mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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「な、オレは助けに入っただけだっただろ。違うか?」
「うん、そうだね。
でもあんな憎むような捨て台詞吐いたのに、なんで助けたの?似てたくらいじゃダンテだって、悪魔を助けたりしないはずだよね。いくら女性でも、さ」
「…………体が動いてた」
今度こそダンテは言い淀み、静かに一言ぽつりと漏らした。
「無意識だろうとダンテがそうしたってことはさ、根っこは悪い悪魔ではないって見抜いてるんじゃない?
信じたい信じたくない以前に、ダンテはトリッシュのことを信用してるんだと思う」
「そうかも……な」
座りづらそうではあるが、緩やかに動く床から飛び出したアーチ上の太い血管。そこに腰をかけたダンテの頬を手のひらで覆う。
あたしのひんやり冷たい両手があたたかな頬に当てられ、ダンテは顔をあげた。
「作り物の顔って言っちゃったことは謝ろっか。
そんなこと言われて悲しくなったと思う。あたしがトリッシュならすっごく悲しくなる。だって、最後にちらっと見たけど、とってもつらそうな顔してたもん。
もちろん、言う側のダンテもつらかっただろうけどさ」
「オレはいい。言われた方がつらいだろ。
ちと言いすぎたし、魔帝をぶっ飛ばしたら謝るよ」
「あんな罵倒したのに許してくれるかなあ……。
あたしならそうそう簡単には許してあげない……かーもねっ!それほどあの一言は傷つくものだったと思うから」
「許しねぇ、どうだろうな。
でも、それは心が狭いディーヴァだけだろ?許してくれなかったら、甘んじて雷の攻撃を受け入れるだけさ。相手の気が済むまで」
雷攻撃かあ。ダンテが受けていたやつだ。
いきなりのことで叫んだだけかもしれないけど、ダンテは直撃して叫んでいた。
威力はそうとうなものなのだろう。あれを気が済むまで受け入れる……?
想像して顔が引き攣る。
やっぱりあたしならすぐ許すわ。痛そうな姿を見ているの嫌だもの。
あたしの顔が引き攣ったことが気になったのだろう。
気にするなとダンテが手を重ね、頬をあたしの手のひらに押し付けるように擦り寄せてきた。
あたしの手に、指に、熱を移そうと覆う優しい手のひら。
赤や褐色にばかり彩られた薄気味悪い空間の中、こちらを愛しげに見つめてくる瞳の青が美しい。
空の青とはまた違う色だけれど、自由な空に恋焦がれる鳥の気分だ。
「そういえばダンテ。
戦闘中にちらって、あたしのこと見たよね」
「ははは、覚えてたんだな。
そりゃもちろん見てたさ、いつだってお前のこと考えてるし見てるけどな」
「魔力が少なくなってるんでしょ?回復……する?」
あたしの予想が正しければ、そろそろ最終決戦に突入する。だってここはすでに魔帝の統括する魔界の中。いつ戦闘になってもおかしくない。
ならば万全の態勢を整えておかねばと、そう思うのだ。
むぎゅ。頬に当てていた手で、ダンテの頬をつぶす。このたこちゅー顔にも慣れたもので、最初のうちこそ笑えていたが今ではそれすら愛しい。
手遅れの恋の病。
ダンテがあたしの手をとり、立ち上がって顔を覗き込んでくる。ち、ちかい……。
「へぇ、本当にか?えっろいことしていいのか?」
「あの……ふつーに抱きしめるとかせめてキス、なんだけど……。えっろいことは困る」
そう、手遅れの恋の病……なんだけど、こういうのだけは困りもの。
ここをどこだと思って?と返せば、ダンテは肩をすくめてみせた。
「そら残念。
けど、それってお前の力をオレが吸い取るようなもんだろ。大丈夫か?
ディーヴァは今、魔帝のクソからも血とか力を吸い取られてる状態じゃなかったか」
魔帝から取られてカスカスの弱体化したあたし本人。
今ここに存在しているあたしも、結局はその本体から力を供給している。それは本当のこと。
だからダンテは心配しているのだろう。
でも今ここにいる『スペア』のようなあたしは、本体からの力だけじゃない。存在していた時間の中で自分でも力を溜めてきた。
何も食べてないのに?というのは関係ない。息してるでしょ?空気を、酸素を取り入れてる。
だから大丈夫。こんなあたしでも、少しはダンテの助けになれる。
「今更すぎるよ。
えっちなことなしでも血じゃなくても、キスだけで少しは回復ができるでしょ?
それともおててを当てて回復にしとく?」
これが本当の『手当て』である。なんちゃって。
「なーに言ってる。どっちがいいかって聞かれたら、唇がいいに決まってるだろ?」
「だと思った」
ダンテが掴む手をゆっくり離れさせ、手を繋ぎなおす。
あたしの指と、ダンテの指。交差させるように絡ませ合い握る。
あたしの手も指も小さくてダンテの手の甲までは届かない。なのにダンテの指は長くて、大きくて。あたしの手の甲の下の方まですっぽり覆えるほど。
それがちょっぴり悔しくて強く握れば、手のひらの密着度が増した。
あと少しでダンテの関節まで届きそう。
「オレたち、指と指だけでもひとつになれてるぜ」
「ば……っ」
馬鹿じゃないの!と絡めた指を離そうにも離してもらえない。
それどころかダンテの手によってさらにグッと引き寄せられた。
今のあたしは宙吊りに近く、爪先立ちするしかない。足も攣りそうだ。
もともとキスで回復したいとは言われたけれど、これでは逃げられない。
「もー好きにして……」
観念したあたしは近づいてくるダンテの顔にその身を、唇を、すべて委ねた。
「うん、そうだね。
でもあんな憎むような捨て台詞吐いたのに、なんで助けたの?似てたくらいじゃダンテだって、悪魔を助けたりしないはずだよね。いくら女性でも、さ」
「…………体が動いてた」
今度こそダンテは言い淀み、静かに一言ぽつりと漏らした。
「無意識だろうとダンテがそうしたってことはさ、根っこは悪い悪魔ではないって見抜いてるんじゃない?
信じたい信じたくない以前に、ダンテはトリッシュのことを信用してるんだと思う」
「そうかも……な」
座りづらそうではあるが、緩やかに動く床から飛び出したアーチ上の太い血管。そこに腰をかけたダンテの頬を手のひらで覆う。
あたしのひんやり冷たい両手があたたかな頬に当てられ、ダンテは顔をあげた。
「作り物の顔って言っちゃったことは謝ろっか。
そんなこと言われて悲しくなったと思う。あたしがトリッシュならすっごく悲しくなる。だって、最後にちらっと見たけど、とってもつらそうな顔してたもん。
もちろん、言う側のダンテもつらかっただろうけどさ」
「オレはいい。言われた方がつらいだろ。
ちと言いすぎたし、魔帝をぶっ飛ばしたら謝るよ」
「あんな罵倒したのに許してくれるかなあ……。
あたしならそうそう簡単には許してあげない……かーもねっ!それほどあの一言は傷つくものだったと思うから」
「許しねぇ、どうだろうな。
でも、それは心が狭いディーヴァだけだろ?許してくれなかったら、甘んじて雷の攻撃を受け入れるだけさ。相手の気が済むまで」
雷攻撃かあ。ダンテが受けていたやつだ。
いきなりのことで叫んだだけかもしれないけど、ダンテは直撃して叫んでいた。
威力はそうとうなものなのだろう。あれを気が済むまで受け入れる……?
想像して顔が引き攣る。
やっぱりあたしならすぐ許すわ。痛そうな姿を見ているの嫌だもの。
あたしの顔が引き攣ったことが気になったのだろう。
気にするなとダンテが手を重ね、頬をあたしの手のひらに押し付けるように擦り寄せてきた。
あたしの手に、指に、熱を移そうと覆う優しい手のひら。
赤や褐色にばかり彩られた薄気味悪い空間の中、こちらを愛しげに見つめてくる瞳の青が美しい。
空の青とはまた違う色だけれど、自由な空に恋焦がれる鳥の気分だ。
「そういえばダンテ。
戦闘中にちらって、あたしのこと見たよね」
「ははは、覚えてたんだな。
そりゃもちろん見てたさ、いつだってお前のこと考えてるし見てるけどな」
「魔力が少なくなってるんでしょ?回復……する?」
あたしの予想が正しければ、そろそろ最終決戦に突入する。だってここはすでに魔帝の統括する魔界の中。いつ戦闘になってもおかしくない。
ならば万全の態勢を整えておかねばと、そう思うのだ。
むぎゅ。頬に当てていた手で、ダンテの頬をつぶす。このたこちゅー顔にも慣れたもので、最初のうちこそ笑えていたが今ではそれすら愛しい。
手遅れの恋の病。
ダンテがあたしの手をとり、立ち上がって顔を覗き込んでくる。ち、ちかい……。
「へぇ、本当にか?えっろいことしていいのか?」
「あの……ふつーに抱きしめるとかせめてキス、なんだけど……。えっろいことは困る」
そう、手遅れの恋の病……なんだけど、こういうのだけは困りもの。
ここをどこだと思って?と返せば、ダンテは肩をすくめてみせた。
「そら残念。
けど、それってお前の力をオレが吸い取るようなもんだろ。大丈夫か?
ディーヴァは今、魔帝のクソからも血とか力を吸い取られてる状態じゃなかったか」
魔帝から取られてカスカスの弱体化したあたし本人。
今ここに存在しているあたしも、結局はその本体から力を供給している。それは本当のこと。
だからダンテは心配しているのだろう。
でも今ここにいる『スペア』のようなあたしは、本体からの力だけじゃない。存在していた時間の中で自分でも力を溜めてきた。
何も食べてないのに?というのは関係ない。息してるでしょ?空気を、酸素を取り入れてる。
だから大丈夫。こんなあたしでも、少しはダンテの助けになれる。
「今更すぎるよ。
えっちなことなしでも血じゃなくても、キスだけで少しは回復ができるでしょ?
それともおててを当てて回復にしとく?」
これが本当の『手当て』である。なんちゃって。
「なーに言ってる。どっちがいいかって聞かれたら、唇がいいに決まってるだろ?」
「だと思った」
ダンテが掴む手をゆっくり離れさせ、手を繋ぎなおす。
あたしの指と、ダンテの指。交差させるように絡ませ合い握る。
あたしの手も指も小さくてダンテの手の甲までは届かない。なのにダンテの指は長くて、大きくて。あたしの手の甲の下の方まですっぽり覆えるほど。
それがちょっぴり悔しくて強く握れば、手のひらの密着度が増した。
あと少しでダンテの関節まで届きそう。
「オレたち、指と指だけでもひとつになれてるぜ」
「ば……っ」
馬鹿じゃないの!と絡めた指を離そうにも離してもらえない。
それどころかダンテの手によってさらにグッと引き寄せられた。
今のあたしは宙吊りに近く、爪先立ちするしかない。足も攣りそうだ。
もともとキスで回復したいとは言われたけれど、これでは逃げられない。
「もー好きにして……」
観念したあたしは近づいてくるダンテの顔にその身を、唇を、すべて委ねた。