mission 18:baby is cruel ~トラウマ~
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「とりあえずそろそろ行くか」
「……うん」
いつまでも先延ばしになんて出来ないもんね。バージルだって頑張ってくれてるんだもの。うん、わかってる。
でも本当は行きたくない。そんな思いがぐるぐると渦巻いてるあたしを、ダンテは知っているのかな。
ダンテのことだし、きっと知ってるね。
腰にそっと回されたあたたかなダンテの腕が、それを物語っていた。
そして唐突に膝の裏に手を入れられた。
抱え上げられると同時、耳元で「怖い時は目を閉じてろ」と囁かれ、部屋の中央に出現している黒い穴へ飛び込まれる。
あたしが目を閉じきる前に飛び込んでますよダンテさんやい!
一瞬のうちについた次の場所は、鏡面がふたつ設置された城内だった。
また鏡面!また鏡で移動!!そういうことだよね!
あまり嬉しくはない。
床に下ろしてもらい、半ばうんざりしながら鏡面を覗き込む。
左には何も映らなかったが、右の鏡面には新しく見たことのない景色が映り込んだ。
絵画か何かと同じ扱いなのだろう、鏡面の下にあった題名には「浸水した地下の牢獄」と銘打ってあった。
「浸水っていうか、水没だな」
鏡面を眺めたダンテがそう漏らす。
……つまり向こう側は、息のできない水の中。そう、息のできない……。
しかもどのくらいの距離続いているかは、行ってみないとわからない。一度入れば戻れるかどうかも定かではない。
脳裏に蘇る船のトラウマに、膝から崩れ落ちそうになった。
「どうしよう……」
「どうしようも何もオレについてくるしかないと思うぞ。
それとも今からディーヴァひとりでバージル追うか?追いつくまでに悪魔が出ても、オレの行く道はこっちだしお前のこと助けられないけどな」
ほんっと言い方意地悪!
でも、ダンテに置いていかれるのはいやだし、バージルのことをひとりで追うのもいや。
「そっそんなの無理に決まってるでしょ!
ダンテについてく!ついていきますうう」
「よし。一生ついてくって言ったな?言質とったぞ」
「一生とは言ってないよ!
たぶんこれから先も、ずっとダンテについていくんだろうけどさ……」
「なら一生と変わらないだろ」
ガシガシと強く頭を撫でられてしまった。
いろんな撫で方してくるなぁ。と思っていると、その手のひらが徐々に力を失い、そして労るような撫で方になっていった。
「というかだ、お前は大丈夫なのか?
今……その……ディーヴァ本人であってディーヴァ本人ではない状態なんだろ」
ああ、それ考えないようにしてたのに聞いちゃう感じなんだね。
ダンテはあたしを偽者って疑ってたくらいだしどういうことなのか、そしてあたしの体がどこまでいろんな刺激に耐えられるのか、気になるよね。
唇をきゅっと結んでから息を吐き出す。
表情を読み取られないよう気をつけながら、顔を上げたあたし。
「不安だよ。不安に決まってるじゃない。
こわいし、悲しいし、悔しい。
絶望っていうのかな、そういう感情に流されて泣きたくもなるよ。
でもあたしには、どうにもならない。
魔帝は今ここにいるあたしも欲しいんだと思う。血や肉だけじゃなくて、天使の魂も魔帝にとってはご馳走になるらしいから。
だからどこまで逃げても逃げられない。いつダンテの守りを掻い潜ってあいつの魔の手が迫ってくるかと思うと恐ろしくてたまらない。
とはいっても肉体が滅んでしまったら、天使の血はとれない。
だから本体は生かされてるわけだし心配ないんだけど。それがさいわいだよね……」
うーん。血を搾り取るために生かされてるって表現、自分で言っててすごく気分が悪いなあ。
そんな、乳牛じゃないんだからさぁ。
「とにかくさ、今のあたしが魂からできたナマモノってだけだとしても、血も出るし涙も出る。怪我したら痛いし生きてるって感じてる。
今はそれで十分かなって。
どんなになったって生きてさえいれば、あたしはダンテと帰れる……でしょ?」
気持ちを吐き出してみて少しスッキリした。
最後には笑顔を浮かべてダンテの手を握れるくらいには、回復した。
言葉に出すのって大事だね。
「強いなお前」
「強くないよ。ダンテやバージルがあたしを守り、そして引っ張っていってくれるから自分を保っていられるだけ」
ダンテとバージルのおかげ。彼らがいなかったら今のあたしはいない。
導いてくれる人がいるから頑張れる、頑張ろうと思える。
次に進まないとね。
「あ」
「うん?」
「水の中進むってことは、またちゅーする感じ……?」
「ああ、ちゅーする感じ。いやか?」
恥ずかしくてもじもじしちゃうし、キスで酸素の譲渡ってけっこう難しくて、しなくて済むならしたくない。と言うのが本音。
「ちゅーは嫌じゃない、けど……不安。うまく息できないもの」
「オレに身を任せてれば大丈夫だ。
船の中では練習もできてたろ?あの調子でいれば問題ない。」
失敗して死にかけたのあたしなんだけどね……。
まあ失敗というか、トカゲ悪魔さんの襲来に驚いちゃって息漏れしちゃったあたしも悪いんだけど。
「いいからオレを信じろって。
これまでも、オレのこと信じていれば、なんとかなったろ?」
「……うん」
「さあ、行くぞ」
腰を低くしたダンテにおぶさる。
息を吸い込んでとめた瞬間、ダンテが鏡面の中に飛び込んだ。
「……うん」
いつまでも先延ばしになんて出来ないもんね。バージルだって頑張ってくれてるんだもの。うん、わかってる。
でも本当は行きたくない。そんな思いがぐるぐると渦巻いてるあたしを、ダンテは知っているのかな。
ダンテのことだし、きっと知ってるね。
腰にそっと回されたあたたかなダンテの腕が、それを物語っていた。
そして唐突に膝の裏に手を入れられた。
抱え上げられると同時、耳元で「怖い時は目を閉じてろ」と囁かれ、部屋の中央に出現している黒い穴へ飛び込まれる。
あたしが目を閉じきる前に飛び込んでますよダンテさんやい!
一瞬のうちについた次の場所は、鏡面がふたつ設置された城内だった。
また鏡面!また鏡で移動!!そういうことだよね!
あまり嬉しくはない。
床に下ろしてもらい、半ばうんざりしながら鏡面を覗き込む。
左には何も映らなかったが、右の鏡面には新しく見たことのない景色が映り込んだ。
絵画か何かと同じ扱いなのだろう、鏡面の下にあった題名には「浸水した地下の牢獄」と銘打ってあった。
「浸水っていうか、水没だな」
鏡面を眺めたダンテがそう漏らす。
……つまり向こう側は、息のできない水の中。そう、息のできない……。
しかもどのくらいの距離続いているかは、行ってみないとわからない。一度入れば戻れるかどうかも定かではない。
脳裏に蘇る船のトラウマに、膝から崩れ落ちそうになった。
「どうしよう……」
「どうしようも何もオレについてくるしかないと思うぞ。
それとも今からディーヴァひとりでバージル追うか?追いつくまでに悪魔が出ても、オレの行く道はこっちだしお前のこと助けられないけどな」
ほんっと言い方意地悪!
でも、ダンテに置いていかれるのはいやだし、バージルのことをひとりで追うのもいや。
「そっそんなの無理に決まってるでしょ!
ダンテについてく!ついていきますうう」
「よし。一生ついてくって言ったな?言質とったぞ」
「一生とは言ってないよ!
たぶんこれから先も、ずっとダンテについていくんだろうけどさ……」
「なら一生と変わらないだろ」
ガシガシと強く頭を撫でられてしまった。
いろんな撫で方してくるなぁ。と思っていると、その手のひらが徐々に力を失い、そして労るような撫で方になっていった。
「というかだ、お前は大丈夫なのか?
今……その……ディーヴァ本人であってディーヴァ本人ではない状態なんだろ」
ああ、それ考えないようにしてたのに聞いちゃう感じなんだね。
ダンテはあたしを偽者って疑ってたくらいだしどういうことなのか、そしてあたしの体がどこまでいろんな刺激に耐えられるのか、気になるよね。
唇をきゅっと結んでから息を吐き出す。
表情を読み取られないよう気をつけながら、顔を上げたあたし。
「不安だよ。不安に決まってるじゃない。
こわいし、悲しいし、悔しい。
絶望っていうのかな、そういう感情に流されて泣きたくもなるよ。
でもあたしには、どうにもならない。
魔帝は今ここにいるあたしも欲しいんだと思う。血や肉だけじゃなくて、天使の魂も魔帝にとってはご馳走になるらしいから。
だからどこまで逃げても逃げられない。いつダンテの守りを掻い潜ってあいつの魔の手が迫ってくるかと思うと恐ろしくてたまらない。
とはいっても肉体が滅んでしまったら、天使の血はとれない。
だから本体は生かされてるわけだし心配ないんだけど。それがさいわいだよね……」
うーん。血を搾り取るために生かされてるって表現、自分で言っててすごく気分が悪いなあ。
そんな、乳牛じゃないんだからさぁ。
「とにかくさ、今のあたしが魂からできたナマモノってだけだとしても、血も出るし涙も出る。怪我したら痛いし生きてるって感じてる。
今はそれで十分かなって。
どんなになったって生きてさえいれば、あたしはダンテと帰れる……でしょ?」
気持ちを吐き出してみて少しスッキリした。
最後には笑顔を浮かべてダンテの手を握れるくらいには、回復した。
言葉に出すのって大事だね。
「強いなお前」
「強くないよ。ダンテやバージルがあたしを守り、そして引っ張っていってくれるから自分を保っていられるだけ」
ダンテとバージルのおかげ。彼らがいなかったら今のあたしはいない。
導いてくれる人がいるから頑張れる、頑張ろうと思える。
次に進まないとね。
「あ」
「うん?」
「水の中進むってことは、またちゅーする感じ……?」
「ああ、ちゅーする感じ。いやか?」
恥ずかしくてもじもじしちゃうし、キスで酸素の譲渡ってけっこう難しくて、しなくて済むならしたくない。と言うのが本音。
「ちゅーは嫌じゃない、けど……不安。うまく息できないもの」
「オレに身を任せてれば大丈夫だ。
船の中では練習もできてたろ?あの調子でいれば問題ない。」
失敗して死にかけたのあたしなんだけどね……。
まあ失敗というか、トカゲ悪魔さんの襲来に驚いちゃって息漏れしちゃったあたしも悪いんだけど。
「いいからオレを信じろって。
これまでも、オレのこと信じていれば、なんとかなったろ?」
「……うん」
「さあ、行くぞ」
腰を低くしたダンテにおぶさる。
息を吸い込んでとめた瞬間、ダンテが鏡面の中に飛び込んだ。