mission 19:gate to demon world ~ヒトと魔の境界線~
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物言わぬ悪魔の亡骸が跳ねる。
なかなか消えぬそれが腹立たしいのか、アラストルとスパーダ、両刀を使って微塵に切り刻むダンテ。
消えろ消えろ消えろ、ダンテがぶつぶつとそう呟いている。え、こわい。
しかし、飛び散った悪魔の肉がなぜかレッドオーブになかなか変わらない。
いつもならレッドオーブを残して消えていくのに、消えずに中から破裂でもしているかのように飛び散り続ける。
そして飛び散ったそれが付着したダンテに、ダメージを負わせているようにも見えた。
目玉の時と同じ、死してなお毒性が強いんだ。
「ダンテはいもう終わり!ハウス!!」
大きく手を叩き、こちらに注意を向けさせる。
ダンテは悪魔の亡骸とあたしを何度か交互に見てから、その場を後にして戻ってきた。
そして小さく頭に拳骨コツン。あいたっ。
「何がハウスだ。オレは犬じゃねぇよ」
「だって血だらけなんだもの。早く戻ってきて欲しくて言ったの」
ダメージを負った場所は回復してきてるみたい。
でも、流れた血は戻らない。ダンテの服にべっとりとついている。
半分は悪魔のものだろうけど。
「ほとんど返り血だ。
あいつらの血肉は毒混じりだったみたいだが、もうその毒性も消えてる。
とはいえ悪魔の血なんか、触るのも嫌だよな」
ダンテがコートを叩くと、血だったものがレッドオーブのかけらへと変わり、カラカラと音を立てて地面に落ちた。
未だに血として付着しているのは、半分は人間であるダンテの、純粋な血のシミだけだ。
「これでもう大丈夫だろ。ほらこいよディーヴァ」
おかえりとただいまのハグをご所望のようで、腕を広げるダンテ。
いつもならその腕に迷わず飛び込むけどちょっと待って。ダンテの目が不自然なほどギラついているし、歯を剥き出した笑い方してる。特徴ある、あの鋭い牙のような歯を。
まるで満月の日の、悪魔に近くなったダンテだ。
今のダンテには、あまり抱きしめられたくないなあ。
そう思いながら腕の中におさまり、少し息苦しく感じるほどに強い抱擁をうける。
「……おかえり」
「ただいま」
ああ、やっぱり。
ダンテの心臓がいつもより速い。何かに興奮してる。魔の気配が濃いから?……獲物がすぐ目の前にいるから?
すんすん、ダンテの鼻があたしの頬を伝い、顎へ、首へと降りていく。
身長差で頭を上げるあたしの、あらわとなった首筋。その途中でぴたりとその進行が止まった。
「イイ匂いする」
「そんなわけないよ。ここに来てどれだけ汚れたと思ってるの?」
ダンテの吐息や鼻先が肌をかすめてくすぐったい。
身じろいで体勢を変えようとすると、嫌な予感。ダンテが薄く唇を開け、あたしの肌に柔く吸い付いた。
キスとかそんなじゃない。その牙が首筋に向いたのを感じる。
させるわけにはいかない。自由にさせておいた自分の手で、ダンテのほっぺたを両方からつねった。
「おイタしちゃだーめ」
案外あっけなく離れさせることができた。あんなに強かった抱擁もほどよグ緩んだ。
よかった、気がついた……普段のダンテだ。
目の中の悪魔は完全に消えていないけれど、少なくとも狂気は感じない。
「…………すまん」
ダンテが小さく呟く。罰が悪そうに眉根を寄せている。
あたしをじっと見つめた後、肩に頭を乗せ、すがるように抱きついてきた。
なんて大きな子供でしょ。
子供のようになってしまったダンテの頭を、そして背中をぽんぽんと叩いてあやす。
「はぁ……少し魔の気に当てられたみたいだ。ここへ来てから何度も何度もこうなる。
今の悪魔共のこと言えないな」
「あんな悪魔と自分を一緒にしちゃダメでしょ。お猿だよ、お猿の悪魔!ダンテはお猿じゃないじゃん」
『少なくともアレも猿じゃない』
ケラケラ笑えばアラストルから電撃のようなツッコミ。
「でも鳴き声は気色の悪い猿だよ。だからあんな悪魔はお猿の悪魔でじゅうぶん」
「ディーヴァがお猿だって言ったら……」
『あー、はいはい。ディーヴァの言葉が全てなんだろ?分かってる』
やれやれ、とアラストルのため息が聞こえそうな中、ダンテを解放する。
ダンテ自身はなかなかあたしを解放してくれなかったが、今度はむにむにと両頬を潰し揉めばやっと離してくれた。
少しだけ名残惜しい……なんて言ったら、また抱擁からやり直しになりそうなので絶対言わない。
「目的の物は手に入れたんでしょ?」
「ああ、この通りだ」
そう言ってダンテが取り出したるは、十二面体の賢者の石。
触らせてはもらえなかったけど、ここから願っちゃおう。無事に帰りたいですお願いしますって。……患者の石にはそういうお願いって聞いてもらえないんだっけ。
「手に入れたならこんなこわいところ、早く出ようよ」
「それもそうだな」
城主の部屋とつながるバルコニーの大窓。そこに張り巡らされていた悪魔の結界も、ノーバディ共の消滅とともに消えている。
ダンテの袖をぐいぐい引っ張って中へと誘導する。
ダンテが周りの様子……歪んだ空間、そして禍々しい色の空をしばし眺めてから、あたしに続いた。
とはいっても、あたしが引っ張れるのはここまで。
どうしても鏡の前では躊躇してしまう。
中から何も出てこないのはわかってても、あたし自ら鏡の中に飛び込む勇気はない。
意気揚々と引っ張ってきたあたしが歩みを止めたことに、ダンテは訝しげだ。
ちらとダンテの表情を見る。
「あー、はいはい。鏡がまだ怖いわけね。
そんなんでこれから先どうする。ディーヴァは鏡見ない生活する気か?」
「そっそんな生活するわけない!」
鏡見ないと髪の毛やお顔のセットがうまくできない。そもそもあたしは寝癖がすごいのだ。これ以上髪の毛が外ハネするのは勘弁。
「ん?そういえばホラー映画を観た後もそんな状態じゃなかったか。風呂場で目を閉じて洗髪してる時、後ろがこわいって。後ろにお化けが立ってるかも、とか」
「思い出させないでよ……」
鏡どころかお風呂まで怖くなった。このままだと本気でダンテなしの生活じゃいられなくなるぅ……。
「ったく、しょうがないなァ」
ダンテがあたしを抱き上げて、鏡をするりと通り抜ける。
よかった、元の世界だ。歪んだ空間はどこにもなく、あるのは今しがた通った禍々しい鏡と、床に開いたワープホール。
そのまま床のワープホールも潜り抜け、またもや戻ってきたのは海の上の離れだった。
潮風が強く、あたしたちの髪や服を靡かせた。
なかなか消えぬそれが腹立たしいのか、アラストルとスパーダ、両刀を使って微塵に切り刻むダンテ。
消えろ消えろ消えろ、ダンテがぶつぶつとそう呟いている。え、こわい。
しかし、飛び散った悪魔の肉がなぜかレッドオーブになかなか変わらない。
いつもならレッドオーブを残して消えていくのに、消えずに中から破裂でもしているかのように飛び散り続ける。
そして飛び散ったそれが付着したダンテに、ダメージを負わせているようにも見えた。
目玉の時と同じ、死してなお毒性が強いんだ。
「ダンテはいもう終わり!ハウス!!」
大きく手を叩き、こちらに注意を向けさせる。
ダンテは悪魔の亡骸とあたしを何度か交互に見てから、その場を後にして戻ってきた。
そして小さく頭に拳骨コツン。あいたっ。
「何がハウスだ。オレは犬じゃねぇよ」
「だって血だらけなんだもの。早く戻ってきて欲しくて言ったの」
ダメージを負った場所は回復してきてるみたい。
でも、流れた血は戻らない。ダンテの服にべっとりとついている。
半分は悪魔のものだろうけど。
「ほとんど返り血だ。
あいつらの血肉は毒混じりだったみたいだが、もうその毒性も消えてる。
とはいえ悪魔の血なんか、触るのも嫌だよな」
ダンテがコートを叩くと、血だったものがレッドオーブのかけらへと変わり、カラカラと音を立てて地面に落ちた。
未だに血として付着しているのは、半分は人間であるダンテの、純粋な血のシミだけだ。
「これでもう大丈夫だろ。ほらこいよディーヴァ」
おかえりとただいまのハグをご所望のようで、腕を広げるダンテ。
いつもならその腕に迷わず飛び込むけどちょっと待って。ダンテの目が不自然なほどギラついているし、歯を剥き出した笑い方してる。特徴ある、あの鋭い牙のような歯を。
まるで満月の日の、悪魔に近くなったダンテだ。
今のダンテには、あまり抱きしめられたくないなあ。
そう思いながら腕の中におさまり、少し息苦しく感じるほどに強い抱擁をうける。
「……おかえり」
「ただいま」
ああ、やっぱり。
ダンテの心臓がいつもより速い。何かに興奮してる。魔の気配が濃いから?……獲物がすぐ目の前にいるから?
すんすん、ダンテの鼻があたしの頬を伝い、顎へ、首へと降りていく。
身長差で頭を上げるあたしの、あらわとなった首筋。その途中でぴたりとその進行が止まった。
「イイ匂いする」
「そんなわけないよ。ここに来てどれだけ汚れたと思ってるの?」
ダンテの吐息や鼻先が肌をかすめてくすぐったい。
身じろいで体勢を変えようとすると、嫌な予感。ダンテが薄く唇を開け、あたしの肌に柔く吸い付いた。
キスとかそんなじゃない。その牙が首筋に向いたのを感じる。
させるわけにはいかない。自由にさせておいた自分の手で、ダンテのほっぺたを両方からつねった。
「おイタしちゃだーめ」
案外あっけなく離れさせることができた。あんなに強かった抱擁もほどよグ緩んだ。
よかった、気がついた……普段のダンテだ。
目の中の悪魔は完全に消えていないけれど、少なくとも狂気は感じない。
「…………すまん」
ダンテが小さく呟く。罰が悪そうに眉根を寄せている。
あたしをじっと見つめた後、肩に頭を乗せ、すがるように抱きついてきた。
なんて大きな子供でしょ。
子供のようになってしまったダンテの頭を、そして背中をぽんぽんと叩いてあやす。
「はぁ……少し魔の気に当てられたみたいだ。ここへ来てから何度も何度もこうなる。
今の悪魔共のこと言えないな」
「あんな悪魔と自分を一緒にしちゃダメでしょ。お猿だよ、お猿の悪魔!ダンテはお猿じゃないじゃん」
『少なくともアレも猿じゃない』
ケラケラ笑えばアラストルから電撃のようなツッコミ。
「でも鳴き声は気色の悪い猿だよ。だからあんな悪魔はお猿の悪魔でじゅうぶん」
「ディーヴァがお猿だって言ったら……」
『あー、はいはい。ディーヴァの言葉が全てなんだろ?分かってる』
やれやれ、とアラストルのため息が聞こえそうな中、ダンテを解放する。
ダンテ自身はなかなかあたしを解放してくれなかったが、今度はむにむにと両頬を潰し揉めばやっと離してくれた。
少しだけ名残惜しい……なんて言ったら、また抱擁からやり直しになりそうなので絶対言わない。
「目的の物は手に入れたんでしょ?」
「ああ、この通りだ」
そう言ってダンテが取り出したるは、十二面体の賢者の石。
触らせてはもらえなかったけど、ここから願っちゃおう。無事に帰りたいですお願いしますって。……患者の石にはそういうお願いって聞いてもらえないんだっけ。
「手に入れたならこんなこわいところ、早く出ようよ」
「それもそうだな」
城主の部屋とつながるバルコニーの大窓。そこに張り巡らされていた悪魔の結界も、ノーバディ共の消滅とともに消えている。
ダンテの袖をぐいぐい引っ張って中へと誘導する。
ダンテが周りの様子……歪んだ空間、そして禍々しい色の空をしばし眺めてから、あたしに続いた。
とはいっても、あたしが引っ張れるのはここまで。
どうしても鏡の前では躊躇してしまう。
中から何も出てこないのはわかってても、あたし自ら鏡の中に飛び込む勇気はない。
意気揚々と引っ張ってきたあたしが歩みを止めたことに、ダンテは訝しげだ。
ちらとダンテの表情を見る。
「あー、はいはい。鏡がまだ怖いわけね。
そんなんでこれから先どうする。ディーヴァは鏡見ない生活する気か?」
「そっそんな生活するわけない!」
鏡見ないと髪の毛やお顔のセットがうまくできない。そもそもあたしは寝癖がすごいのだ。これ以上髪の毛が外ハネするのは勘弁。
「ん?そういえばホラー映画を観た後もそんな状態じゃなかったか。風呂場で目を閉じて洗髪してる時、後ろがこわいって。後ろにお化けが立ってるかも、とか」
「思い出させないでよ……」
鏡どころかお風呂まで怖くなった。このままだと本気でダンテなしの生活じゃいられなくなるぅ……。
「ったく、しょうがないなァ」
ダンテがあたしを抱き上げて、鏡をするりと通り抜ける。
よかった、元の世界だ。歪んだ空間はどこにもなく、あるのは今しがた通った禍々しい鏡と、床に開いたワープホール。
そのまま床のワープホールも潜り抜け、またもや戻ってきたのは海の上の離れだった。
潮風が強く、あたしたちの髪や服を靡かせた。
