mission 19:gate to demon world ~ヒトと魔の境界線~
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「ディーヴァ、か」
気になるのはダンテの変わりように対し、ディーヴァは変わっていないように見えたことだ。
ダンテの成長を見るともう成人しているはずだ。そのくらいの年月は経っている。
ネロアンジェロとしてあの娘と会話したことも覚えている。
いや、その前に人間界のどこかの城で、ダンテとディーヴァと会った。それについても覚えがある。
その記憶があるからこそよくわかるが、テメンニグルで会った時からひとつも変わっていない。その背も、顔も、全てが。
相変わらずのチビのままだが、一体あれから何年経った?なぜ見た目が全く変わらない?
そして、ダンテとディーヴァの間に流れるあの仲睦まじい空気。
肉体的な繋がりも感じさせるどこか甘ったるい……。くそが!
いや待てまさかアイツ、か弱い少女のディーヴァを手籠にしてあんなことやこんなことを……!
それは羨ま……いや、けしからん。
なんて汚らわしく、いやらしいやつだ!アイツは細切れ確定だ。
繋がりをぶった斬りその手は俺が取る。
悪魔のような、いや、悪魔のダンテから俺がディーヴァを守らねば。
そしてゆくゆくは……。
だがそれも魔帝を滅し、ここから出られてからの話だ。できないとは思わん。
以前は不覚をとったがそれは油断していたからだ。テメンニグルでは血を流しすぎた。
度重なる戦闘で多少疲弊していたのも大きいな。
大聖堂から魔界への入り口へと落ち、懐から賢者の石とエリキサで構成された極々小さなかけらを取り出す。
これは魔帝の配下にいくつか支給された、魔界と人間界を行き来するための鍵。
指定の場所へとそれを落とし込めば、魔界への扉が一瞬開く。
素早く身を滑り込ませ、侵入を果たした。
アイツならこの魔界への入り口も容易に見つけられるだろう。
俺から一勝をもぎとるくらいだ。それくらい出来てもらわねば困る。
眼下に広がる薄気味悪い魔界を眺めながら、ダンテを思う。
「さて」
次は魔帝を討つ為の準備をしておかねば。
多少抵抗されるだろうが、奴への供給を止めておくことから始めよう。
ディーヴァの本物の体は未だ生きながらも、魔帝の養分となっている。
死なない程度に、少しずつ少しずつ、絡みついた魔界の荊によって血を吸い取られているのだ。
何も食していないディーヴァの肉体も、もう血の絶対量が持たない。
あの体は悪戯されぬよう、俺が特殊な棺に入れた。
だから他の悪魔からは守られているが、魔帝が肉をも食うと決めてしまえば話は別だ。
血が摂れなくなれば、その柩ごとそのまま血も肉も、全てが食われてしまう。
今行動しているディーヴァの魂は、あとでもいいと判断を下すだろう。
なにせ微細な量の力の差。たいした違いがない。
つまり、時間の猶予はほとんど残されていないのだ。
「……血に、肉」
血や肉を彷彿とさせる魔界の肉壁。
臭いそれらを眺めながら、臭さとは無縁だったディーヴァの血に、その味と匂いに思いを馳せる。
口の中に、未だにディーヴァの血の味が残っているような気がする。
天使の微かな血の風味が鼻腔にまで芳しく、とろりと溶けて香る。
口内を潤す唾液に喉を鳴らす。
ああ甘いそれが欲しい。
力が湧くそれが、もっともっと、欲しい。
その手があった。
魔帝に食われる前に、俺が食ってしまえばいい。悪魔の世界にも早い者勝ちという言葉があるならば、奪われる前に奪ってしまえ。
天使の血肉は極上のエサ。強大な力が手に入る至高の逸品。どんな食事にも引けを取らぬ最高のディナー。
味もわからず力のみを求めて食すような、魔帝なぞにはもったいない。
俺が誰よりも隋まで味わいつくして、上手く活用してやろう。
「くくく……」
蠢く魔界の胎内をふらふらとどこか夢見心地の足取りで通り抜け、食道の弁を切り刻む。
ピクピクと動く弁を通ると、そこは食道だ。
この悪魔が生贄である食事をたっぷりと咀嚼し終えた、血や肉がはじめに通る場所。
血が最も濃い場所。
ああ、引っ張られているのを感じる。
悪魔の血へ、悪魔の思考へ。
自身の中に潜む悪魔が、こっちだぞと手を拱いている。
楽になりたい。楽な方へと堕ちてしまいたい。
だが、そう考えていたら肌が粟立ってきた。
血が熱い、沸騰するように熱い……!ディーヴァから得た血が、体の中で悪魔の血に反抗している。
どちらを応援していいか分からず、この身に苦しさまで覚えそうだ!
『グゥルルルウ……!』
その時、食道の奥から氷柱状の攻撃が飛んできた。ひどく冷たく、凍える冷気の塊に頭が一気に覚醒する。
撃ち放ったのは、ここを住処にしているフロスト達だった。
ピッ……!氷柱により、頬に薄く傷がつく。
「ち、いかんな。俺としたことが気が緩んだ」
いきなりの攻撃は腹立たしく思うが、しかしそのおかげで自身を取り戻せたのも大きい。
礼として一思いに眠らせてやろう。
だがメテオや幻影剣は難しい、まだ無理だ。
「フンッ……ハァッ……!」
氷に覆われた爪を飛ばされたがものともせず、肉弾戦に持ち込む。エアトリックを使って悪魔に肉薄し、拳と脚を叩き込んだ。
無視したレッドオーブは、食道内の肉壁に吸い込まれていった。
守りたいと思ったはずのこの頭で、食らいたいと思うとは。たかが魔界へ戻ったくらいで悪魔の血に主導権を握られそうになるなど、俺もまだまだ青いな。
俺は悪魔の道を選んだ身。魔界へ堕ちた身。だが自身の中に飼う悪魔に成り代わられ外道に落ちるのはごめんだ。
そんなもの、低俗な悪魔と変わらん。
俺は俺のまま、心身ともに強く気高き悪魔を目指したい。
「その前に、この格好では動きづらくて敵わん」
鎧のおかげであいつよりは背が高くなれたことに優越感を感じたが、そんなもの自分自身の身長で競わねばなんの意味もない。
動くたびにガチャガチャと不快な音を立てる歪なそれ。
魔帝産の悪趣味な鎧など、いつまでも着ていたくない。
今ここにディーヴァが共に行動していたなら、「バージルのお着替えターイム!」などと明るく抜かしていたやもしれん。想像するだけで胸のすく思いだ。どこかへと行っていた心が温かくなる。
そして傍らのこの大剣も悪趣味がすぎる。美しくない。まるでダンテの愛剣ではないか。
せめて俺の愛刀に似て美しい刀でなくては。
魔帝の治める魔界の城は、一部が悪魔の胎内となっている。かのリヴァイアサンと同じようなものだ。
だがもちろん、居住区には胎内以外の場所もある。
ディーヴァが幽閉されていた場所や、我々腹心と呼ばれる配下の者が詰めていた部屋もそうだ。
頭に浮かぶは、そういったものを手がける気弱そうな女悪魔。そして様々な物の揃う武器庫。
俺は脇道へと逸れて食道、そして進んだ気道から胎内を出ると、ひとつの作業場へと歩を進めた。
気になるのはダンテの変わりように対し、ディーヴァは変わっていないように見えたことだ。
ダンテの成長を見るともう成人しているはずだ。そのくらいの年月は経っている。
ネロアンジェロとしてあの娘と会話したことも覚えている。
いや、その前に人間界のどこかの城で、ダンテとディーヴァと会った。それについても覚えがある。
その記憶があるからこそよくわかるが、テメンニグルで会った時からひとつも変わっていない。その背も、顔も、全てが。
相変わらずのチビのままだが、一体あれから何年経った?なぜ見た目が全く変わらない?
そして、ダンテとディーヴァの間に流れるあの仲睦まじい空気。
肉体的な繋がりも感じさせるどこか甘ったるい……。くそが!
いや待てまさかアイツ、か弱い少女のディーヴァを手籠にしてあんなことやこんなことを……!
それは羨ま……いや、けしからん。
なんて汚らわしく、いやらしいやつだ!アイツは細切れ確定だ。
繋がりをぶった斬りその手は俺が取る。
悪魔のような、いや、悪魔のダンテから俺がディーヴァを守らねば。
そしてゆくゆくは……。
だがそれも魔帝を滅し、ここから出られてからの話だ。できないとは思わん。
以前は不覚をとったがそれは油断していたからだ。テメンニグルでは血を流しすぎた。
度重なる戦闘で多少疲弊していたのも大きいな。
大聖堂から魔界への入り口へと落ち、懐から賢者の石とエリキサで構成された極々小さなかけらを取り出す。
これは魔帝の配下にいくつか支給された、魔界と人間界を行き来するための鍵。
指定の場所へとそれを落とし込めば、魔界への扉が一瞬開く。
素早く身を滑り込ませ、侵入を果たした。
アイツならこの魔界への入り口も容易に見つけられるだろう。
俺から一勝をもぎとるくらいだ。それくらい出来てもらわねば困る。
眼下に広がる薄気味悪い魔界を眺めながら、ダンテを思う。
「さて」
次は魔帝を討つ為の準備をしておかねば。
多少抵抗されるだろうが、奴への供給を止めておくことから始めよう。
ディーヴァの本物の体は未だ生きながらも、魔帝の養分となっている。
死なない程度に、少しずつ少しずつ、絡みついた魔界の荊によって血を吸い取られているのだ。
何も食していないディーヴァの肉体も、もう血の絶対量が持たない。
あの体は悪戯されぬよう、俺が特殊な棺に入れた。
だから他の悪魔からは守られているが、魔帝が肉をも食うと決めてしまえば話は別だ。
血が摂れなくなれば、その柩ごとそのまま血も肉も、全てが食われてしまう。
今行動しているディーヴァの魂は、あとでもいいと判断を下すだろう。
なにせ微細な量の力の差。たいした違いがない。
つまり、時間の猶予はほとんど残されていないのだ。
「……血に、肉」
血や肉を彷彿とさせる魔界の肉壁。
臭いそれらを眺めながら、臭さとは無縁だったディーヴァの血に、その味と匂いに思いを馳せる。
口の中に、未だにディーヴァの血の味が残っているような気がする。
天使の微かな血の風味が鼻腔にまで芳しく、とろりと溶けて香る。
口内を潤す唾液に喉を鳴らす。
ああ甘いそれが欲しい。
力が湧くそれが、もっともっと、欲しい。
その手があった。
魔帝に食われる前に、俺が食ってしまえばいい。悪魔の世界にも早い者勝ちという言葉があるならば、奪われる前に奪ってしまえ。
天使の血肉は極上のエサ。強大な力が手に入る至高の逸品。どんな食事にも引けを取らぬ最高のディナー。
味もわからず力のみを求めて食すような、魔帝なぞにはもったいない。
俺が誰よりも隋まで味わいつくして、上手く活用してやろう。
「くくく……」
蠢く魔界の胎内をふらふらとどこか夢見心地の足取りで通り抜け、食道の弁を切り刻む。
ピクピクと動く弁を通ると、そこは食道だ。
この悪魔が生贄である食事をたっぷりと咀嚼し終えた、血や肉がはじめに通る場所。
血が最も濃い場所。
ああ、引っ張られているのを感じる。
悪魔の血へ、悪魔の思考へ。
自身の中に潜む悪魔が、こっちだぞと手を拱いている。
楽になりたい。楽な方へと堕ちてしまいたい。
だが、そう考えていたら肌が粟立ってきた。
血が熱い、沸騰するように熱い……!ディーヴァから得た血が、体の中で悪魔の血に反抗している。
どちらを応援していいか分からず、この身に苦しさまで覚えそうだ!
『グゥルルルウ……!』
その時、食道の奥から氷柱状の攻撃が飛んできた。ひどく冷たく、凍える冷気の塊に頭が一気に覚醒する。
撃ち放ったのは、ここを住処にしているフロスト達だった。
ピッ……!氷柱により、頬に薄く傷がつく。
「ち、いかんな。俺としたことが気が緩んだ」
いきなりの攻撃は腹立たしく思うが、しかしそのおかげで自身を取り戻せたのも大きい。
礼として一思いに眠らせてやろう。
だがメテオや幻影剣は難しい、まだ無理だ。
「フンッ……ハァッ……!」
氷に覆われた爪を飛ばされたがものともせず、肉弾戦に持ち込む。エアトリックを使って悪魔に肉薄し、拳と脚を叩き込んだ。
無視したレッドオーブは、食道内の肉壁に吸い込まれていった。
守りたいと思ったはずのこの頭で、食らいたいと思うとは。たかが魔界へ戻ったくらいで悪魔の血に主導権を握られそうになるなど、俺もまだまだ青いな。
俺は悪魔の道を選んだ身。魔界へ堕ちた身。だが自身の中に飼う悪魔に成り代わられ外道に落ちるのはごめんだ。
そんなもの、低俗な悪魔と変わらん。
俺は俺のまま、心身ともに強く気高き悪魔を目指したい。
「その前に、この格好では動きづらくて敵わん」
鎧のおかげであいつよりは背が高くなれたことに優越感を感じたが、そんなもの自分自身の身長で競わねばなんの意味もない。
動くたびにガチャガチャと不快な音を立てる歪なそれ。
魔帝産の悪趣味な鎧など、いつまでも着ていたくない。
今ここにディーヴァが共に行動していたなら、「バージルのお着替えターイム!」などと明るく抜かしていたやもしれん。想像するだけで胸のすく思いだ。どこかへと行っていた心が温かくなる。
そして傍らのこの大剣も悪趣味がすぎる。美しくない。まるでダンテの愛剣ではないか。
せめて俺の愛刀に似て美しい刀でなくては。
魔帝の治める魔界の城は、一部が悪魔の胎内となっている。かのリヴァイアサンと同じようなものだ。
だがもちろん、居住区には胎内以外の場所もある。
ディーヴァが幽閉されていた場所や、我々腹心と呼ばれる配下の者が詰めていた部屋もそうだ。
頭に浮かぶは、そういったものを手がける気弱そうな女悪魔。そして様々な物の揃う武器庫。
俺は脇道へと逸れて食道、そして進んだ気道から胎内を出ると、ひとつの作業場へと歩を進めた。
