mission 17:true identity ~救出~
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そのまま倒れそうになるが、すんでのところで踏みとどまる。
「くっ……。大丈夫だからディーヴァは気にするな!」
「ででででも!胸から血が!こんなところでも恒例行事がぁ!!」
壁際からでも血飛沫が見えてしまったらしい。
心配してくれたようだが、恒例行事とまで言われちまったぜ。やれやれ。
「油断しただけだ、すぐ治る。
ったく、それなんて『クリスタル』だ?真似すんなっての」
オレがかつてテメンニグルで入手した魔具ケルベロス。
『クリスタル』と呼ぶ酷似した技が、あれにもあった。属性も同じく氷だし、そっくりどころの騒ぎではない。
氷柱を放ってきた個体に向かって、強烈な蹴りを放つ。
纏わせておいた炎で攻撃力は相当強化されていたのか、フロストが氷の防具を撒き散らしながら一直線に吹っ飛んだ。
「まずは1匹。高火力でヤッちまえば、こんな悪魔薄い飴細工みたいなもんだ」
壁にぶち当たり崩れ落ちる仲間を前に、怒りの咆哮をあげるもう一体のフロスト。
その左右の爪が妖しく光り輝いたかと思うと、氷でできた鋭い爪がフロストを中心として四方八方に勢いよく飛んだ。
「なっ!?ディーヴァ避けろ!!」
この方向はまずい!爪の直線上にディーヴァがいる!!
「いっ……!」
叫んだが間に合わず、その一本がディーヴァの首筋に入る。
ゾッとした。
当たった場所が少しでもずれていたらディーヴァの首は飛んでいた。即死だ。
それを想像し、絶句した。
まっすぐ立っていられなくなりそうだった。
そこへこの匂いだ。
ディーヴァの体にどんな変化が起きているのかはまだわからない。けれど、ディーヴァはディーヴァだった。偽物でもなんでもない。ディーヴァ本人だ。
ポタリ。腕についた小さな傷口から血が一筋流れ落ちた瞬間、ぶわりと広がる天使の血の芳香。
オレですら耐えがたいあの飢餓感。衝動。渇望。
血の誘惑を前に、倒れ伏していたフロストまでもがディーヴァの方へ顔を向けた。
「ひっ……」
グゥルルル。唸り声には獲物を欲しがる色が滲んでいる。
フロスト共が細胞を氷の粒子に変化させた。
やばい。グレネードを撃つ暇はない。この位置からは当たらない。
オレはアラストルを手に魔人化してフロストのそれより速く、ディーヴァの元へと急いだ。
ガキィン!
ディーヴァの前、魔人化して硬質化した体で二体の氷刃を防ぐ。
魔人化してても重い一撃だぜ。
体で押し返し弾くが、こいつにはアラストルよりイフリート。魔人化を解き装備をイフリートに変えてから魔力を炎に変換し、再び向かってきたフロストへと思い切り放つ。
イフリートの『インフェルノ』。地獄の業火に焼かれ、フロストは氷が溶けるようにして消得ていった。かろうじて残るのはレッドオーブのみだ。
ほっとしたところで、背後から間延びした声が聞こえた。
「オラフみたいに溶けちゃったね」
危ない目にあったというにディーヴァときたら、なんてのんきな子だろうか。
相手は悪魔。そんな可愛げのある生き物じゃないんだからな?
まったく、脱力してしまいそうになる。
「でも鼻の頭火傷するかと思った〜」
間近に感じる悪魔の炎は相当熱かったようだ。ディーヴァには悪いことをした。
それよりも痛々しいのは、首筋に走るフロストによる怪我だ。
止まり始めているが、患部を乱暴に拭ったのだろう。血があちらこちらに滲んでいる。
「すまん、まさかディーヴァにまで及ぶような飛び道具使うとは……。痛むよな」
「ううん、これくらい平気!ちょっとかすっただけだもの。
それに悪魔だらけの場所にいるんだよ?こんなことあって当然。気にしないで。
ダンテこそ大丈夫……?さっきの傷は治った?」
健気な彼女。抱きしめたい。その無事を体で確かめたい。
ああ、なのにオレは血の誘惑からは逃れられないのか。ディーヴァを慈しみ大事にしたい気持ちが大きいのに、噛みつきたいその血を貪りたい、そういう欲求が浮かんでくる。
抱きしめたらそのまま襲ってしまいそうだ!
ディーヴァの血の匂いから顔を背けると、彼女が隠れていた草木に、ディーヴァの血が点々と付着しているのが目に入った。
その草すら食みたい。血が欲しい。
「いいよ、ダンテ」
唇を噛み締めてその欲求を振り払おうとするも、看破されていたのかディーヴァがオレの手をそっと握る。
「もしかしてオレの目、今赤いか?」
「うん。目の色がほんのり赤く光ってる」
悪魔の赤い目。真っ赤な目。
さっきの悪魔のようにディーヴァを獲物として見るのは絶対に嫌なのに、なのに血には争えない。
これは生理現象と一緒だ。
「……誤魔化し効かねえもんだな」
深くため息を吐き出してから、観念したようにディーヴァを見つめる。
エメラルドの瞳から発せられる視線は、慈しみと優しさを湛える柔らかなものだった。
「ふふん!誤魔化そうったって、そうはいきませんとも」
天使の血がそうさせるのか、このオレの目はディーヴァにとって恐ろしく感じるものだろうに、ディーヴァは目を逸らさず、あろうことか笑顔を向けてくれた。
なのに、返せるものはなく奪うことしかできない。
「せっかく血が止まってきてんのに、ごめんな」
サラリ、首筋を覆い隠すディーヴァの髪をどける。
ディーヴァはオレが口をつけやすいようにと首を差し出し、目をゆるゆると閉じながらその身を任せてきた。
「ダンテだって串刺しで血を失ったんだし仕方ないよ。こんな血でダンテの力が少しでも戻るなら、あたしは喜んで血を差し出すよ?」
「はあ……てめえの愛する女を傷つける行為はオレが一番嫌うことなんだがなぁ」
「ダンテがつけた傷じゃないし気にしなくていいの!」
「いい、のかなァ……」
気配が希薄なディーヴァ相手では、いつもより抵抗がある。だが目は首筋に釘付けだし喉はゴクリと鳴る。
『本人が言ってるしいいんじゃない?このままだとMOTTAINAIお化け出そうだよ』
MOTTAINAIお化けというか、MOTTAINAI天使がすでに出ている。
「……痛かったら言え」
「ダンテは心配性だね」
誘う香りに抗えず、首ににじむ血をそっと舐めとる。
痛くないよう歯を立てずに、そっとそっと。
ほんの少し、たった少しのディーヴァの血でも、魔力が回復していくのがわかる。
味は甘い。糖尿病の血だとか、そういう甘さじゃない。悪魔が喜ぶ甘さ。
しかし、やはりだ。
匂いは変わらないのに、いつもより若干味が薄い……。
命の灯火が消えかかっている時のような、弱い味がして逆に不安になる。
血が少なくなるごとに、ディーヴァの存在が薄くなり、消えていく。そんな気がして怖かった。
「くっ……。大丈夫だからディーヴァは気にするな!」
「ででででも!胸から血が!こんなところでも恒例行事がぁ!!」
壁際からでも血飛沫が見えてしまったらしい。
心配してくれたようだが、恒例行事とまで言われちまったぜ。やれやれ。
「油断しただけだ、すぐ治る。
ったく、それなんて『クリスタル』だ?真似すんなっての」
オレがかつてテメンニグルで入手した魔具ケルベロス。
『クリスタル』と呼ぶ酷似した技が、あれにもあった。属性も同じく氷だし、そっくりどころの騒ぎではない。
氷柱を放ってきた個体に向かって、強烈な蹴りを放つ。
纏わせておいた炎で攻撃力は相当強化されていたのか、フロストが氷の防具を撒き散らしながら一直線に吹っ飛んだ。
「まずは1匹。高火力でヤッちまえば、こんな悪魔薄い飴細工みたいなもんだ」
壁にぶち当たり崩れ落ちる仲間を前に、怒りの咆哮をあげるもう一体のフロスト。
その左右の爪が妖しく光り輝いたかと思うと、氷でできた鋭い爪がフロストを中心として四方八方に勢いよく飛んだ。
「なっ!?ディーヴァ避けろ!!」
この方向はまずい!爪の直線上にディーヴァがいる!!
「いっ……!」
叫んだが間に合わず、その一本がディーヴァの首筋に入る。
ゾッとした。
当たった場所が少しでもずれていたらディーヴァの首は飛んでいた。即死だ。
それを想像し、絶句した。
まっすぐ立っていられなくなりそうだった。
そこへこの匂いだ。
ディーヴァの体にどんな変化が起きているのかはまだわからない。けれど、ディーヴァはディーヴァだった。偽物でもなんでもない。ディーヴァ本人だ。
ポタリ。腕についた小さな傷口から血が一筋流れ落ちた瞬間、ぶわりと広がる天使の血の芳香。
オレですら耐えがたいあの飢餓感。衝動。渇望。
血の誘惑を前に、倒れ伏していたフロストまでもがディーヴァの方へ顔を向けた。
「ひっ……」
グゥルルル。唸り声には獲物を欲しがる色が滲んでいる。
フロスト共が細胞を氷の粒子に変化させた。
やばい。グレネードを撃つ暇はない。この位置からは当たらない。
オレはアラストルを手に魔人化してフロストのそれより速く、ディーヴァの元へと急いだ。
ガキィン!
ディーヴァの前、魔人化して硬質化した体で二体の氷刃を防ぐ。
魔人化してても重い一撃だぜ。
体で押し返し弾くが、こいつにはアラストルよりイフリート。魔人化を解き装備をイフリートに変えてから魔力を炎に変換し、再び向かってきたフロストへと思い切り放つ。
イフリートの『インフェルノ』。地獄の業火に焼かれ、フロストは氷が溶けるようにして消得ていった。かろうじて残るのはレッドオーブのみだ。
ほっとしたところで、背後から間延びした声が聞こえた。
「オラフみたいに溶けちゃったね」
危ない目にあったというにディーヴァときたら、なんてのんきな子だろうか。
相手は悪魔。そんな可愛げのある生き物じゃないんだからな?
まったく、脱力してしまいそうになる。
「でも鼻の頭火傷するかと思った〜」
間近に感じる悪魔の炎は相当熱かったようだ。ディーヴァには悪いことをした。
それよりも痛々しいのは、首筋に走るフロストによる怪我だ。
止まり始めているが、患部を乱暴に拭ったのだろう。血があちらこちらに滲んでいる。
「すまん、まさかディーヴァにまで及ぶような飛び道具使うとは……。痛むよな」
「ううん、これくらい平気!ちょっとかすっただけだもの。
それに悪魔だらけの場所にいるんだよ?こんなことあって当然。気にしないで。
ダンテこそ大丈夫……?さっきの傷は治った?」
健気な彼女。抱きしめたい。その無事を体で確かめたい。
ああ、なのにオレは血の誘惑からは逃れられないのか。ディーヴァを慈しみ大事にしたい気持ちが大きいのに、噛みつきたいその血を貪りたい、そういう欲求が浮かんでくる。
抱きしめたらそのまま襲ってしまいそうだ!
ディーヴァの血の匂いから顔を背けると、彼女が隠れていた草木に、ディーヴァの血が点々と付着しているのが目に入った。
その草すら食みたい。血が欲しい。
「いいよ、ダンテ」
唇を噛み締めてその欲求を振り払おうとするも、看破されていたのかディーヴァがオレの手をそっと握る。
「もしかしてオレの目、今赤いか?」
「うん。目の色がほんのり赤く光ってる」
悪魔の赤い目。真っ赤な目。
さっきの悪魔のようにディーヴァを獲物として見るのは絶対に嫌なのに、なのに血には争えない。
これは生理現象と一緒だ。
「……誤魔化し効かねえもんだな」
深くため息を吐き出してから、観念したようにディーヴァを見つめる。
エメラルドの瞳から発せられる視線は、慈しみと優しさを湛える柔らかなものだった。
「ふふん!誤魔化そうったって、そうはいきませんとも」
天使の血がそうさせるのか、このオレの目はディーヴァにとって恐ろしく感じるものだろうに、ディーヴァは目を逸らさず、あろうことか笑顔を向けてくれた。
なのに、返せるものはなく奪うことしかできない。
「せっかく血が止まってきてんのに、ごめんな」
サラリ、首筋を覆い隠すディーヴァの髪をどける。
ディーヴァはオレが口をつけやすいようにと首を差し出し、目をゆるゆると閉じながらその身を任せてきた。
「ダンテだって串刺しで血を失ったんだし仕方ないよ。こんな血でダンテの力が少しでも戻るなら、あたしは喜んで血を差し出すよ?」
「はあ……てめえの愛する女を傷つける行為はオレが一番嫌うことなんだがなぁ」
「ダンテがつけた傷じゃないし気にしなくていいの!」
「いい、のかなァ……」
気配が希薄なディーヴァ相手では、いつもより抵抗がある。だが目は首筋に釘付けだし喉はゴクリと鳴る。
『本人が言ってるしいいんじゃない?このままだとMOTTAINAIお化け出そうだよ』
MOTTAINAIお化けというか、MOTTAINAI天使がすでに出ている。
「……痛かったら言え」
「ダンテは心配性だね」
誘う香りに抗えず、首ににじむ血をそっと舐めとる。
痛くないよう歯を立てずに、そっとそっと。
ほんの少し、たった少しのディーヴァの血でも、魔力が回復していくのがわかる。
味は甘い。糖尿病の血だとか、そういう甘さじゃない。悪魔が喜ぶ甘さ。
しかし、やはりだ。
匂いは変わらないのに、いつもより若干味が薄い……。
命の灯火が消えかかっている時のような、弱い味がして逆に不安になる。
血が少なくなるごとに、ディーヴァの存在が薄くなり、消えていく。そんな気がして怖かった。
