mission 21:inside devil's body ~蠢く胎内にて~
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『あっここ腎臓ね』
次の部屋についた途端、どこかギスギスした空気を払拭するようにアラストルが声を上げた。
「へぇ。これのどのへんが腎臓なんだよ?」
それに合わせるようにして、ダンテも軽い口調になる。
うんうん、そうね。口をへの字に曲げたままの機嫌悪そうなダンテよりはいいよね。
「ほら見て。壁にお豆みたいな形のものがたくさんあるから、これ一つ一つがすでに腎臓だったりするのかもよ。
それで、この血管みたいなので要らないものを濾し出してる……とか」
「ああ、腎臓って空豆の形してるんだったな」
それにしても……。
腎臓らしさを探るのに見た瞬間も思ったけど、壁も地面もさらにウネウネしていて気持ちの悪い空間。
太い血管みたいなのもあるけど、これがいわゆる濾して出す管なのかもね。
「あっ扉発見……って、近づいたら閉じちゃった。恥ずかしがり屋?」
そばにあった扉に駆け寄れば、長い爪か骨の形をしたもので、開かないように閉じられてしまった。
「扉に恥ずかしいもなにもないだろ。
ふんっ……!固いな」
ダンテが無理やりこじ開けようとしたけれど、その怪力をもってしてもびくともしなかった。
「となると、あっちのでかい扉しか行き場はなさそうだぜ」
「そうみたいだね」
あたしは先を歩くダンテの膝裏に狙いを定めた。
拳をふたーつ、握ってポクン!
ダンテの膝がくの字に折れ、体勢が一瞬崩れる。
そう、一瞬だけ。
「うお、いきなりなんだよディーヴァ。膝カックン?
しかも膝カックンっていっても、お前は膝じゃなくて拳を使ってるのかよ。ウケるぜ」
ダンテに何かしらのお仕置きをしたくてやってみたが、反対に笑い物にされた。
「ダンテほど足が長くなくてすみませんね!」
「足の長さについてなんてひとつも言ってないだろ」
そう、ダンテとの身長の差のせいなだけで、間違ってもあたしの足が短いとかそんなじゃないしぃ。
誰がダックスフンドだって?
え、誰も言ってない?
悪魔の空耳のせいかな、ここは魔界だし。
「で。さっきっから何をむくれてるんだ?」
「…………ダンテ、さっきトリッシュのこと押し倒してた…………」
絞り出すようにしてこぼせば、頭上からため息。
「はあ……ディーヴァは心がせまいなぁ……」
聞こえたため息に上から被せるように、腰に手をあてふふんと笑い飛ばす。
「そうよあたしってばけっこう心が狭いの」
わざと明るく返しているだけだが。
そして次に本音を乗せる。
「こんな事で嫉妬してるなんて、醜いよね。自分で自分が嫌になる」
「ばーか。オレの事を愛してるからこそ、嫉妬心がでてくるってことだろ?
醜くはない。恋愛してりゃ嫉妬心くらいあって当然ってお前はもう知ってるだろ」
でも、強がりに似たあたしの感情は、ダンテに見通されていた。
ぐりぐりと頭を撫でられる。
「しっかしなぁ……。
嫉妬する必要なんてないだろうに。オレはお前にしかキョーミねぇ。それは他でもない、ディーヴァが一番わかってることだろ」
「まぁね、それはわかってるしダンテのことも信じてる……けどさ。相手はエヴァママさんに似てるしさあ……」
言い淀む。だけれども、あたしはそのあと心の内を全て吐き出すかのように、ひと息で言葉に出した。……言う必要はないのに、言葉に出してしまった。
「美人で綺麗だしナイスバディだしダンテとちゅーするにも膝カックンするにもちょうどいいくらい背は高いし悪魔だからかもしれないけどダンテと並んでもおかしくないくらい強いし味方だったら一緒に戦えるし……あっこれ戦えるヒロインじゃん。
ダンテがとられちゃう。……ダンテが綺麗な悪魔さんに浮気しちゃう」
うじうじしてこんなことを言うなんて、情けない。
こんなんじゃ、そりゃダンテだってあたしよりトリッシュみたいな人の方がいいって言うよね。
それは言い終えてから気がついた。
「おいおいオレが不貞行為を働くってか?もう少しオレを信用しろって。
みよこの曇りなき眼を」
そう言って目を大きく開いてあたしの顔を覗き込む。
いや、そこまで近づけなくてもよく見えてるから。ダンテの瞳の中にうつるあたしも呆れ顔してるよ。
「めちゃくちゃ曇ってみえるや」
「……なんだって?」
半分は冗談で言っているらしいそれに乗って言葉を返せば、ダンテによって頭を鷲掴みにされた。
ちょっと!乱暴に髪をかき混ぜるの禁止!
そもそも、曇りなき眼らしきダンテの瞳から伝わってきたのは、そんな清々しい感情じゃなかった。
悲しみと怒りと、色々な感情が混ざっていて爽やかなものとはかけ離れていた。
「とにかくだな、自分には自信を持てよ?
ディーヴァにはディーヴァにしかない魅力がたくさんある。オレはそれを知ってる」
「……トリッシュが魅力的なのは変わらないんだね」
「ああまあ、そりゃあ……オフクロにも似てるからな……」
返せばダンテはウッと一瞬言葉を詰まらせ、頬をぽりぽりと掻いた。
わかる、瓜二つだものね。
「あそこまで似てると助けたくなっちゃうよね」
あたしがダンテでも同じようにしてしまうだろう。ましてや、これでもダンテはフェミニストなのだから。
次の部屋についた途端、どこかギスギスした空気を払拭するようにアラストルが声を上げた。
「へぇ。これのどのへんが腎臓なんだよ?」
それに合わせるようにして、ダンテも軽い口調になる。
うんうん、そうね。口をへの字に曲げたままの機嫌悪そうなダンテよりはいいよね。
「ほら見て。壁にお豆みたいな形のものがたくさんあるから、これ一つ一つがすでに腎臓だったりするのかもよ。
それで、この血管みたいなので要らないものを濾し出してる……とか」
「ああ、腎臓って空豆の形してるんだったな」
それにしても……。
腎臓らしさを探るのに見た瞬間も思ったけど、壁も地面もさらにウネウネしていて気持ちの悪い空間。
太い血管みたいなのもあるけど、これがいわゆる濾して出す管なのかもね。
「あっ扉発見……って、近づいたら閉じちゃった。恥ずかしがり屋?」
そばにあった扉に駆け寄れば、長い爪か骨の形をしたもので、開かないように閉じられてしまった。
「扉に恥ずかしいもなにもないだろ。
ふんっ……!固いな」
ダンテが無理やりこじ開けようとしたけれど、その怪力をもってしてもびくともしなかった。
「となると、あっちのでかい扉しか行き場はなさそうだぜ」
「そうみたいだね」
あたしは先を歩くダンテの膝裏に狙いを定めた。
拳をふたーつ、握ってポクン!
ダンテの膝がくの字に折れ、体勢が一瞬崩れる。
そう、一瞬だけ。
「うお、いきなりなんだよディーヴァ。膝カックン?
しかも膝カックンっていっても、お前は膝じゃなくて拳を使ってるのかよ。ウケるぜ」
ダンテに何かしらのお仕置きをしたくてやってみたが、反対に笑い物にされた。
「ダンテほど足が長くなくてすみませんね!」
「足の長さについてなんてひとつも言ってないだろ」
そう、ダンテとの身長の差のせいなだけで、間違ってもあたしの足が短いとかそんなじゃないしぃ。
誰がダックスフンドだって?
え、誰も言ってない?
悪魔の空耳のせいかな、ここは魔界だし。
「で。さっきっから何をむくれてるんだ?」
「…………ダンテ、さっきトリッシュのこと押し倒してた…………」
絞り出すようにしてこぼせば、頭上からため息。
「はあ……ディーヴァは心がせまいなぁ……」
聞こえたため息に上から被せるように、腰に手をあてふふんと笑い飛ばす。
「そうよあたしってばけっこう心が狭いの」
わざと明るく返しているだけだが。
そして次に本音を乗せる。
「こんな事で嫉妬してるなんて、醜いよね。自分で自分が嫌になる」
「ばーか。オレの事を愛してるからこそ、嫉妬心がでてくるってことだろ?
醜くはない。恋愛してりゃ嫉妬心くらいあって当然ってお前はもう知ってるだろ」
でも、強がりに似たあたしの感情は、ダンテに見通されていた。
ぐりぐりと頭を撫でられる。
「しっかしなぁ……。
嫉妬する必要なんてないだろうに。オレはお前にしかキョーミねぇ。それは他でもない、ディーヴァが一番わかってることだろ」
「まぁね、それはわかってるしダンテのことも信じてる……けどさ。相手はエヴァママさんに似てるしさあ……」
言い淀む。だけれども、あたしはそのあと心の内を全て吐き出すかのように、ひと息で言葉に出した。……言う必要はないのに、言葉に出してしまった。
「美人で綺麗だしナイスバディだしダンテとちゅーするにも膝カックンするにもちょうどいいくらい背は高いし悪魔だからかもしれないけどダンテと並んでもおかしくないくらい強いし味方だったら一緒に戦えるし……あっこれ戦えるヒロインじゃん。
ダンテがとられちゃう。……ダンテが綺麗な悪魔さんに浮気しちゃう」
うじうじしてこんなことを言うなんて、情けない。
こんなんじゃ、そりゃダンテだってあたしよりトリッシュみたいな人の方がいいって言うよね。
それは言い終えてから気がついた。
「おいおいオレが不貞行為を働くってか?もう少しオレを信用しろって。
みよこの曇りなき眼を」
そう言って目を大きく開いてあたしの顔を覗き込む。
いや、そこまで近づけなくてもよく見えてるから。ダンテの瞳の中にうつるあたしも呆れ顔してるよ。
「めちゃくちゃ曇ってみえるや」
「……なんだって?」
半分は冗談で言っているらしいそれに乗って言葉を返せば、ダンテによって頭を鷲掴みにされた。
ちょっと!乱暴に髪をかき混ぜるの禁止!
そもそも、曇りなき眼らしきダンテの瞳から伝わってきたのは、そんな清々しい感情じゃなかった。
悲しみと怒りと、色々な感情が混ざっていて爽やかなものとはかけ離れていた。
「とにかくだな、自分には自信を持てよ?
ディーヴァにはディーヴァにしかない魅力がたくさんある。オレはそれを知ってる」
「……トリッシュが魅力的なのは変わらないんだね」
「ああまあ、そりゃあ……オフクロにも似てるからな……」
返せばダンテはウッと一瞬言葉を詰まらせ、頬をぽりぽりと掻いた。
わかる、瓜二つだものね。
「あそこまで似てると助けたくなっちゃうよね」
あたしがダンテでも同じようにしてしまうだろう。ましてや、これでもダンテはフェミニストなのだから。