mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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「……あ?また心臓の部屋か」
そこは、例の心臓が配置されている部屋。その天井近くに繋がっていた。
さっきまでの明るさや勢いは何処へやら。部屋の奥の大きな扉を目にして一気に真顔になるあたし。
「あー、また体が冷えてく……気分悪い」
「気持ちはわかるけどお前の体は影響されすぎだぜ。あっちはもう見んな」
「わ」
バージルの腕に抱えられたままのあたしの額をコツンと叩き、その手のひらであたしの目を覆う。
目隠しされたというのに、すごく落ち着く。手から伝わるダンテのあたたかさ、鼓動を求めるように自らも瞼を閉じる。
「そのまま目を閉じているがいい」
「……うん」
バージルにも言われ、あたしはダンテの手が目から離れても目を開けなかった。
「あんなところにもこれみよがしに紋章があったんじゃねぇか。気がつかなかったぜ」
「気がつくも何も、あの対岸には腸を通らねばいけぬ仕組みになっている」
「面倒な仕組みだな」
これから行く場所にも紋章があるみたい。
それを発動したら、今度はどうなるんだろう。
そう思っていたら突然の浮遊感。抱かれているから元々浮遊感に似たものはあったけども、この浮遊感はひときわ大きい。
長い長い距離を跳んだ感覚があった。
つい目を開けてしまった。
対岸にはすでについていたが、長い距離を跳んだことがわかる。
棒もなしに棒高跳びするのと変わらないね。半魔ってすごい。
体を襲う恐怖については……まあ、扉を気にしなければ。ダンテやバージル、後は他のものを見て嫌なもののことは考えないようにすればそれでいいか。
深呼吸したら、少しは落ち着いた。
「む。ディーヴァはもう大丈夫なのか?」
「うん。……ありがとね」
身じろぎしたあたしを、バージルがそっとその場におろす。
あたしはダンテが発動してしまう前の、巨大な紋章を眺めた。
「なんだ。ディーヴァが発動させるのか?」
「そんなわけないでしょ。
最後の紋章でーすって言ってるみたいに、この紋章やたら大きくない?」
「それだけではない、よく見てみろ。心臓に繋がる太い血管が巡らされているだろう」
「ほんとだ……」
バージルに言われて紋章の周りに張り巡らされた太い管。目で追うと、それらは全て心臓につながっていた。
そして終着駅が、あの扉というわけだ。
魔剣スパーダを使い、ダンテが何度も紋章へ斬撃を繰り返すと、ようやく光が灯った。
発動した力は血管を伝い、心臓へ。止まっていた心臓が鼓動を刻み始めた。
自分の胸の中にもこれの小サイズが収まっているのはわかってるけど、ちょっと気持ち悪い。
心臓が動いた事で、扉にも変化が。
扉に何重にもかけられていた悪魔の封印が次々に消し飛んでいく。
ガラスの破片が飛び散るように激しく、そして儚く。
悪魔の封印だというのに、その光景だけは少し綺麗だと思ってしまった。
もう扉の。
扉の向こうに待ち受ける恐怖からは逃げちゃいけない。
どちらにしろ、逃げられないのだから。
ダンテとバージルの手を一瞬だけ握り、足が震えてその場に沈み込みそうな自分を励ます。
……よし、もう大丈夫。手を離してもきっと大丈夫。
「なあ。これはあの扉に出入りする度にこれだけの封印施してるのか?だとしたら魔帝の野郎も大変だな」
「普段は出入りできる。あの心臓も鼓動を刻み続けている。ネロアンジェロとしての記憶の中ではそうだった。
これだけ重ねた封印は、それだけ魔帝が貴様を脅威に感じた結果だ。同時に試してもいるのだろう。
相手がお前……スパーダの血族だからな」
バージルが扉を背にしてこちらを向く。
背後では、最後の封印が砕け散るところだった。
「お前はどう出る?俺と同じ運命を辿るかもしれんぞ」
「それはないぜ。
オレには守るものがいて、取り返すものもある」
ダンテに腕を引かれ抱きしめられる。
「それに今回はアンタもついてる」
次いでダンテは、バージルの肩に腕を回した。
「今の魔力が足りん俺は何も出来んぞ」
「何も、ではないだろ。謙遜すんなって」
「……フン」
ため息のあと、バージルがダンテの腕を捻り上げ強制的に離れる。
痛みに小さくうめくダンテに一瞥をくれながら呟く。
「守るもの、か……」
胸元を探す仕草をするバージル。
だが、そこに目当てのものはなかったのか、あたしの方を見つめる。あっなんかやばい。
「……そういえばアミュレットはディーヴァに預けたのだったな」
ほら来た〜!
今度は冷や汗で体が冷えちゃいそう!
「どうした?付けてはいないようだが。
まさか無くしたと抜かすのではなかろうな」
肩を掴まれ、怒気強めに見つめられる。
ミシミシいいそうなほど、というわけでもなく軽く掴まれているだけとはいえ肩の骨を砕かれるのでは?と考えてしまう。
「無くしてない無くしてない無くしてない!」
「ではどこに?」
「あああの実は、アミュレットは武器になっちゃって!」
「ほう?」
全く吹けていない、気の抜けたような口笛が聞こえてきた。
「犯人あっちです」
あたしは口笛の主、ダンテを指さした。
ダンテは固まり、あたしは焦って目を閉じる。
一瞬の沈黙。
「…………まあ、知っていて言ったのだがな」
「「知ってたんかい!」」
ダンテと声が重なった。
「ダンテの持つ魔剣スパーダを見ていればわかる。内包する魔力もアミュレットと同じもの。
大方ディーヴァから取り上げ、勝手に魔剣スパーダに変えたのだろう?ダンテの考えそうなことだ」
あたしの髪の毛をさらり、一房漉いてくれたバージルはかすかに微笑む。
「からかってすまない」
「もう……怖かったんだからね?」
「だが緊張は多少ほぐれただろう」
そういえばそうだ。
変な力が入って体がカチカチに固まっていた気がする。
バージルは優しい。ダンテも優しい。
あたしの周りは、たくさんの優しい人で溢れている。
「この先が魔帝のいる魔界大神殿だ。
……覚悟はいいか?」
バージルの言葉に、あたしもダンテも顔を見合わせて深く、深く頷いた。
●あとがき
バージル活躍の回。
そこは、例の心臓が配置されている部屋。その天井近くに繋がっていた。
さっきまでの明るさや勢いは何処へやら。部屋の奥の大きな扉を目にして一気に真顔になるあたし。
「あー、また体が冷えてく……気分悪い」
「気持ちはわかるけどお前の体は影響されすぎだぜ。あっちはもう見んな」
「わ」
バージルの腕に抱えられたままのあたしの額をコツンと叩き、その手のひらであたしの目を覆う。
目隠しされたというのに、すごく落ち着く。手から伝わるダンテのあたたかさ、鼓動を求めるように自らも瞼を閉じる。
「そのまま目を閉じているがいい」
「……うん」
バージルにも言われ、あたしはダンテの手が目から離れても目を開けなかった。
「あんなところにもこれみよがしに紋章があったんじゃねぇか。気がつかなかったぜ」
「気がつくも何も、あの対岸には腸を通らねばいけぬ仕組みになっている」
「面倒な仕組みだな」
これから行く場所にも紋章があるみたい。
それを発動したら、今度はどうなるんだろう。
そう思っていたら突然の浮遊感。抱かれているから元々浮遊感に似たものはあったけども、この浮遊感はひときわ大きい。
長い長い距離を跳んだ感覚があった。
つい目を開けてしまった。
対岸にはすでについていたが、長い距離を跳んだことがわかる。
棒もなしに棒高跳びするのと変わらないね。半魔ってすごい。
体を襲う恐怖については……まあ、扉を気にしなければ。ダンテやバージル、後は他のものを見て嫌なもののことは考えないようにすればそれでいいか。
深呼吸したら、少しは落ち着いた。
「む。ディーヴァはもう大丈夫なのか?」
「うん。……ありがとね」
身じろぎしたあたしを、バージルがそっとその場におろす。
あたしはダンテが発動してしまう前の、巨大な紋章を眺めた。
「なんだ。ディーヴァが発動させるのか?」
「そんなわけないでしょ。
最後の紋章でーすって言ってるみたいに、この紋章やたら大きくない?」
「それだけではない、よく見てみろ。心臓に繋がる太い血管が巡らされているだろう」
「ほんとだ……」
バージルに言われて紋章の周りに張り巡らされた太い管。目で追うと、それらは全て心臓につながっていた。
そして終着駅が、あの扉というわけだ。
魔剣スパーダを使い、ダンテが何度も紋章へ斬撃を繰り返すと、ようやく光が灯った。
発動した力は血管を伝い、心臓へ。止まっていた心臓が鼓動を刻み始めた。
自分の胸の中にもこれの小サイズが収まっているのはわかってるけど、ちょっと気持ち悪い。
心臓が動いた事で、扉にも変化が。
扉に何重にもかけられていた悪魔の封印が次々に消し飛んでいく。
ガラスの破片が飛び散るように激しく、そして儚く。
悪魔の封印だというのに、その光景だけは少し綺麗だと思ってしまった。
もう扉の。
扉の向こうに待ち受ける恐怖からは逃げちゃいけない。
どちらにしろ、逃げられないのだから。
ダンテとバージルの手を一瞬だけ握り、足が震えてその場に沈み込みそうな自分を励ます。
……よし、もう大丈夫。手を離してもきっと大丈夫。
「なあ。これはあの扉に出入りする度にこれだけの封印施してるのか?だとしたら魔帝の野郎も大変だな」
「普段は出入りできる。あの心臓も鼓動を刻み続けている。ネロアンジェロとしての記憶の中ではそうだった。
これだけ重ねた封印は、それだけ魔帝が貴様を脅威に感じた結果だ。同時に試してもいるのだろう。
相手がお前……スパーダの血族だからな」
バージルが扉を背にしてこちらを向く。
背後では、最後の封印が砕け散るところだった。
「お前はどう出る?俺と同じ運命を辿るかもしれんぞ」
「それはないぜ。
オレには守るものがいて、取り返すものもある」
ダンテに腕を引かれ抱きしめられる。
「それに今回はアンタもついてる」
次いでダンテは、バージルの肩に腕を回した。
「今の魔力が足りん俺は何も出来んぞ」
「何も、ではないだろ。謙遜すんなって」
「……フン」
ため息のあと、バージルがダンテの腕を捻り上げ強制的に離れる。
痛みに小さくうめくダンテに一瞥をくれながら呟く。
「守るもの、か……」
胸元を探す仕草をするバージル。
だが、そこに目当てのものはなかったのか、あたしの方を見つめる。あっなんかやばい。
「……そういえばアミュレットはディーヴァに預けたのだったな」
ほら来た〜!
今度は冷や汗で体が冷えちゃいそう!
「どうした?付けてはいないようだが。
まさか無くしたと抜かすのではなかろうな」
肩を掴まれ、怒気強めに見つめられる。
ミシミシいいそうなほど、というわけでもなく軽く掴まれているだけとはいえ肩の骨を砕かれるのでは?と考えてしまう。
「無くしてない無くしてない無くしてない!」
「ではどこに?」
「あああの実は、アミュレットは武器になっちゃって!」
「ほう?」
全く吹けていない、気の抜けたような口笛が聞こえてきた。
「犯人あっちです」
あたしは口笛の主、ダンテを指さした。
ダンテは固まり、あたしは焦って目を閉じる。
一瞬の沈黙。
「…………まあ、知っていて言ったのだがな」
「「知ってたんかい!」」
ダンテと声が重なった。
「ダンテの持つ魔剣スパーダを見ていればわかる。内包する魔力もアミュレットと同じもの。
大方ディーヴァから取り上げ、勝手に魔剣スパーダに変えたのだろう?ダンテの考えそうなことだ」
あたしの髪の毛をさらり、一房漉いてくれたバージルはかすかに微笑む。
「からかってすまない」
「もう……怖かったんだからね?」
「だが緊張は多少ほぐれただろう」
そういえばそうだ。
変な力が入って体がカチカチに固まっていた気がする。
バージルは優しい。ダンテも優しい。
あたしの周りは、たくさんの優しい人で溢れている。
「この先が魔帝のいる魔界大神殿だ。
……覚悟はいいか?」
バージルの言葉に、あたしもダンテも顔を見合わせて深く、深く頷いた。
●あとがき
バージル活躍の回。