mission 18:baby is cruel ~トラウマ~
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ざばっ!!
水面から飛び上がった瞬間、目の端に映り込んだのは卵型の漬物石のようなもの。
燭台の炎を反射してキラリと光るそれは、天井の近くの台にさも大事なアイテムか何かのように配置されていた。
飛び上がった勢いで足場に着地し、ダンテにそっと降ろされる。
「見えたか?」
「おっきな漬物石が見えた!」
『漬物石って、ディーヴァ……天使の考え方はさすが違うなぁ……』
「ディーヴァが漬物石って言えば、それは漬物石なんだよわかったか!」
『アッハイ』
ダンテがアラストルを黙らせたところで、上へと進む。
さっきの漬物石(仮)を手に入れなくちゃいけないんだと思う。
だって、誘導灯か何かのように、壁には剣で方角を指示する騎士の絵が描かれており、その切先の先に、それがあったのだから。
「あっ日本のおばあちゃんちにあった漬物石!」
「ほらディーヴァの言ったとおりやっぱり漬物石じゃねぇか」
『だから違うってば!』
たまにどちらもボケに回ってしまうマスターとその恋人に、多分これから先もアラストルは苦労するだろう。
これは漬物石ではなく哲学者の卵という錬金術に使う鉱石なのだが、そんなことは気にもとめず中段にある扉に入る。
そこもまた、構造自体は見たことのある中庭だった。
扉が反対側についていたり、正面の扉がなくなっていたりと多少違う場所が見受けられるが、それはここが鏡を通った先だからかもしれない。
前の時は小さいながらも噴水があったが、今は影も形もないことだし。
それよりも一番気になるのは床に見える……。
「アッなんか見覚えあるいやなものが床と壁にある」
ナイトメアとの戦いで嫌というほど見た床の紋様。そして壁の紋章。
これは確実にフラグである。
「スライムくんとまた戦うってこと?」
「多分そうなるな」
スライムくん……ナイトメアが出てきた水溜りは、中庭の中に見当たらない。
でも出てきそうな気配はビシビシ感じる。
「さて、今度はどこに潜んでるのやら。
アレが出てきそうな水はなさそうだが、一応紋章は発動しておくか。この暗い中も少しは明るくなるしな」
「ホント暗いもんね。暗闇だぁいきらい!」
そろそろ目が慣れてもいい頃だけど、天使の血を持つ者は鳥眼だとでもいうのだろうか?一向に見えるようになる気配がない。
天使には翼もあることだし、鳥眼というのはあながち間違いじゃないかも。
「……何もこないね」
「おっかしいな、絶対来るはずだし、他に行く場所もねぇんだけど」
来るぞ来るぞと構えて待つこと数分。
シーン……。肩透かしもいいところだった。
一応、回廊も覗いてみたけど、何もない行き止まり。
これじゃ八方塞がり。どこにいけばいいの?
仕方なしに、少しでも暖をとろうと柔らかな篝火が焚いてあるところへ腰を落とす。
じっと見つめていると、それが普通の火ではなく、魔の気配にまみれた火であることに気がついた。
「ねえこれ普通の火じゃない」
「なに?
なるほど……何かを置いて温める場所がある。ちょうどさっきの卵みたいな石が置けそうだ」
「置いたらゆで卵ができるとかかな?大きさ的にダチョウの卵の……じゅるり」
持ってみた感想は石だったけど、ダチョウの卵も結構な固さだよね。もしこれがダチョウの卵なら……。
一週間ずっとゆで卵が食べられる。
「おいおい、漬物石からいつのまにダチョウの卵になったんだ。もしかして空腹か?」
「決まってるじゃない、空腹だよ。あたしはらっぺらしだもの」
「自分で言うなって。……できても食うなよ、絶対腹壊す」
「わかってますー!」
ダンテに釘をさされた。
自分ではらっぺらしと言ったから仕方ないけど、そこまで強く言うことないじゃんかぁ。ちょびっとだけ本気だったとはいえ、冗談通じないなー。
「それに、よく見たら上に何か掘り込まれてるもの。食べ物じゃないのは丸わかりだよ」
炎台の上、小さく文字が刻まれている。
そこには、
『真理を求める者よ、卵を投じよ。
ゆっくりと慎重に熟したまえ。
其は青き魔石となり、険しき道への道しるべとなる』
とあった。
「わー、やっぱりここに置くんだね」
「ここでダチョウの卵の丸焼きか。ゆで卵ではなさそうだな……どれ」
あたしから卵を受け取り、ダンテが火に投じる。
『それ哲学者の卵だから!錬金術ではポピュラーなアイテムの!
漬物石でもダチョウの卵でもなくてね!?』
「あははー、わかってるよ」
またアラストルにツッコミを入れられた。
ただ、わかっててもお腹は減るんだよね。
魂の存在に近いのに肉体はあるし、血は出るし、おまけにお腹の虫は鳴る。
困った体だ。
くう、と小さく鳴ったおなかをさする。
……はやくおうちかえりたい。
「哲学者の卵?哲学者って卵産む鳥か何かのことか?」
「なんだっけ、『太陽の輝き』にあったやつだった気がする」
「その太陽の輝きってのはなんだ」
「やだなぁダンテ。
ダンテがテメンニグルが崩れる前に書庫から何冊か持ってきた本じゃない。中身は悪魔関連じゃなくて、錬金術の本だったけど」
言った瞬間、ダンテがギョッとした。
「なあディーヴァ。
オレのために悪魔の勉強に熱心でいてくれるのは助かるけど、テメンニグルの本だぞ。
悪魔が封印されてる本だったらどうすんだよ、それはオレが読むのを許可したやつか?」
テメンニグルの書物には危険なものもいっぱいある。
ダンテが持ってきた本の中には、その危険な本もあった。あからさまに危ないものや、ダンテがダメと言った本はほとんど読んでいない。
ただし、許可されてなくても明らかに悪魔は関連しなさそうなものは、自分で判断して読んでいる。それが、錬金術の本だった。
魔法使いになれる本とかもあれば読みたい。ちちんぷいぷいー。
「許可はされてないけど、書いてある内容は悪魔の辞典よりマシだったよ。
読ませたくないのあるなら、そういうのは最初から持って帰ってこないでよ。ダンテが読まないから、あたしがかわりに読んじゃうんでしょうが」
「うぐ、すまん……」
眼鏡かけて勉強熱心になったダンテなんて、ダンテじゃない気がするからいいけど。
ん?待って、そういう姿も見てみたいかも。眼鏡っていいよね。
「ってことは、この炎はウルカヌスの炎の剣代わりってことかなぁ。
ダチョウじゃなくて、鉄と火を克服する鳥が生まれるのかな。もしくは火の鳥とか」
錬金術は勉強してみると結構面白い。わくわくしながら火を見つめる。
チリチリと、卵の端から変成が始まっていくのがみてとれた。
「変質には時間がかかりそうだね。ゆっくりって書いてあるし」
「ならこの火で暖でもとりながら、オレとイチャイチャするか?」
「えー。イチャイチャはしな……」
その瞬間、ダンテがあたしを抱き抱え、素早く上へと飛び上がった。
「な、なに?」
「とうとう来やがった」
ダンテの視線の先、何もなかった床から染み出すように、ナイトメアが出現した。
「いい暇つぶしにはなりそうだが、できる事ならディーヴァとの時間に当てたかったな。
そもそもディーヴァをこれ以上怖がらせたくないし、悪魔にはさっさと帰って欲しいもんだ」
頬へ小さくキスを落とすと回廊前の足場へあたしを残し、ダンテは戦いへと身を投じた。
水面から飛び上がった瞬間、目の端に映り込んだのは卵型の漬物石のようなもの。
燭台の炎を反射してキラリと光るそれは、天井の近くの台にさも大事なアイテムか何かのように配置されていた。
飛び上がった勢いで足場に着地し、ダンテにそっと降ろされる。
「見えたか?」
「おっきな漬物石が見えた!」
『漬物石って、ディーヴァ……天使の考え方はさすが違うなぁ……』
「ディーヴァが漬物石って言えば、それは漬物石なんだよわかったか!」
『アッハイ』
ダンテがアラストルを黙らせたところで、上へと進む。
さっきの漬物石(仮)を手に入れなくちゃいけないんだと思う。
だって、誘導灯か何かのように、壁には剣で方角を指示する騎士の絵が描かれており、その切先の先に、それがあったのだから。
「あっ日本のおばあちゃんちにあった漬物石!」
「ほらディーヴァの言ったとおりやっぱり漬物石じゃねぇか」
『だから違うってば!』
たまにどちらもボケに回ってしまうマスターとその恋人に、多分これから先もアラストルは苦労するだろう。
これは漬物石ではなく哲学者の卵という錬金術に使う鉱石なのだが、そんなことは気にもとめず中段にある扉に入る。
そこもまた、構造自体は見たことのある中庭だった。
扉が反対側についていたり、正面の扉がなくなっていたりと多少違う場所が見受けられるが、それはここが鏡を通った先だからかもしれない。
前の時は小さいながらも噴水があったが、今は影も形もないことだし。
それよりも一番気になるのは床に見える……。
「アッなんか見覚えあるいやなものが床と壁にある」
ナイトメアとの戦いで嫌というほど見た床の紋様。そして壁の紋章。
これは確実にフラグである。
「スライムくんとまた戦うってこと?」
「多分そうなるな」
スライムくん……ナイトメアが出てきた水溜りは、中庭の中に見当たらない。
でも出てきそうな気配はビシビシ感じる。
「さて、今度はどこに潜んでるのやら。
アレが出てきそうな水はなさそうだが、一応紋章は発動しておくか。この暗い中も少しは明るくなるしな」
「ホント暗いもんね。暗闇だぁいきらい!」
そろそろ目が慣れてもいい頃だけど、天使の血を持つ者は鳥眼だとでもいうのだろうか?一向に見えるようになる気配がない。
天使には翼もあることだし、鳥眼というのはあながち間違いじゃないかも。
「……何もこないね」
「おっかしいな、絶対来るはずだし、他に行く場所もねぇんだけど」
来るぞ来るぞと構えて待つこと数分。
シーン……。肩透かしもいいところだった。
一応、回廊も覗いてみたけど、何もない行き止まり。
これじゃ八方塞がり。どこにいけばいいの?
仕方なしに、少しでも暖をとろうと柔らかな篝火が焚いてあるところへ腰を落とす。
じっと見つめていると、それが普通の火ではなく、魔の気配にまみれた火であることに気がついた。
「ねえこれ普通の火じゃない」
「なに?
なるほど……何かを置いて温める場所がある。ちょうどさっきの卵みたいな石が置けそうだ」
「置いたらゆで卵ができるとかかな?大きさ的にダチョウの卵の……じゅるり」
持ってみた感想は石だったけど、ダチョウの卵も結構な固さだよね。もしこれがダチョウの卵なら……。
一週間ずっとゆで卵が食べられる。
「おいおい、漬物石からいつのまにダチョウの卵になったんだ。もしかして空腹か?」
「決まってるじゃない、空腹だよ。あたしはらっぺらしだもの」
「自分で言うなって。……できても食うなよ、絶対腹壊す」
「わかってますー!」
ダンテに釘をさされた。
自分ではらっぺらしと言ったから仕方ないけど、そこまで強く言うことないじゃんかぁ。ちょびっとだけ本気だったとはいえ、冗談通じないなー。
「それに、よく見たら上に何か掘り込まれてるもの。食べ物じゃないのは丸わかりだよ」
炎台の上、小さく文字が刻まれている。
そこには、
『真理を求める者よ、卵を投じよ。
ゆっくりと慎重に熟したまえ。
其は青き魔石となり、険しき道への道しるべとなる』
とあった。
「わー、やっぱりここに置くんだね」
「ここでダチョウの卵の丸焼きか。ゆで卵ではなさそうだな……どれ」
あたしから卵を受け取り、ダンテが火に投じる。
『それ哲学者の卵だから!錬金術ではポピュラーなアイテムの!
漬物石でもダチョウの卵でもなくてね!?』
「あははー、わかってるよ」
またアラストルにツッコミを入れられた。
ただ、わかっててもお腹は減るんだよね。
魂の存在に近いのに肉体はあるし、血は出るし、おまけにお腹の虫は鳴る。
困った体だ。
くう、と小さく鳴ったおなかをさする。
……はやくおうちかえりたい。
「哲学者の卵?哲学者って卵産む鳥か何かのことか?」
「なんだっけ、『太陽の輝き』にあったやつだった気がする」
「その太陽の輝きってのはなんだ」
「やだなぁダンテ。
ダンテがテメンニグルが崩れる前に書庫から何冊か持ってきた本じゃない。中身は悪魔関連じゃなくて、錬金術の本だったけど」
言った瞬間、ダンテがギョッとした。
「なあディーヴァ。
オレのために悪魔の勉強に熱心でいてくれるのは助かるけど、テメンニグルの本だぞ。
悪魔が封印されてる本だったらどうすんだよ、それはオレが読むのを許可したやつか?」
テメンニグルの書物には危険なものもいっぱいある。
ダンテが持ってきた本の中には、その危険な本もあった。あからさまに危ないものや、ダンテがダメと言った本はほとんど読んでいない。
ただし、許可されてなくても明らかに悪魔は関連しなさそうなものは、自分で判断して読んでいる。それが、錬金術の本だった。
魔法使いになれる本とかもあれば読みたい。ちちんぷいぷいー。
「許可はされてないけど、書いてある内容は悪魔の辞典よりマシだったよ。
読ませたくないのあるなら、そういうのは最初から持って帰ってこないでよ。ダンテが読まないから、あたしがかわりに読んじゃうんでしょうが」
「うぐ、すまん……」
眼鏡かけて勉強熱心になったダンテなんて、ダンテじゃない気がするからいいけど。
ん?待って、そういう姿も見てみたいかも。眼鏡っていいよね。
「ってことは、この炎はウルカヌスの炎の剣代わりってことかなぁ。
ダチョウじゃなくて、鉄と火を克服する鳥が生まれるのかな。もしくは火の鳥とか」
錬金術は勉強してみると結構面白い。わくわくしながら火を見つめる。
チリチリと、卵の端から変成が始まっていくのがみてとれた。
「変質には時間がかかりそうだね。ゆっくりって書いてあるし」
「ならこの火で暖でもとりながら、オレとイチャイチャするか?」
「えー。イチャイチャはしな……」
その瞬間、ダンテがあたしを抱き抱え、素早く上へと飛び上がった。
「な、なに?」
「とうとう来やがった」
ダンテの視線の先、何もなかった床から染み出すように、ナイトメアが出現した。
「いい暇つぶしにはなりそうだが、できる事ならディーヴァとの時間に当てたかったな。
そもそもディーヴァをこれ以上怖がらせたくないし、悪魔にはさっさと帰って欲しいもんだ」
頬へ小さくキスを落とすと回廊前の足場へあたしを残し、ダンテは戦いへと身を投じた。