mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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また少し絆を深めあったあたし達が筋を破壊して進んだ次の部屋は、そこそこの広さを持っていた。
複数の足場が点在しており、その足場の下には謎の水が溜まっている。中央には大きな……臓器?
臓器形の物体があるのを目にし、いよいよ体の中という感じがしてくる。
形がリアルで気持ち悪い。
……それにこの匂いも。
「匂うね。臓器のせいかな、それとも下に溜まった水のせい?」
「全部が臭い。けど、下の水も異様な臭いがしてるぜ。……おりたくねぇ」
地下水が流れているように見えるのに、その臭いは強烈。
血の匂いとはまた違う鉄臭さが、この生ぬるい空気の中で漂って届く。
「体の中なんだし、リンパ液とか組織液なのかなぁ……もしそうならベタベタしそうで気持ち悪いし、落ちないようにしようね」
「リンパ?組織?なんだそれ」
ダンテは怪我をしても治ってしまうことから、こういった単語に馴染みがなかったらしい。
こういうのなんていえばいいんだろう。あたしは文系である。そりゃちょっとは知ってるけどさ。
「血小板……の話だと専門的になっちゃうしあたしもそこまでお勉強してないからなぁ。
体の中でホルモンとか栄養とかを運んでたりする、血液以外の体液だよ。リンパ液っていうのも組織液の一種。
ほら、火傷すると水疱ができるでしょ?水疱に入ってる水みたいなのも組織液らしいよ」
「火傷してもンなもんができる前に治るからわからん」
火傷で言えばわかりやすかろうと思ったが、それでも馴染みはなかったよう。
火傷も水疱ができる前に治るのか〜そうかそうか〜!
半分悪魔羨ましい。
「ほーんと羨ましいことで」
その時ダンテが口をパカッと開けた。何か思い出したみたい。
もしかしてテレビで見たことある話題だったかな?
「ちょい待ち。ホルモン?……モン?……フェロモン!
なるほど、えろいこと考えた時の我慢じ『はーいそれ以上言わないでおこうね』ゔお゛おおおおお!?」
……違ったみたい。アラストルが黙らせてるや。
そのままツルッと足を滑らせて落ちそうになってたけど、間一髪エアハイクで落ちずに戻ってきた。よかったね。
「あぶねぇな。
アラストル、お前の電気ショックってある意味トリッシュより強いんだからな。気をつけろ!
なあディーヴァもなんとか言ってやってくれよ」
それはダンテが悪いと思う。
すーぐそういう話に結びつけるんだから。
まあ、あたしの気持ちやこの空気を和らげるためだっていうのもわかってるんだけどね。
「なんとか。はい言ったー」
「ひどすぎないか」
「だって死ぬほどのすごい電気ショックじゃないんでしょ?アラストルはその辺の加減できるんだし大丈夫だよ。ダンテも生きてるし」
「ちょっとした落雷ほどの威力はあると思うぞ……お前なら死ぬぞ……」
うんでも他に言葉はあったかもしれないね。
同じ目に合ったのがあたしなら、ダンテがいうように確実に死んでるし。
あたしは言葉の代わりに、ダンテの指に自分の指を絡めてそっと握った。
意味に気がついて握り返された手が、とてもあたたかい。
「それよりあれって心臓……だよね?」
「どっからどうみてもそうだな、動いてないが」
部屋の中に存在を主張している大きな臓器。
それはテレビや本で見る心臓の形そのまま。悪魔の心臓もあの形してるんだなぁ。なーんて、その気持ち悪さから目を逸らしたいがために思考を逃しかけた。
「ここ全体が悪魔だったとしての心臓だよね?なんで動いてないの?ほかは気持ち悪いくらい蠢いてるのに……不思議……」
一番気になるのが、それ。
心臓が動かないと生き物は死んでしまう。悪魔だって同じじゃない?
心臓がわりに核がある悪魔は核がその役割をしているだろうけど、これだけ大きな心臓の持ち主なら、これを動かさないと生きられないのでは?
「仮死状態なんだろ。
ほら、あの馬鹿みたいにでかい扉に、心臓からの太い血管が繋がってるぜ。関係あるんじゃないか」
そう言われ嫌な気配が漏れていた扉に、ここに来て初めて目を向ける。
大きな大きな扉。悪魔の封印が何重にも施され、すべての者の侵入を防いでいた。
「あー……なんだか見覚えある扉なんだよね……」
だめだ。見ているだけで気分が悪くなってくる。
貧血にも似た感覚。目が回ったあたしはその場に立っていられず、ダンテにしがみついて寄りかかった。
「!!
どうした大丈夫かディーヴァ!?
この中は臭いもやばいし酔ったのか?大丈夫か?吐くか!?」
吐くかって……。エチケット袋だってないのにどうするのさ。
車酔いじゃないんだから。
それに臭いがやばいのは元からだし、すでに鼻が曲がってて吐くのを通り越してるよ。
言いたいけど、目が回ってそれどころじゃない。
目を開いてみたら、目に入る全てが何重にも見えてそれが視界の中で回転していた。
無理やり視界を見つめて慣らしていくと、画像はひとつになり、心配そうに覗きこむダンテの姿になった。
アレを、扉の方を見ないようにするとなおよし。
やっと声も出せそう。
「吐かない……けど、凶悪で嫌な気配があの中から……」
扉は目にせず、指でさししめす。
「あそこか。悪魔の封印が多重に施されてるよな。
まさに悪の親玉がこの先にいます、と言ってるようなもんだ」
体を支えてくれていたダンテが、扉を睨みつけ、あたしの体から手を離した。
「ああ、オレはなんですぐきがつかなかったんだ」
「…………ダン、テ?」
「漏れてきてる」
「何……が?」
立ち上がったダンテが小さく言葉を放つ。
扉を見ないように、けれど目の前に立つダンテの後ろ姿を見つめる。
「凶悪で強大で、胸糞悪い掃き溜めのでかい気配。
そして掃き溜めに鶴……とでも言わんばかりに聖なる気配が小さく一つ。……きっとそれがディーヴァの身体だ」
その背中からは、怒気が魔力の渦となってあふれていた。
膨れ上がった怒気が、魔人化という形で現れた。
雷の魔人に姿を変えたダンテが扉に突撃し、幾度となく雷を落とす。
イフリートの炎以上に、ダンテは怒りに燃えていた。
「おいっ!今すぐあけろ!開けろぉ!!
ムンドゥス!ぶっ殺してやる!返せ!!オレから奪ったもの全部返せ!!」
強力な紫電が辺りに舞い、壁をも抉り取る。それでも悪魔の封印には傷一つ入らなかった。
反対に、無傷の悪魔の封印からはダンテに向けて不可視の拳が叩きつけられる。
魔人化も封印には勝てなかった。
「グッ……!くそ、ふざけやがって……」
拳で叩きつけられ、さらに軽々と弾き飛ばされたダンテがあたしの元へと返ってきた。
あちらからの意味合いは、顔を洗って出直しな、といったところだろうか。
ダンテの顔にはまだ、扉向こうへの怒りが浮かんでいた。
「ダンテ。
気が急くのはわかるけど落ち着いて。大丈夫だから……。その殺意は少しの間抑えて」
「けどディーヴァ……!」
奥歯を噛み締めてるのか、ギリギリとダンテの歯がなっている。
その気持ちを鎮めるのは苦労するだろう。わかる。あたしの中にも、恐怖と共に渦巻いてるから。
でも、今はまだそれを発散させずにいてほしい。きっとその怒りは、ダンテにとっての力に変わる。……とかあたしは思ってる。
人間って感情ひとつで元気百倍になったり、すごいパワー発揮したりするでしょ?それと同じで。
複数の足場が点在しており、その足場の下には謎の水が溜まっている。中央には大きな……臓器?
臓器形の物体があるのを目にし、いよいよ体の中という感じがしてくる。
形がリアルで気持ち悪い。
……それにこの匂いも。
「匂うね。臓器のせいかな、それとも下に溜まった水のせい?」
「全部が臭い。けど、下の水も異様な臭いがしてるぜ。……おりたくねぇ」
地下水が流れているように見えるのに、その臭いは強烈。
血の匂いとはまた違う鉄臭さが、この生ぬるい空気の中で漂って届く。
「体の中なんだし、リンパ液とか組織液なのかなぁ……もしそうならベタベタしそうで気持ち悪いし、落ちないようにしようね」
「リンパ?組織?なんだそれ」
ダンテは怪我をしても治ってしまうことから、こういった単語に馴染みがなかったらしい。
こういうのなんていえばいいんだろう。あたしは文系である。そりゃちょっとは知ってるけどさ。
「血小板……の話だと専門的になっちゃうしあたしもそこまでお勉強してないからなぁ。
体の中でホルモンとか栄養とかを運んでたりする、血液以外の体液だよ。リンパ液っていうのも組織液の一種。
ほら、火傷すると水疱ができるでしょ?水疱に入ってる水みたいなのも組織液らしいよ」
「火傷してもンなもんができる前に治るからわからん」
火傷で言えばわかりやすかろうと思ったが、それでも馴染みはなかったよう。
火傷も水疱ができる前に治るのか〜そうかそうか〜!
半分悪魔羨ましい。
「ほーんと羨ましいことで」
その時ダンテが口をパカッと開けた。何か思い出したみたい。
もしかしてテレビで見たことある話題だったかな?
「ちょい待ち。ホルモン?……モン?……フェロモン!
なるほど、えろいこと考えた時の我慢じ『はーいそれ以上言わないでおこうね』ゔお゛おおおおお!?」
……違ったみたい。アラストルが黙らせてるや。
そのままツルッと足を滑らせて落ちそうになってたけど、間一髪エアハイクで落ちずに戻ってきた。よかったね。
「あぶねぇな。
アラストル、お前の電気ショックってある意味トリッシュより強いんだからな。気をつけろ!
なあディーヴァもなんとか言ってやってくれよ」
それはダンテが悪いと思う。
すーぐそういう話に結びつけるんだから。
まあ、あたしの気持ちやこの空気を和らげるためだっていうのもわかってるんだけどね。
「なんとか。はい言ったー」
「ひどすぎないか」
「だって死ぬほどのすごい電気ショックじゃないんでしょ?アラストルはその辺の加減できるんだし大丈夫だよ。ダンテも生きてるし」
「ちょっとした落雷ほどの威力はあると思うぞ……お前なら死ぬぞ……」
うんでも他に言葉はあったかもしれないね。
同じ目に合ったのがあたしなら、ダンテがいうように確実に死んでるし。
あたしは言葉の代わりに、ダンテの指に自分の指を絡めてそっと握った。
意味に気がついて握り返された手が、とてもあたたかい。
「それよりあれって心臓……だよね?」
「どっからどうみてもそうだな、動いてないが」
部屋の中に存在を主張している大きな臓器。
それはテレビや本で見る心臓の形そのまま。悪魔の心臓もあの形してるんだなぁ。なーんて、その気持ち悪さから目を逸らしたいがために思考を逃しかけた。
「ここ全体が悪魔だったとしての心臓だよね?なんで動いてないの?ほかは気持ち悪いくらい蠢いてるのに……不思議……」
一番気になるのが、それ。
心臓が動かないと生き物は死んでしまう。悪魔だって同じじゃない?
心臓がわりに核がある悪魔は核がその役割をしているだろうけど、これだけ大きな心臓の持ち主なら、これを動かさないと生きられないのでは?
「仮死状態なんだろ。
ほら、あの馬鹿みたいにでかい扉に、心臓からの太い血管が繋がってるぜ。関係あるんじゃないか」
そう言われ嫌な気配が漏れていた扉に、ここに来て初めて目を向ける。
大きな大きな扉。悪魔の封印が何重にも施され、すべての者の侵入を防いでいた。
「あー……なんだか見覚えある扉なんだよね……」
だめだ。見ているだけで気分が悪くなってくる。
貧血にも似た感覚。目が回ったあたしはその場に立っていられず、ダンテにしがみついて寄りかかった。
「!!
どうした大丈夫かディーヴァ!?
この中は臭いもやばいし酔ったのか?大丈夫か?吐くか!?」
吐くかって……。エチケット袋だってないのにどうするのさ。
車酔いじゃないんだから。
それに臭いがやばいのは元からだし、すでに鼻が曲がってて吐くのを通り越してるよ。
言いたいけど、目が回ってそれどころじゃない。
目を開いてみたら、目に入る全てが何重にも見えてそれが視界の中で回転していた。
無理やり視界を見つめて慣らしていくと、画像はひとつになり、心配そうに覗きこむダンテの姿になった。
アレを、扉の方を見ないようにするとなおよし。
やっと声も出せそう。
「吐かない……けど、凶悪で嫌な気配があの中から……」
扉は目にせず、指でさししめす。
「あそこか。悪魔の封印が多重に施されてるよな。
まさに悪の親玉がこの先にいます、と言ってるようなもんだ」
体を支えてくれていたダンテが、扉を睨みつけ、あたしの体から手を離した。
「ああ、オレはなんですぐきがつかなかったんだ」
「…………ダン、テ?」
「漏れてきてる」
「何……が?」
立ち上がったダンテが小さく言葉を放つ。
扉を見ないように、けれど目の前に立つダンテの後ろ姿を見つめる。
「凶悪で強大で、胸糞悪い掃き溜めのでかい気配。
そして掃き溜めに鶴……とでも言わんばかりに聖なる気配が小さく一つ。……きっとそれがディーヴァの身体だ」
その背中からは、怒気が魔力の渦となってあふれていた。
膨れ上がった怒気が、魔人化という形で現れた。
雷の魔人に姿を変えたダンテが扉に突撃し、幾度となく雷を落とす。
イフリートの炎以上に、ダンテは怒りに燃えていた。
「おいっ!今すぐあけろ!開けろぉ!!
ムンドゥス!ぶっ殺してやる!返せ!!オレから奪ったもの全部返せ!!」
強力な紫電が辺りに舞い、壁をも抉り取る。それでも悪魔の封印には傷一つ入らなかった。
反対に、無傷の悪魔の封印からはダンテに向けて不可視の拳が叩きつけられる。
魔人化も封印には勝てなかった。
「グッ……!くそ、ふざけやがって……」
拳で叩きつけられ、さらに軽々と弾き飛ばされたダンテがあたしの元へと返ってきた。
あちらからの意味合いは、顔を洗って出直しな、といったところだろうか。
ダンテの顔にはまだ、扉向こうへの怒りが浮かんでいた。
「ダンテ。
気が急くのはわかるけど落ち着いて。大丈夫だから……。その殺意は少しの間抑えて」
「けどディーヴァ……!」
奥歯を噛み締めてるのか、ギリギリとダンテの歯がなっている。
その気持ちを鎮めるのは苦労するだろう。わかる。あたしの中にも、恐怖と共に渦巻いてるから。
でも、今はまだそれを発散させずにいてほしい。きっとその怒りは、ダンテにとっての力に変わる。……とかあたしは思ってる。
人間って感情ひとつで元気百倍になったり、すごいパワー発揮したりするでしょ?それと同じで。