶつける。
今度こそ確かな手応えがあった。
「やったか……?」
大きく仰け反り、体勢を崩す魔帝を前にオレは小さくガッツポーズを入れる。
が、仰け反ったままの魔帝から、鋭利な光の刃が飛んできた。その全てがオレの中心を捉える。
「ぐっ……がぁ!!」
強力な魔力に貫かれ一瞬にして意識が朦朧とする中、振りかざされる魔帝の巨大な手のひら。
まるでハエや蚊でも潰すように叩きつけられ、オレは地表へと落ちていく。
奴にもダメージは入っていたようで、魔帝もまた、オレと同じように地表に向かってその体を降下させていた。
さらに追撃とばかりに繰り出される大量の火球・メテオスウォーム。
雨のように降り注ぐそれらをかわしきることは出来ず、落ちゆくオレの体に次々にクリティカルヒットする。
「う、ぐ、あああああっ!!」
天から地へ。魔帝が創造したであろう、溶岩で満たされた地表へとオレは叩きつけられた。
気がつけば、オレの魔人化は解かれていた。
メテオが降り注ぐ中、体に走る痛みと場を満たす灼熱の熱さに呻きながらもゆっくりと立ち上がる。
「馬鹿者が。油断するからだ」
「ははは、仕留めたかと思っちまったもんでね」
落ちた先まで追ってきていたバージルが、オレの失態に呆れながら隣にゆっくりと降り立つ。
その身体は、オレとは違い魔人化したままだ。
「あんなでも魔帝だ。あの程度なわけがあるか」
「デスヨネー」
次いで目の前に魔帝が悠然と降り立った。
オレ達の息の根を確実に止める、そのために。