mission 17:true identity ~救出~
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血を与え続けてどのくらいだろう。
体感的には1時間くらい経っている気分だった。たぶん、実際は5分も経っていない。
けれど、あたしの体力の消費は著しかった。
血を流しているせいもある。
少し寒いしきついなあ。ここまできつかった時ってあったかな?
そう思わせるほどに、体が重くて痛い。息苦しさが半端ない!
まるで、水の中で溺れている感覚。なのに手を伸ばして水中から手を出すと、地上では出ている肌の全てを刃物で刺されているような。
諦めてしまいたい、という考えが脳裏によぎるほどの苦痛を感じ始めていた。
「はあっ……」
「ディーヴァ、少し休んだほうがいいんじゃないか?」
いつのまにか吹き出ていた玉の汗。
額に浮かぶそれを、ダンテが来てそっとぬぐってくれた。
「だい、じょぶ……!でも、バージルの魔力が、魂が、その生命力が戻ってくる感じがまだひとつも感じられないの」
これだけ血を与えているのだし、いつもなら相手の中に『入り込め』てもそろそろおかしくないのに。
変化がないのはおかしい。
バージルが殻に閉じこもっていて起きてこないのはなぜ?
拒まれている、そう考えた方がいい。
「……無理か?」
ダンテが不安そうにぐらぐらと瞳を揺らしている。こんなダンテは久しぶりに見た。
『無理か?』なんて不安そうに聞いてくるダンテは、本心ではバージルを大切に思ってる。だからそんな言い方をする。
あたしが手を出すなと言ったとはいえ、止められずに手を彷徨わせる動きもそうだし、やめろじゃなくて休めっていっているあたりもそう。すべて、バージルが大切で、心配でたまらないから。家族だから。
……見くびらないでほしいな。無理なわけない。だって、まだまだあたしは諦めてないのだから。
きっと集中が足りないだけ。
集中かあ……全集中、天使の呼吸、かな?
「無理じゃない。だからもう少し続ける」
「ああ、頼む。でも本当に無理だけはしてくれるなよ。
お前の体も心配だ」
ふふふ。頼まれちゃった。心配されちゃった。
ダンテがあたしの頭を労うように、応援するように撫でてくる。
ダンテの手、相変わらずあったかいなあ。
力をもらえる。頑張れるよ。
「ありがとう」
ねえバージル。ダンテも心配してるよ。
また喧嘩したいんだって。それがダンテにとっての貴方との家族の形だったんだって。
剣を交えることが家族の定義の一つだなんて、あたしからは考え付かないけど、ダンテがそうならバージルもそうだったんでしょ?
みんなで家族らしいことしない?それ以上に、家族らしいこと、たくさんしよう。
あたしはバージルとも家族になりたいって思ってる。
あたしは悪魔じゃないけども、みんなで悪魔大家族だね。
なにか問題があるなら、悩みがあるなら、その一部だけで良い。あたしに教えてほしい。あたしに貴方の一部を見せて?
拒まないで。中に入れて。
あ、倒れる……そう思った時には遅く、あたしの視界がぐにゃりと歪み、意識が遠のいた。
遠いところからダンテがあたしを呼ぶ声が聞こえた気がする。
だめだよ、ダンテ。止めないでね。あたしが今から行くところ、ダンテならわかるはずよね?
体も意識も何もかもを引っ張られる感覚があり、気がつけばかつてテメンニグルの中から迷い込んだであろう、魔界のどこかにポツンと立っていた。
そう魔界!
思わず全身の毛が差が立つよね。ぶわわーって。
天使の血をひくあたしが、こんなところに一人で立ってたらどうなるか。なぁんてわかりきっていること。
「ここはバージルのなかバージルのなかバージルのなか。魔界じゃない魔界じゃない魔界じゃない彼の精神世界の中」
言い聞かせてみてもちびりそうなくらいの恐ろしさは変わらず。あたしを襲ってくる悪魔がいなさそうなのが唯一の救いかな。
とはいえ、バージルったらなんて恐ろしい世界を心に持ってるのかしら!
や、『親父のいた、この場所が』って言っていたようだし、故郷のひとつなのはわかるけども。
ゆらり。魔界(仮)の空に、赤い三つの目が浮かび上がる。
あの三つ目は魔帝だ!あたしが散々酷い目にあったやつううう!!
「ヒッ」
思わず声が出てしまった。口を押さえても遅い。
だけど、偽物である魔帝はあたしの存在には気がつかなかった。聞こえなかったどころか、あたしの姿も見えてないようで。
でもよく考えたら当たり前だった。
偽物でも怖いので、報復に石を投げつけるのはやめておく。
ぱちゃん。
水を踏みしめる音が背後で聞こえた。
ビクリとして咄嗟に岩の裏に隠れたが、それこそ今求めてやまないあの人だった。
「バー、ジル……」
あたしが意識的に接触を試みない限り、あたしの声も姿もバージルには届かないし見えない。
それは分かっていたけど、隠れたままあたしはバージルの動向を見守ることにした。
バージルの心の中を盗み見るのと一緒のことだから、あまり褒められた行為じゃないけど、でも……。
あれはあの時のバージルだ。
ダンテと戦って、魔界に落ちて。あの時の姿のまま。貴族風の青いコートは自身の血や魔界の赤い水のせいでところどころ真っ赤に染まっているが、その顔は凛としたお顔。バージルのもの。
バージルは時折膝をついて息を乱しながら、閻魔刀を杖代わりに何度も立ち上がって進んでいた。
「魔界の王とやり合うのも悪くはないかーーー。
スパーダの通った道ならば……俺が通れない道理はない!」
閻魔刀の鯉口を切り、走っていくバージル。
だが魔帝・ムンドゥスが力を振るった瞬間、魔力の塊が、魔力でできた重力が、バージルを押しつぶしそして地に縫い留めた。
「……ぐっ、あっ……!」
バージルの大事な閻魔刀にヒビが入り、そして真っ二つに折れる。
欠片ごと赤い水へと沈みゆくそれを、バージルは目で追った。
ぽちゃん。しずみ、そしてどこかへと流れていく。伸ばした手は空を切った。
信じられないものを見るような目をしながら消えていくバージル。
消えて、そして、魔帝へと取り込まれていく……。
ああ、こうしてバージルはネロアンジェロへと変わっていったんだ。彼の意思とは関係なしに。
改めて魔帝への殺意が湧いた。絶対に殺る……ダンテが。
体感的には1時間くらい経っている気分だった。たぶん、実際は5分も経っていない。
けれど、あたしの体力の消費は著しかった。
血を流しているせいもある。
少し寒いしきついなあ。ここまできつかった時ってあったかな?
そう思わせるほどに、体が重くて痛い。息苦しさが半端ない!
まるで、水の中で溺れている感覚。なのに手を伸ばして水中から手を出すと、地上では出ている肌の全てを刃物で刺されているような。
諦めてしまいたい、という考えが脳裏によぎるほどの苦痛を感じ始めていた。
「はあっ……」
「ディーヴァ、少し休んだほうがいいんじゃないか?」
いつのまにか吹き出ていた玉の汗。
額に浮かぶそれを、ダンテが来てそっとぬぐってくれた。
「だい、じょぶ……!でも、バージルの魔力が、魂が、その生命力が戻ってくる感じがまだひとつも感じられないの」
これだけ血を与えているのだし、いつもなら相手の中に『入り込め』てもそろそろおかしくないのに。
変化がないのはおかしい。
バージルが殻に閉じこもっていて起きてこないのはなぜ?
拒まれている、そう考えた方がいい。
「……無理か?」
ダンテが不安そうにぐらぐらと瞳を揺らしている。こんなダンテは久しぶりに見た。
『無理か?』なんて不安そうに聞いてくるダンテは、本心ではバージルを大切に思ってる。だからそんな言い方をする。
あたしが手を出すなと言ったとはいえ、止められずに手を彷徨わせる動きもそうだし、やめろじゃなくて休めっていっているあたりもそう。すべて、バージルが大切で、心配でたまらないから。家族だから。
……見くびらないでほしいな。無理なわけない。だって、まだまだあたしは諦めてないのだから。
きっと集中が足りないだけ。
集中かあ……全集中、天使の呼吸、かな?
「無理じゃない。だからもう少し続ける」
「ああ、頼む。でも本当に無理だけはしてくれるなよ。
お前の体も心配だ」
ふふふ。頼まれちゃった。心配されちゃった。
ダンテがあたしの頭を労うように、応援するように撫でてくる。
ダンテの手、相変わらずあったかいなあ。
力をもらえる。頑張れるよ。
「ありがとう」
ねえバージル。ダンテも心配してるよ。
また喧嘩したいんだって。それがダンテにとっての貴方との家族の形だったんだって。
剣を交えることが家族の定義の一つだなんて、あたしからは考え付かないけど、ダンテがそうならバージルもそうだったんでしょ?
みんなで家族らしいことしない?それ以上に、家族らしいこと、たくさんしよう。
あたしはバージルとも家族になりたいって思ってる。
あたしは悪魔じゃないけども、みんなで悪魔大家族だね。
なにか問題があるなら、悩みがあるなら、その一部だけで良い。あたしに教えてほしい。あたしに貴方の一部を見せて?
拒まないで。中に入れて。
あ、倒れる……そう思った時には遅く、あたしの視界がぐにゃりと歪み、意識が遠のいた。
遠いところからダンテがあたしを呼ぶ声が聞こえた気がする。
だめだよ、ダンテ。止めないでね。あたしが今から行くところ、ダンテならわかるはずよね?
体も意識も何もかもを引っ張られる感覚があり、気がつけばかつてテメンニグルの中から迷い込んだであろう、魔界のどこかにポツンと立っていた。
そう魔界!
思わず全身の毛が差が立つよね。ぶわわーって。
天使の血をひくあたしが、こんなところに一人で立ってたらどうなるか。なぁんてわかりきっていること。
「ここはバージルのなかバージルのなかバージルのなか。魔界じゃない魔界じゃない魔界じゃない彼の精神世界の中」
言い聞かせてみてもちびりそうなくらいの恐ろしさは変わらず。あたしを襲ってくる悪魔がいなさそうなのが唯一の救いかな。
とはいえ、バージルったらなんて恐ろしい世界を心に持ってるのかしら!
や、『親父のいた、この場所が』って言っていたようだし、故郷のひとつなのはわかるけども。
ゆらり。魔界(仮)の空に、赤い三つの目が浮かび上がる。
あの三つ目は魔帝だ!あたしが散々酷い目にあったやつううう!!
「ヒッ」
思わず声が出てしまった。口を押さえても遅い。
だけど、偽物である魔帝はあたしの存在には気がつかなかった。聞こえなかったどころか、あたしの姿も見えてないようで。
でもよく考えたら当たり前だった。
偽物でも怖いので、報復に石を投げつけるのはやめておく。
ぱちゃん。
水を踏みしめる音が背後で聞こえた。
ビクリとして咄嗟に岩の裏に隠れたが、それこそ今求めてやまないあの人だった。
「バー、ジル……」
あたしが意識的に接触を試みない限り、あたしの声も姿もバージルには届かないし見えない。
それは分かっていたけど、隠れたままあたしはバージルの動向を見守ることにした。
バージルの心の中を盗み見るのと一緒のことだから、あまり褒められた行為じゃないけど、でも……。
あれはあの時のバージルだ。
ダンテと戦って、魔界に落ちて。あの時の姿のまま。貴族風の青いコートは自身の血や魔界の赤い水のせいでところどころ真っ赤に染まっているが、その顔は凛としたお顔。バージルのもの。
バージルは時折膝をついて息を乱しながら、閻魔刀を杖代わりに何度も立ち上がって進んでいた。
「魔界の王とやり合うのも悪くはないかーーー。
スパーダの通った道ならば……俺が通れない道理はない!」
閻魔刀の鯉口を切り、走っていくバージル。
だが魔帝・ムンドゥスが力を振るった瞬間、魔力の塊が、魔力でできた重力が、バージルを押しつぶしそして地に縫い留めた。
「……ぐっ、あっ……!」
バージルの大事な閻魔刀にヒビが入り、そして真っ二つに折れる。
欠片ごと赤い水へと沈みゆくそれを、バージルは目で追った。
ぽちゃん。しずみ、そしてどこかへと流れていく。伸ばした手は空を切った。
信じられないものを見るような目をしながら消えていくバージル。
消えて、そして、魔帝へと取り込まれていく……。
ああ、こうしてバージルはネロアンジェロへと変わっていったんだ。彼の意思とは関係なしに。
改めて魔帝への殺意が湧いた。絶対に殺る……ダンテが。
