mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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警戒していた触手が体にまとわりついてきたことに気がつかなかった。
しゅるしゅると巻きついて離れないそれには細かく吸盤がついているのか、剥がそうとしても余計に強く吸い付いてくる。
壁、床。次々に生えてくる触手があとからあとから巻きついてくる。
「あっ、やっ……っ、離してっ!……やだ、触手が吸い付いて、離れな…………、」
何より厄介なのは締め付けられる苦しさではない。
ダンテは鋭い痛みがあったって言っていた。でもあたしは痛くない。だから痛みが厄介なわけでもない。
厄介なのはこの激しい脱力感。疲労感。
相手に血を与えた時や、くたくたに疲れた時のそれ。
そして全ての力を……生命力を奪われていくこの感覚。
抵抗できない。立って、いられな、い……。
「んぅ、吸われる……力が抜けて……うっ…………!ダンテ、助け……」
「ディーヴァ!!」
魔人化を解いたダンテがあたしの悲痛な声に駆け寄ってきた。
だけど、そのダンテの体が途中でぴたりと止まった。
「ワーオ……」
「かひゅ、はー、はー……、だん、て……?」
何その言葉。
息がしにくいよ。目が霞むよ。心臓の音まで弱くなってきたよ。
早く助けてよダンテ。
喉をごくりと鳴らしているダンテの目に、どこかで見た色が見えた。
えーと、それダンテがベッドの上でしてる目に近いような、違うような……?
どっちでもいいか。力が入らなすぎて、思考力が低下してるみたい。
薄れそうな意識の中ダンテの姿を見ていたら、一瞬世界が止まって見えた。
止まった世界の中で高速で動く紫色の影。そしてドグシャ!という何かつぶれるような音。
音と一緒に腸内が大きく揺れた気がする。
「え……」
気がつけば触手は消え失せ目の前にバージルが。
さっきまでいたはずのダンテは激突したのか、頭全体を壁にめり込ませていた。
「ぐっ、一体、何が起きやがっ……た、」
「急いで来てみれば…………何がワーオだ!何が!」
「てめ、バージル……、お前かよ……!」
壁から頭を抜いて戻ったダンテの顔は、すでに元通り。形状記憶ダンテね。
あたしのほうがワーオって言いたい。
ダンテがバージルに殴りかかる。
ひらりとかわしたバージルの周りが一瞬止まって見える。
まただ。また止まった。
止まった世界の中でダンテの動きは遅く、バージルの動きは速く見えた。
気がつけばまたダンテが吹っ飛ばされていた。今度は頭から血が流れている。
「貴様は頭を冷やせ。そこに這いつくばっているがいい」
「え、これダンテ大丈夫?」
「どうせすぐ復活する。愚弟のことは気にするな」
なるほど、鞘で思い切り殴りつけて吹っ飛ばしたらしい。鞘に血がついていた。
心配はするけれど、バージルが大丈夫だというならば平気だろう。
「何をしたの?世界が止まって見えたような」
「ほう、天使の目には見えてしまっていたか……使い方に気を配らねばな。
この時の腕輪を使っただけだ。ダンテがかつて使っていたクイックシルバーの能力はわかるか?」
呪術の文字盤や装飾でゴテゴテの腕輪がコートの下から出てきた。
バージルの腕にはあまりにあっていないそれ。
ん、でもクイックシルバーっていうと、確か……。
「青いお馬のゲリュオン!」
「ご名答。同じ能力が備わった腕輪を手に入れたのだ。
あの馬もこの近辺で時間停止の能力を手に入れたのかもしれんな」
同じ能力、ということは時間を停止して自分だけが止まった時間の中加速する能力だ。
「しかし間に合ってよかった……。体のほうは大事ないか?」
「んー……」
ほっとした様子でバージルがあたしの目を覗き込む。
熱がこもったその視線はダンテのものと似ていて非なるもの。ずっと見つめていられなくて、あたしは目を伏せて自身の体に向き直った。
心臓の音はおっけー。しにくかった呼吸も整ってる。視界もクリア。
「死ぬほどだるくなったけど、体には異変もないみたい。あんなに苦しかったのにな……。
うん!大丈夫そう!!」
「怠さがあるのは触手に生命エネルギーを吸い取られたからだ。
お前の体が透けてみえるほど存在が希薄になっていなければ……行動に問題がないならばそれでいい」
「す、透ける!?」
「言葉の綾だ。気にするな」
安心した様子のバージルに撫でられた。
ひどく優しい手からも安心した、という感情が伝わってくる。
「ってぇ〜……」
ダンテの声にその表情が変わる。眉間に皺が寄っていく過程をしっかりと見届けてしまった。
「起きたかダンテ。貴様の反応速度が鈍すぎて鞘が血濡れになってしまった」
「アンタが時間停止能力なんてモンを使ったからだろ。
おーいてて。さすがに脳破壊は一瞬じゃ治らねぇのな。ったく、んなチートアイテムどこで手に入れたんだか……」
の、脳破壊……!脳震盪じゃなくて!?
さすが半分悪魔の怪我はスケールが違う。普通の人間なら死んじゃうレベルだよ。
想像しただけでクラクラして、倒れるかと思った。
「フン。貴様もスパーダの血をひく者なら、何を使われようとも避けてみせろ」
「めちゃくちゃだな!」
コートについた埃を払うように立ち上がったダンテ。
同じようにバージルも立ち上がる。……あたしの膝裏と背に手を回して。
しゅるしゅると巻きついて離れないそれには細かく吸盤がついているのか、剥がそうとしても余計に強く吸い付いてくる。
壁、床。次々に生えてくる触手があとからあとから巻きついてくる。
「あっ、やっ……っ、離してっ!……やだ、触手が吸い付いて、離れな…………、」
何より厄介なのは締め付けられる苦しさではない。
ダンテは鋭い痛みがあったって言っていた。でもあたしは痛くない。だから痛みが厄介なわけでもない。
厄介なのはこの激しい脱力感。疲労感。
相手に血を与えた時や、くたくたに疲れた時のそれ。
そして全ての力を……生命力を奪われていくこの感覚。
抵抗できない。立って、いられな、い……。
「んぅ、吸われる……力が抜けて……うっ…………!ダンテ、助け……」
「ディーヴァ!!」
魔人化を解いたダンテがあたしの悲痛な声に駆け寄ってきた。
だけど、そのダンテの体が途中でぴたりと止まった。
「ワーオ……」
「かひゅ、はー、はー……、だん、て……?」
何その言葉。
息がしにくいよ。目が霞むよ。心臓の音まで弱くなってきたよ。
早く助けてよダンテ。
喉をごくりと鳴らしているダンテの目に、どこかで見た色が見えた。
えーと、それダンテがベッドの上でしてる目に近いような、違うような……?
どっちでもいいか。力が入らなすぎて、思考力が低下してるみたい。
薄れそうな意識の中ダンテの姿を見ていたら、一瞬世界が止まって見えた。
止まった世界の中で高速で動く紫色の影。そしてドグシャ!という何かつぶれるような音。
音と一緒に腸内が大きく揺れた気がする。
「え……」
気がつけば触手は消え失せ目の前にバージルが。
さっきまでいたはずのダンテは激突したのか、頭全体を壁にめり込ませていた。
「ぐっ、一体、何が起きやがっ……た、」
「急いで来てみれば…………何がワーオだ!何が!」
「てめ、バージル……、お前かよ……!」
壁から頭を抜いて戻ったダンテの顔は、すでに元通り。形状記憶ダンテね。
あたしのほうがワーオって言いたい。
ダンテがバージルに殴りかかる。
ひらりとかわしたバージルの周りが一瞬止まって見える。
まただ。また止まった。
止まった世界の中でダンテの動きは遅く、バージルの動きは速く見えた。
気がつけばまたダンテが吹っ飛ばされていた。今度は頭から血が流れている。
「貴様は頭を冷やせ。そこに這いつくばっているがいい」
「え、これダンテ大丈夫?」
「どうせすぐ復活する。愚弟のことは気にするな」
なるほど、鞘で思い切り殴りつけて吹っ飛ばしたらしい。鞘に血がついていた。
心配はするけれど、バージルが大丈夫だというならば平気だろう。
「何をしたの?世界が止まって見えたような」
「ほう、天使の目には見えてしまっていたか……使い方に気を配らねばな。
この時の腕輪を使っただけだ。ダンテがかつて使っていたクイックシルバーの能力はわかるか?」
呪術の文字盤や装飾でゴテゴテの腕輪がコートの下から出てきた。
バージルの腕にはあまりにあっていないそれ。
ん、でもクイックシルバーっていうと、確か……。
「青いお馬のゲリュオン!」
「ご名答。同じ能力が備わった腕輪を手に入れたのだ。
あの馬もこの近辺で時間停止の能力を手に入れたのかもしれんな」
同じ能力、ということは時間を停止して自分だけが止まった時間の中加速する能力だ。
「しかし間に合ってよかった……。体のほうは大事ないか?」
「んー……」
ほっとした様子でバージルがあたしの目を覗き込む。
熱がこもったその視線はダンテのものと似ていて非なるもの。ずっと見つめていられなくて、あたしは目を伏せて自身の体に向き直った。
心臓の音はおっけー。しにくかった呼吸も整ってる。視界もクリア。
「死ぬほどだるくなったけど、体には異変もないみたい。あんなに苦しかったのにな……。
うん!大丈夫そう!!」
「怠さがあるのは触手に生命エネルギーを吸い取られたからだ。
お前の体が透けてみえるほど存在が希薄になっていなければ……行動に問題がないならばそれでいい」
「す、透ける!?」
「言葉の綾だ。気にするな」
安心した様子のバージルに撫でられた。
ひどく優しい手からも安心した、という感情が伝わってくる。
「ってぇ〜……」
ダンテの声にその表情が変わる。眉間に皺が寄っていく過程をしっかりと見届けてしまった。
「起きたかダンテ。貴様の反応速度が鈍すぎて鞘が血濡れになってしまった」
「アンタが時間停止能力なんてモンを使ったからだろ。
おーいてて。さすがに脳破壊は一瞬じゃ治らねぇのな。ったく、んなチートアイテムどこで手に入れたんだか……」
の、脳破壊……!脳震盪じゃなくて!?
さすが半分悪魔の怪我はスケールが違う。普通の人間なら死んじゃうレベルだよ。
想像しただけでクラクラして、倒れるかと思った。
「フン。貴様もスパーダの血をひく者なら、何を使われようとも避けてみせろ」
「めちゃくちゃだな!」
コートについた埃を払うように立ち上がったダンテ。
同じようにバージルも立ち上がる。……あたしの膝裏と背に手を回して。