mission 16:named nightmare ~夕闇の城~
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吸われた魔力を少しでも回復すべく拳に力を入れてナイトメアの装甲を殴ろうとしていると、笑い声がどこからか聞こえた気がした。
それは悪魔が嘲笑うようなものではなく、赤子が放つ無邪気な笑い声に近い。
「ディーヴァ今笑ったか」
「この状況のどこに笑える箇所があるんでしょーか。
年末の笑ったらダメなシリーズここでやろうか。釘バット用意するよ」
だよな。
ディーヴァの声とは似ても似つかなかったし、あのシリーズはコメディアンがやるものであって間違ってもオレのようなナイスガイなヒーローのやるものじゃない。
あと釘バットは殺意がすぎるからせめてハリセンにしてくれディーヴァ!
ともかく、ぜぃぜぃと息を切らせて柱の影からジト目をむけてくるディーヴァが笑うわけがなかった。あとそのポーズはどこぞの家政婦っぽいからもう少し柱から出てくれ。怖い。
……それにしてもディーヴァの体が少し透けてみえる気がするのはなぜだろうか。半分だけ柱からはみ出てるからか?
透き通るような白い肌!なのはよーくわかってるがそれとも違う。
「なんにせよ今は目の前のコイツを倒すのが先だな」
頭を振って不穏な考えを忘れると、ナイトメアを見据える。
前方にいたことで冷凍ビームを放たれるであろう空気がやつからは感じ取れた。
光が頭に集まり出したのを確認し、オレはナイトメアの後方へと跳んだ。
後ろなら凍らせられることはないはず。
「セイ……ヤッ!!」
核が出てなくたって少しは相手の体力を削れるだろうと踏んで、硬い装甲を力任せに殴り付ける。
「くそ、これでもダメなのかよ」
なんてことだ。鈍い音が響きそこを見ると、つるつるの装甲には傷一つついていない。
普通の人間の体なら吹き飛んで消炭になるだろうイフリートの拳でもほとんど効いていないとは、大した悪魔だぜ。
ゴゥッ……!
間近で何かが発射する音。
「ダンテ、避けて!」
「っ!?」
ディーヴァの声が大聖堂に響く。
反射的に飛び上がれば、ジャンプはそのまま炎を纏ったローリングブレイズに。
向かってきたその何かを避けるどころか、跳ね返すことができた。
「へぇ、ケツからはミサイルが発射できるってわけか」
『お尻からミサイル……キタネー』
「跳ね返しづらくなること言うなアラストル」
『ケツって言葉使ったの、マスターだし』
飛んできた何かを確認すればミサイル。角度的に誘導弾のようだ。
幸い、ローリングブレイズによってはじき返され放った者であるナイトメアに着弾したようだった。
大したダメージではなさそうだが、今度は遠くどこからか泣き声のようなものが聞こえた。
「今度は泣き声!?ディーヴァ泣いて」
「……るわけないでしょ。でもあたしにも聞こえた」
まるで赤子が癇癪を起こして泣いているようなそれ。
もしかしてナイトメアか、なんて突拍子もない考えが浮かぶ。
だがこいつは悪魔というよりも兵器に近いんだろ?そんな、笑ったり泣いたりなどという感情が備わっているはずが……。
疑問が浮かんだ瞬間、尾側にも核が露出した。頭にあった核と若干色が違う。
「ふたつ目の核……っ!」
どんな悪魔にも核はひとつだけだし、核の色は魂の色だ。ベースが色変わりするなんてことなかなかありえない。
なのに、こいつの核は頭と尾にひとつずつ?
「ダンテ、核はふたつに分かれているだけで元はひとつだと思うよ!
ナイトメアの体の大きさと核の大きさが比例しないもの」
たしかに、イフリートで殴りつけた感じどちらにも攻撃が通る。
ディーヴァの言う通り、どちらも本物のようだ。
足を踏ん張り、タメてタメてタメて。
「なら見えている核は片っ端からモグラ叩きの要領でぶちのめすだけだ……なっ!」
ズゴッッッ!!
そして叩きつけるイフリート装備の強烈なネリチャギ。
めり込むほどの衝撃がナイトメアの核を襲う。
『ア゛ァァァァ゛ーーー』
先ほど聞こえていた鳴き声に似た叫びが耳を劈く。まるで痛いと言っているかのようなそれは、どこから聞こえているものなのかようやくわかった。
ナイトメア自身だ。
痛みから逃れようと、ナイトメアが方向転換し、ダンテに横を見せる。
そこから突き出されたのは、鋭くも太い槍状の凶器。
ダンテを串刺しにしようと、狙ってきた。
パァン!!
咄嗟に振り払ったアラストルでその槍が明後日の方向を向いた。
「っぶねー……」
なるほど、この攻撃は弾けるわけだ。
弾きが可能でなかったら、今頃ディーヴァの目の前で恒例行事だ。それは避けたい。
見るか?なんて笑いながら言ってみることもあるが、あれは完全に冗談だからな。
けれどもこれでナイトメアの対処法はあらかた理解した。
頭と尾で攻撃方法は違うってことだ。それでもオレを捉えきれなかったら、横からぶっとい槍で串刺しというわけである。
「それぞれの攻撃時に反対側に回ればいいだけだろ?
ならこんなのイージーモードだ」
飛び出した触手槍を切り落とす勢いでいなし、追撃を!……と思ったら、突如紋章のあかりが消えてしまった。
再び暗くなった部屋に、暗闇嫌いのディーヴァが怯える。
「ひぇ!?あかりが……!くらぁい!!」
「紋章の効力がなくなっただけだろ?
暗くなっただけだから目を閉じて待っていてく……あ?」
同時に装甲が剥がれ落ち、ナイトメアがゲル状の体に戻っていくのが視界の端に映った。
もしやこれはチャンスなのではないか?
今度のゲル化はもしかしたら弱体化のサインかもしれない。
よしいまだ!!
なけなしの魔力を使いアラストルでの魔人化モードに入ると、手から強力な電撃をぶつける。
そのままイフリートに持ち替えて、炎の拳をナイトメア目掛けて叩きつけた。
「ぶっ飛べ!インフェルノォォォゥ!!」
ともすればディーヴァのところにまで危険がとびそうな爆風が吹き荒れた。
地獄の業火に包まれたナイトメアの姿が、炎で一瞬かき消える。
「ふう、やったか……。
……んなっ!?」
しかしそこにいたのは何事もなかったかのようにピンピンしている、ゲル状の体をうねらせるナイトメア。
見定めるようにその頭部がこちらを向く姿が、暗闇の中で怪しく光り輝いて見えた。
べちゃ、ぐちょ。
得体の知れない蛭のようなものが、ナイトメアの体から無数に飛び出してくる。
芋虫のような仕草に見合わず動きの素早いそれらが、こちらに向かって突き進んできた。
おおなんと気持ちの悪い光景!!
「ぎ、ぎゃーーーーっ!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いゥワアアアァーーーーーッゲホゴホッ」
ディーヴァは特にこういうのを嫌うだろうなとは思った。
咳き込むほどに気持ち悪がっているディーヴァの全身の産毛、髪の毛までもが逆立つのが空気を通してこちらに伝わってくる。
オレも激しく同意するぜ。
だがディーヴァの元にだけは辿り着かせてなるものか。
「どいてろディーヴァ!」
「えっ、わわっ」
ディーヴァの元にまで向かっていくそれらに、あわててディーヴァを突き飛ばすように遠ざければオレに次々絡みついてくる蛭。
動きが制限されるし、氷のように冷たくてうざったい。
どうせなら、ディーヴァの手足やなんやかんやに包まれて、絡みとらわれたいってオレが思うと想像したか?その通りだ。
「くそ、邪魔な虫どもめ」
オレの四肢を凍りつかせて動きを鈍くさせてくる蛭を斬り払っていたが、ぴちょん。
滴がしたたり落ちた時とよく似た音がすぐ近くで響いたことに、オレはとうとう気がつかなかった。
「ダンテ、足元に液体がきてる!」
「なっ!!」
ナイトメアの魔の手が、足元まで伸びていた。
オレを中心として渦を巻きだす、奴の肉体を構成するゲル。
ぐるりと取り囲まれて逃げ場がない。
あれよあれよの内に全身を包み込まれたオレの意識は、そのゲルと共に沈んでいった。
それは悪魔が嘲笑うようなものではなく、赤子が放つ無邪気な笑い声に近い。
「ディーヴァ今笑ったか」
「この状況のどこに笑える箇所があるんでしょーか。
年末の笑ったらダメなシリーズここでやろうか。釘バット用意するよ」
だよな。
ディーヴァの声とは似ても似つかなかったし、あのシリーズはコメディアンがやるものであって間違ってもオレのようなナイスガイなヒーローのやるものじゃない。
あと釘バットは殺意がすぎるからせめてハリセンにしてくれディーヴァ!
ともかく、ぜぃぜぃと息を切らせて柱の影からジト目をむけてくるディーヴァが笑うわけがなかった。あとそのポーズはどこぞの家政婦っぽいからもう少し柱から出てくれ。怖い。
……それにしてもディーヴァの体が少し透けてみえる気がするのはなぜだろうか。半分だけ柱からはみ出てるからか?
透き通るような白い肌!なのはよーくわかってるがそれとも違う。
「なんにせよ今は目の前のコイツを倒すのが先だな」
頭を振って不穏な考えを忘れると、ナイトメアを見据える。
前方にいたことで冷凍ビームを放たれるであろう空気がやつからは感じ取れた。
光が頭に集まり出したのを確認し、オレはナイトメアの後方へと跳んだ。
後ろなら凍らせられることはないはず。
「セイ……ヤッ!!」
核が出てなくたって少しは相手の体力を削れるだろうと踏んで、硬い装甲を力任せに殴り付ける。
「くそ、これでもダメなのかよ」
なんてことだ。鈍い音が響きそこを見ると、つるつるの装甲には傷一つついていない。
普通の人間の体なら吹き飛んで消炭になるだろうイフリートの拳でもほとんど効いていないとは、大した悪魔だぜ。
ゴゥッ……!
間近で何かが発射する音。
「ダンテ、避けて!」
「っ!?」
ディーヴァの声が大聖堂に響く。
反射的に飛び上がれば、ジャンプはそのまま炎を纏ったローリングブレイズに。
向かってきたその何かを避けるどころか、跳ね返すことができた。
「へぇ、ケツからはミサイルが発射できるってわけか」
『お尻からミサイル……キタネー』
「跳ね返しづらくなること言うなアラストル」
『ケツって言葉使ったの、マスターだし』
飛んできた何かを確認すればミサイル。角度的に誘導弾のようだ。
幸い、ローリングブレイズによってはじき返され放った者であるナイトメアに着弾したようだった。
大したダメージではなさそうだが、今度は遠くどこからか泣き声のようなものが聞こえた。
「今度は泣き声!?ディーヴァ泣いて」
「……るわけないでしょ。でもあたしにも聞こえた」
まるで赤子が癇癪を起こして泣いているようなそれ。
もしかしてナイトメアか、なんて突拍子もない考えが浮かぶ。
だがこいつは悪魔というよりも兵器に近いんだろ?そんな、笑ったり泣いたりなどという感情が備わっているはずが……。
疑問が浮かんだ瞬間、尾側にも核が露出した。頭にあった核と若干色が違う。
「ふたつ目の核……っ!」
どんな悪魔にも核はひとつだけだし、核の色は魂の色だ。ベースが色変わりするなんてことなかなかありえない。
なのに、こいつの核は頭と尾にひとつずつ?
「ダンテ、核はふたつに分かれているだけで元はひとつだと思うよ!
ナイトメアの体の大きさと核の大きさが比例しないもの」
たしかに、イフリートで殴りつけた感じどちらにも攻撃が通る。
ディーヴァの言う通り、どちらも本物のようだ。
足を踏ん張り、タメてタメてタメて。
「なら見えている核は片っ端からモグラ叩きの要領でぶちのめすだけだ……なっ!」
ズゴッッッ!!
そして叩きつけるイフリート装備の強烈なネリチャギ。
めり込むほどの衝撃がナイトメアの核を襲う。
『ア゛ァァァァ゛ーーー』
先ほど聞こえていた鳴き声に似た叫びが耳を劈く。まるで痛いと言っているかのようなそれは、どこから聞こえているものなのかようやくわかった。
ナイトメア自身だ。
痛みから逃れようと、ナイトメアが方向転換し、ダンテに横を見せる。
そこから突き出されたのは、鋭くも太い槍状の凶器。
ダンテを串刺しにしようと、狙ってきた。
パァン!!
咄嗟に振り払ったアラストルでその槍が明後日の方向を向いた。
「っぶねー……」
なるほど、この攻撃は弾けるわけだ。
弾きが可能でなかったら、今頃ディーヴァの目の前で恒例行事だ。それは避けたい。
見るか?なんて笑いながら言ってみることもあるが、あれは完全に冗談だからな。
けれどもこれでナイトメアの対処法はあらかた理解した。
頭と尾で攻撃方法は違うってことだ。それでもオレを捉えきれなかったら、横からぶっとい槍で串刺しというわけである。
「それぞれの攻撃時に反対側に回ればいいだけだろ?
ならこんなのイージーモードだ」
飛び出した触手槍を切り落とす勢いでいなし、追撃を!……と思ったら、突如紋章のあかりが消えてしまった。
再び暗くなった部屋に、暗闇嫌いのディーヴァが怯える。
「ひぇ!?あかりが……!くらぁい!!」
「紋章の効力がなくなっただけだろ?
暗くなっただけだから目を閉じて待っていてく……あ?」
同時に装甲が剥がれ落ち、ナイトメアがゲル状の体に戻っていくのが視界の端に映った。
もしやこれはチャンスなのではないか?
今度のゲル化はもしかしたら弱体化のサインかもしれない。
よしいまだ!!
なけなしの魔力を使いアラストルでの魔人化モードに入ると、手から強力な電撃をぶつける。
そのままイフリートに持ち替えて、炎の拳をナイトメア目掛けて叩きつけた。
「ぶっ飛べ!インフェルノォォォゥ!!」
ともすればディーヴァのところにまで危険がとびそうな爆風が吹き荒れた。
地獄の業火に包まれたナイトメアの姿が、炎で一瞬かき消える。
「ふう、やったか……。
……んなっ!?」
しかしそこにいたのは何事もなかったかのようにピンピンしている、ゲル状の体をうねらせるナイトメア。
見定めるようにその頭部がこちらを向く姿が、暗闇の中で怪しく光り輝いて見えた。
べちゃ、ぐちょ。
得体の知れない蛭のようなものが、ナイトメアの体から無数に飛び出してくる。
芋虫のような仕草に見合わず動きの素早いそれらが、こちらに向かって突き進んできた。
おおなんと気持ちの悪い光景!!
「ぎ、ぎゃーーーーっ!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いゥワアアアァーーーーーッゲホゴホッ」
ディーヴァは特にこういうのを嫌うだろうなとは思った。
咳き込むほどに気持ち悪がっているディーヴァの全身の産毛、髪の毛までもが逆立つのが空気を通してこちらに伝わってくる。
オレも激しく同意するぜ。
だがディーヴァの元にだけは辿り着かせてなるものか。
「どいてろディーヴァ!」
「えっ、わわっ」
ディーヴァの元にまで向かっていくそれらに、あわててディーヴァを突き飛ばすように遠ざければオレに次々絡みついてくる蛭。
動きが制限されるし、氷のように冷たくてうざったい。
どうせなら、ディーヴァの手足やなんやかんやに包まれて、絡みとらわれたいってオレが思うと想像したか?その通りだ。
「くそ、邪魔な虫どもめ」
オレの四肢を凍りつかせて動きを鈍くさせてくる蛭を斬り払っていたが、ぴちょん。
滴がしたたり落ちた時とよく似た音がすぐ近くで響いたことに、オレはとうとう気がつかなかった。
「ダンテ、足元に液体がきてる!」
「なっ!!」
ナイトメアの魔の手が、足元まで伸びていた。
オレを中心として渦を巻きだす、奴の肉体を構成するゲル。
ぐるりと取り囲まれて逃げ場がない。
あれよあれよの内に全身を包み込まれたオレの意識は、そのゲルと共に沈んでいった。