mission 1:mallet island ~美女とパペットと謎解きと~
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ーー冷たい。
ディーヴァは素肌に感じる冷たさに、目を開けた。
ひんやりとした大理石の冷たい床が、なけなしの体力、そして貧血でただでさえ低くなった体温を否応なしに奪う。…寒い。
ダンテにもらった赤いストールが、寒さに震えるディーヴァの唯一の頼りどころだ。
「ダンテ…」
震える唇で、ダンテの名を呼ぶと、はらり、涙が溢れる。
それを拭ってくれる指が恋しい。
でももう、会えないかもしれない。自分はこのまま、またーー。
ここに来て最初に目が覚めた時、ディーヴァがいたのは…思い出したくもない。
恐ろしく強大な悪魔の前だった。
恐怖に震えることしかできなかったディーヴァの目の前、悪魔が指を一振りする。
それだけで何処からともなく鋭い棘のついた蔦がディーヴァの肌が露出した部分、手足に巻きつき、行動を制限した。
「う、ぐぅ……」
シュルシュルと動く蔦の棘が肌に薄く、時に深く食い込み傷をつける。
極上の血が滴り、いつのまにか周りにいた低級悪魔の視線がディーヴァへ集まった。
ゾッとするほどの数。
強大なる悪魔の手前、襲われることはそうなさそうであるが、それでもディーヴァは恐怖で縮みあがり、そして逃げようともがく。
さらに流血するのは免れないが、それでもこんなところに居たくない。
痛みも気にせずジタバタと暴れるディーヴァを押さえつけるべく、目の前の大きな悪魔がまたも指を一振りした。
『そんなに我のため血を流したかったとはな!
もとより、血を絞るつもりでソレを巻きつけたのだ!
お前達、やれ!!』
その瞬間、周りの悪魔がディーヴァに餌に集まる蟻のように群がった。
逃げようとしたのが逆に仇となったようだ。
群がられたと同時、ディーヴァの背に5枚の天使の翼が降臨する。
その衝撃波にいっとき吹き飛んだ悪魔だが、すぐにまた囲まれる。その翼の付け根を、手足を床に押さえつけられ、もうもがくことも出来ない。
「やめて!痛いっ!!」
食い込む棘だけでも満身創痍だというに、悪魔の鋭い牙や爪がディーヴァを傷つける。
致命傷、とまではいかないが噛み跡だらけとなったディーヴァの体のいたるところから血が零れ落ちた。
『ほう、なんと甘く、力の湧く血だ…これほどのパワーを秘めているとは……。
一思いに殺すのは惜しい…惜しいぞ……生かしておいてやろう。貴様の血肉、ゆっくりと味わい尽くしてやる…』
ディーヴァの体に流るる血を低級悪魔がザラつく舌で舐めとると、その血は直接強大な悪魔の中に吸い込まれるようだ。
なるほど!この悪魔はそうやって獲物であるディーヴァの血を食するのか。
ならば低級悪魔は、ただの傀儡。恍惚とした悪魔の表情で理解した。
…なるほど!なんて思っている余裕はないが。
ザシュ!
「っうあ…!」
背中の翼が熱い!
時同じくして痛みと重みが広がる。流れた血の重みだ。
背中なので見ることは出来なくも、悪魔の爪が翼に向けられ、そして斬り裂かれたとわかる。
『ククク、貴様のその翼は体に少しでも繋がっている限り、元に戻るそうだな?
傷をつけようとも、食われようとも、骨を折ろうとも…』
その言葉に絶望広がる。
背中でゴリ、と嫌な音がした。
「ひっ!?
痛い…、やだ、……ぁっ、はね、折れちゃ、……!ぅぁぁ゛っ!!」
あまりの激痛で荒くなった息。
目からは悲しみだけではない、痛みからくる生理的な涙がボロボロ流れた。
抵抗する気力はもうない。へし折られ血で濡れた翼が体をひんやりと冷やしてうざったくとも、何もできない。
ディーヴァを押さえつけていた悪魔の手が離れる。
『もっと力を!
我に血を捧げよ!甘美なるその血、その肉、その力…その魂を我が力として捧げよ!』
蔦が絞まる。
棘が食い込む。
翼だけではない。柔肌に鋭く食い込んだ傷からぼたぼたと血が落ちて床に広がる。
その床さえ悪魔の口にでも繋がっているというのか、落ちた血が蒸発するかのように吸い込まれる。
血を、じわじわと搾り取られる。
『ネロアンジェロ、幽閉しておけ。
そやつは我の大事な食糧だからな、丁重にあつかえよ』
高笑いが響き渡るが、血を失い貧血で耳鳴りのするディーヴァの耳には、届いていなかった。
本当に嫌なことだ。思い出すと痛い。
この痛みは数時間置きに続く。悪魔の腹が空けばその度にだ。
気も狂いそうになる。
蔦が緩むこともない。血は常に滲み続ける。
最初こそ、痛みはひどくとも、多少は自我を保っていられた。
それこそ連れ去られる前に一緒にいたレディの身を案じる事が出来るくらいには。
だが、それも今はできないほど精神的にも肉体的にも疲弊している。
今現在、ディーヴァが幽閉されているのは、魔界にある悪魔の根城、その一室。
鏡がただひとつ、部屋の出入り口である。
どうやって通り抜けるのか知らないが、任意の悪魔は通り抜けられるし、ディーヴァをこの部屋に入れる時もまるで水面をくぐり抜けるように通り抜けることができた。魔力ってすごい。
ほかにも窓がひとつあるが、ディーヴァの頭ひとつ分しか空いていないそれは、どう考えても逃げ道にはなり得ない。
ただの空気の通り道だ。
その空気だって魔界のもの。美味しくはないが。
つまりは籠の鳥。
ここは大きな鳥籠のようなもので、部屋ひとつ窓ひとつ。幽閉されたラプンツェルの気分そのままだ。
入ってくるのは悪魔だけ。
好きな時に傷つけられるし、喰える。自分は贄で、おもちゃで、餌なのだ。
窓からは無理だろうが、ダンテという名の王子が来てくれると信じて、待つしかないのか。
それとも、間に合わず悪魔の胃袋か。
今の状況、簡単に後者を想像できてしまう。
「やだ…怖いよ……痛いのは嫌……」
このままでは自分は、見た悪夢の、最後と同じ状態になってしまう。
喰われ、魂も肉体もカスしか残らぬ、亡骸に。
悪夢は現実になってしまうのか。これも悪夢の続きならどんなにいいか。
暖をとるためだけではない。ダンテの赤いコートを彷彿とさせる赤いストールに体を埋める。
これと、そして首元に光るダンテからのプレゼント。大事なネックレスのおかげで、ディーヴァはギリギリ正気を保てている。
ディーヴァは窓から覗く、毒々しいまでに赤い満月を見上げて泣いた。
ディーヴァは素肌に感じる冷たさに、目を開けた。
ひんやりとした大理石の冷たい床が、なけなしの体力、そして貧血でただでさえ低くなった体温を否応なしに奪う。…寒い。
ダンテにもらった赤いストールが、寒さに震えるディーヴァの唯一の頼りどころだ。
「ダンテ…」
震える唇で、ダンテの名を呼ぶと、はらり、涙が溢れる。
それを拭ってくれる指が恋しい。
でももう、会えないかもしれない。自分はこのまま、またーー。
ここに来て最初に目が覚めた時、ディーヴァがいたのは…思い出したくもない。
恐ろしく強大な悪魔の前だった。
恐怖に震えることしかできなかったディーヴァの目の前、悪魔が指を一振りする。
それだけで何処からともなく鋭い棘のついた蔦がディーヴァの肌が露出した部分、手足に巻きつき、行動を制限した。
「う、ぐぅ……」
シュルシュルと動く蔦の棘が肌に薄く、時に深く食い込み傷をつける。
極上の血が滴り、いつのまにか周りにいた低級悪魔の視線がディーヴァへ集まった。
ゾッとするほどの数。
強大なる悪魔の手前、襲われることはそうなさそうであるが、それでもディーヴァは恐怖で縮みあがり、そして逃げようともがく。
さらに流血するのは免れないが、それでもこんなところに居たくない。
痛みも気にせずジタバタと暴れるディーヴァを押さえつけるべく、目の前の大きな悪魔がまたも指を一振りした。
『そんなに我のため血を流したかったとはな!
もとより、血を絞るつもりでソレを巻きつけたのだ!
お前達、やれ!!』
その瞬間、周りの悪魔がディーヴァに餌に集まる蟻のように群がった。
逃げようとしたのが逆に仇となったようだ。
群がられたと同時、ディーヴァの背に5枚の天使の翼が降臨する。
その衝撃波にいっとき吹き飛んだ悪魔だが、すぐにまた囲まれる。その翼の付け根を、手足を床に押さえつけられ、もうもがくことも出来ない。
「やめて!痛いっ!!」
食い込む棘だけでも満身創痍だというに、悪魔の鋭い牙や爪がディーヴァを傷つける。
致命傷、とまではいかないが噛み跡だらけとなったディーヴァの体のいたるところから血が零れ落ちた。
『ほう、なんと甘く、力の湧く血だ…これほどのパワーを秘めているとは……。
一思いに殺すのは惜しい…惜しいぞ……生かしておいてやろう。貴様の血肉、ゆっくりと味わい尽くしてやる…』
ディーヴァの体に流るる血を低級悪魔がザラつく舌で舐めとると、その血は直接強大な悪魔の中に吸い込まれるようだ。
なるほど!この悪魔はそうやって獲物であるディーヴァの血を食するのか。
ならば低級悪魔は、ただの傀儡。恍惚とした悪魔の表情で理解した。
…なるほど!なんて思っている余裕はないが。
ザシュ!
「っうあ…!」
背中の翼が熱い!
時同じくして痛みと重みが広がる。流れた血の重みだ。
背中なので見ることは出来なくも、悪魔の爪が翼に向けられ、そして斬り裂かれたとわかる。
『ククク、貴様のその翼は体に少しでも繋がっている限り、元に戻るそうだな?
傷をつけようとも、食われようとも、骨を折ろうとも…』
その言葉に絶望広がる。
背中でゴリ、と嫌な音がした。
「ひっ!?
痛い…、やだ、……ぁっ、はね、折れちゃ、……!ぅぁぁ゛っ!!」
あまりの激痛で荒くなった息。
目からは悲しみだけではない、痛みからくる生理的な涙がボロボロ流れた。
抵抗する気力はもうない。へし折られ血で濡れた翼が体をひんやりと冷やしてうざったくとも、何もできない。
ディーヴァを押さえつけていた悪魔の手が離れる。
『もっと力を!
我に血を捧げよ!甘美なるその血、その肉、その力…その魂を我が力として捧げよ!』
蔦が絞まる。
棘が食い込む。
翼だけではない。柔肌に鋭く食い込んだ傷からぼたぼたと血が落ちて床に広がる。
その床さえ悪魔の口にでも繋がっているというのか、落ちた血が蒸発するかのように吸い込まれる。
血を、じわじわと搾り取られる。
『ネロアンジェロ、幽閉しておけ。
そやつは我の大事な食糧だからな、丁重にあつかえよ』
高笑いが響き渡るが、血を失い貧血で耳鳴りのするディーヴァの耳には、届いていなかった。
本当に嫌なことだ。思い出すと痛い。
この痛みは数時間置きに続く。悪魔の腹が空けばその度にだ。
気も狂いそうになる。
蔦が緩むこともない。血は常に滲み続ける。
最初こそ、痛みはひどくとも、多少は自我を保っていられた。
それこそ連れ去られる前に一緒にいたレディの身を案じる事が出来るくらいには。
だが、それも今はできないほど精神的にも肉体的にも疲弊している。
今現在、ディーヴァが幽閉されているのは、魔界にある悪魔の根城、その一室。
鏡がただひとつ、部屋の出入り口である。
どうやって通り抜けるのか知らないが、任意の悪魔は通り抜けられるし、ディーヴァをこの部屋に入れる時もまるで水面をくぐり抜けるように通り抜けることができた。魔力ってすごい。
ほかにも窓がひとつあるが、ディーヴァの頭ひとつ分しか空いていないそれは、どう考えても逃げ道にはなり得ない。
ただの空気の通り道だ。
その空気だって魔界のもの。美味しくはないが。
つまりは籠の鳥。
ここは大きな鳥籠のようなもので、部屋ひとつ窓ひとつ。幽閉されたラプンツェルの気分そのままだ。
入ってくるのは悪魔だけ。
好きな時に傷つけられるし、喰える。自分は贄で、おもちゃで、餌なのだ。
窓からは無理だろうが、ダンテという名の王子が来てくれると信じて、待つしかないのか。
それとも、間に合わず悪魔の胃袋か。
今の状況、簡単に後者を想像できてしまう。
「やだ…怖いよ……痛いのは嫌……」
このままでは自分は、見た悪夢の、最後と同じ状態になってしまう。
喰われ、魂も肉体もカスしか残らぬ、亡骸に。
悪夢は現実になってしまうのか。これも悪夢の続きならどんなにいいか。
暖をとるためだけではない。ダンテの赤いコートを彷彿とさせる赤いストールに体を埋める。
これと、そして首元に光るダンテからのプレゼント。大事なネックレスのおかげで、ディーヴァはギリギリ正気を保てている。
ディーヴァは窓から覗く、毒々しいまでに赤い満月を見上げて泣いた。
