mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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手を離したダンテの顎は、もちろん割れていなかった。よかった。
「俺は貴様と違い無謀な事はしない。ココの出来が違うんでな」
トントン。今度はバージルが頭を小突いてみせた。
さすがのダンテも、今回はその挑発にのらず、短くため息を吐いただけだった。
「全く、なぜこの俺が貴様に人の心などを説いてやらねばならんのだ……」
悪態をつきながら、投げ捨てた刀を回収し腰に戻すバージル。
ダンテがそれを目で追う。バージルはダンテに見られ、どこか居心地が悪そうだった。
「なあバージル」
「はあ……なんだ……?」
「オレより人間らしいとこあるじゃねぇか。見直したぜ?」
「…………。
貴様に見直されても嬉しくはない。
俺は悪魔だ。俺には好いた者さえもけがしてみたいという悪魔の欲求もある。
これを悪魔と言わずなんと言う?」
心外だとばかりに不機嫌そうに答えているバージルは、刀身は無事なのかと抜いて確かめていた。
魔力は感じるけど閻魔刀よりはその量は少ないのがあたしでもわかる。
愛刀じゃないと心許ないもんね。
「いや、だからさ。それが男のロマンなんだっての。健全な男なら誰でも多少は持ってる普通の感情だぜ?」
「何、これが当たり前の感情だと?」
何それあたしも初耳なんだけど。
あたしは会話に加わりたい思いを堪えながら、ダンテが投げ捨てた武器を拾い上げる。
魔剣スパーダとイフリートは見た目が禍々しかったりトゲトゲしてこわいし、下手に触ると斬れたり燃えたりしそうだから傍にそっと引っ張っておくだけにしておこう……。
あ、つまりアラストルだけかあ。
「だが、そういう願望を満たしたくばせめて魔帝を倒してからにするがいい」
「へぇー、倒した後ならいいのかよオニイチャン?」
「無論だ」
親指を上げてサムズアップするバージルに、ダンテも同じようにサムズアップで返し笑みを浮かべあう。
ついさっきまで殴り合ってたよね?
傷だらけなのに、二人が楽しそうに見えるのはあたしだけ?
『倒した後もやめたげて……』
「どういうこと?一体なんの話になってるの?
殴り合ったかと思えば、笑い合ってるし……話が見えない。
そもそもなんでここまで喧嘩してたのかすら、よくわからないんですけど?」
腕の中でボソリとつぶやきを漏らすアラストルに、何か知っているのかと問いかける。
最初は怖いとしか思ってなくてあまり聞いてなかったし。
でも、置いてけぼりはいやだ。
『ここから帰ったら半魔の男共の欲望の赴くまま、ディーヴァはいいようにされるらしいよ。覚悟しておかないとダメかも。
ソーイウ大人の話』
「えええ……またそういうのなの?そんなの絶対イヤ!」
『俺に言われてもなあ……。ま、ファーイト』
気の毒そうに、でもそっけなく返してきてても味方はアラストルだけだ。
刃先にだけは気をつけて、アラストルをぎゅっと抱える。
「あーもうダンテもバージルも信用できなーい……!あたしにはアラストルしかいなーい……!」
聞こえるように大きな声で言えば、ようやくあたしの存在を思い出したらしい二人がこちらを見た。
頬を膨らませて不満をアピールすれば、手元から声がした。
『いやあの、俺は何もできないよ?使い手はマスターであるダンテだし』
「えー、助けてよ電刃魔神んん〜!」
『それ俺だけど俺じゃない俺!』
アラストルと言い合うあたしに、ダンテが手を差し出してきた。
「はあ……ディーヴァ、アラストル返せ?
機嫌も治せって。」
「愚弟にノッただけだ。あまり真に受けるな。危ないから剣など持つな」
続いてバージルもだ。
お子ちゃまでか弱いただの女のあたしには、剣一つ扱えないとでも言いたげ。
剣に似たものなら毎日扱ってるわよ。包丁だけど!
「ふんっ!
剣くらいあたしにも扱える!あたしアラストルと先に行くから!」
『あー、まあ……運ぶだけなら俺を扱えるかもね』
ドスドスと音を立てて、バージルが開けた次の場所へのゲートを潜る。
その後ろではダンテとバージルの声が聞こえた。
「あーらら。怒って先に行っちまったぜ。
お前のせいだぞバージル」
「俺のせいにするな。元はと言えばお前が……」
そしてあたしは次の場所を確認した瞬間、くるりと回れ右した。
ダンテのトリックスターも驚きの速さだ。
「やっぱ先に行くのやめた!!」
「諦め早いな!?」
アラストルをダンテに返せば、呆れと驚き半分。そしてもう半分は安心したかのような顔で見られた。
「だってあんなの無理。二人も次の場所を見たらわかるよ」
「次……ああ、あの場所か」
バージルは知ってるみたい。ならあたしが行く前に忠告してほしかった……って、聞く前に行ったんだった。
情けない。自分で飛び出したくせに一瞬で諦めて戻ってきたなんて。
びたん、とダンテに張り付き顔を隠してうつむく。
ダンテはあたしの頭を優しく撫でて迎え入れてくれた。
「信用してないって言ってたのに、もういいのか?」
手つきと同じ、優しい声色。
「信用してるし、あたしは助けがないとこの先を進めない。
それに、どうせあたしにはダンテやバージルがどうしてもしたいってことを拒むなんてできっこないもの。
二人とも力は強いし、無理やり何かしようとしたらあたしじゃ勝てない。
結局なんの話かよくわからないけど受け入れるしかない。せめてつらくないこわくないことがいいなって思って信用してついてく。
だから……あたしを助けて欲しい」
強く握ったからダンテのコートに皺が寄った。
ここまでたくさんの戦闘を重ね、あたしを守ってきた証の刻まれた赤いコート。
「ばーか。お前が嫌がること無理やりする訳ないだろ。
な、バージル」
「ああ、もちろんだ」
軽く頭を上から、そして横からも小突かれて見上げれば、双子が揃って笑みを向けてくれていた。
「ふふ、よかった。
なら二人ともあたしと一緒に、仲良く次の部屋に行って欲しい。だめかな?」
双子なんだから先ほどみたいな喧嘩なんかせず、仲良くしてもらいたい。
あの喧嘩は見ているこっちが怖かったもの。
「仲良く?さっき散々仲良くやりあったぜ。ディーヴァも見てたろ?」
「ああ。久しぶりに童心に帰った。終わるまで待っていてくれて助かったぞディーヴァ」
「え。あれで仲良いっていうの!?」
一体どういうこと……?
スパーダ一家の仲良くって、もしかして拳をぶつけ合うデンジャラスなものなのだろうか。
「俺は貴様と違い無謀な事はしない。ココの出来が違うんでな」
トントン。今度はバージルが頭を小突いてみせた。
さすがのダンテも、今回はその挑発にのらず、短くため息を吐いただけだった。
「全く、なぜこの俺が貴様に人の心などを説いてやらねばならんのだ……」
悪態をつきながら、投げ捨てた刀を回収し腰に戻すバージル。
ダンテがそれを目で追う。バージルはダンテに見られ、どこか居心地が悪そうだった。
「なあバージル」
「はあ……なんだ……?」
「オレより人間らしいとこあるじゃねぇか。見直したぜ?」
「…………。
貴様に見直されても嬉しくはない。
俺は悪魔だ。俺には好いた者さえもけがしてみたいという悪魔の欲求もある。
これを悪魔と言わずなんと言う?」
心外だとばかりに不機嫌そうに答えているバージルは、刀身は無事なのかと抜いて確かめていた。
魔力は感じるけど閻魔刀よりはその量は少ないのがあたしでもわかる。
愛刀じゃないと心許ないもんね。
「いや、だからさ。それが男のロマンなんだっての。健全な男なら誰でも多少は持ってる普通の感情だぜ?」
「何、これが当たり前の感情だと?」
何それあたしも初耳なんだけど。
あたしは会話に加わりたい思いを堪えながら、ダンテが投げ捨てた武器を拾い上げる。
魔剣スパーダとイフリートは見た目が禍々しかったりトゲトゲしてこわいし、下手に触ると斬れたり燃えたりしそうだから傍にそっと引っ張っておくだけにしておこう……。
あ、つまりアラストルだけかあ。
「だが、そういう願望を満たしたくばせめて魔帝を倒してからにするがいい」
「へぇー、倒した後ならいいのかよオニイチャン?」
「無論だ」
親指を上げてサムズアップするバージルに、ダンテも同じようにサムズアップで返し笑みを浮かべあう。
ついさっきまで殴り合ってたよね?
傷だらけなのに、二人が楽しそうに見えるのはあたしだけ?
『倒した後もやめたげて……』
「どういうこと?一体なんの話になってるの?
殴り合ったかと思えば、笑い合ってるし……話が見えない。
そもそもなんでここまで喧嘩してたのかすら、よくわからないんですけど?」
腕の中でボソリとつぶやきを漏らすアラストルに、何か知っているのかと問いかける。
最初は怖いとしか思ってなくてあまり聞いてなかったし。
でも、置いてけぼりはいやだ。
『ここから帰ったら半魔の男共の欲望の赴くまま、ディーヴァはいいようにされるらしいよ。覚悟しておかないとダメかも。
ソーイウ大人の話』
「えええ……またそういうのなの?そんなの絶対イヤ!」
『俺に言われてもなあ……。ま、ファーイト』
気の毒そうに、でもそっけなく返してきてても味方はアラストルだけだ。
刃先にだけは気をつけて、アラストルをぎゅっと抱える。
「あーもうダンテもバージルも信用できなーい……!あたしにはアラストルしかいなーい……!」
聞こえるように大きな声で言えば、ようやくあたしの存在を思い出したらしい二人がこちらを見た。
頬を膨らませて不満をアピールすれば、手元から声がした。
『いやあの、俺は何もできないよ?使い手はマスターであるダンテだし』
「えー、助けてよ電刃魔神んん〜!」
『それ俺だけど俺じゃない俺!』
アラストルと言い合うあたしに、ダンテが手を差し出してきた。
「はあ……ディーヴァ、アラストル返せ?
機嫌も治せって。」
「愚弟にノッただけだ。あまり真に受けるな。危ないから剣など持つな」
続いてバージルもだ。
お子ちゃまでか弱いただの女のあたしには、剣一つ扱えないとでも言いたげ。
剣に似たものなら毎日扱ってるわよ。包丁だけど!
「ふんっ!
剣くらいあたしにも扱える!あたしアラストルと先に行くから!」
『あー、まあ……運ぶだけなら俺を扱えるかもね』
ドスドスと音を立てて、バージルが開けた次の場所へのゲートを潜る。
その後ろではダンテとバージルの声が聞こえた。
「あーらら。怒って先に行っちまったぜ。
お前のせいだぞバージル」
「俺のせいにするな。元はと言えばお前が……」
そしてあたしは次の場所を確認した瞬間、くるりと回れ右した。
ダンテのトリックスターも驚きの速さだ。
「やっぱ先に行くのやめた!!」
「諦め早いな!?」
アラストルをダンテに返せば、呆れと驚き半分。そしてもう半分は安心したかのような顔で見られた。
「だってあんなの無理。二人も次の場所を見たらわかるよ」
「次……ああ、あの場所か」
バージルは知ってるみたい。ならあたしが行く前に忠告してほしかった……って、聞く前に行ったんだった。
情けない。自分で飛び出したくせに一瞬で諦めて戻ってきたなんて。
びたん、とダンテに張り付き顔を隠してうつむく。
ダンテはあたしの頭を優しく撫でて迎え入れてくれた。
「信用してないって言ってたのに、もういいのか?」
手つきと同じ、優しい声色。
「信用してるし、あたしは助けがないとこの先を進めない。
それに、どうせあたしにはダンテやバージルがどうしてもしたいってことを拒むなんてできっこないもの。
二人とも力は強いし、無理やり何かしようとしたらあたしじゃ勝てない。
結局なんの話かよくわからないけど受け入れるしかない。せめてつらくないこわくないことがいいなって思って信用してついてく。
だから……あたしを助けて欲しい」
強く握ったからダンテのコートに皺が寄った。
ここまでたくさんの戦闘を重ね、あたしを守ってきた証の刻まれた赤いコート。
「ばーか。お前が嫌がること無理やりする訳ないだろ。
な、バージル」
「ああ、もちろんだ」
軽く頭を上から、そして横からも小突かれて見上げれば、双子が揃って笑みを向けてくれていた。
「ふふ、よかった。
なら二人ともあたしと一緒に、仲良く次の部屋に行って欲しい。だめかな?」
双子なんだから先ほどみたいな喧嘩なんかせず、仲良くしてもらいたい。
あの喧嘩は見ているこっちが怖かったもの。
「仲良く?さっき散々仲良くやりあったぜ。ディーヴァも見てたろ?」
「ああ。久しぶりに童心に帰った。終わるまで待っていてくれて助かったぞディーヴァ」
「え。あれで仲良いっていうの!?」
一体どういうこと……?
スパーダ一家の仲良くって、もしかして拳をぶつけ合うデンジャラスなものなのだろうか。