mission 20:third showdown ~雷の参戦~
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魔界にたどり着いた。
テメンニグルから訪れた魔界でもなく、いつかのあの日に遠足気分で訪れた魔界でもない。
今回来た魔界は閉塞感にあふれ、どちらかというと魔界自体が生きていると思わせるような場所だった。
「鍾乳洞はあんなに綺麗な場所だったのに、こっちは禍々しい……」
この閉塞感は、数時間前に通った鍾乳洞に通ずるものがある。似ても似つかないけど!
「見て、動いてるよ。なにこれ血管?気持ちわる〜」
そう!生きていると思わせるようなって言ったからわかるかもしれないけど、壁が生き物の鼓動のように蠢いているのだ。
背後に走る管のようなものなんて、血の通る血管そのもの!
気持ちの悪いものばかり見させられて、SAN値ゴリゴリ削り節。すでに大ピンチというやつだ。
思わずダンテのコートを体に巻きつけて内側に入る。……しかし今はやめてくれとすぐ外に出された。ショック。
代わりに撫でられたけど、悲しい。
「気持ち悪いのは魔界だからしょうがないな……。魔界というか、何かの胎内っぽくないか?」
『ここは魔帝の腹の中みたいなものだから』
「「え」」
蠢く壁や天井、床でダンテも気がついたようで呟くが、アラストルの言葉でその場が凍りついた。
つまり、魔界に来た瞬間すでに相手の腹の中?食われるってこと?まんまと騙された感じ??
『あっごめん。魔帝のってのはナシで。
普通にでっかい悪魔の腹の中だよ』
「どっちにしろ悪魔のお腹の中とかいやなんですけど〜」
「言えてる。
特にディーヴァはでけぇスライム悪魔の体の中でさんっざん、ひ、わ、い、な目にあったもんな」
「そこ強調しなくてよろしい」
ぺちっ。ダンテを叩く。
あれは確かあたしが成人した頃の話。
ダンテがいない時に大きなスライムの悪魔にぺろりと食べられちゃって……その体の中には、触手のようなフォルムの消化器官の役割をする悪魔がいて、あたしを拘束して……。
うう、これ以上はやめておこう。
ダンテが蒸し返すから思い出しただけで、これ以上思い出すとすっごくいや〜な気分になるもんね。
くっ!この魔界の外観のせいで変なこと思い出しちゃったじゃない……!
脈打つ魔界の洞窟、悪魔の胎内を思い切り睨みつける。
「おいディーヴァ、親の仇でも睨むみたいに壁ばっか見てどうしたよ。透視か?壁向こうに何か見えるのか?」
「透視できるわけないじゃん!何も見えませんよーっだ!」
「やれやれ、何怒ってんだかな……」
きぃー!思い出しちゃったのはダンテのせいもあるんだからね!!
こほん、とにかく壁には絶対触るもんですか。
鍾乳洞の綺麗な水や湿気で濡れてるならまだしも、ここの壁は謎の粘液でべちょべちょしてるし。
ああ、ここに●スソースあればなぁ。この壁に塗ったくってやるのに。
悪魔なんておなかこわしちゃえばいいのよ。トイレにずーっとこもってればいい。
ダンテより先にずんずん進むと、高くそびえる肉の壁、そしてその上に向かうべき道が。
だめ、届かない。壁には触りたくないし、こればかりはダンテの足頼みだ。
唸っているとまたもや胴を掴まれた。浮遊感を感じる暇もなく、気がつけばダンテの手によって上へ連れていってもらえた。
「よし、到着っと。
魔帝ぶっ飛ばしたいのはわかるが、それはオレの役目。ディーヴァは大人しくしとけ」
「うん……あ、りがと……」
「そんであんまりカッカするなよ?オレはお前の笑顔が見たい」
「ん」
ダンテに頭を数回ぽんぽんと優しく叩かれ、ちょっと心が落ち着いた。
スライムのことがあって魔界そのものに八つ当たり級にむかついてただけで、魔帝のことは忘れてたのよね。
けど、魔帝もにっくき敵。むしろ魔帝がいるからこの魔界が稼働してるんだし、魔帝倒せばそれで万事解決。
打倒魔帝に頑張る!ダンテが!!
「ところでなんの音?」
「さぁな。進めばわかるだろ」
通路に到着してから、ううん。下にいた時から聞こえていたけど、足音のような音がひっきりなしにずっと聞こえてくる。
なのに、その足音らしき音は動いていない。同じ場所から聞こえ続けている。
ダンテのいう通り進めばわかる。
けれど、そう簡単に進みたくない理由がある。
それがこの匂いだ。
上にあがった途端、嗅覚を攻撃してきたのは、生ゴミのような腐敗臭、酸っぱいような刺激臭、血と肉と脂の匂い。
それらを生ぬるく温めてさらに腐敗させている、といえばなんとなくわか……って!そんなの言われたって普通わかるわけないでしょ。うぉっぷ、吐きそう。
思わずダンテと二人並んで鼻を詰まむ。
ソーシャルディスタンスとか関係なく、マスクが欲しい。できれば脱臭炭配合ので。
「この中くさい……」
瘴気に侵される前に、臭さで鼻が曲がるよ」
「リヴァイアサンの中より臭いからな……でも慣れるしかない」
どちらも鼻を詰まんでいるから、くぐもった声だ。
それがおかしくて笑いあうが、ダンテの顔が突然真顔になった。そして真顔から怒りの顔へシフトチェンジ!
「って……あーっくせぇ!!
けど鼻つまんでたら悪魔を相手にできねぇ!我慢、我慢だオレ!!」
自分の鼻をむしり取って床に投げつける勢いでキレている。
ああそっか、ダンテはあたしなんかよりよっぽど嗅覚が鋭いものね。
あたしなんて、ただの匂いフェチなだけの一般的な嗅覚しか持ってない。あたしよりもつらいよね。
あたしもそっと、自分の鼻から手を離した。
うっ、やっぱり臭ぁい。でも我慢だ。
「我慢できるなら我慢して進も」
「ああ、そうだな。はぁ……鼻がバカになった」
狭くなった臭い道を進む。
『うーん、さしずめ最初の場所が顎でここが首の一部』
アラストルが地図でも広げているように場所について教えてくる。見えない地図、エア地図かー。
「首……長いね。首長竜かな?」
「冥界の竜じゃねぇか?アレの親玉」
「まーたいい加減なこと言って。ここ魔界だよ」
ダンテが破壊した竜骨と同じにしてはいけない。親玉って言うけどどんだけサイズ違うと思ってるの。いたらリヴァイアサン並みの大きさだよね。
そうこう言いながら、アラストルが続ける。
『そんでアレが、口蓋垂』
「口蓋垂……別名はなんだっけか、ディーヴァ?」
ダンテ、あたしに下ネタっぽいワード言わせたいのね。別に下ネタじゃないし言ってもいいけどここはひとつ違う言葉で言おうっと。
「残念、あたしは『小さいぶどうの房』としか言わないよ」
「ちっ。なんだつまらん」
「つまんなくて結構!けど、アレって人間だけにしかないんじゃなかったっけ」
「悪魔だからなんでもありなんだろ。深く考えるだけーー?」
「無駄なんでしょ。
でも、のどちん……口蓋垂にしては塞がってるね。気持ち悪く脈打ってるし、どっちかっていうと弁膜に見える」
「普通に言えばいいだろうに。
悪魔だから変な形してんだ、ろっ!!」
塞がっていたそこを、ダンテが思い切り斬り伏せた。
テメンニグルから訪れた魔界でもなく、いつかのあの日に遠足気分で訪れた魔界でもない。
今回来た魔界は閉塞感にあふれ、どちらかというと魔界自体が生きていると思わせるような場所だった。
「鍾乳洞はあんなに綺麗な場所だったのに、こっちは禍々しい……」
この閉塞感は、数時間前に通った鍾乳洞に通ずるものがある。似ても似つかないけど!
「見て、動いてるよ。なにこれ血管?気持ちわる〜」
そう!生きていると思わせるようなって言ったからわかるかもしれないけど、壁が生き物の鼓動のように蠢いているのだ。
背後に走る管のようなものなんて、血の通る血管そのもの!
気持ちの悪いものばかり見させられて、SAN値ゴリゴリ削り節。すでに大ピンチというやつだ。
思わずダンテのコートを体に巻きつけて内側に入る。……しかし今はやめてくれとすぐ外に出された。ショック。
代わりに撫でられたけど、悲しい。
「気持ち悪いのは魔界だからしょうがないな……。魔界というか、何かの胎内っぽくないか?」
『ここは魔帝の腹の中みたいなものだから』
「「え」」
蠢く壁や天井、床でダンテも気がついたようで呟くが、アラストルの言葉でその場が凍りついた。
つまり、魔界に来た瞬間すでに相手の腹の中?食われるってこと?まんまと騙された感じ??
『あっごめん。魔帝のってのはナシで。
普通にでっかい悪魔の腹の中だよ』
「どっちにしろ悪魔のお腹の中とかいやなんですけど〜」
「言えてる。
特にディーヴァはでけぇスライム悪魔の体の中でさんっざん、ひ、わ、い、な目にあったもんな」
「そこ強調しなくてよろしい」
ぺちっ。ダンテを叩く。
あれは確かあたしが成人した頃の話。
ダンテがいない時に大きなスライムの悪魔にぺろりと食べられちゃって……その体の中には、触手のようなフォルムの消化器官の役割をする悪魔がいて、あたしを拘束して……。
うう、これ以上はやめておこう。
ダンテが蒸し返すから思い出しただけで、これ以上思い出すとすっごくいや〜な気分になるもんね。
くっ!この魔界の外観のせいで変なこと思い出しちゃったじゃない……!
脈打つ魔界の洞窟、悪魔の胎内を思い切り睨みつける。
「おいディーヴァ、親の仇でも睨むみたいに壁ばっか見てどうしたよ。透視か?壁向こうに何か見えるのか?」
「透視できるわけないじゃん!何も見えませんよーっだ!」
「やれやれ、何怒ってんだかな……」
きぃー!思い出しちゃったのはダンテのせいもあるんだからね!!
こほん、とにかく壁には絶対触るもんですか。
鍾乳洞の綺麗な水や湿気で濡れてるならまだしも、ここの壁は謎の粘液でべちょべちょしてるし。
ああ、ここに●スソースあればなぁ。この壁に塗ったくってやるのに。
悪魔なんておなかこわしちゃえばいいのよ。トイレにずーっとこもってればいい。
ダンテより先にずんずん進むと、高くそびえる肉の壁、そしてその上に向かうべき道が。
だめ、届かない。壁には触りたくないし、こればかりはダンテの足頼みだ。
唸っているとまたもや胴を掴まれた。浮遊感を感じる暇もなく、気がつけばダンテの手によって上へ連れていってもらえた。
「よし、到着っと。
魔帝ぶっ飛ばしたいのはわかるが、それはオレの役目。ディーヴァは大人しくしとけ」
「うん……あ、りがと……」
「そんであんまりカッカするなよ?オレはお前の笑顔が見たい」
「ん」
ダンテに頭を数回ぽんぽんと優しく叩かれ、ちょっと心が落ち着いた。
スライムのことがあって魔界そのものに八つ当たり級にむかついてただけで、魔帝のことは忘れてたのよね。
けど、魔帝もにっくき敵。むしろ魔帝がいるからこの魔界が稼働してるんだし、魔帝倒せばそれで万事解決。
打倒魔帝に頑張る!ダンテが!!
「ところでなんの音?」
「さぁな。進めばわかるだろ」
通路に到着してから、ううん。下にいた時から聞こえていたけど、足音のような音がひっきりなしにずっと聞こえてくる。
なのに、その足音らしき音は動いていない。同じ場所から聞こえ続けている。
ダンテのいう通り進めばわかる。
けれど、そう簡単に進みたくない理由がある。
それがこの匂いだ。
上にあがった途端、嗅覚を攻撃してきたのは、生ゴミのような腐敗臭、酸っぱいような刺激臭、血と肉と脂の匂い。
それらを生ぬるく温めてさらに腐敗させている、といえばなんとなくわか……って!そんなの言われたって普通わかるわけないでしょ。うぉっぷ、吐きそう。
思わずダンテと二人並んで鼻を詰まむ。
ソーシャルディスタンスとか関係なく、マスクが欲しい。できれば脱臭炭配合ので。
「この中くさい……」
瘴気に侵される前に、臭さで鼻が曲がるよ」
「リヴァイアサンの中より臭いからな……でも慣れるしかない」
どちらも鼻を詰まんでいるから、くぐもった声だ。
それがおかしくて笑いあうが、ダンテの顔が突然真顔になった。そして真顔から怒りの顔へシフトチェンジ!
「って……あーっくせぇ!!
けど鼻つまんでたら悪魔を相手にできねぇ!我慢、我慢だオレ!!」
自分の鼻をむしり取って床に投げつける勢いでキレている。
ああそっか、ダンテはあたしなんかよりよっぽど嗅覚が鋭いものね。
あたしなんて、ただの匂いフェチなだけの一般的な嗅覚しか持ってない。あたしよりもつらいよね。
あたしもそっと、自分の鼻から手を離した。
うっ、やっぱり臭ぁい。でも我慢だ。
「我慢できるなら我慢して進も」
「ああ、そうだな。はぁ……鼻がバカになった」
狭くなった臭い道を進む。
『うーん、さしずめ最初の場所が顎でここが首の一部』
アラストルが地図でも広げているように場所について教えてくる。見えない地図、エア地図かー。
「首……長いね。首長竜かな?」
「冥界の竜じゃねぇか?アレの親玉」
「まーたいい加減なこと言って。ここ魔界だよ」
ダンテが破壊した竜骨と同じにしてはいけない。親玉って言うけどどんだけサイズ違うと思ってるの。いたらリヴァイアサン並みの大きさだよね。
そうこう言いながら、アラストルが続ける。
『そんでアレが、口蓋垂』
「口蓋垂……別名はなんだっけか、ディーヴァ?」
ダンテ、あたしに下ネタっぽいワード言わせたいのね。別に下ネタじゃないし言ってもいいけどここはひとつ違う言葉で言おうっと。
「残念、あたしは『小さいぶどうの房』としか言わないよ」
「ちっ。なんだつまらん」
「つまんなくて結構!けど、アレって人間だけにしかないんじゃなかったっけ」
「悪魔だからなんでもありなんだろ。深く考えるだけーー?」
「無駄なんでしょ。
でも、のどちん……口蓋垂にしては塞がってるね。気持ち悪く脈打ってるし、どっちかっていうと弁膜に見える」
「普通に言えばいいだろうに。
悪魔だから変な形してんだ、ろっ!!」
塞がっていたそこを、ダンテが思い切り斬り伏せた。