mission 20:third showdown ~雷の参戦~
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ナイトメアの体の崩壊に従い、部屋の中に光が差した。
それはまるで地下深くに太陽光が降り注ぐよう。……本当に太陽の光だったらどんなに嬉しいか。
しかしその光はナイトメアの必死の抵抗。
核から放たれていたコアレーザーと同じ物だ。
最期の力をそこに込めたのか、縦横無尽に天井、床、壁と走り回り、部屋全体を崩壊させるほどに強い力!
見境なしだ。ダンテやあたしだけでなく、トリッシュのもとへもレーザーが走る。
「くそっ!逃したわ……!」
あたしを掴んでいた手を離したトリッシュ。
トリッシュという名の脅威からは離れられたけど、代わりにレーザーという名の脅威が目の前に迫る。
あたしは縮こまってしゃがみ、レーザーをやり過ごした。
まったくもう、あと数センチずれてたら頭がなくなっていたじゃない!
「うおっと!
避けろディーヴァ!」
「とぉっくに避けてるよ!
あーもうヤダヤダ、もしかしてこの部屋ごと崩れちゃう感じ?この部屋って胃だよね?ここ胃潰瘍になっちゃったってこと!?」
「しらねぇわ」
逃げ足が早くてよかったと思える瞬間だ。
怪我しないようにとあちこち逃げまわっていれば、駆けつけてきたダンテの腕の中に包まれた。
うあーこの場所の安心感ときたら!
ナイトメアのゲルがどろどろと空間に溶けて消え去った頃、やっと異変が止まった。
レーザーの脅威が去り、地鳴りも止まる。
「おさ、まった……?」
「そのようだ」
ズズズズ……。
ん?ずずず?
この空間を支える柱のひとつに亀裂が走っていたようだ。
ずれていき、ぐらりと傾く柱。
あっ柱が倒れそう…!あのままでは柱の下にいるトリッシュに直撃する!
恨みはあるけど、潰れて欲しいわけじゃない。
それに、あたしからの拳をいつか来る日に受けてもらうのだから、こんなところで死んでほしくない。
でも何もできないあたしはただ絶句してしまい、彼女にくるであろう衝撃を想像して目をぎゅっとつぶって固まることしかできなかった。
それに気がついたダンテの行動は早かった。あたしを離し、トリッシュの元へと走っていく。
相手はダンテを傷つけた悪魔だ。その心配をするのは少しおかしいことかもしれない。
けれど、あたしもダンテと同じ気持ち。
一度は会話してその心の内を知った仲だったのなら、考えるより先に体が動いちゃうはず。
が、彼女はダンテの鬼気迫る顔に身構えていた。
ダンテに滅っされるとでも思ったのだろう、気が付いた時には柱がその身に迫り、逃げられない状態だった。
「いやあああっーー!」
柱が床に叩きつけられたのと、ダンテがトリッシュに向かって跳んだのは同時だった。
あああああダンテがかわりにぺっちゃんこになっていたらどうしよう……!ペーパーダンテの大冒険とかいやだわそんなの。
そんなことになったなら、あたしはさすがにトリッシュを心底恨み、呪うほかない。
天使から呪いの魔女に転職しよう。
立ち込める土煙が晴れ、安全を確認してからあたしはダンテに声をかけようとゆっくり近づいた。
そしてピシリと固まった。
「お、押し……押し倒、……あばばばば…………」
泡吹いて倒れるかと思った。ううん、確実に一瞬泡吹いてた!
成り行き上、仕方ないのは分かっているが、ダンテがトリッシュを押し倒した格好になっていた。
無駄のないしなやかな筋肉と、人形のように美しい顔。投げ出されたトリッシュの四肢がやけに艶かしい。
その位置はあたしのもの。その位置にいきたい。ダンテからの強い瞳を向けられるのは、いつだってあたしでいたい。
なのに今その位置にいるのはあたしじゃない。
浮気だ!うええんダンテのばかー!!
って言いたい気持ちを抑えて見守るあたし。超えらい。
別名、嫉妬で頭ぐるぐるして何も言えない人、ともいう。
無言で立ち上がり、服についた埃をはたいたダンテ。
ただあたしの手をとり、次の目的地方向へと歩みを進める。その間ダンテはずっと無言だった。
えっなになに。その無言はなに?何か怒ってらっしゃる?
無言なダンテの様子に、嫉妬の炎すら消える。
「ダンテ!」
ダンテの背にかけられたトリッシュの声。
戸惑っていたのだろう、ダンテの歩みが沈黙ののちに止まった。
「なぜ私を助けた?」
ちらと確認したトリッシュは、不思議そうに、でも悲しさと嬉しさが混ざったような顔をしている。
ダンテが無表情のまま、トリッシュへとほんの一瞬だけ振り返った。
「母さんに似ていた」
悪魔を憎みたい。でも一度だろうがこちら側についてくれた悪魔だからと、信じたい気持ちもあったはず。
ましてやトリッシュは、ダンテの母親に瓜二つだ。そこまで突っ込んだ話題として触れなかったけれど、あたしもそっくりだなとは思っていた。
もちろん、似ているからといって本人ではない。
でも、その顔がそっくりなことは、ダンテの感情を激しく掻き乱すには十分だったろう。
「さあ消えな。次はこうは行かない」
だからこそ、今この瞬間もダンテはこんなにつらそうな顔をしてるんだ。パッと見ただけではわからない。
でも、心が深く傷ついている。体じゃない、心が。
わかりたくなかったけど、それがわかってしまった。
トリッシュにそう吐き捨てたダンテは、あたしの手をひき、またも歩き出す。
力任せに握られた手が痛い。でも、この痛みはダンテの心の痛みでもある。
「ダンテ」
おぼつかない足取りのまま立ち上がり、なおもダンテを呼び止める。
今度こそダンテは激しい苛立ちと憎悪を全身から吹き出し、トリッシュに銃口を向けた。
「寄るな悪魔!」
トリッシュの歩みが止まる。その怒声の大きさにあたしまで縮こまってしまった。
ダンテから決別の意思が、あたしの目にもはっきりと見えた。
「その顔を二度と見せるな。
魂の灯火が消えた、作り物の顔をな!」
深い悲しみもそこには含まれていて、見てるこっちが辛くなった。
トリガーにまで指をかけていたが、結局ダンテが撃つことは一度もなかった。
怒りを振り払うように銃口を振り、しまい込む。
「いくぞディーヴァ」
感情を無理やり押し込めるように絞り出され、あたしはトリッシュとダンテとを交互に見てから、ダンテに従った。
あたしたちが完全にいなくなったあと、トリッシュの背後に禍々しく赤く光る、三つ目が浮かんだことは知らない。
『失敗したな。掟は知っていよう』
悪魔の世界はシビアだ。強大な悪魔の下についてしまった以上、敵に負ければ使い捨てのことが多い。
トリッシュもまた、その掟に従うしかなかった。
あたしがこんなこと聞いてたら、魔帝の顔面に強烈なパンチを入れてた。……ダンテが!!
●あとがき
トリーッシュ!
それはまるで地下深くに太陽光が降り注ぐよう。……本当に太陽の光だったらどんなに嬉しいか。
しかしその光はナイトメアの必死の抵抗。
核から放たれていたコアレーザーと同じ物だ。
最期の力をそこに込めたのか、縦横無尽に天井、床、壁と走り回り、部屋全体を崩壊させるほどに強い力!
見境なしだ。ダンテやあたしだけでなく、トリッシュのもとへもレーザーが走る。
「くそっ!逃したわ……!」
あたしを掴んでいた手を離したトリッシュ。
トリッシュという名の脅威からは離れられたけど、代わりにレーザーという名の脅威が目の前に迫る。
あたしは縮こまってしゃがみ、レーザーをやり過ごした。
まったくもう、あと数センチずれてたら頭がなくなっていたじゃない!
「うおっと!
避けろディーヴァ!」
「とぉっくに避けてるよ!
あーもうヤダヤダ、もしかしてこの部屋ごと崩れちゃう感じ?この部屋って胃だよね?ここ胃潰瘍になっちゃったってこと!?」
「しらねぇわ」
逃げ足が早くてよかったと思える瞬間だ。
怪我しないようにとあちこち逃げまわっていれば、駆けつけてきたダンテの腕の中に包まれた。
うあーこの場所の安心感ときたら!
ナイトメアのゲルがどろどろと空間に溶けて消え去った頃、やっと異変が止まった。
レーザーの脅威が去り、地鳴りも止まる。
「おさ、まった……?」
「そのようだ」
ズズズズ……。
ん?ずずず?
この空間を支える柱のひとつに亀裂が走っていたようだ。
ずれていき、ぐらりと傾く柱。
あっ柱が倒れそう…!あのままでは柱の下にいるトリッシュに直撃する!
恨みはあるけど、潰れて欲しいわけじゃない。
それに、あたしからの拳をいつか来る日に受けてもらうのだから、こんなところで死んでほしくない。
でも何もできないあたしはただ絶句してしまい、彼女にくるであろう衝撃を想像して目をぎゅっとつぶって固まることしかできなかった。
それに気がついたダンテの行動は早かった。あたしを離し、トリッシュの元へと走っていく。
相手はダンテを傷つけた悪魔だ。その心配をするのは少しおかしいことかもしれない。
けれど、あたしもダンテと同じ気持ち。
一度は会話してその心の内を知った仲だったのなら、考えるより先に体が動いちゃうはず。
が、彼女はダンテの鬼気迫る顔に身構えていた。
ダンテに滅っされるとでも思ったのだろう、気が付いた時には柱がその身に迫り、逃げられない状態だった。
「いやあああっーー!」
柱が床に叩きつけられたのと、ダンテがトリッシュに向かって跳んだのは同時だった。
あああああダンテがかわりにぺっちゃんこになっていたらどうしよう……!ペーパーダンテの大冒険とかいやだわそんなの。
そんなことになったなら、あたしはさすがにトリッシュを心底恨み、呪うほかない。
天使から呪いの魔女に転職しよう。
立ち込める土煙が晴れ、安全を確認してからあたしはダンテに声をかけようとゆっくり近づいた。
そしてピシリと固まった。
「お、押し……押し倒、……あばばばば…………」
泡吹いて倒れるかと思った。ううん、確実に一瞬泡吹いてた!
成り行き上、仕方ないのは分かっているが、ダンテがトリッシュを押し倒した格好になっていた。
無駄のないしなやかな筋肉と、人形のように美しい顔。投げ出されたトリッシュの四肢がやけに艶かしい。
その位置はあたしのもの。その位置にいきたい。ダンテからの強い瞳を向けられるのは、いつだってあたしでいたい。
なのに今その位置にいるのはあたしじゃない。
浮気だ!うええんダンテのばかー!!
って言いたい気持ちを抑えて見守るあたし。超えらい。
別名、嫉妬で頭ぐるぐるして何も言えない人、ともいう。
無言で立ち上がり、服についた埃をはたいたダンテ。
ただあたしの手をとり、次の目的地方向へと歩みを進める。その間ダンテはずっと無言だった。
えっなになに。その無言はなに?何か怒ってらっしゃる?
無言なダンテの様子に、嫉妬の炎すら消える。
「ダンテ!」
ダンテの背にかけられたトリッシュの声。
戸惑っていたのだろう、ダンテの歩みが沈黙ののちに止まった。
「なぜ私を助けた?」
ちらと確認したトリッシュは、不思議そうに、でも悲しさと嬉しさが混ざったような顔をしている。
ダンテが無表情のまま、トリッシュへとほんの一瞬だけ振り返った。
「母さんに似ていた」
悪魔を憎みたい。でも一度だろうがこちら側についてくれた悪魔だからと、信じたい気持ちもあったはず。
ましてやトリッシュは、ダンテの母親に瓜二つだ。そこまで突っ込んだ話題として触れなかったけれど、あたしもそっくりだなとは思っていた。
もちろん、似ているからといって本人ではない。
でも、その顔がそっくりなことは、ダンテの感情を激しく掻き乱すには十分だったろう。
「さあ消えな。次はこうは行かない」
だからこそ、今この瞬間もダンテはこんなにつらそうな顔をしてるんだ。パッと見ただけではわからない。
でも、心が深く傷ついている。体じゃない、心が。
わかりたくなかったけど、それがわかってしまった。
トリッシュにそう吐き捨てたダンテは、あたしの手をひき、またも歩き出す。
力任せに握られた手が痛い。でも、この痛みはダンテの心の痛みでもある。
「ダンテ」
おぼつかない足取りのまま立ち上がり、なおもダンテを呼び止める。
今度こそダンテは激しい苛立ちと憎悪を全身から吹き出し、トリッシュに銃口を向けた。
「寄るな悪魔!」
トリッシュの歩みが止まる。その怒声の大きさにあたしまで縮こまってしまった。
ダンテから決別の意思が、あたしの目にもはっきりと見えた。
「その顔を二度と見せるな。
魂の灯火が消えた、作り物の顔をな!」
深い悲しみもそこには含まれていて、見てるこっちが辛くなった。
トリガーにまで指をかけていたが、結局ダンテが撃つことは一度もなかった。
怒りを振り払うように銃口を振り、しまい込む。
「いくぞディーヴァ」
感情を無理やり押し込めるように絞り出され、あたしはトリッシュとダンテとを交互に見てから、ダンテに従った。
あたしたちが完全にいなくなったあと、トリッシュの背後に禍々しく赤く光る、三つ目が浮かんだことは知らない。
『失敗したな。掟は知っていよう』
悪魔の世界はシビアだ。強大な悪魔の下についてしまった以上、敵に負ければ使い捨てのことが多い。
トリッシュもまた、その掟に従うしかなかった。
あたしがこんなこと聞いてたら、魔帝の顔面に強烈なパンチを入れてた。……ダンテが!!
●あとがき
トリーッシュ!