mission 17:true identity ~救出~
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「でも、鏡とか絵画で部屋を行き来できちゃうってさ、ちょっと間違えると足とか体の一部を置いていきそうで怖いよね」
『姿を現したりくらましたりするどこぞの魔法みたいなことはこの世界じゃ起きないと思う』
おいこらアラストルがそのネタなぜ知ってる。しかも失敗した時の場合じゃないか。……と、思ったがスルー。
限りなくグレーだ。いや、ブラックかもしれない。
「そんな危険なことに繋がりそうなヘルメスの杖、なんでお船に保管されていたんだろう?」
「おおかた船の連中が、この城から盗んだんだろ。
盗んだは良いが、呪われて船ごとこの島に囚われたかはたまたただ持て余してしまったか……」
「船ごと囚われたのはホントのことだと思うけど、盗んだ報いがひどすぎるね」
パタンと本を閉じる。うげっ。
海賊への報いもひどいが、本の表紙もおどろおどろしくてなかなかひどかった……。
「あ、よく見たら壁にまた額がある〜!額と壁の色が同じだからよくわかんなかったね」
見ていられなくて違う方向へと目をやると、そこにはふたつの額。
近寄ると、一方はそのままだったが、もう一枚の額の内側がぐにゃりと歪み、闘技場によく似た絵を映し出した。
ぽっかりと浮かぶ大きな月が印象的だ。
「わ、お月様綺麗」
「これも鏡の一種とみなしてもいいかもな。立派な魔の領域への入り口だ。
あといいか?ディーヴァは自分から近づくなよ?オレが連れてく」
「わ、わかってるよ……」
口を酸っぱくして言い聞かせ一歩下がらせると、よく観察してからディーヴァを小脇に抱えて飛び込む。
その先は映し出された場所に違いなかった。
しかし、以前は地下にあった闘技場が雷鳴轟き空を臨むロケーションに成り代わっていた。魔の領域に限りなく近くなったのはいいが、内装変わりすぎだろ。
月はたしかに綺麗だが、こりゃあ「月が綺麗ですね!」なぁんていってる暇ないな。
「怖いし雷すごいけど他にはなんもなさそう。次に行こ……きゃっ!
また閉じ込められた!?」
ディーヴァの鼻先で悪魔の封印が発動し、この場所で唯一の扉が開かなくなった。
あと少しディーヴァが顔を引っ込めるのが遅かったら、鼻が持っていかれてたぞ……。
「だから先に行こうとするなっての!」
「あたしは勝手に扉にも近づいちゃダメなわけ?」
「当たり前だろが」
むしろオレ以外に近付くなっての。
大体、こんな戦いやすいところに、何もないわけない。
そう思っていれば案の定悪魔の気配が。
「……新顔の登場みたいだぜ」
闘技場を囲む高い支柱に降り立つ、身体を氷に覆われた魔物。
それはブレイドに酷似していた。
「氷に覆われたトカゲちゃんか。
さぁて、普通のトカゲちゃんとはどう違うかな?」
「どうって、すごく強そうだよ……!」
より鋭そうな爪を光らせグルルと唸るその姿に、戦慄を覚えているディーヴァ。
『マスターが言ってる普通のトカゲちゃんより遥かにすばしっこくて強いから気をつけて。
爪の先が帯びてる冷気なんて、絶対零度!凍えるどころか氷漬け〜。おお怖い!』
アラストルも同じようなことを吐かす中、もう一方の支柱にも一体降り立った。
新手が一体でなく二体か……少し面倒そうだな。
そうこうしてるうちに、月をバックにしたそいつらが左右から飛びかかってきた!
ディーヴァを引き寄せ攻撃をかわすオレの目に映るのは、突き立てられた爪で氷ゆく今しがたいた場所。爪だけで凍るのか。あぶねー。
「こンの……氷タイプのトカゲ野郎め!
こちとら戦闘要員はひとりなんだぜ。いっぺんに飛びかかるのはひどいと思わないか?」
「ウッ!戦闘要員じゃないし足手まといでごめんなさい〜!」
「え、別に責めてるわけじゃないぞ?ディーヴァに戦闘は求めてないの知ってるだろうが」
それにしても、氷タイプのトカゲ野郎だと名前が長いしゴロも悪い。
そうだな……こいつが現れた瞬間から霜が降りそうなほどの寒さを感じるし、フロストとでも呼んでやろう。
ぶるっ。
うう、ほんとさみぃな。オレがこれだけ寒いならディーヴァはさらに寒かろうて。
「寒さは大丈夫か?」
「寒い!」
「即答かよ」
聞いた瞬間に返ってきたお言葉。
ただでさえ体冷えてるのにこれだもんなぁ。つらいだろうに。
登場早々悪いがディーヴァに風邪をひかせそうなこの寒さ、さっさとぶっとばさせてもらおうとオレは心に決めた。
氷属性の悪魔なら弱点は考えるまでもない。
装備をアラストルからイフリートに替え、炎を纏った拳をぶつける。
だが、フロストは怯みもしなかった。
「ちっ、炎でも軽いジャブじゃびくともしねぇか」
『相手は氷の防具もつけてるからね〜』
「氷の防具!?なら溶けちまえよ……。
って、うおっ」
「ひええ!かすりそうになったぁぁぁ!」
もう一体からの鋭い爪攻撃がオレの顔目掛けて空を切った。
ディーヴァにあたると困る。オレと一緒にいるのは逆に危険な気がしてきたぞ……。
「ここで待ってろ!」
命令口調なのは余裕ないからで申し訳なく思うが、壁際へとディーヴァをおろし待っていてもらうよう指示する。
そりゃあ、自分のそばに置いてディーヴァを守れるならそのほうが安心だし嬉しい。けれどそれは時と場合による。
壁際の草木が隠れ蓑になる場所ならオレの隣ほどとは行かずとも、比較的安心できるだろう。
体の細胞を氷へと変化させ、高速で移動を繰り返すこのフロスト。その視線に映るのはオレへの憎悪。ディーヴァの姿は映っていない。
爪の攻撃力とブレイドの上をいくそのすばやさの前には、この方法でディーヴァと離れるのが安全なはずとオレは踏んだ。
念のため、ディーヴァが天使の結界を張れれば最高なんだが……期待は出来ない。
フロストがオレの真上に飛びあがった。
攻撃が来たら厄介だが、空から来るなら相手には逃げ場がない。
飛んでいるところを撃ち落とすのみだ。
「発射ァ!!」
かまえたグレネードをぶっ放しフロストを地に落とす。だが反対方向からの1匹は逃した!
ザクッ!!
フロストが爪を突き刺したのはオレではなく目の前の地面。
「へたくそめ。狙い外したな?」
チャンス到来と、鼻で笑い足に炎を纏わせる。
そんなオレの前、地面から勢いよく氷の針が飛び出てきた。
「がっ!?」
美しく輝く氷柱に、胸が貫かれる。
血の華がパッと咲いた瞬間、ディーヴァの悲痛な叫びが響いた。
「ダンテーーーッ!?」
『姿を現したりくらましたりするどこぞの魔法みたいなことはこの世界じゃ起きないと思う』
おいこらアラストルがそのネタなぜ知ってる。しかも失敗した時の場合じゃないか。……と、思ったがスルー。
限りなくグレーだ。いや、ブラックかもしれない。
「そんな危険なことに繋がりそうなヘルメスの杖、なんでお船に保管されていたんだろう?」
「おおかた船の連中が、この城から盗んだんだろ。
盗んだは良いが、呪われて船ごとこの島に囚われたかはたまたただ持て余してしまったか……」
「船ごと囚われたのはホントのことだと思うけど、盗んだ報いがひどすぎるね」
パタンと本を閉じる。うげっ。
海賊への報いもひどいが、本の表紙もおどろおどろしくてなかなかひどかった……。
「あ、よく見たら壁にまた額がある〜!額と壁の色が同じだからよくわかんなかったね」
見ていられなくて違う方向へと目をやると、そこにはふたつの額。
近寄ると、一方はそのままだったが、もう一枚の額の内側がぐにゃりと歪み、闘技場によく似た絵を映し出した。
ぽっかりと浮かぶ大きな月が印象的だ。
「わ、お月様綺麗」
「これも鏡の一種とみなしてもいいかもな。立派な魔の領域への入り口だ。
あといいか?ディーヴァは自分から近づくなよ?オレが連れてく」
「わ、わかってるよ……」
口を酸っぱくして言い聞かせ一歩下がらせると、よく観察してからディーヴァを小脇に抱えて飛び込む。
その先は映し出された場所に違いなかった。
しかし、以前は地下にあった闘技場が雷鳴轟き空を臨むロケーションに成り代わっていた。魔の領域に限りなく近くなったのはいいが、内装変わりすぎだろ。
月はたしかに綺麗だが、こりゃあ「月が綺麗ですね!」なぁんていってる暇ないな。
「怖いし雷すごいけど他にはなんもなさそう。次に行こ……きゃっ!
また閉じ込められた!?」
ディーヴァの鼻先で悪魔の封印が発動し、この場所で唯一の扉が開かなくなった。
あと少しディーヴァが顔を引っ込めるのが遅かったら、鼻が持っていかれてたぞ……。
「だから先に行こうとするなっての!」
「あたしは勝手に扉にも近づいちゃダメなわけ?」
「当たり前だろが」
むしろオレ以外に近付くなっての。
大体、こんな戦いやすいところに、何もないわけない。
そう思っていれば案の定悪魔の気配が。
「……新顔の登場みたいだぜ」
闘技場を囲む高い支柱に降り立つ、身体を氷に覆われた魔物。
それはブレイドに酷似していた。
「氷に覆われたトカゲちゃんか。
さぁて、普通のトカゲちゃんとはどう違うかな?」
「どうって、すごく強そうだよ……!」
より鋭そうな爪を光らせグルルと唸るその姿に、戦慄を覚えているディーヴァ。
『マスターが言ってる普通のトカゲちゃんより遥かにすばしっこくて強いから気をつけて。
爪の先が帯びてる冷気なんて、絶対零度!凍えるどころか氷漬け〜。おお怖い!』
アラストルも同じようなことを吐かす中、もう一方の支柱にも一体降り立った。
新手が一体でなく二体か……少し面倒そうだな。
そうこうしてるうちに、月をバックにしたそいつらが左右から飛びかかってきた!
ディーヴァを引き寄せ攻撃をかわすオレの目に映るのは、突き立てられた爪で氷ゆく今しがたいた場所。爪だけで凍るのか。あぶねー。
「こンの……氷タイプのトカゲ野郎め!
こちとら戦闘要員はひとりなんだぜ。いっぺんに飛びかかるのはひどいと思わないか?」
「ウッ!戦闘要員じゃないし足手まといでごめんなさい〜!」
「え、別に責めてるわけじゃないぞ?ディーヴァに戦闘は求めてないの知ってるだろうが」
それにしても、氷タイプのトカゲ野郎だと名前が長いしゴロも悪い。
そうだな……こいつが現れた瞬間から霜が降りそうなほどの寒さを感じるし、フロストとでも呼んでやろう。
ぶるっ。
うう、ほんとさみぃな。オレがこれだけ寒いならディーヴァはさらに寒かろうて。
「寒さは大丈夫か?」
「寒い!」
「即答かよ」
聞いた瞬間に返ってきたお言葉。
ただでさえ体冷えてるのにこれだもんなぁ。つらいだろうに。
登場早々悪いがディーヴァに風邪をひかせそうなこの寒さ、さっさとぶっとばさせてもらおうとオレは心に決めた。
氷属性の悪魔なら弱点は考えるまでもない。
装備をアラストルからイフリートに替え、炎を纏った拳をぶつける。
だが、フロストは怯みもしなかった。
「ちっ、炎でも軽いジャブじゃびくともしねぇか」
『相手は氷の防具もつけてるからね〜』
「氷の防具!?なら溶けちまえよ……。
って、うおっ」
「ひええ!かすりそうになったぁぁぁ!」
もう一体からの鋭い爪攻撃がオレの顔目掛けて空を切った。
ディーヴァにあたると困る。オレと一緒にいるのは逆に危険な気がしてきたぞ……。
「ここで待ってろ!」
命令口調なのは余裕ないからで申し訳なく思うが、壁際へとディーヴァをおろし待っていてもらうよう指示する。
そりゃあ、自分のそばに置いてディーヴァを守れるならそのほうが安心だし嬉しい。けれどそれは時と場合による。
壁際の草木が隠れ蓑になる場所ならオレの隣ほどとは行かずとも、比較的安心できるだろう。
体の細胞を氷へと変化させ、高速で移動を繰り返すこのフロスト。その視線に映るのはオレへの憎悪。ディーヴァの姿は映っていない。
爪の攻撃力とブレイドの上をいくそのすばやさの前には、この方法でディーヴァと離れるのが安全なはずとオレは踏んだ。
念のため、ディーヴァが天使の結界を張れれば最高なんだが……期待は出来ない。
フロストがオレの真上に飛びあがった。
攻撃が来たら厄介だが、空から来るなら相手には逃げ場がない。
飛んでいるところを撃ち落とすのみだ。
「発射ァ!!」
かまえたグレネードをぶっ放しフロストを地に落とす。だが反対方向からの1匹は逃した!
ザクッ!!
フロストが爪を突き刺したのはオレではなく目の前の地面。
「へたくそめ。狙い外したな?」
チャンス到来と、鼻で笑い足に炎を纏わせる。
そんなオレの前、地面から勢いよく氷の針が飛び出てきた。
「がっ!?」
美しく輝く氷柱に、胸が貫かれる。
血の華がパッと咲いた瞬間、ディーヴァの悲痛な叫びが響いた。
「ダンテーーーッ!?」
