mission 17:true identity ~救出~
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俺は負けた。
負けて取り込まれてしまった。
なんと情けない男だ。やつに負けたままの姿とはいえ、スパーダさえ勝った魔帝ごときに劣ると言うのか。
スパーダの通った道だろう?なぜ俺が通れない!
俺はやつにだけは負けたくなかった。
なのにその相手に負けて、魔帝にすら負けるとは。
閻魔刀が折れたのもそうだ。俺を見限ったとでもいうのか。俺は使い手として相応しくなかったのか。
なんという悪夢だ。
これはバージルの心の一部。胸の内。
魔界にしか見えないこの世界に、響くようにして聞こえてきた。
あたしがこうして、バージルの心の一部を知ってしまったこと、きっとバージルはすごくすごーく嫌がる。
けど、知ってしまった。ごめんね。
胸の内にしまっておくから……。
だがまだだ。まだ終わらん。
何度だって、貴様に勝つため俺は立ち上がる。
「!」
消えたと思われたバージルが、ぽちゃんという音と共に、再び背後に出現した。
魔帝の元へと再び挑みかかるバージル。
結果は同じだった。
だがバージルはあたしと同じで諦めが悪かった。
何度やっても同じ結果なのに、バージルは挑み続ける。血反吐はいても立ち上がる。復活した閻魔刀を振るい続ける。
ああ、ああ……。バージルは繰り返してるんだね。
幾度となく閻魔刀が折られ、何度も負けて、何度も魔帝に取り込まれて。
あたしは本人じゃないからわからないけれど『負ける』ことはバージルには死にたくなるほどの苦痛に違いない。
それこそ、我慢強くないダンテよりももっと、ずっとずっと耐えられないほど強い呪いだと思う。
なのに、不屈の心で立ち上がる。
ダンテはかつてバージルを否定した。
力を求めるのではなく誇り高き魂が大事だと。
この一連の行動を見ていると、バージルにも誇り高き魂があるってあたしは思う。
でもね。つらいの。見ているこっちがつらい。
涙が出てくるよ。止まらないよ。
もうやめて。こんなのバージルの心がどんどん疲弊するだけだよ。
見てるだけのあたしも、疲弊してきてる。
勝手に疲弊して申し訳ないけど、きっとあたしはこの世界でバージルの気持ちに同調してるんだと思う。
その疲労感、絶望、悔しさまでもが伝わってくるの。
自分の自我が、バージルの思いとどろどろに溶け合いそう……。
!ああ、違う。
血がなくなってきてるんだ。
バージルへ送っていた血液が少なくなってきて、存在を保てなくなってきてる。
ここにいても貧血特有のフラフラ感はあるし、体は重くてだるい。
足元から徐々に透けていっているのが、何よりの証拠。
ダンテは、あたしとそしてバージルの帰還を今か今かと待っているだろう。
バージルを連れて帰らなくては。
「バージル、帰ろう」
他に方法は思いつかない。
意を決して、声をかける。
意思を持って行動すれば干渉できるのが、この力のすごいところ。えっへん。
「!!
ディーヴァ!」
再び挑もうと閻魔刀を取っていたバージルが、弾かれたように顔を上げた。
こちらの姿を認識すると、目を何度も瞬かせる。二度見、いや、三度見する勢いだった。
「お前、なぜここに。お前はダンテと一緒に……!
まさか悪魔が化けているのか?」
「違う違うすぐ刀で斬ろうとしないで」
うん。ここがバージルの世界だとはいえ、疑ってかかりたくなる気持ちはわかるよ。
あたしだって、ありえない場所にダンテやバージルがいたら本物なのかどうか疑っちゃうもの。
「バージル。ここは魔界だけど魔界じゃない。あの魔帝も、魔帝だけど魔帝じゃない」
閻魔刀をおろしてくれたバージルの額を、人差し指でトンと小突く。
視界の端では、実際は折れて紛失してしまっているのであろう、閻魔刀が術が解けるように消えていくのが見えた。
「それはバージルも知ってるはず。ここはバージルが作り出した、バージルだけの魔界。
いくら魔帝を倒そうとしても無理だし、閻魔刀は何度も折れてしまう」
「なぜそれを」
バージルの手を真正面からきゅっと掴み、そしてじっと見つめる。
あたしが目を覗き込めば、バージルがその近さにたじろいだ。
「折れた閻魔刀はあとで見つけよう?縁があればまた会える。だって魔剣ってそういうものなんでしょ。
持ち主と認めたものの場所に帰ってくるようにできてる。少なくともあたしはそう感じてるよ」
「……俺の心を少し読んだな?」
睨まれた。
心の内を知ったこと、バラしちゃったじゃないのあたしのバカ。
「ふ、不可抗力だよ!お墓まで持ってく!たぶん!」
「多分では困る。
……閻魔刀は俺を見限って自ら折れたのだ」
またそんなこと言ってる。
「ううん、認められてると思うよ。
きっと長らく使ってて、磨耗したんだと思うの」
「どうしてそう言い切れる。俺のほうが閻魔刀歴は長い」
そりゃそうに決まってるでしょうよ。
あたしは刀なんて握ったことないもの。あんなの持ったら、おててすっぱりいっちゃう!ああこわ。
「リベリオンだって折れた。
バージルは御刀ぽんぽんしてる?ニホントウってお手入れ大変なんだって」
刀は怖いけど、お手入れの仕方は知ってる。日本の時代劇でやってたもの。紙を口に加えて静か〜にやるやつ。かっこいいよね。
「御刀ぽんぽん……打ち粉をうつ作業のことだな。まったく、お前は面白い言葉を使う」
あ、バージルが笑った。
久しぶりに見た気がする。ダンテと似てるって思ったけど、ここでその名前を出してはいけない。眉間に皺が刻まれちゃう。
「あたし、バージルが閻魔刀使ってる姿かっこいいから好きだよ。
あんなにかっこよく使いこなせるんだもの。使い手として相応しくない、なんて思っちゃダメだよ。見限ってないよ!
まあ、いくらかっこよくても自分の弟のこと斬ってほしくないけどね……」
斬るならワラの束とか、タタミの束とか。 ああ、あと悪魔相手でお願いしたいよね。
「最後のはイエスとは言えん」
うん知ってた。
負けて取り込まれてしまった。
なんと情けない男だ。やつに負けたままの姿とはいえ、スパーダさえ勝った魔帝ごときに劣ると言うのか。
スパーダの通った道だろう?なぜ俺が通れない!
俺はやつにだけは負けたくなかった。
なのにその相手に負けて、魔帝にすら負けるとは。
閻魔刀が折れたのもそうだ。俺を見限ったとでもいうのか。俺は使い手として相応しくなかったのか。
なんという悪夢だ。
これはバージルの心の一部。胸の内。
魔界にしか見えないこの世界に、響くようにして聞こえてきた。
あたしがこうして、バージルの心の一部を知ってしまったこと、きっとバージルはすごくすごーく嫌がる。
けど、知ってしまった。ごめんね。
胸の内にしまっておくから……。
だがまだだ。まだ終わらん。
何度だって、貴様に勝つため俺は立ち上がる。
「!」
消えたと思われたバージルが、ぽちゃんという音と共に、再び背後に出現した。
魔帝の元へと再び挑みかかるバージル。
結果は同じだった。
だがバージルはあたしと同じで諦めが悪かった。
何度やっても同じ結果なのに、バージルは挑み続ける。血反吐はいても立ち上がる。復活した閻魔刀を振るい続ける。
ああ、ああ……。バージルは繰り返してるんだね。
幾度となく閻魔刀が折られ、何度も負けて、何度も魔帝に取り込まれて。
あたしは本人じゃないからわからないけれど『負ける』ことはバージルには死にたくなるほどの苦痛に違いない。
それこそ、我慢強くないダンテよりももっと、ずっとずっと耐えられないほど強い呪いだと思う。
なのに、不屈の心で立ち上がる。
ダンテはかつてバージルを否定した。
力を求めるのではなく誇り高き魂が大事だと。
この一連の行動を見ていると、バージルにも誇り高き魂があるってあたしは思う。
でもね。つらいの。見ているこっちがつらい。
涙が出てくるよ。止まらないよ。
もうやめて。こんなのバージルの心がどんどん疲弊するだけだよ。
見てるだけのあたしも、疲弊してきてる。
勝手に疲弊して申し訳ないけど、きっとあたしはこの世界でバージルの気持ちに同調してるんだと思う。
その疲労感、絶望、悔しさまでもが伝わってくるの。
自分の自我が、バージルの思いとどろどろに溶け合いそう……。
!ああ、違う。
血がなくなってきてるんだ。
バージルへ送っていた血液が少なくなってきて、存在を保てなくなってきてる。
ここにいても貧血特有のフラフラ感はあるし、体は重くてだるい。
足元から徐々に透けていっているのが、何よりの証拠。
ダンテは、あたしとそしてバージルの帰還を今か今かと待っているだろう。
バージルを連れて帰らなくては。
「バージル、帰ろう」
他に方法は思いつかない。
意を決して、声をかける。
意思を持って行動すれば干渉できるのが、この力のすごいところ。えっへん。
「!!
ディーヴァ!」
再び挑もうと閻魔刀を取っていたバージルが、弾かれたように顔を上げた。
こちらの姿を認識すると、目を何度も瞬かせる。二度見、いや、三度見する勢いだった。
「お前、なぜここに。お前はダンテと一緒に……!
まさか悪魔が化けているのか?」
「違う違うすぐ刀で斬ろうとしないで」
うん。ここがバージルの世界だとはいえ、疑ってかかりたくなる気持ちはわかるよ。
あたしだって、ありえない場所にダンテやバージルがいたら本物なのかどうか疑っちゃうもの。
「バージル。ここは魔界だけど魔界じゃない。あの魔帝も、魔帝だけど魔帝じゃない」
閻魔刀をおろしてくれたバージルの額を、人差し指でトンと小突く。
視界の端では、実際は折れて紛失してしまっているのであろう、閻魔刀が術が解けるように消えていくのが見えた。
「それはバージルも知ってるはず。ここはバージルが作り出した、バージルだけの魔界。
いくら魔帝を倒そうとしても無理だし、閻魔刀は何度も折れてしまう」
「なぜそれを」
バージルの手を真正面からきゅっと掴み、そしてじっと見つめる。
あたしが目を覗き込めば、バージルがその近さにたじろいだ。
「折れた閻魔刀はあとで見つけよう?縁があればまた会える。だって魔剣ってそういうものなんでしょ。
持ち主と認めたものの場所に帰ってくるようにできてる。少なくともあたしはそう感じてるよ」
「……俺の心を少し読んだな?」
睨まれた。
心の内を知ったこと、バラしちゃったじゃないのあたしのバカ。
「ふ、不可抗力だよ!お墓まで持ってく!たぶん!」
「多分では困る。
……閻魔刀は俺を見限って自ら折れたのだ」
またそんなこと言ってる。
「ううん、認められてると思うよ。
きっと長らく使ってて、磨耗したんだと思うの」
「どうしてそう言い切れる。俺のほうが閻魔刀歴は長い」
そりゃそうに決まってるでしょうよ。
あたしは刀なんて握ったことないもの。あんなの持ったら、おててすっぱりいっちゃう!ああこわ。
「リベリオンだって折れた。
バージルは御刀ぽんぽんしてる?ニホントウってお手入れ大変なんだって」
刀は怖いけど、お手入れの仕方は知ってる。日本の時代劇でやってたもの。紙を口に加えて静か〜にやるやつ。かっこいいよね。
「御刀ぽんぽん……打ち粉をうつ作業のことだな。まったく、お前は面白い言葉を使う」
あ、バージルが笑った。
久しぶりに見た気がする。ダンテと似てるって思ったけど、ここでその名前を出してはいけない。眉間に皺が刻まれちゃう。
「あたし、バージルが閻魔刀使ってる姿かっこいいから好きだよ。
あんなにかっこよく使いこなせるんだもの。使い手として相応しくない、なんて思っちゃダメだよ。見限ってないよ!
まあ、いくらかっこよくても自分の弟のこと斬ってほしくないけどね……」
斬るならワラの束とか、タタミの束とか。 ああ、あと悪魔相手でお願いしたいよね。
「最後のはイエスとは言えん」
うん知ってた。
