mission 17:true identity ~救出~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ネロアンジェロの体を中心として、どす黒い瘴気が立ち昇った。
こんなもの吸い込んだら一瞬にしてその毒に蝕まれ精神が狂う。
瘴気の発生もとであるネロアンジェロはもちろん、ダンテでさえも悪魔の狂気に支配されてしまう!
「ふたりとも大丈夫なの!?こんなの吸っちゃダメだよ!!」
「わかってる!ディーヴァはそこにいれば安心だから出るな」
結界から一歩踏み出そうとするも、吸い込まないようにと袖口で口を抑え飛び退いたダンテからの静止が入る。
そうね。あたしが吸い込んだ場合は、気が狂うのではなく致死性の高い毒として作用しそう。
この結界は瘴気も防いでくれるようだし、大人しくとどまるのが正解かも。
……空気清浄機みたいだなあ。
ゾワッ!
「ーー!?」
背筋に冷たい嫌なものが走った。
身体中の肌が粟立つ感覚。あたしが毛皮を持つ獣なら、全身逆立っていただろう。
見られている。
瘴気の中で三つ目が嘲笑ったような気がして、叫びたい声の代わりに息がヒュッと漏れた。
恐怖に言葉が出ない。
心臓が鷲掴みにされている感覚。瘴気が薄くなり三つ目が消えて初めて、呼吸ができるようになった。
「あの三つ目野郎、せっかく本格的に兄弟喧嘩できるところだってのに邪魔してきやがった!」
って、え?貴方まだ戦うつもりだったの。
悪魔の血が流れてるし、そういう性分なのは知ってる。うん、知ってる……。
特にバージルとは昔からいろいろあるから戦いたいよね。基本的に仲悪いもの。
とかいいながら、蓋を開けて中身を見ると仲良し兄弟なのあたし知ってるんだからね!
黒い霧が晴れてゆく。
視線の先にいたのは、闇に飲まれた凶悪な悪魔。
かつて青く澄んでいたバージルの美しい瞳が、邪悪な気配におかされて血のように赤く輝いていた。
「グアアアアァァァァ!!」
再び堕ちたネロアンジェロが、獣のような咆哮をあげる。
コロスコロスコロス。ネロアンジェロの口から呪詛のような言葉が漏れている。
あれじゃ、あたしの声すらもう届かない。
「ほーんと厄介なことしくさって……。こりゃあ骨が折れそうだぜ」
大剣を手に襲ってくるネロアンジェロを、ダンテは舌打ちしながら迎え打った。
……速い!
先程までの戦いが嘘のような速さで大剣を振り抜かれる。
その動きはあたしの目には決して追えぬ速さ。
「ぐっ!?」
斬るというより叩きつける事に特化した大剣は、ダンテの腹に吸い込まれ彼を壁まで吹き飛ばした。
轟音とともに、壁がかつてないほど壊れる。
向こうに広がる回廊が見えてしまいそう!
「ガフッ……!ち、くしょう……!」
間髪を入れず飛んできた数の多いメテオ。アラストルで捌ききれず、壁へとさらに沈むダンテ。
刃物同士が激しくぶつかりあう金属音。唸る拳。
ダンテがネロアンジェロに入れるダメージよりも、ネロアンジェロがダンテに入れるダメージの方が大きく、そして強い。
ここにきて初めて、ダンテが緑色をした星を使った。
完全に押されている。ダンテが押されている!
「はあ、はあ……いいけどよ。そんなペースじゃ体が先にぶっ壊れるぜ」
苛烈な戦いが続く。
だが、更なるスピードを得るのはいくら悪魔の体だとしても、肉体に負担をかけていた。トンデモ破壊力は、限界を超えた肉体の動きによるもの。
アキレス腱がピシリと軋んだ時のような音が、ネロアンジェロの体から聞こえた。
それでもネロアンジェロは止まらない。セーブが効かない。
風が吹き荒れる。それは、結界に入っていても飛ばされそうな強さだった。
「やれやれ。自分が何者かも忘れてんのか?
いい加減思い出せっての!」
ふるわれた大剣を、今度は腕に装着したイフリートで受け止めながら叫ぶ。
その顔には、焦りからくる汗が光っていた。
そしてネロアンジェロが自身を取り戻すであろう、大切なお守りを空いた手で胸元から取り出した。
鎖がしゃらりと音を立てる。
魔石の一種でもある、ダンテたちの母からの形見。
あたしがかつてダンテから贈られたガーネットとは違い、妖しく美しく輝く紅色のアミュレット。
初めて戦った時のネロアンジェロはこれを目に入れた瞬間に様子がおかしくなったらしい。
苦悶に頭を抱え、戸惑っていたとの話。
だが、目の前の悪魔は今度は止まらなかった。
ものすごい勢いで踵落としを決め、ダンテに床とキスさせた。
バキッていった!バキッていったよ!?ねえあれ首の骨折れちゃわない??誰かに聞きたいけど誰にも聞けないこの状況おねがいなんとかして。
「ってぇ〜〜〜!
そうかよ、アンタそういう奴だったんだな。
今わかったよ」
首の骨は折れなかったようだが、床に突っ伏したままのダンテがドスの効いた声を放つ。
あ、やばい。ダンテから黒い瘴気よりこわい雰囲気が滲み出てる。
怒っている。ダンテが怒っている。
ダンテにとってはそれが答えだったみたい。
それほど、アミュレットはダンテにとっても、バージルにとっても特別なもの。なのにそれを無視だ。
バージルを見限る決定打となってしまったのが、ただ見ているだけのあたしにも理解できてしまった!
「ディーヴァ。こいつはもう何言ってもとまらねぇ。せめて引導を渡してやるのが『バージル』のためのようだぜ」
引導なんて言葉はまるで……。
そんなのダメ。絶対ダメ。
「待って、何か方法があるはずだよ!ねえ、ダンテ!」
「…………」
あたしの静止は無視された。
素早く後ろに飛びのき、目を据わらせてダンテが魔人化する。青く、そして黒い雷の魔人に。
なんてこわい。姿もこわいけど、そうじゃない。ダンテの怒りが魔人化にそのまま反映してるみたいに刺々しく見えて恐怖を感じる。
怒涛の三連撃からのかかと落とし。
さすがによろめいたネロアンジェロの胸元へ、ダンテが恐ろしいほど素早くアラストルを振りかぶる。
同じく大剣を高速で振るわれたが、スピードに極振りした状態で魔人化したダンテには、敵わなかった。
こんなもの吸い込んだら一瞬にしてその毒に蝕まれ精神が狂う。
瘴気の発生もとであるネロアンジェロはもちろん、ダンテでさえも悪魔の狂気に支配されてしまう!
「ふたりとも大丈夫なの!?こんなの吸っちゃダメだよ!!」
「わかってる!ディーヴァはそこにいれば安心だから出るな」
結界から一歩踏み出そうとするも、吸い込まないようにと袖口で口を抑え飛び退いたダンテからの静止が入る。
そうね。あたしが吸い込んだ場合は、気が狂うのではなく致死性の高い毒として作用しそう。
この結界は瘴気も防いでくれるようだし、大人しくとどまるのが正解かも。
……空気清浄機みたいだなあ。
ゾワッ!
「ーー!?」
背筋に冷たい嫌なものが走った。
身体中の肌が粟立つ感覚。あたしが毛皮を持つ獣なら、全身逆立っていただろう。
見られている。
瘴気の中で三つ目が嘲笑ったような気がして、叫びたい声の代わりに息がヒュッと漏れた。
恐怖に言葉が出ない。
心臓が鷲掴みにされている感覚。瘴気が薄くなり三つ目が消えて初めて、呼吸ができるようになった。
「あの三つ目野郎、せっかく本格的に兄弟喧嘩できるところだってのに邪魔してきやがった!」
って、え?貴方まだ戦うつもりだったの。
悪魔の血が流れてるし、そういう性分なのは知ってる。うん、知ってる……。
特にバージルとは昔からいろいろあるから戦いたいよね。基本的に仲悪いもの。
とかいいながら、蓋を開けて中身を見ると仲良し兄弟なのあたし知ってるんだからね!
黒い霧が晴れてゆく。
視線の先にいたのは、闇に飲まれた凶悪な悪魔。
かつて青く澄んでいたバージルの美しい瞳が、邪悪な気配におかされて血のように赤く輝いていた。
「グアアアアァァァァ!!」
再び堕ちたネロアンジェロが、獣のような咆哮をあげる。
コロスコロスコロス。ネロアンジェロの口から呪詛のような言葉が漏れている。
あれじゃ、あたしの声すらもう届かない。
「ほーんと厄介なことしくさって……。こりゃあ骨が折れそうだぜ」
大剣を手に襲ってくるネロアンジェロを、ダンテは舌打ちしながら迎え打った。
……速い!
先程までの戦いが嘘のような速さで大剣を振り抜かれる。
その動きはあたしの目には決して追えぬ速さ。
「ぐっ!?」
斬るというより叩きつける事に特化した大剣は、ダンテの腹に吸い込まれ彼を壁まで吹き飛ばした。
轟音とともに、壁がかつてないほど壊れる。
向こうに広がる回廊が見えてしまいそう!
「ガフッ……!ち、くしょう……!」
間髪を入れず飛んできた数の多いメテオ。アラストルで捌ききれず、壁へとさらに沈むダンテ。
刃物同士が激しくぶつかりあう金属音。唸る拳。
ダンテがネロアンジェロに入れるダメージよりも、ネロアンジェロがダンテに入れるダメージの方が大きく、そして強い。
ここにきて初めて、ダンテが緑色をした星を使った。
完全に押されている。ダンテが押されている!
「はあ、はあ……いいけどよ。そんなペースじゃ体が先にぶっ壊れるぜ」
苛烈な戦いが続く。
だが、更なるスピードを得るのはいくら悪魔の体だとしても、肉体に負担をかけていた。トンデモ破壊力は、限界を超えた肉体の動きによるもの。
アキレス腱がピシリと軋んだ時のような音が、ネロアンジェロの体から聞こえた。
それでもネロアンジェロは止まらない。セーブが効かない。
風が吹き荒れる。それは、結界に入っていても飛ばされそうな強さだった。
「やれやれ。自分が何者かも忘れてんのか?
いい加減思い出せっての!」
ふるわれた大剣を、今度は腕に装着したイフリートで受け止めながら叫ぶ。
その顔には、焦りからくる汗が光っていた。
そしてネロアンジェロが自身を取り戻すであろう、大切なお守りを空いた手で胸元から取り出した。
鎖がしゃらりと音を立てる。
魔石の一種でもある、ダンテたちの母からの形見。
あたしがかつてダンテから贈られたガーネットとは違い、妖しく美しく輝く紅色のアミュレット。
初めて戦った時のネロアンジェロはこれを目に入れた瞬間に様子がおかしくなったらしい。
苦悶に頭を抱え、戸惑っていたとの話。
だが、目の前の悪魔は今度は止まらなかった。
ものすごい勢いで踵落としを決め、ダンテに床とキスさせた。
バキッていった!バキッていったよ!?ねえあれ首の骨折れちゃわない??誰かに聞きたいけど誰にも聞けないこの状況おねがいなんとかして。
「ってぇ〜〜〜!
そうかよ、アンタそういう奴だったんだな。
今わかったよ」
首の骨は折れなかったようだが、床に突っ伏したままのダンテがドスの効いた声を放つ。
あ、やばい。ダンテから黒い瘴気よりこわい雰囲気が滲み出てる。
怒っている。ダンテが怒っている。
ダンテにとってはそれが答えだったみたい。
それほど、アミュレットはダンテにとっても、バージルにとっても特別なもの。なのにそれを無視だ。
バージルを見限る決定打となってしまったのが、ただ見ているだけのあたしにも理解できてしまった!
「ディーヴァ。こいつはもう何言ってもとまらねぇ。せめて引導を渡してやるのが『バージル』のためのようだぜ」
引導なんて言葉はまるで……。
そんなのダメ。絶対ダメ。
「待って、何か方法があるはずだよ!ねえ、ダンテ!」
「…………」
あたしの静止は無視された。
素早く後ろに飛びのき、目を据わらせてダンテが魔人化する。青く、そして黒い雷の魔人に。
なんてこわい。姿もこわいけど、そうじゃない。ダンテの怒りが魔人化にそのまま反映してるみたいに刺々しく見えて恐怖を感じる。
怒涛の三連撃からのかかと落とし。
さすがによろめいたネロアンジェロの胸元へ、ダンテが恐ろしいほど素早くアラストルを振りかぶる。
同じく大剣を高速で振るわれたが、スピードに極振りした状態で魔人化したダンテには、敵わなかった。
