mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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「ガァウウウウ!」
「新手か」
竜の骨が崩れる物音で気付かれたのか、そこに違う悪魔が二体登場した。
この暑く熱い場所にはおよそ似つかわしくない悪魔だ。
「ほう……お前達の方が俺を満足させてくれそうだな」
氷の悪魔フロスト。
魔帝が作り出した悪魔の精鋭部隊の中でもトップクラスの実力を誇るこいつら。
食道箇所でも相手にしたが、あの時はネロアンジェロの装備のままだった。
今は自身の体に馴染む刀を手にしている。少しは楽しませろ。
「「ギャオオオオウ!」」
二体同時に爪を構えて飛びかかってくる。
防ぐこともせず、俺は疾走しながら居合でそれを薙ぎ払った。
フロストの氷でできた爪が砕け散り、氷の礫が降り注ぐ。
熱い地に落ちたそれは、一瞬で溶ける。
フロストは何が起きたか分からなかった様だ。消えた爪の先を不思議そうに眺め、そして理解した時には遅い。
俺が斬り上げた刀によって、宙へ身を投げ出していた。
「ふっ……ハァっ!」
フロストを追い、上空から振り下ろす切先。
その脳天に食い込んだ剣筋そのままに地に叩きつけられた悪魔は、断末魔の悲鳴を残して消滅する。
まずは一匹。もう一匹はどこだ。
地表からの熱さにも耐えられなかったのだろう、もう一匹が上にある足場から氷柱の様なものを複数飛ばしてきた。
死角からとは卑怯な奴め。
「……来い」
刀を振ってそれを弾き返し挑発する。
フロストは怒り狂ったのか咆哮をあげてその姿を消した。
高速で移動し現れた先で攻撃を再開する、エアトリックに近いものだ。
ならば……。
俺は相手の気配が現れたと同時、自身もエアトリックで姿を消して相手の頭上を取った。
氷の技を放とうとしていたのだろうか。そうはさせんぞ。
だがそうではなかった。
ガキン!
刀が弾かれた!!
技を放つ動作を途中でやめた奴は、回復のための氷に体を包ませ、完全な防御に回った。
「ちっ……!」
回復されればまた一から戦わねばならない。そんな面倒ごとはごめんだ。
回復の氷ごと、破壊してやる。
氷に斬撃を繰り返す中、ふと浮かんだ疑問。
魔力が少ない今でも次元斬は放てるのだろうか。この刀でもできるのだろうか。
あれは閻魔刀だから成せる技。閻魔刀が人と魔を別かつ刀だからこその技だ。
だが、閻魔刀でなくてもできるはずなのだ。俺が俺であればこそ。閻魔刀に選ばれた真なる使い手の俺だからこそ。
閻魔刀と特別な繋がりのある俺ならば、他の刀でも閻魔刀の技が出来て然るべきだ……!
俺は刀を収め、構えた。
どちらにせよ回復用の氷が足元から溶けている。回復はうまくいっていないはずだ。
「この場所でお前は平気なのか?この熱さでは体もそれも溶けるぞ」
心配する余裕すら俺にはあった。
そして読みは当たった。無意味なオブジェとなっていくそれに耐えきれず、フロストが中から中途半端なまま飛び出てきた。
今だ、抜刀!
ほんのわずかな魔力だけを込め、空間ごとフロストへ無数の斬撃を叩き込む。
次元が丸く刈り取られ、フロストがその形に欠損してひしゃげる。
「ウオォォォン……!」
悲痛な叫びをあげてなお生き延びたフロストが、倒れた地表の熱で徐々に溶けていく。
だが、まだ爪を俺に食らわせようと伸ばしている。
ダンテ流に言えば、ガッツのあるやつだ。になるのだろう。
最後の氷のかけらになって初めて、消滅してレッドオーブが残された。
それを待ち、俺はようやく鞘へと刀を戻した。
「さすがにこの暑さの中立っているのもやっとだったのだろう」
なのに俺に戦いを挑み、そして散った。いや、溶けて消えた。
その生き様には、健闘を称える価値くらいあった。
フロストもこの部屋の要だったのだろうか。悪魔がいなくなった途端、この空間内に特殊な足場が出現した。
気色の悪い形をした足場は、俺を上へ上へと誘うような動きを見せている。
「他に行く場所もないからな。これで上に何もなかったら魔帝は殺す」
何かあってもなくてもどちらにせよ魔帝は殺す。
その思いを胸に、俺は上を目指す。
それは俺の前に姿を表した。
「これは……『時の腕輪』?」
触れた瞬間、俺の腕にカチリと自らはまったそれ。
呪文のような文字盤に狂ったまま回り続ける針。おどろおどろしく時計を掴む、悪魔の指のような周りの装飾。
腕時計としてはおよそ使えないシロモノ。いや、こんなデザインの腕時計なぞ頼まれたって普段使いはしないが。
その真の使い方が頭の中へ直接流れ込んでくる。
魔力を動力源に、対峙した相手の時を止める力を持つ魔の腕輪のようだ。
「ふむ。時間操作のできる補助武器か。
使い方によっては、強みとなろう」
魔帝など強い悪魔には効かなさそうだがな。
しかし、魔力を動力源にか……。今の魔力が減少している俺にどこまで使いこなせるかわからないが、もらっておこう。
その場の空間が歪む。
気がつけば、俺は魔界の腎臓部分に戻されていた。
「新手か」
竜の骨が崩れる物音で気付かれたのか、そこに違う悪魔が二体登場した。
この暑く熱い場所にはおよそ似つかわしくない悪魔だ。
「ほう……お前達の方が俺を満足させてくれそうだな」
氷の悪魔フロスト。
魔帝が作り出した悪魔の精鋭部隊の中でもトップクラスの実力を誇るこいつら。
食道箇所でも相手にしたが、あの時はネロアンジェロの装備のままだった。
今は自身の体に馴染む刀を手にしている。少しは楽しませろ。
「「ギャオオオオウ!」」
二体同時に爪を構えて飛びかかってくる。
防ぐこともせず、俺は疾走しながら居合でそれを薙ぎ払った。
フロストの氷でできた爪が砕け散り、氷の礫が降り注ぐ。
熱い地に落ちたそれは、一瞬で溶ける。
フロストは何が起きたか分からなかった様だ。消えた爪の先を不思議そうに眺め、そして理解した時には遅い。
俺が斬り上げた刀によって、宙へ身を投げ出していた。
「ふっ……ハァっ!」
フロストを追い、上空から振り下ろす切先。
その脳天に食い込んだ剣筋そのままに地に叩きつけられた悪魔は、断末魔の悲鳴を残して消滅する。
まずは一匹。もう一匹はどこだ。
地表からの熱さにも耐えられなかったのだろう、もう一匹が上にある足場から氷柱の様なものを複数飛ばしてきた。
死角からとは卑怯な奴め。
「……来い」
刀を振ってそれを弾き返し挑発する。
フロストは怒り狂ったのか咆哮をあげてその姿を消した。
高速で移動し現れた先で攻撃を再開する、エアトリックに近いものだ。
ならば……。
俺は相手の気配が現れたと同時、自身もエアトリックで姿を消して相手の頭上を取った。
氷の技を放とうとしていたのだろうか。そうはさせんぞ。
だがそうではなかった。
ガキン!
刀が弾かれた!!
技を放つ動作を途中でやめた奴は、回復のための氷に体を包ませ、完全な防御に回った。
「ちっ……!」
回復されればまた一から戦わねばならない。そんな面倒ごとはごめんだ。
回復の氷ごと、破壊してやる。
氷に斬撃を繰り返す中、ふと浮かんだ疑問。
魔力が少ない今でも次元斬は放てるのだろうか。この刀でもできるのだろうか。
あれは閻魔刀だから成せる技。閻魔刀が人と魔を別かつ刀だからこその技だ。
だが、閻魔刀でなくてもできるはずなのだ。俺が俺であればこそ。閻魔刀に選ばれた真なる使い手の俺だからこそ。
閻魔刀と特別な繋がりのある俺ならば、他の刀でも閻魔刀の技が出来て然るべきだ……!
俺は刀を収め、構えた。
どちらにせよ回復用の氷が足元から溶けている。回復はうまくいっていないはずだ。
「この場所でお前は平気なのか?この熱さでは体もそれも溶けるぞ」
心配する余裕すら俺にはあった。
そして読みは当たった。無意味なオブジェとなっていくそれに耐えきれず、フロストが中から中途半端なまま飛び出てきた。
今だ、抜刀!
ほんのわずかな魔力だけを込め、空間ごとフロストへ無数の斬撃を叩き込む。
次元が丸く刈り取られ、フロストがその形に欠損してひしゃげる。
「ウオォォォン……!」
悲痛な叫びをあげてなお生き延びたフロストが、倒れた地表の熱で徐々に溶けていく。
だが、まだ爪を俺に食らわせようと伸ばしている。
ダンテ流に言えば、ガッツのあるやつだ。になるのだろう。
最後の氷のかけらになって初めて、消滅してレッドオーブが残された。
それを待ち、俺はようやく鞘へと刀を戻した。
「さすがにこの暑さの中立っているのもやっとだったのだろう」
なのに俺に戦いを挑み、そして散った。いや、溶けて消えた。
その生き様には、健闘を称える価値くらいあった。
フロストもこの部屋の要だったのだろうか。悪魔がいなくなった途端、この空間内に特殊な足場が出現した。
気色の悪い形をした足場は、俺を上へ上へと誘うような動きを見せている。
「他に行く場所もないからな。これで上に何もなかったら魔帝は殺す」
何かあってもなくてもどちらにせよ魔帝は殺す。
その思いを胸に、俺は上を目指す。
それは俺の前に姿を表した。
「これは……『時の腕輪』?」
触れた瞬間、俺の腕にカチリと自らはまったそれ。
呪文のような文字盤に狂ったまま回り続ける針。おどろおどろしく時計を掴む、悪魔の指のような周りの装飾。
腕時計としてはおよそ使えないシロモノ。いや、こんなデザインの腕時計なぞ頼まれたって普段使いはしないが。
その真の使い方が頭の中へ直接流れ込んでくる。
魔力を動力源に、対峙した相手の時を止める力を持つ魔の腕輪のようだ。
「ふむ。時間操作のできる補助武器か。
使い方によっては、強みとなろう」
魔帝など強い悪魔には効かなさそうだがな。
しかし、魔力を動力源にか……。今の魔力が減少している俺にどこまで使いこなせるかわからないが、もらっておこう。
その場の空間が歪む。
気がつけば、俺は魔界の腎臓部分に戻されていた。