mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あたしは大丈夫…………ね?」
じっと見つめればダンテの怒りが、まるで風船が萎むみたいに収まっていく。
一瞬ののち、いつも通り少し落ち着いたダンテがそこにいた。
「はあ……わかった」
「うん、まずはあの封印をどうにかしなきゃね。いくら扉を叩いても今のままじゃ意味がなさそう。
だってあれだけ大きな扉だもんね。きっと中には届いてない。声も、衝撃も」
そしてダンテの、怒りに乗せた悲痛な想いすらも……。
「今の状態でいくら攻撃しても、ダンテが傷つくだけ。そんなのあたしがやだ」
そっとダンテの頬に手を這わす。
「何のためにさっき体力を回復したの?
ちゅーしたのは、何のため?
ただ愛を、絆を確かめるためにしたわけじゃないでしょ」
今一度、小さくキスを落とす。
ダンテの瞳の中に、青い顔で震えるあたしの姿が映っていた。
「……すまん。頭に血が上っていたみたいだ」
「いいよ。ダンテが怒ってくれた理由は嬉しいことだから……ひゃあ!」
ぎゅうぎゅうとダンテの腕の中に閉じ込められ、苦しさに押し潰されそうだ。
潰れる前に体を叩いて気がつかせなければ、本当にぺちゃんこだったかも!
「すまん!!
あ、じゃあこの部屋で他にできることといえば、だが」
「それはあちらをご覧ください」
息を整えながら、手を扉よりも左の方角へと向ける。
そこには扉のものとは違う形状の悪魔の封印が施され、ほの赤くゆらめいていた。
「あれか」
「明らかにそうじゃない?
簡易的なもののようだけど、施された封印が自己主張してる」
あたしを抱えて足場を次々に跳び、それの前に降り立つ。
それは封印が施された血管状の管に、出来上がった謎の瘤だった。
「この瘤は一体なんだ。斬っちゃって大丈夫なんだろうか。
……なあ、斬っていいか?」
アラストルの切先を当て、でもあたしに聞き返してくるダンテ。
だが、先にGOサインを出したのはそのアラストルだった。
『こういう封印のされ方してるものはどんどん斬っていいと思う。
壊せ壊せ、ぶっ壊せ!』
「あたしも同意ー。というか、いちいちあたしに許可取らないでいいよ?
ここまできたら何やってもそうは変わらない気がするもの」
アラストルと同意見。あたしも半魔●ケモン・ダンテへ「きりさく」をお願いする。
「そうだな。今更どこをどう破壊しようが何が起ころうが、オレは魔帝をぶっ倒す。そして魔界の均衡は崩れる。悪魔の世界は終わる。
そこに至る道が多少変わろうと、結果に大した違いはない」
言うが早いか、スパッと封印を斬り、解除する。
すると瘤を留めるものがなくなり、管の流れに乗って消えていった。
瘤がなくなった代わりに、管が脈動を開始する。
「おいアレ流れてったぞ。ホントに大丈夫だろうな……」
違いはないと言ったのはダンテなのに、また不安がっている。
気持ちはわからないでもないけど、ここまで来たらあとはもうなるようにしかならない。
あたしだって怖いのだ。
できるだけダンテにはどっしり構えていてほしいなぁ。
ダンテ、しっかり!
「あれはきっと血栓のようなものだったんじゃない?静脈瘤みたいに」
「血栓ねぇ……。
血栓っていうとあれだろ、大事な血管や臓器に詰まると心筋梗塞とか脳梗塞ってやつ?になる原因の一つ」
「そうそれ。現代病の一つだよ。忍び寄る病魔!こわいよねー。
……ダンテの血管の中にもあるかもよ〜?」
突如声を低くして紡いだ言葉に、ダンテがびびってあたしを見た。
「な、なんでだよ……あるわけないだろ。オレは半分悪魔だぞ」
「つまり半分は人間。ピザにストロベリーサンデー。そういう体に悪そうな物がだいすきだもんね」
人間の部分もあるんだから、食べたものの栄養次第で健康被害は出るはず。今は出なくても、いつか出る!
これで少しでも嗜好を省みて自分からお野菜摂るようにしてくれればめっけもん。
大事な人の体だもの。健康にはもうちょっと気をつけてほしい。
きっと、ダンテのパパさんママさんも息子達の健康を心配してる。
あっ、バージルのご飯も偏ってそうだよね。むしろ食べてない気がする。
「悪魔狩りっていう運動もしてるから、何が好物だろうと平気だろ?
そういうお前こそ、半分悪魔でもないのに普段からオレと同じくらい食べてるだろうが」
「あたしの体は成長してなくて若いから、新陳代謝激しいんですぅー!運動だって夜にダンテと……あっ」
大喰らいって言いたいのね!
と、言い返してたらダンテみたいな事を言っちゃった。これもどれもあれもそれも、ダンテのせいだ!!
「あーあ、言ったな。夜にオレとベッドで運動ってか?」
「……ダンテに影響されて変なこと言っちゃっただけだもの……」
「くっ」
「ぷっ」
「はははは!」
「あははは!」
口を尖らせて抗議すれば何がおかしかったかお互い笑ってしまって、しばらく声が止まらなかった。
「はぁ、笑った……。
魔界っつー肉体の脳みそとか心臓に詰まって、魔界ごと崩壊しちまえばいいのにな」
「あはは、そうだね。それならラクなのにね。
……あっ」
笑ったのが意外に体力を使ったのか、動いたら激しく立ちくらみが。
またもダンテの服にダイブしてしまった。
「ごめん、またクラクラしちゃって。
まさか笑い転げただけでよろめくなんてね」
「笑ったけど転がっちゃいないだろ。
本当に大丈夫か?ディーヴァの顔、真っ青だぞ」
抱き留めたダンテがあたしの顔を詳しくチェックする。
手袋を外してぺたぺたと肌に触れるダンテの手のひらがあたたかく、そして気持ちよくて、目を閉じて全てを委ねたくなる。
「魔帝が消えて魔界から出て、おうちに帰れれば大丈夫……だと思う」
「簡単に言ってくれるぜ」
「むり?」
一言返せば、真っ直ぐな目で答えてきた。
「すぐにでも。
魔帝のヤローを倒してお前が安心できるようにする」
その目だけで安心できちゃうね。
「うん……頼んだよ、ダンテ」
「まかせろ」
ただ、ダンテの手のひらもダンテの体もあたたかくて。包まれているあたしも暖かいはずなのに。
なのに寒い。さらに冷えてきた……。
ああ、あたしの心臓の音も、うるさいなあ……。
扉に近づいたらこうなった。どんどん寒くて痛くて悲しくてつらくなっていく。気持ちも沈んでいく。
魔帝のことは早く倒して欲しいけど、本音を言うならあの部屋には入りたくない。
あたしはどうなっちゃうの?あたしの体はどうなっているの?
知るのがとてもこわい。
「はやく、戻ろ?部屋の構造が変わってるかもしれないよ」
「……そうだな」
極寒の地にいるときのような凍えた息を吐き出しながら、あたしは震える声音でダンテにそう懇願した。
じっと見つめればダンテの怒りが、まるで風船が萎むみたいに収まっていく。
一瞬ののち、いつも通り少し落ち着いたダンテがそこにいた。
「はあ……わかった」
「うん、まずはあの封印をどうにかしなきゃね。いくら扉を叩いても今のままじゃ意味がなさそう。
だってあれだけ大きな扉だもんね。きっと中には届いてない。声も、衝撃も」
そしてダンテの、怒りに乗せた悲痛な想いすらも……。
「今の状態でいくら攻撃しても、ダンテが傷つくだけ。そんなのあたしがやだ」
そっとダンテの頬に手を這わす。
「何のためにさっき体力を回復したの?
ちゅーしたのは、何のため?
ただ愛を、絆を確かめるためにしたわけじゃないでしょ」
今一度、小さくキスを落とす。
ダンテの瞳の中に、青い顔で震えるあたしの姿が映っていた。
「……すまん。頭に血が上っていたみたいだ」
「いいよ。ダンテが怒ってくれた理由は嬉しいことだから……ひゃあ!」
ぎゅうぎゅうとダンテの腕の中に閉じ込められ、苦しさに押し潰されそうだ。
潰れる前に体を叩いて気がつかせなければ、本当にぺちゃんこだったかも!
「すまん!!
あ、じゃあこの部屋で他にできることといえば、だが」
「それはあちらをご覧ください」
息を整えながら、手を扉よりも左の方角へと向ける。
そこには扉のものとは違う形状の悪魔の封印が施され、ほの赤くゆらめいていた。
「あれか」
「明らかにそうじゃない?
簡易的なもののようだけど、施された封印が自己主張してる」
あたしを抱えて足場を次々に跳び、それの前に降り立つ。
それは封印が施された血管状の管に、出来上がった謎の瘤だった。
「この瘤は一体なんだ。斬っちゃって大丈夫なんだろうか。
……なあ、斬っていいか?」
アラストルの切先を当て、でもあたしに聞き返してくるダンテ。
だが、先にGOサインを出したのはそのアラストルだった。
『こういう封印のされ方してるものはどんどん斬っていいと思う。
壊せ壊せ、ぶっ壊せ!』
「あたしも同意ー。というか、いちいちあたしに許可取らないでいいよ?
ここまできたら何やってもそうは変わらない気がするもの」
アラストルと同意見。あたしも半魔●ケモン・ダンテへ「きりさく」をお願いする。
「そうだな。今更どこをどう破壊しようが何が起ころうが、オレは魔帝をぶっ倒す。そして魔界の均衡は崩れる。悪魔の世界は終わる。
そこに至る道が多少変わろうと、結果に大した違いはない」
言うが早いか、スパッと封印を斬り、解除する。
すると瘤を留めるものがなくなり、管の流れに乗って消えていった。
瘤がなくなった代わりに、管が脈動を開始する。
「おいアレ流れてったぞ。ホントに大丈夫だろうな……」
違いはないと言ったのはダンテなのに、また不安がっている。
気持ちはわからないでもないけど、ここまで来たらあとはもうなるようにしかならない。
あたしだって怖いのだ。
できるだけダンテにはどっしり構えていてほしいなぁ。
ダンテ、しっかり!
「あれはきっと血栓のようなものだったんじゃない?静脈瘤みたいに」
「血栓ねぇ……。
血栓っていうとあれだろ、大事な血管や臓器に詰まると心筋梗塞とか脳梗塞ってやつ?になる原因の一つ」
「そうそれ。現代病の一つだよ。忍び寄る病魔!こわいよねー。
……ダンテの血管の中にもあるかもよ〜?」
突如声を低くして紡いだ言葉に、ダンテがびびってあたしを見た。
「な、なんでだよ……あるわけないだろ。オレは半分悪魔だぞ」
「つまり半分は人間。ピザにストロベリーサンデー。そういう体に悪そうな物がだいすきだもんね」
人間の部分もあるんだから、食べたものの栄養次第で健康被害は出るはず。今は出なくても、いつか出る!
これで少しでも嗜好を省みて自分からお野菜摂るようにしてくれればめっけもん。
大事な人の体だもの。健康にはもうちょっと気をつけてほしい。
きっと、ダンテのパパさんママさんも息子達の健康を心配してる。
あっ、バージルのご飯も偏ってそうだよね。むしろ食べてない気がする。
「悪魔狩りっていう運動もしてるから、何が好物だろうと平気だろ?
そういうお前こそ、半分悪魔でもないのに普段からオレと同じくらい食べてるだろうが」
「あたしの体は成長してなくて若いから、新陳代謝激しいんですぅー!運動だって夜にダンテと……あっ」
大喰らいって言いたいのね!
と、言い返してたらダンテみたいな事を言っちゃった。これもどれもあれもそれも、ダンテのせいだ!!
「あーあ、言ったな。夜にオレとベッドで運動ってか?」
「……ダンテに影響されて変なこと言っちゃっただけだもの……」
「くっ」
「ぷっ」
「はははは!」
「あははは!」
口を尖らせて抗議すれば何がおかしかったかお互い笑ってしまって、しばらく声が止まらなかった。
「はぁ、笑った……。
魔界っつー肉体の脳みそとか心臓に詰まって、魔界ごと崩壊しちまえばいいのにな」
「あはは、そうだね。それならラクなのにね。
……あっ」
笑ったのが意外に体力を使ったのか、動いたら激しく立ちくらみが。
またもダンテの服にダイブしてしまった。
「ごめん、またクラクラしちゃって。
まさか笑い転げただけでよろめくなんてね」
「笑ったけど転がっちゃいないだろ。
本当に大丈夫か?ディーヴァの顔、真っ青だぞ」
抱き留めたダンテがあたしの顔を詳しくチェックする。
手袋を外してぺたぺたと肌に触れるダンテの手のひらがあたたかく、そして気持ちよくて、目を閉じて全てを委ねたくなる。
「魔帝が消えて魔界から出て、おうちに帰れれば大丈夫……だと思う」
「簡単に言ってくれるぜ」
「むり?」
一言返せば、真っ直ぐな目で答えてきた。
「すぐにでも。
魔帝のヤローを倒してお前が安心できるようにする」
その目だけで安心できちゃうね。
「うん……頼んだよ、ダンテ」
「まかせろ」
ただ、ダンテの手のひらもダンテの体もあたたかくて。包まれているあたしも暖かいはずなのに。
なのに寒い。さらに冷えてきた……。
ああ、あたしの心臓の音も、うるさいなあ……。
扉に近づいたらこうなった。どんどん寒くて痛くて悲しくてつらくなっていく。気持ちも沈んでいく。
魔帝のことは早く倒して欲しいけど、本音を言うならあの部屋には入りたくない。
あたしはどうなっちゃうの?あたしの体はどうなっているの?
知るのがとてもこわい。
「はやく、戻ろ?部屋の構造が変わってるかもしれないよ」
「……そうだな」
極寒の地にいるときのような凍えた息を吐き出しながら、あたしは震える声音でダンテにそう懇願した。