mission 18:baby is cruel ~トラウマ~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
落ち着こうと、バージルから借りた大切なアミュレットをそっと握る。
鎖同士が触れ合う音で気が付いたか、髪を仕上げてくれたダンテが覗き込んできた。
「バージル、オレには触らせてくれなかったんだよなぁ」
「見せたらダンテがバージルのアミュレットを盗ると思ったんじゃないかな。もしくは怪力使って無理やり壊しちゃう〜、とか」
「さすがにそんなことするわけないだろ。少なくとも今は」
「今はなんだ……」
「昔はよくバージルの本奪って破いたり遊び道具ぶっ壊したりしてたからな」
「ダンテったら悪い子だー」
あたしの地域に住んでた意地悪な男の子すら、そんなことしてこなかったのに。
あ、でもお兄ちゃんがそういうふうに根回ししてたのかもって、今なら思う。ディーヴァをいじめないように、って。
なかなかのシスコンだったもの。
「ああ、オレは悪い子だった。なにせ「悪」魔の血をひいてるからな?」
「そこ関係ない」
すぐ悪魔の血をひいてるデビルジョークいうんだから。長年一緒にいるあたしじゃなかったら絶対通じない。
「まあでも、今はバージルのもの壊しちゃったっていう昔の事、反省してるんでしょ?ならそれでいいと思うよ」
「その時のことはちょっとだけ反省してる、おとなげなかったってな」
「うーん。ちょっとだけかあ……」
ダンテはちょっとじゃなくて、しっかりいっぱい反省してもいいと思う。双子だから基本的な考え方は似てるかもしれないけど、ダンテはダンテ、バージルはバージル。
当時のバージルの苦労が窺える。
「なあ、少しだけ貸してじっくり見せてくれないか?もうオレも大人だ、悪さしないから」
「……大人だもんね。わかった、借り物だからほんの少しね」
二人揃って大人を強調する。
首から下げたアミュレットを取り外して渡すと、ダンテは裏返したり月光にすかしてみたりとしばらく見ていた。
ともに覗き込めば、バージルのアミュレットにも、二人の名前が刻まれていた。
「ふーん。オレのと全く同じだな」
当たり前の言葉に、くす、と笑みがもれる。
「そりゃあね、双子なのに差をつけちゃったらよくないってエヴァさんもわかってるはずだもの。
相手のものが自分のものと違ったら、二人は喧嘩しちゃうでしょ?」
「する。絶対する。骨肉の争いに発展する」
骨肉どころか、血みどろの殺し合いだと思うのはあたしだけかな。
「アミュレットって綺麗だよな……」
「いつも自分のアミュレット見てるから知ってるじゃない?」
見終わったのか、手のひらの上で弄び始めたダンテに、あたしは手のひらを突き出す。
「もういいよね?満足したよね?あたしが借りてるんだからそろそろ返してよ〜」
何かあったら怒られちゃうし。
だが、ダンテは口元をニヤリと歪ませた。あっなんか嫌な予感。
さっと取ろうとしたあたしの手は空を切り、ダンテがアミュレットを手の届かない高さへと持ち上げた!
キイイイイ!あたしの身長だと届かない位置だ!ダンテ縮んで!!
「こらダンテ返してってば!」
ダンテのおなかをぽこぽこ殴っては見るものの、固い腹筋の前にこっちの手が先に痛くなりそう。
それにあたしの声は完全に無視されていた。
「ここで合わせちまえば、魔界の扉が開くんじゃないか…?
このアミュレットって魔界への鍵だよな、アラストル」
『そう。魔界の扉を開く鍵特有の魔力は吐き出されてる。
マスターって本当にスパーダの血族だったんだ?』
「なんだ、疑ってたのかよ」
『あの悪魔がここにいたの百年じゃきかないほど前。疑いたくもなるね』
こんなところで魔界へのゲートを開く!?バージルを待たずに単身(あたしはいるけど)飛び込む気??正気とは思えない。
ギョッとしたけれど、続くアラストルの言葉に心底ホッとした。
『でも扉開くのは何もここじゃなくてもいいよ。いきなり開いたら危険すぎるし、境界がもう少し薄い場所にしたら、ゲートとなる空間が安定するはず。
それに何より、アミュレットだけじゃこの島では絶対に魔界への扉は開かない』
「なんだ開かないなら意味ないな」
はあああよかった。他の魔導具が必要みたい。
これなら返してもらえそう、そう思ってダンテのおなかを殴っていた手を下ろしたが。
「けどものはためしだ」
「え?
ちょっと待ってダンテ何勝手に……!」
ダンテは自身のアミュレットを懐から取り出すと、バージルのアミュレットと合わせて二つ……。それらをあろうことか、誰の許可もなく一つにカチリと組みあわせてしまったではないか!
「あ、ああーーーっ!!」
クルクルと回転しながらパーフェクトアミュレットに変貌を遂げたそれと、ダンテが持つフォースエッジが呼応する。
剣を頭上に掲げて見せると、それは強く光を放ち、そして。
「お?おおお!!?」
「えっ、ちょ、なにそれ……」
禍々しい血濡れの鎌のような大剣となって、ダンテの手の中へ降臨した。
『魔剣スパーダだ……』
「魔剣、スパーダ……親父と同じ名前の、剣……。聞いたことある気がするな」
ボソリ、アラストルがもらすとダンテの中の記憶が蘇ったようだった。
これが、フォースエッジの真の姿?
ダンテのお父さんと同じ名前を持つ大剣……。
近付き難い雰囲気を放ちつつも、なんだかあたたかい空気を感じるのはどうしてだろう。守られている、そう感じる。身を任せたくなる不思議な雰囲気が伝わってくる。
もしかしたら、スパーダさん自身が剣の姿に身をやつしたのが魔剣スパーダなのでは……なんて突拍子もない考えすら浮かぶ。
無言で見つめていたダンテが、飛びのいてあたしから離れた。
いつものやろうっていうのね!?
あたしも結局は怖くて近寄れないから、もうちょっと離れておこっと。
鎖同士が触れ合う音で気が付いたか、髪を仕上げてくれたダンテが覗き込んできた。
「バージル、オレには触らせてくれなかったんだよなぁ」
「見せたらダンテがバージルのアミュレットを盗ると思ったんじゃないかな。もしくは怪力使って無理やり壊しちゃう〜、とか」
「さすがにそんなことするわけないだろ。少なくとも今は」
「今はなんだ……」
「昔はよくバージルの本奪って破いたり遊び道具ぶっ壊したりしてたからな」
「ダンテったら悪い子だー」
あたしの地域に住んでた意地悪な男の子すら、そんなことしてこなかったのに。
あ、でもお兄ちゃんがそういうふうに根回ししてたのかもって、今なら思う。ディーヴァをいじめないように、って。
なかなかのシスコンだったもの。
「ああ、オレは悪い子だった。なにせ「悪」魔の血をひいてるからな?」
「そこ関係ない」
すぐ悪魔の血をひいてるデビルジョークいうんだから。長年一緒にいるあたしじゃなかったら絶対通じない。
「まあでも、今はバージルのもの壊しちゃったっていう昔の事、反省してるんでしょ?ならそれでいいと思うよ」
「その時のことはちょっとだけ反省してる、おとなげなかったってな」
「うーん。ちょっとだけかあ……」
ダンテはちょっとじゃなくて、しっかりいっぱい反省してもいいと思う。双子だから基本的な考え方は似てるかもしれないけど、ダンテはダンテ、バージルはバージル。
当時のバージルの苦労が窺える。
「なあ、少しだけ貸してじっくり見せてくれないか?もうオレも大人だ、悪さしないから」
「……大人だもんね。わかった、借り物だからほんの少しね」
二人揃って大人を強調する。
首から下げたアミュレットを取り外して渡すと、ダンテは裏返したり月光にすかしてみたりとしばらく見ていた。
ともに覗き込めば、バージルのアミュレットにも、二人の名前が刻まれていた。
「ふーん。オレのと全く同じだな」
当たり前の言葉に、くす、と笑みがもれる。
「そりゃあね、双子なのに差をつけちゃったらよくないってエヴァさんもわかってるはずだもの。
相手のものが自分のものと違ったら、二人は喧嘩しちゃうでしょ?」
「する。絶対する。骨肉の争いに発展する」
骨肉どころか、血みどろの殺し合いだと思うのはあたしだけかな。
「アミュレットって綺麗だよな……」
「いつも自分のアミュレット見てるから知ってるじゃない?」
見終わったのか、手のひらの上で弄び始めたダンテに、あたしは手のひらを突き出す。
「もういいよね?満足したよね?あたしが借りてるんだからそろそろ返してよ〜」
何かあったら怒られちゃうし。
だが、ダンテは口元をニヤリと歪ませた。あっなんか嫌な予感。
さっと取ろうとしたあたしの手は空を切り、ダンテがアミュレットを手の届かない高さへと持ち上げた!
キイイイイ!あたしの身長だと届かない位置だ!ダンテ縮んで!!
「こらダンテ返してってば!」
ダンテのおなかをぽこぽこ殴っては見るものの、固い腹筋の前にこっちの手が先に痛くなりそう。
それにあたしの声は完全に無視されていた。
「ここで合わせちまえば、魔界の扉が開くんじゃないか…?
このアミュレットって魔界への鍵だよな、アラストル」
『そう。魔界の扉を開く鍵特有の魔力は吐き出されてる。
マスターって本当にスパーダの血族だったんだ?』
「なんだ、疑ってたのかよ」
『あの悪魔がここにいたの百年じゃきかないほど前。疑いたくもなるね』
こんなところで魔界へのゲートを開く!?バージルを待たずに単身(あたしはいるけど)飛び込む気??正気とは思えない。
ギョッとしたけれど、続くアラストルの言葉に心底ホッとした。
『でも扉開くのは何もここじゃなくてもいいよ。いきなり開いたら危険すぎるし、境界がもう少し薄い場所にしたら、ゲートとなる空間が安定するはず。
それに何より、アミュレットだけじゃこの島では絶対に魔界への扉は開かない』
「なんだ開かないなら意味ないな」
はあああよかった。他の魔導具が必要みたい。
これなら返してもらえそう、そう思ってダンテのおなかを殴っていた手を下ろしたが。
「けどものはためしだ」
「え?
ちょっと待ってダンテ何勝手に……!」
ダンテは自身のアミュレットを懐から取り出すと、バージルのアミュレットと合わせて二つ……。それらをあろうことか、誰の許可もなく一つにカチリと組みあわせてしまったではないか!
「あ、ああーーーっ!!」
クルクルと回転しながらパーフェクトアミュレットに変貌を遂げたそれと、ダンテが持つフォースエッジが呼応する。
剣を頭上に掲げて見せると、それは強く光を放ち、そして。
「お?おおお!!?」
「えっ、ちょ、なにそれ……」
禍々しい血濡れの鎌のような大剣となって、ダンテの手の中へ降臨した。
『魔剣スパーダだ……』
「魔剣、スパーダ……親父と同じ名前の、剣……。聞いたことある気がするな」
ボソリ、アラストルがもらすとダンテの中の記憶が蘇ったようだった。
これが、フォースエッジの真の姿?
ダンテのお父さんと同じ名前を持つ大剣……。
近付き難い雰囲気を放ちつつも、なんだかあたたかい空気を感じるのはどうしてだろう。守られている、そう感じる。身を任せたくなる不思議な雰囲気が伝わってくる。
もしかしたら、スパーダさん自身が剣の姿に身をやつしたのが魔剣スパーダなのでは……なんて突拍子もない考えすら浮かぶ。
無言で見つめていたダンテが、飛びのいてあたしから離れた。
いつものやろうっていうのね!?
あたしも結局は怖くて近寄れないから、もうちょっと離れておこっと。