mission 22:old enemy ~VS魔帝~ 前編
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宇宙のような暗闇の空間の向こう、魔帝がオレを迎え討つべく翼を広げていた。
その周りには梵字のような呪いの言葉のような文字が描かれた、オレの体ほどはある四つの黒い球体が結界のようなものをムンドゥスを守護しているようだ。
「近づかねぇと破壊し辛そうだ」
オレにも今は翼がある。大きく広げたそれを使い、あとからあとから溢れて止まらぬ魔力で魔帝の元へと急ぎ飛ぶ。
まだ魔帝は遠いのだが、腕をこちらに向けて動かしているのが見えた。
その瞬間、横並びで落ちていた遠雷が頭上で光る。
「おっと危ねぇ!」
ピシャァン!
轟音と共に雷が落ちてきた。
意思を持っているかのようにオレを狙って落ちてくる雷と雷の間を、ひらりと飛びかわす。
翼がなければ直撃していたかもしれない。
「ま、こんなもんアラストルやネヴァンの放つモンに比べれば大した威力はなさそうだがな」
ふと思い出す、雷を使うもう一人の悪魔。
トリッシュの使うそれも、なかなかの威力だった。
胸の奥がチクリと痛み、そして眼前の魔帝への憎しみがさらに強くわいた。
ゴウ……!
続け様に魔帝から放たれたのは、巨大な岩石。
宇宙空間にも似たこの異空間に漂う、隕石のような物。それをこっちに連続で飛ばしてきているようだ。
奴め、近づかせない気か!
「へぇ?ずいぶんとまあ、オレを怖がってやがる。
こんなもんでオレの道を阻もうったって、無駄だぜ!」
岩石なぞ、雷のように避ける必要はない。木っ端微塵に破壊してしまえ。
方向転換もせず、オレは体を錐揉み回転させながら勢いよく岩石にぶつかった。
抉られて粉々になったそれらが、四方八方へと飛んでいく。
何度も繰り返して無数の石ころだらけになったその彼方から、もう一つ岩石が飛んできた。
「うお、まだあったか!破ァ!!」
回転体当たりするには間に合わない。オレは手のひらに集めたエネルギーの光弾で、最後の岩石を今まで以上に細かく破壊した。
……おかしい。魔力の減りが少ない。
「ん?咄嗟のことだったがもしかして……」
試しに前方へと連続で光弾を撃ってみる。
魔力がほとんど減らない!おまけに飛距離は長く、魔帝の元まで届いて奴を守る黒球をひとつ破壊した!奴が怯んだ姿も見えた。
なるほど。無尽蔵に感じる魔力は、際限なく光弾を放てる状態に繋がるのか。
「へへ、こりゃあイイ!
遠いから狙いづらいが、まるでシューティングゲームだな」
光弾を続け様に何発も撃つさなか、魔帝の手元がチカチカと光った。
黒球ではない。白地の球がいくつも魔帝の周りを巡り、そしてこちらに向かってきた。
「何だこりゃ、……!?」
白球は二つで一組のようで、間に高圧の電流を走らせてオレを挟み込んでの攻撃をしようとしてきた。
「ビリヤードの球じゃないんだからよ、こんな大量によこすんじゃねぇっての!
チッ、ちょこまかと…………っ!」
ちょこまかと。なんて思うのは魔帝側もか。
縦横無尽に動き回るそれに挟み込まれないよう避け、オレは外側から蹴り飛ばし、殴り飛ばし、そして光弾を使って破壊していった。
こんな邪魔なモノ、残していてはあとあと面倒だ。
残りの一つを破壊しようとした時だ。
「ッ!ぐぉああっ!?」
魔帝が放つ、白い柱のような太い光線が体にかすった。
かすっただけなのに、脇腹が消し飛んだ!なんて破壊力だ。『帝』という名は伊達じゃないということか。
「ふ〜、魔力ビンビンの状態で助かったぜ」
だが、こちらも負けてはいない。
体の底から溢れ出る魔力により、体は急速に修復していく。
こんな攻撃を受けたことも、修復過程の様子も、ディーヴァにはとてもじゃないが見せられないな。見られない状況で良かったと思うと同時、ディーヴァが、そしてバージルが心配になった。
二人は大丈夫だろうか。
「あー、くそ。魔帝が遠のく!」
近づいていたはずの魔帝までの距離が、長くなった気がする。よく見れば脇腹だけではなく、翼の一部が欠けていたからスピードが落ちていたようだ。
さらに距離をとるかのように、魔帝が自分の周りに白球を配置していく。
六つほど円を描くそれは、細長く白いレーザーを大量に放ってきた。
魔帝自身も、掲げた両手から赤いレーザーを多数放ってきている。ダブル攻撃で逃げ場をなくそうというわけだ。
「今度は弾幕シューティングか?
こんなものゴリ押しで弾いてやる。攻撃は最大の防御ってな……!」
翼も修復された。片翼で飛び辛かったが、治ってしまえばこっちのものだ。
遅れを取り戻すように急ぎ、飛びながら光弾を放つ。
顔に当たる風の抵抗が、燃えるように熱い。
いや、発火するほどの熱さだが、魔人化した影響かそれによるダメージはなかった。むしろ心地よいレベル。
……そういえば、テメンニグルから落下している時も、これくらい熱かったな。懐かしい。
オレはあの頃からひとつも変わっていない。
受け継いだ誇り高き魂も、悪魔への感情も。大切な人を守りたいという、その気持ちも。
光弾を放ち急ぐ中、魔帝が咆哮を上げる。
大気が震え上空が怪しく光った。
無数に星が降ってきた。
いや、メラメラと燃え盛る巨大な火球だ。岩石が飛んでくるよりも危険だ……!
相殺するように光弾を放つが、破壊しきれず身体が焼かれた。
焼かれたというより、痛いに近い。
「ちっ……!オレの光弾でも防ぎきれないか……」
火球を避けて飛ぶも、逃げ込んだ先にも降ってくる。
この空間には逃げ場はないし、仕方なく攻撃でなく回避に専念して高速で飛び抜ける。
ディーヴァもよく、三十六計逃げるに如かず、なーんて言ってた気がする事だし。
だが、思いの強い方が勝つ。
魔帝ムンドゥス……奴が持つ悪意と欲望まみれの意思なんかよりも、オレの意思の方がより強い。
その周りには梵字のような呪いの言葉のような文字が描かれた、オレの体ほどはある四つの黒い球体が結界のようなものをムンドゥスを守護しているようだ。
「近づかねぇと破壊し辛そうだ」
オレにも今は翼がある。大きく広げたそれを使い、あとからあとから溢れて止まらぬ魔力で魔帝の元へと急ぎ飛ぶ。
まだ魔帝は遠いのだが、腕をこちらに向けて動かしているのが見えた。
その瞬間、横並びで落ちていた遠雷が頭上で光る。
「おっと危ねぇ!」
ピシャァン!
轟音と共に雷が落ちてきた。
意思を持っているかのようにオレを狙って落ちてくる雷と雷の間を、ひらりと飛びかわす。
翼がなければ直撃していたかもしれない。
「ま、こんなもんアラストルやネヴァンの放つモンに比べれば大した威力はなさそうだがな」
ふと思い出す、雷を使うもう一人の悪魔。
トリッシュの使うそれも、なかなかの威力だった。
胸の奥がチクリと痛み、そして眼前の魔帝への憎しみがさらに強くわいた。
ゴウ……!
続け様に魔帝から放たれたのは、巨大な岩石。
宇宙空間にも似たこの異空間に漂う、隕石のような物。それをこっちに連続で飛ばしてきているようだ。
奴め、近づかせない気か!
「へぇ?ずいぶんとまあ、オレを怖がってやがる。
こんなもんでオレの道を阻もうったって、無駄だぜ!」
岩石なぞ、雷のように避ける必要はない。木っ端微塵に破壊してしまえ。
方向転換もせず、オレは体を錐揉み回転させながら勢いよく岩石にぶつかった。
抉られて粉々になったそれらが、四方八方へと飛んでいく。
何度も繰り返して無数の石ころだらけになったその彼方から、もう一つ岩石が飛んできた。
「うお、まだあったか!破ァ!!」
回転体当たりするには間に合わない。オレは手のひらに集めたエネルギーの光弾で、最後の岩石を今まで以上に細かく破壊した。
……おかしい。魔力の減りが少ない。
「ん?咄嗟のことだったがもしかして……」
試しに前方へと連続で光弾を撃ってみる。
魔力がほとんど減らない!おまけに飛距離は長く、魔帝の元まで届いて奴を守る黒球をひとつ破壊した!奴が怯んだ姿も見えた。
なるほど。無尽蔵に感じる魔力は、際限なく光弾を放てる状態に繋がるのか。
「へへ、こりゃあイイ!
遠いから狙いづらいが、まるでシューティングゲームだな」
光弾を続け様に何発も撃つさなか、魔帝の手元がチカチカと光った。
黒球ではない。白地の球がいくつも魔帝の周りを巡り、そしてこちらに向かってきた。
「何だこりゃ、……!?」
白球は二つで一組のようで、間に高圧の電流を走らせてオレを挟み込んでの攻撃をしようとしてきた。
「ビリヤードの球じゃないんだからよ、こんな大量によこすんじゃねぇっての!
チッ、ちょこまかと…………っ!」
ちょこまかと。なんて思うのは魔帝側もか。
縦横無尽に動き回るそれに挟み込まれないよう避け、オレは外側から蹴り飛ばし、殴り飛ばし、そして光弾を使って破壊していった。
こんな邪魔なモノ、残していてはあとあと面倒だ。
残りの一つを破壊しようとした時だ。
「ッ!ぐぉああっ!?」
魔帝が放つ、白い柱のような太い光線が体にかすった。
かすっただけなのに、脇腹が消し飛んだ!なんて破壊力だ。『帝』という名は伊達じゃないということか。
「ふ〜、魔力ビンビンの状態で助かったぜ」
だが、こちらも負けてはいない。
体の底から溢れ出る魔力により、体は急速に修復していく。
こんな攻撃を受けたことも、修復過程の様子も、ディーヴァにはとてもじゃないが見せられないな。見られない状況で良かったと思うと同時、ディーヴァが、そしてバージルが心配になった。
二人は大丈夫だろうか。
「あー、くそ。魔帝が遠のく!」
近づいていたはずの魔帝までの距離が、長くなった気がする。よく見れば脇腹だけではなく、翼の一部が欠けていたからスピードが落ちていたようだ。
さらに距離をとるかのように、魔帝が自分の周りに白球を配置していく。
六つほど円を描くそれは、細長く白いレーザーを大量に放ってきた。
魔帝自身も、掲げた両手から赤いレーザーを多数放ってきている。ダブル攻撃で逃げ場をなくそうというわけだ。
「今度は弾幕シューティングか?
こんなものゴリ押しで弾いてやる。攻撃は最大の防御ってな……!」
翼も修復された。片翼で飛び辛かったが、治ってしまえばこっちのものだ。
遅れを取り戻すように急ぎ、飛びながら光弾を放つ。
顔に当たる風の抵抗が、燃えるように熱い。
いや、発火するほどの熱さだが、魔人化した影響かそれによるダメージはなかった。むしろ心地よいレベル。
……そういえば、テメンニグルから落下している時も、これくらい熱かったな。懐かしい。
オレはあの頃からひとつも変わっていない。
受け継いだ誇り高き魂も、悪魔への感情も。大切な人を守りたいという、その気持ちも。
光弾を放ち急ぐ中、魔帝が咆哮を上げる。
大気が震え上空が怪しく光った。
無数に星が降ってきた。
いや、メラメラと燃え盛る巨大な火球だ。岩石が飛んでくるよりも危険だ……!
相殺するように光弾を放つが、破壊しきれず身体が焼かれた。
焼かれたというより、痛いに近い。
「ちっ……!オレの光弾でも防ぎきれないか……」
火球を避けて飛ぶも、逃げ込んだ先にも降ってくる。
この空間には逃げ場はないし、仕方なく攻撃でなく回避に専念して高速で飛び抜ける。
ディーヴァもよく、三十六計逃げるに如かず、なーんて言ってた気がする事だし。
だが、思いの強い方が勝つ。
魔帝ムンドゥス……奴が持つ悪意と欲望まみれの意思なんかよりも、オレの意思の方がより強い。