mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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「しかしディーヴァ、お前の体は冷えている。これではかつての俺……屍人とかわらん」
「ありゃま。気がついちゃったかあ」
「気がつくに決まっている。手を握られた瞬間、氷のように冷えていて驚いたぞ」
そう言ってあたしの手を取る。
真っ白なのに、ダンテと変わらないくらいバージルの手は温かい。
自分の熱を移すように、そっと包み込んで温めてくれている。
「手がこれだけ冷たくば、体の冷えも相当なものだろう。こうして存在していられることが不思議なくらいだ。
今にも消えそうな蝋燭の灯火に近い。
何かあったのか?例えばダンテが悪さをしたとか……」
後ろでダンテが思いっきり首を横に振って否定する姿が見える。
「魔帝がいそうな部屋の扉に近づいたら、苦しくなってきてとっても寒くなったの」
「魔帝そのものも、魔帝から受けている拷問も原因だ。……だが、あの中にはお前の本体がいる。肉体と今のお前が呼応しているからこそだろう」
「うん。それはあたしも考えた。でも『恐怖』が理由として一番大きいんじゃないかなって。
ここから見えていないからこそ、余計恐ろしいって事もあると思うの」
見える恐怖と見えない恐怖。
どちらがいいかと言われれば、原因や対象がわかっている見える恐怖だろう。
思い出すだけでダメだ。歯がカチカチいいそうになる。
まるで雪女にでもなったみたいに冷たい肌。雪女に転職かぁ。
あ、だめだ。自分の冷たさで凍える雪女っていないや。
「俺がついている。頼りないがダンテもいる。
大丈夫だ、助かる。いや、お前を必ず助ける」
親が子にするように抱き寄せられ、頭をふわり優しく撫でられた。
もちろん黙っていられないのはこの人で。
「おいそれオレの役目」
と、あたしを自分の腕の中に引っ張り、またバージルと火花まで散らして熱心に見つめあってる。
「もう!気持ちはわかるけどそんなに見つめ合わないでよ〜。妬けちゃう」
「「見つめ合ってない!」」
「えー、ハモるくらいなのにねぇ。
殺し合うほど仲良し……似た言葉あったよね」
あ、思い出した。表現的に殺したいほど好きとか愛してるとかそんなのかな。
恋愛では時にそう思う瞬間あるって聞いた。
「何にせよあと少しで決戦の時ってこと。力を溜めなきゃ。あたしも恐怖に負けないよう頑張るね……!
なるべくだけど」
まだ見つめあってたダンテとバージルを放置して一人士気を上げる。
でもこのまま進まないのはもっと困る。二人の肩を叩いてやめさせた。
「それでこの扉はもう潜って平気なの?
くぐり抜ける瞬間に骨でぐわばっ!って食べられたりしない?」
「ああ。この通りだ」
バージルが刀の鞘を向こう側へと伸ばして確認してくれた。
「なら行こ。はい先にダンテねー」
「なんでオレが先なん……押すな押すな狭い!
ディーヴァ、さてはお前らオレを先に行かせて後ろであんなことやこんなことを……」
「んなわけないでしょ。あたしの浮気を疑うのー?」
「ばっか!お前はしなくてもバージルが奪うだろ!」
「馬鹿って言われた……。
バージルはそんな真似しないよ、ほら行った行った」
「あっくそ!」
向こうは狭い空間のよう。
アホで余計すぎることをぬかすダンテは、ぐいぐいと押し込む力を強くして先に行かせる。
「バージル。ダンテがごめんね」
「いやいい」
そしてダンテが作ってくれた轍を進むようにして、あたしとバージルも扉をくぐり抜けて続いた。
扉向こうに広がるのは、腸管という細長い通路だった。
ダンテが言った通り狭くて、臭くて……おまけに蠕動運動の一種なのか、ものすごく揺れて進みづらいし気持ちの悪い動き。
でも前にはダンテ後ろにはバージル……なんて快適!なんて安心安全!
これだけで冷えた体には熱が戻りそうな気分だよね。場所が許せばるんるんとスキップしたくなるほどだ。
ただ、ダンテにはもうちょっと早く進んで欲しい。
「おい。食われたくなかったら立ち止まるなよ」
「立ち止まりたく無いけど狭いんだもの。ダンテが遅いし」
「遅くてすみませんね!
前を進むオレが一番狭く感じる役なんだからな?少しはオレの気持ちになれよ、ったく!」
ちょっと言い返せば、ダンテが被せるように大きく文句を言った。バージルは……気にしてないみたい。
涼しい顔で受け流して冷静だった。
もしかしてこの場所の通り方に慣れてる?
「進みづらければ足踏みでもいい、とにかく立ち止まることだけは避けろ」
「え、うんわかった。
でも食べられちゃうってどういうこと?悪魔は見当たらないし気配もなさそうだけど」
「ああ、それはだな……」
「このクソ、狭すぎだな……っ!」
体内って外敵やウイルスの侵入を防ぐためか、やたら狭いし異物を押し戻そうとするものね。正常な生き物の体の内部そのもの。
異物扱いされてるし、うれしくはないけどね。
だから狭いし、通りにくいのが腹立つのはよくわかるけど、あたしはバージルの言葉を聞きたかったな。
バージルの言葉を遮ったダンテが、肉壁を思いきり殴りつけたのだ。……イフリートで。
熱さにへしゃげ、少し通りやすくなったのはいいけども。
ダンテは足元がお留守だった。
ぼこっ!何かがダンテめがけて地面から飛び出てきた。
が、殴ったばかりの壁に両手をついて足を持ち上げたからか、なんとかことなきを得たダンテ。
……よかったね、反射神経がよくて。
「なんだ今のはっ!?」
あたしから見えたのは、大きな口のような形のものが地面から突き出てきて、ダンテのお尻を齧ろうとする姿だけ。
まるでトラバサミ状の罠のようだった。
「えーと……今のって、魔界産のトラバサミか何か?」
「立ち止まっていると地面から牙の生えた口の悪魔が食事を取りにくる。だからさっさと進めと言ったのだ」
「へ、へえ〜。気配はしなかったけどあれも悪魔なんだぁ」
ああやっぱり。バージルはこの場所に慣れているんだ。
これからはバージルの言うことは、キチンと聞いて守ろうと決めた。
「お前な……早く言えよ」
ちょっとシュールだが、足踏みしながらダンテも前を進み出す。
前を向いたまま、バージルに文句を言うのは忘れない。
「立ち止まるなと言ったのにもたもたしていたのはどこのどいつだ」
「オレですね!」
「言おうと思ったのに話を遮ったのはどこのどいつだ」
「それもオレ!ですね!!」
「……成長しろよ、ダンテ」
「クソッ……!!」
淡々と話すバージルと、叫ぶように返事するダンテ。
バージルが関わると、最近はお兄さんみたいだった大人なダンテもかたなし。
弟って感じがしてしまって、思わず小さな笑みが溢れる。
「ふふっ」
「ちっ!ディーヴァは何笑ってんだ!」
「ごめん」
テメンニグルを登っていた頃を思い出した。……うん、死にそうになったあれやこれやの記憶も一緒に思い出しちゃった。トラウマつらいわ〜〜。
思い出したあれこれを笑い飛ばそうとしたら、またダンテに悪態をつかれた。
「ありゃま。気がついちゃったかあ」
「気がつくに決まっている。手を握られた瞬間、氷のように冷えていて驚いたぞ」
そう言ってあたしの手を取る。
真っ白なのに、ダンテと変わらないくらいバージルの手は温かい。
自分の熱を移すように、そっと包み込んで温めてくれている。
「手がこれだけ冷たくば、体の冷えも相当なものだろう。こうして存在していられることが不思議なくらいだ。
今にも消えそうな蝋燭の灯火に近い。
何かあったのか?例えばダンテが悪さをしたとか……」
後ろでダンテが思いっきり首を横に振って否定する姿が見える。
「魔帝がいそうな部屋の扉に近づいたら、苦しくなってきてとっても寒くなったの」
「魔帝そのものも、魔帝から受けている拷問も原因だ。……だが、あの中にはお前の本体がいる。肉体と今のお前が呼応しているからこそだろう」
「うん。それはあたしも考えた。でも『恐怖』が理由として一番大きいんじゃないかなって。
ここから見えていないからこそ、余計恐ろしいって事もあると思うの」
見える恐怖と見えない恐怖。
どちらがいいかと言われれば、原因や対象がわかっている見える恐怖だろう。
思い出すだけでダメだ。歯がカチカチいいそうになる。
まるで雪女にでもなったみたいに冷たい肌。雪女に転職かぁ。
あ、だめだ。自分の冷たさで凍える雪女っていないや。
「俺がついている。頼りないがダンテもいる。
大丈夫だ、助かる。いや、お前を必ず助ける」
親が子にするように抱き寄せられ、頭をふわり優しく撫でられた。
もちろん黙っていられないのはこの人で。
「おいそれオレの役目」
と、あたしを自分の腕の中に引っ張り、またバージルと火花まで散らして熱心に見つめあってる。
「もう!気持ちはわかるけどそんなに見つめ合わないでよ〜。妬けちゃう」
「「見つめ合ってない!」」
「えー、ハモるくらいなのにねぇ。
殺し合うほど仲良し……似た言葉あったよね」
あ、思い出した。表現的に殺したいほど好きとか愛してるとかそんなのかな。
恋愛では時にそう思う瞬間あるって聞いた。
「何にせよあと少しで決戦の時ってこと。力を溜めなきゃ。あたしも恐怖に負けないよう頑張るね……!
なるべくだけど」
まだ見つめあってたダンテとバージルを放置して一人士気を上げる。
でもこのまま進まないのはもっと困る。二人の肩を叩いてやめさせた。
「それでこの扉はもう潜って平気なの?
くぐり抜ける瞬間に骨でぐわばっ!って食べられたりしない?」
「ああ。この通りだ」
バージルが刀の鞘を向こう側へと伸ばして確認してくれた。
「なら行こ。はい先にダンテねー」
「なんでオレが先なん……押すな押すな狭い!
ディーヴァ、さてはお前らオレを先に行かせて後ろであんなことやこんなことを……」
「んなわけないでしょ。あたしの浮気を疑うのー?」
「ばっか!お前はしなくてもバージルが奪うだろ!」
「馬鹿って言われた……。
バージルはそんな真似しないよ、ほら行った行った」
「あっくそ!」
向こうは狭い空間のよう。
アホで余計すぎることをぬかすダンテは、ぐいぐいと押し込む力を強くして先に行かせる。
「バージル。ダンテがごめんね」
「いやいい」
そしてダンテが作ってくれた轍を進むようにして、あたしとバージルも扉をくぐり抜けて続いた。
扉向こうに広がるのは、腸管という細長い通路だった。
ダンテが言った通り狭くて、臭くて……おまけに蠕動運動の一種なのか、ものすごく揺れて進みづらいし気持ちの悪い動き。
でも前にはダンテ後ろにはバージル……なんて快適!なんて安心安全!
これだけで冷えた体には熱が戻りそうな気分だよね。場所が許せばるんるんとスキップしたくなるほどだ。
ただ、ダンテにはもうちょっと早く進んで欲しい。
「おい。食われたくなかったら立ち止まるなよ」
「立ち止まりたく無いけど狭いんだもの。ダンテが遅いし」
「遅くてすみませんね!
前を進むオレが一番狭く感じる役なんだからな?少しはオレの気持ちになれよ、ったく!」
ちょっと言い返せば、ダンテが被せるように大きく文句を言った。バージルは……気にしてないみたい。
涼しい顔で受け流して冷静だった。
もしかしてこの場所の通り方に慣れてる?
「進みづらければ足踏みでもいい、とにかく立ち止まることだけは避けろ」
「え、うんわかった。
でも食べられちゃうってどういうこと?悪魔は見当たらないし気配もなさそうだけど」
「ああ、それはだな……」
「このクソ、狭すぎだな……っ!」
体内って外敵やウイルスの侵入を防ぐためか、やたら狭いし異物を押し戻そうとするものね。正常な生き物の体の内部そのもの。
異物扱いされてるし、うれしくはないけどね。
だから狭いし、通りにくいのが腹立つのはよくわかるけど、あたしはバージルの言葉を聞きたかったな。
バージルの言葉を遮ったダンテが、肉壁を思いきり殴りつけたのだ。……イフリートで。
熱さにへしゃげ、少し通りやすくなったのはいいけども。
ダンテは足元がお留守だった。
ぼこっ!何かがダンテめがけて地面から飛び出てきた。
が、殴ったばかりの壁に両手をついて足を持ち上げたからか、なんとかことなきを得たダンテ。
……よかったね、反射神経がよくて。
「なんだ今のはっ!?」
あたしから見えたのは、大きな口のような形のものが地面から突き出てきて、ダンテのお尻を齧ろうとする姿だけ。
まるでトラバサミ状の罠のようだった。
「えーと……今のって、魔界産のトラバサミか何か?」
「立ち止まっていると地面から牙の生えた口の悪魔が食事を取りにくる。だからさっさと進めと言ったのだ」
「へ、へえ〜。気配はしなかったけどあれも悪魔なんだぁ」
ああやっぱり。バージルはこの場所に慣れているんだ。
これからはバージルの言うことは、キチンと聞いて守ろうと決めた。
「お前な……早く言えよ」
ちょっとシュールだが、足踏みしながらダンテも前を進み出す。
前を向いたまま、バージルに文句を言うのは忘れない。
「立ち止まるなと言ったのにもたもたしていたのはどこのどいつだ」
「オレですね!」
「言おうと思ったのに話を遮ったのはどこのどいつだ」
「それもオレ!ですね!!」
「……成長しろよ、ダンテ」
「クソッ……!!」
淡々と話すバージルと、叫ぶように返事するダンテ。
バージルが関わると、最近はお兄さんみたいだった大人なダンテもかたなし。
弟って感じがしてしまって、思わず小さな笑みが溢れる。
「ふふっ」
「ちっ!ディーヴァは何笑ってんだ!」
「ごめん」
テメンニグルを登っていた頃を思い出した。……うん、死にそうになったあれやこれやの記憶も一緒に思い出しちゃった。トラウマつらいわ〜〜。
思い出したあれこれを笑い飛ばそうとしたら、またダンテに悪態をつかれた。