mission 17:true identity ~救出~
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絶望と悲しみが胸を貫き、あたしの心にもぽっかりと穴が空いた気分。
血を失った時の物とは違う、体が急激に冷えていくあの感じがまたやってきた。……雪女かイエティにでもなったみたいよねって、どこか自嘲的な考えが浮かぶ。
瞳から流れるこの涙も、いつか氷のつぶてに変わるんじゃないかしら。
「ど、して、……どうして……?」
『この人、改造された時に体が悪魔と化してるのかもしれないね。
人としての心臓とは別に、悪魔としての核が構築されかかってる。今の一撃で、その核に小さくヒビが入ってるんだよ。
ディーヴァのお陰で僅かに逸れたからまだよかったけども』
あたしの悲しみを少しでも解消してくれるのか、アラストルが説明を開始した。
心臓があって、でも核があって……。二つあるなら、助かる見込みがあるのが普通じゃないのかな。考えることで涙が少し止まった。
「……どういうこと??」
『マスターは半分悪魔で、だからこそ心臓が一番大事な臓器。
ぶっ刺されても死なないのは悪魔の血が助けてくれてるからってだけ』
「そうだな。悪魔の血には常日頃感謝して祈り捧げてるぜ」
力瘤を作ってむん!といばるダンテ。
うそだ、ダンテは祈りなんて何にも捧げてないのあたし知ってる。
何にもっていうのは、ちょっと違うか。
たまにあたしに祈りを捧げてる感はなくもない。冗談混じりと、夜の営み時っていう特殊な時になるけど。嬉しくない。
『でも半分じゃなくて存在が悪魔そのものだと、心臓がわりにあるのは基本的に核。もちろん例外はある。
この人は半分悪魔としての心臓とは別に、核ができあがってきてる。
まだ核そのものが完全なものじゃないからこれで済んでるけど、それでも核が完全に破壊されたらあのグリフォンと同じ運命を辿るかもしれない』
グリフォンの最期をあたしは見た。
同じ運命。それはつまり。
「やだ!そんなのやだ……」
幼な子が駄々をこねるような物言いで、大きな声を出してしまった。
でも思いは止まらない。ダンテのためにも、バージル本人のためにも、そしてあたし自身のためにも、そんなの絶対にいや。
その時、とても良い考えがあたしの脳裏によぎった。
「なら……。なら人に戻せばいいんじゃないの?人というか、ダンテと同じ半分悪魔に……」
『んー。ディーヴァはなかなか無茶なこと言うなあ』
「どうやってだよ、アラストルの言う通り無茶だ。ンな事できるわけないだろう?」
確かにあたしは天使の血が流れててもただの一般人だし、悪魔を人に戻すなんて魔術の類、使えないし使う予定もない。
魔帝がしたような事。その反対のことをするような力が備わっているわけない。
でも、あたしだからこそできることがある!
浮かんだ考えを、あたしは諦めたくない。
「できる。ダンテがたくさん怪我を負った時、あたしがしてることあるでしょ」
「ディーヴァがオレにしてる事…………まさか」
最初はキスを思い浮かべたのわかるからね?口元ちょっぴりニンマリしてたもの。
でも、その考えはすぐ消えて、もう一つに思い至ったみたい。
「そうそれ」
「ダメだ!お前の体には負担が過ぎる!
いくらバージル相手とはいえ、死にかけてる悪魔に使うって、どれだけ必要なのかわからない。絶対足りなくなる!
そんな無理、させられるか!」
「どうせ血なら今も流してる」
先程前線に飛び出した時に負ったネロアンジェロから受けた傷はなかなか深く、まだ血が流れている。
圧迫しているから止まっているこれも、圧迫せず下に向ければポタポタどころじゃない血が腕を伝うだろう。
それに、魔帝に無理やり奪われていたあの時より遥かにマシな状況だ。
「やってみる価値はある。
バージルを助けたいの。やらないうちから諦めたくない」
あたしはズルい女だ。
ダンテがあたしの強い瞳に何も言えなくなるのを知ってて、強い意志を込めた目でこうして見つめてるんだから。
「………わかった。ただ限界だと思ったら、やめてくれ」
「うん。ありがとう」
ほら。今回もダンテは逆らえず、眉根を下げて折れてくれた。
ごめんねダンテ。
居住まいを正して、倒れ伏すバージルの横に座る。
ネロアンジェロ時の名残はあっても、その顔はさすがは双子。ダンテと同じく精巧な顔立ちはそのままに、肌は陶器のように美しくまつげは嫉妬するほどに長く整っている。
よくよく見ると、鼻はダンテよりシュッとしてるし唇はほんの少しだけ薄いんだね。
あ……ずっとみてると魅了されそう。唇に吸い込まれそう。
ダンテの顔だって見つめていると吸い込まれそうになる時がある。ダンテは黙ってられないし、大人しくしてないし、なんならあたしがするよりも先にちゅーしてくるけど。
いけないいけない。唇ばかりみてると変な気分になっちゃう。相手は怪我人!
でも、こんな悪魔たちが自分の元にやってきたら、魅入られてすべて差し出してしまうかもしれない。
魔帝も、ダンテやバージルみたいな美しい悪魔ばかり作ったら、人間界の掌握は簡単だったのに。や、そんなの困るけどね!?
これまでダンテに血をあげることは何度かあったけど、こうしてそのダンテに見られる形で誰かに血をあげるなんて初めて。止めてくることはないと思うけど、自分側がとんでもない失敗をしでかさないか不安。緊張する……。
しっかりしなくちゃって奮い立つ思いと、あたしにできるかなって思いもあって心臓がうるさい。
もともとの肩口の痛みで余計心臓痛い気がするし、頭もガンガンしてくる。
でも、これはあたしにしかできないこと。
「すぅ、はぁ……」
大きく深呼吸を数回。よし。
バージルの口に指を押し当て、そっとその唇を薄くこじ開ける。
血を止めるための肩口押さえをやめると、腕からは重力にしたがって滴り落ちる血液。
筋を作って流れるそれは、下へ下へ、最終目的地であるバージルの口の中へと少しずつ流れていった。
血は溢れてしまうその前に、バージルの喉を通っているようだ。喉が上下している!
ああ、よかった。
でも、途中で血が止まったら。足りなくなったら。そういう不安もよぎる。
とても怖いし痛いけど……でも。
「……〜〜〜ッ!!」
気を失いそうな強烈な痛み。生理的な涙が流れ、視界を包む。
傷口からは止めどなく血が溢れていた。
ツツーどころでも、ぽたぽたどころでもない。ボトボト溢れる血。
何したかって?自分の傷に自ら爪を立てたというだけ。
「何やってんだディーヴァ!!」
「こ、うするしかない、と、……思って……ううううういたい〜〜!!」
「当たり前だろバカ!」
「でもダンテがあたしの立場なら同じことしてたはず。ダンテは手を出してこないで」
止めたいのに止められず、ダンテが手を彷徨わせてオロオロしている姿が視界の端に映る。
みていられない。と唇を噛みしめ耐えていた。
血を失った時の物とは違う、体が急激に冷えていくあの感じがまたやってきた。……雪女かイエティにでもなったみたいよねって、どこか自嘲的な考えが浮かぶ。
瞳から流れるこの涙も、いつか氷のつぶてに変わるんじゃないかしら。
「ど、して、……どうして……?」
『この人、改造された時に体が悪魔と化してるのかもしれないね。
人としての心臓とは別に、悪魔としての核が構築されかかってる。今の一撃で、その核に小さくヒビが入ってるんだよ。
ディーヴァのお陰で僅かに逸れたからまだよかったけども』
あたしの悲しみを少しでも解消してくれるのか、アラストルが説明を開始した。
心臓があって、でも核があって……。二つあるなら、助かる見込みがあるのが普通じゃないのかな。考えることで涙が少し止まった。
「……どういうこと??」
『マスターは半分悪魔で、だからこそ心臓が一番大事な臓器。
ぶっ刺されても死なないのは悪魔の血が助けてくれてるからってだけ』
「そうだな。悪魔の血には常日頃感謝して祈り捧げてるぜ」
力瘤を作ってむん!といばるダンテ。
うそだ、ダンテは祈りなんて何にも捧げてないのあたし知ってる。
何にもっていうのは、ちょっと違うか。
たまにあたしに祈りを捧げてる感はなくもない。冗談混じりと、夜の営み時っていう特殊な時になるけど。嬉しくない。
『でも半分じゃなくて存在が悪魔そのものだと、心臓がわりにあるのは基本的に核。もちろん例外はある。
この人は半分悪魔としての心臓とは別に、核ができあがってきてる。
まだ核そのものが完全なものじゃないからこれで済んでるけど、それでも核が完全に破壊されたらあのグリフォンと同じ運命を辿るかもしれない』
グリフォンの最期をあたしは見た。
同じ運命。それはつまり。
「やだ!そんなのやだ……」
幼な子が駄々をこねるような物言いで、大きな声を出してしまった。
でも思いは止まらない。ダンテのためにも、バージル本人のためにも、そしてあたし自身のためにも、そんなの絶対にいや。
その時、とても良い考えがあたしの脳裏によぎった。
「なら……。なら人に戻せばいいんじゃないの?人というか、ダンテと同じ半分悪魔に……」
『んー。ディーヴァはなかなか無茶なこと言うなあ』
「どうやってだよ、アラストルの言う通り無茶だ。ンな事できるわけないだろう?」
確かにあたしは天使の血が流れててもただの一般人だし、悪魔を人に戻すなんて魔術の類、使えないし使う予定もない。
魔帝がしたような事。その反対のことをするような力が備わっているわけない。
でも、あたしだからこそできることがある!
浮かんだ考えを、あたしは諦めたくない。
「できる。ダンテがたくさん怪我を負った時、あたしがしてることあるでしょ」
「ディーヴァがオレにしてる事…………まさか」
最初はキスを思い浮かべたのわかるからね?口元ちょっぴりニンマリしてたもの。
でも、その考えはすぐ消えて、もう一つに思い至ったみたい。
「そうそれ」
「ダメだ!お前の体には負担が過ぎる!
いくらバージル相手とはいえ、死にかけてる悪魔に使うって、どれだけ必要なのかわからない。絶対足りなくなる!
そんな無理、させられるか!」
「どうせ血なら今も流してる」
先程前線に飛び出した時に負ったネロアンジェロから受けた傷はなかなか深く、まだ血が流れている。
圧迫しているから止まっているこれも、圧迫せず下に向ければポタポタどころじゃない血が腕を伝うだろう。
それに、魔帝に無理やり奪われていたあの時より遥かにマシな状況だ。
「やってみる価値はある。
バージルを助けたいの。やらないうちから諦めたくない」
あたしはズルい女だ。
ダンテがあたしの強い瞳に何も言えなくなるのを知ってて、強い意志を込めた目でこうして見つめてるんだから。
「………わかった。ただ限界だと思ったら、やめてくれ」
「うん。ありがとう」
ほら。今回もダンテは逆らえず、眉根を下げて折れてくれた。
ごめんねダンテ。
居住まいを正して、倒れ伏すバージルの横に座る。
ネロアンジェロ時の名残はあっても、その顔はさすがは双子。ダンテと同じく精巧な顔立ちはそのままに、肌は陶器のように美しくまつげは嫉妬するほどに長く整っている。
よくよく見ると、鼻はダンテよりシュッとしてるし唇はほんの少しだけ薄いんだね。
あ……ずっとみてると魅了されそう。唇に吸い込まれそう。
ダンテの顔だって見つめていると吸い込まれそうになる時がある。ダンテは黙ってられないし、大人しくしてないし、なんならあたしがするよりも先にちゅーしてくるけど。
いけないいけない。唇ばかりみてると変な気分になっちゃう。相手は怪我人!
でも、こんな悪魔たちが自分の元にやってきたら、魅入られてすべて差し出してしまうかもしれない。
魔帝も、ダンテやバージルみたいな美しい悪魔ばかり作ったら、人間界の掌握は簡単だったのに。や、そんなの困るけどね!?
これまでダンテに血をあげることは何度かあったけど、こうしてそのダンテに見られる形で誰かに血をあげるなんて初めて。止めてくることはないと思うけど、自分側がとんでもない失敗をしでかさないか不安。緊張する……。
しっかりしなくちゃって奮い立つ思いと、あたしにできるかなって思いもあって心臓がうるさい。
もともとの肩口の痛みで余計心臓痛い気がするし、頭もガンガンしてくる。
でも、これはあたしにしかできないこと。
「すぅ、はぁ……」
大きく深呼吸を数回。よし。
バージルの口に指を押し当て、そっとその唇を薄くこじ開ける。
血を止めるための肩口押さえをやめると、腕からは重力にしたがって滴り落ちる血液。
筋を作って流れるそれは、下へ下へ、最終目的地であるバージルの口の中へと少しずつ流れていった。
血は溢れてしまうその前に、バージルの喉を通っているようだ。喉が上下している!
ああ、よかった。
でも、途中で血が止まったら。足りなくなったら。そういう不安もよぎる。
とても怖いし痛いけど……でも。
「……〜〜〜ッ!!」
気を失いそうな強烈な痛み。生理的な涙が流れ、視界を包む。
傷口からは止めどなく血が溢れていた。
ツツーどころでも、ぽたぽたどころでもない。ボトボト溢れる血。
何したかって?自分の傷に自ら爪を立てたというだけ。
「何やってんだディーヴァ!!」
「こ、うするしかない、と、……思って……ううううういたい〜〜!!」
「当たり前だろバカ!」
「でもダンテがあたしの立場なら同じことしてたはず。ダンテは手を出してこないで」
止めたいのに止められず、ダンテが手を彷徨わせてオロオロしている姿が視界の端に映る。
みていられない。と唇を噛みしめ耐えていた。
