mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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ダンテに抱えられたまま腎臓の部屋へと戻ると、骨で閉ざされていた扉が開いて進めるようになっているのに気がついた。
そしてそのそばには見覚えのあるような、あれ?でも見覚えないような人影が。
「骨の扉があいて……るって、バージル!?え、でも服がちがう……!」
『わ、ネロアンジェロ兄貴だ』
「なんだって!?」
あたしのことが心配で前を見てなかったらしいダンテが続いて気がついた。うわ、耳元でおっきな声出さないで。
そして、目の前に立っていたのは、服は違うがまごう事なきバージルだった。
アラストルは変な呼び方したけど。
「ディーヴァ、無事だったか」
「うん、バージルも無事で何より。怪我はしてない?」
「無論。ディーヴァのおかげだ。……まだ魔力量は完全復活とは言い切れんがな」
「そかそか、それはゆっくり回復していこうね」
ダンテを急かして駆け寄らせ、会話する。
あたしを抱きあげているダンテの手からは、少しずつイライラした気配が漂ってきていた。
当然と言えば当然か。
「お前ら目の前のオレを無視して話進めんな撃つぞバージル落とすぞディーヴァ」
「貴様の遅い弾を食らう俺ではない」
「落としちゃヤダ下ろして」
撃つのは冗談にしても、あたしは下ろしてもらって結構。ぺちぺちとダンテの腕を叩き、地面にゆっくりと下ろしてもらう。
落とすぞ、なんて言ってたくせに、ダンテは不安そうだった。
「自分で歩けるのか?」
「あの扉から離れたしダンテがぎゅーって温めてくれたから少しは回復したよ。大丈夫」
手足も冷たいままで、まだかじかんでるけどね。
そうして現れたネロアンジェロもといバージルの姿を間近で確認する。
もうネロアンジェロの格好はしていない。
見覚えある青のコート……とは違うが、バージルは御貴族様が着るような衣装に身を包んでいた。
濃い紫を基調としたベルベットのような生地の衣装。金糸やレースがふんだんに使われ、とても豪華といえる。
「どこかで見たことあるそれはどうした」
「魔界の衣装係を脅し……頼んで作らせた」
「今脅したって言った!?言ったよね?ね!?」
「……聞き間違いだ」
うん、まあ……それ以上聞くのはやめておこうかな。
「しかし、無事だったんだな。悪魔どもにやられたかと思ったぜ」
「たわけが。俺が雑魚に遅れをとるわけがなかろう。貴様の中身がない脳に直接わからせてやろうか?」
チャキ、刀の鯉口を切る音が響いた。
「おいおいオレの脳みそを撒き散らす気か?勘弁しろよ。
それより、複葉機は直したのか?」
「当たり前だ。
魔界の航空整備士とは俺のことだ」
「へーそりゃすご……いやいやいつそんな資格取ったのお兄ちゃん!?」
「今取った事に決めた」
「ハァ?」
双子の会話をBGMに、バージルの服装を今一度確かめる。だってドキドキするんだもの。
紫色を基調とした外套は元からかっこいいから置いておくとして。
なんだろうねその片眼鏡!妙な魅力に溢れてる。そのレンズには魅了呪文かかってるんじゃないかな?って思うくらいかっこいい。フェチが大暴走しそう……!
でもダンテがいる手前、絶対言っちゃだめだよね。
またキレ散らかしそうだもの。お口チャーック!
キレたダンテを諌めるのは骨が折れる。
こっそり見つめていれば、その目とばっちり合った。
「どうした?」
「ううん!あっそういえば、お顔のその文様はまだ消えないんだね!お肌は真っ白けだし……あたしより色白だあ……」
咄嗟に話題を逸らすも、よく考えたら失礼なこと聞いたかもしれない。気にしてたらどうしよう。
だが、嫌な顔一つせず、バージルはさらりと答えた。
「傀儡として動いていた間、俺は屍人と変わらなかったといえる。体は生きていたが、魂が眠らされてマリオネットの状態だった。
この肌はその名残で白いだけだ。
文様も同じ。これが綺麗さっぱり消えるまでには時間がかかるだろうな」
「さしずめ、魔帝に与えられていた魔力の後遺症ってとこだろ?」
「ああ」
「……火傷のあとみたいなもの?」
「まあ、そんなものだ」
「早く……早く消えますように」
「……ああ」
あたしの冷たい手では何もならないかもしれない。
けれどせめて少しでもバージルの体が早く元に戻りますようにと、その手を両手で包み込んで願いを込めた。
「でも、なんで紫のコートなの?どうせ作ってもらうなら青いコートにしたらよかったのに」
場が落ち着けばまた気になるその話題。
作らせたーっていう言葉を使うくらいだ。青いコートに変更くらいできただろうと思う。
「資料と型紙がなくては作れないらしい。あとは、資料通りに作るのが好きな完璧主義者のようでな……。
ファントムとはまたちがう蜘蛛の悪魔だったが、作業がやたら早く的確でそこは良かったんだが、なにぶん融通が利かなかった」
蜘蛛の悪魔かあ。あんまり好きではないけれど、これだけすごい物を作った人なら悪い人、ううん悪い悪魔じゃなさそう。
しかし遠い目をするバージルに向けては、何も言えなかった。
「資料が少ない中やっと見つけた結果がこれだ。スパーダがかつて着ていた衣装だな」
「あ!答えがこのへんまで出かかってたが、言われてみれば親父の服だ。そんな感じの服を着てた気がするぜ」
「ああ。だがまさかこの俺が、スパーダと同じものを着ることになろうとは」
「親子用お揃いパジャマとかあるくらいだ。いいだろ」
「お前な……」
数奇な巡り合わせもあるものだ。
パジャマなんて言われたからか、嫌そうに眉を寄せるバージルを横目に、その衣装にあたしは興味津々。
「ビロードの様な肌触りの滑らかな生地、金糸刺繍の素晴らしさ……すごいね、これそうとうな匠の物じゃない?」
「む、お前にもわかるかディーヴァ」
「それくらいはわかるよ〜。ちょっと触ってもいい?」
「好きにしろ」
お許しいただいたのであたしはコートの端を手に取り、まじまじと観察する。
そして、コートの下を持ち上げてバサリと翻して楽しんだ。いや、遊んでしまった。
だって綺麗なんだもの!!
「いいなぁいいなぁ、綺麗だし翻してみると絹の様な美しさと軽やかさが際立つ……!
こういう生地で作ったドレスとか、着てみたい〜。
はぁー癒し!心なしかいい匂いもするような……」
貴族のコートには香水の成分が含まれているのかもしれない。
高貴なる香りが漂っている気がして、この部屋の匂いを鼻から追い出すように胸いっぱいコートを吸ってしまった。
「ふん。愚弟よ、このディーヴァの反応を見るがいい」
「いやなんでお前がドヤ顔なんだ。
大体スカート捲りよろしくされて嬉しいか?」
「嬉しいに決まっているだろう」
「ああそうかよ……まあ、ディーヴァが喜ぶのならいいんだけどよ」
「だろう?」
ニヤリと笑ってからバージルはあたしの目線の高さに立った。
あたしの顔を見つめて、一体なんだろう。
このコートあったかいから、体に巻きつけたいって思ってるのバレちゃったかな。
そしてそのそばには見覚えのあるような、あれ?でも見覚えないような人影が。
「骨の扉があいて……るって、バージル!?え、でも服がちがう……!」
『わ、ネロアンジェロ兄貴だ』
「なんだって!?」
あたしのことが心配で前を見てなかったらしいダンテが続いて気がついた。うわ、耳元でおっきな声出さないで。
そして、目の前に立っていたのは、服は違うがまごう事なきバージルだった。
アラストルは変な呼び方したけど。
「ディーヴァ、無事だったか」
「うん、バージルも無事で何より。怪我はしてない?」
「無論。ディーヴァのおかげだ。……まだ魔力量は完全復活とは言い切れんがな」
「そかそか、それはゆっくり回復していこうね」
ダンテを急かして駆け寄らせ、会話する。
あたしを抱きあげているダンテの手からは、少しずつイライラした気配が漂ってきていた。
当然と言えば当然か。
「お前ら目の前のオレを無視して話進めんな撃つぞバージル落とすぞディーヴァ」
「貴様の遅い弾を食らう俺ではない」
「落としちゃヤダ下ろして」
撃つのは冗談にしても、あたしは下ろしてもらって結構。ぺちぺちとダンテの腕を叩き、地面にゆっくりと下ろしてもらう。
落とすぞ、なんて言ってたくせに、ダンテは不安そうだった。
「自分で歩けるのか?」
「あの扉から離れたしダンテがぎゅーって温めてくれたから少しは回復したよ。大丈夫」
手足も冷たいままで、まだかじかんでるけどね。
そうして現れたネロアンジェロもといバージルの姿を間近で確認する。
もうネロアンジェロの格好はしていない。
見覚えある青のコート……とは違うが、バージルは御貴族様が着るような衣装に身を包んでいた。
濃い紫を基調としたベルベットのような生地の衣装。金糸やレースがふんだんに使われ、とても豪華といえる。
「どこかで見たことあるそれはどうした」
「魔界の衣装係を脅し……頼んで作らせた」
「今脅したって言った!?言ったよね?ね!?」
「……聞き間違いだ」
うん、まあ……それ以上聞くのはやめておこうかな。
「しかし、無事だったんだな。悪魔どもにやられたかと思ったぜ」
「たわけが。俺が雑魚に遅れをとるわけがなかろう。貴様の中身がない脳に直接わからせてやろうか?」
チャキ、刀の鯉口を切る音が響いた。
「おいおいオレの脳みそを撒き散らす気か?勘弁しろよ。
それより、複葉機は直したのか?」
「当たり前だ。
魔界の航空整備士とは俺のことだ」
「へーそりゃすご……いやいやいつそんな資格取ったのお兄ちゃん!?」
「今取った事に決めた」
「ハァ?」
双子の会話をBGMに、バージルの服装を今一度確かめる。だってドキドキするんだもの。
紫色を基調とした外套は元からかっこいいから置いておくとして。
なんだろうねその片眼鏡!妙な魅力に溢れてる。そのレンズには魅了呪文かかってるんじゃないかな?って思うくらいかっこいい。フェチが大暴走しそう……!
でもダンテがいる手前、絶対言っちゃだめだよね。
またキレ散らかしそうだもの。お口チャーック!
キレたダンテを諌めるのは骨が折れる。
こっそり見つめていれば、その目とばっちり合った。
「どうした?」
「ううん!あっそういえば、お顔のその文様はまだ消えないんだね!お肌は真っ白けだし……あたしより色白だあ……」
咄嗟に話題を逸らすも、よく考えたら失礼なこと聞いたかもしれない。気にしてたらどうしよう。
だが、嫌な顔一つせず、バージルはさらりと答えた。
「傀儡として動いていた間、俺は屍人と変わらなかったといえる。体は生きていたが、魂が眠らされてマリオネットの状態だった。
この肌はその名残で白いだけだ。
文様も同じ。これが綺麗さっぱり消えるまでには時間がかかるだろうな」
「さしずめ、魔帝に与えられていた魔力の後遺症ってとこだろ?」
「ああ」
「……火傷のあとみたいなもの?」
「まあ、そんなものだ」
「早く……早く消えますように」
「……ああ」
あたしの冷たい手では何もならないかもしれない。
けれどせめて少しでもバージルの体が早く元に戻りますようにと、その手を両手で包み込んで願いを込めた。
「でも、なんで紫のコートなの?どうせ作ってもらうなら青いコートにしたらよかったのに」
場が落ち着けばまた気になるその話題。
作らせたーっていう言葉を使うくらいだ。青いコートに変更くらいできただろうと思う。
「資料と型紙がなくては作れないらしい。あとは、資料通りに作るのが好きな完璧主義者のようでな……。
ファントムとはまたちがう蜘蛛の悪魔だったが、作業がやたら早く的確でそこは良かったんだが、なにぶん融通が利かなかった」
蜘蛛の悪魔かあ。あんまり好きではないけれど、これだけすごい物を作った人なら悪い人、ううん悪い悪魔じゃなさそう。
しかし遠い目をするバージルに向けては、何も言えなかった。
「資料が少ない中やっと見つけた結果がこれだ。スパーダがかつて着ていた衣装だな」
「あ!答えがこのへんまで出かかってたが、言われてみれば親父の服だ。そんな感じの服を着てた気がするぜ」
「ああ。だがまさかこの俺が、スパーダと同じものを着ることになろうとは」
「親子用お揃いパジャマとかあるくらいだ。いいだろ」
「お前な……」
数奇な巡り合わせもあるものだ。
パジャマなんて言われたからか、嫌そうに眉を寄せるバージルを横目に、その衣装にあたしは興味津々。
「ビロードの様な肌触りの滑らかな生地、金糸刺繍の素晴らしさ……すごいね、これそうとうな匠の物じゃない?」
「む、お前にもわかるかディーヴァ」
「それくらいはわかるよ〜。ちょっと触ってもいい?」
「好きにしろ」
お許しいただいたのであたしはコートの端を手に取り、まじまじと観察する。
そして、コートの下を持ち上げてバサリと翻して楽しんだ。いや、遊んでしまった。
だって綺麗なんだもの!!
「いいなぁいいなぁ、綺麗だし翻してみると絹の様な美しさと軽やかさが際立つ……!
こういう生地で作ったドレスとか、着てみたい〜。
はぁー癒し!心なしかいい匂いもするような……」
貴族のコートには香水の成分が含まれているのかもしれない。
高貴なる香りが漂っている気がして、この部屋の匂いを鼻から追い出すように胸いっぱいコートを吸ってしまった。
「ふん。愚弟よ、このディーヴァの反応を見るがいい」
「いやなんでお前がドヤ顔なんだ。
大体スカート捲りよろしくされて嬉しいか?」
「嬉しいに決まっているだろう」
「ああそうかよ……まあ、ディーヴァが喜ぶのならいいんだけどよ」
「だろう?」
ニヤリと笑ってからバージルはあたしの目線の高さに立った。
あたしの顔を見つめて、一体なんだろう。
このコートあったかいから、体に巻きつけたいって思ってるのバレちゃったかな。