mission 1:mallet island ~美女とパペットと謎解きと~
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女は持ち上げたバイクを、ダンテに向かって投げてきた。
安物のガソリン、古くなった部品の錆びた臭い、バイクのマフラーから排出されていた排気ガスの臭気が一瞬だが鼻に届いた。
剣はない。
防げない、当たるーー。
だが、ダンテは剣だけが相棒ではない。
その剣だって、修理中なだけでダンテには慣れ親しんだ相棒が他にいる。
フォースエッジは彼が戻ってくるまでの期間限定になる予定だ。
「…剣だって?」
ダンテは剣以外の相棒、腰にさしたエボニーとアイボリーという愛銃をクルクル回し、前に構えた。
「こいつを喰らいな!」
ダンテの体から魔力が吹き出す。
炎にも似たその魔力に、空間が歪む。
その手から発射される弾丸の雨。
火薬よりも魔力。超高速で放たれた魔力エキスたっぷりの銃弾に、バイクの巨体が押し負け、女の元へとはじき返された。
…って、炎にも似たどころではない。本当に火が付いている。
ガソリンに引火したのだろう、燃え上がるバイクを間一髪避けた女だが、地に手足をつけ這いつくばってしまった。
「ガキの頃からオレの体には悪魔がいた」
フォースエッジを胸に生やしたまま、ダンテは幽鬼のようにゆらりと女の前に立ちふさがる。
痛みと痺れはまだ多少あるが、これくらいの傷ならなんということはない。
ディーヴァに放たれる言葉の暴力に比べたら……くっ!
この事務所はもう使えない。
マンスリー契約だがここを燃やしてしまった分、これでまた借金が嵩む。
借金総額から言えばたいした金額ではないのが救いか。
とりあえず……またディーヴァに言葉の暴力を振るわれることになりそうだ。嗚呼、やだやだ。
「なんて力なの…?」
恐れ慄いた女が、ゆっくりと後退する。
剣を胸からずるずる抜く気持ち悪さを感じつつ、それを床に投げ捨てて女に銃口を向ける。
「仇の話を知ってるとは…『大当たり』は近いな」
こいつは『大当たり』。
逃げようにも女の後ろには火の海。前には指を滑らせるだけで命を奪う銃口。
前門のダンテ後門の業火。まだ業火の方がマシだろうが、飛んで火に入る夏の虫だ。
ダンテからは逃げられはしない。
「…そのようね」
観念したのか、肩をすくめて銃口を見つめる女。
…こいつを痛めつけ、ディーヴァの居場所を吐かせる。
ダンテの頭にはそのひとつしかなく、引き金に添えた指がじりじりと急いている。
「言え、オレの恋人はどこだ。
言えば数秒は長く生かしておいてやる…言わなければ言いたくなるまで指を一本一本吹き飛ばす……」
ゾッとするほど冷たい目をしているのが自分でもわかる。
銃口が、女の指を自然と狙った。
オレにもバージル並みの冷酷さがあるとはな。
やはり双子というわけか。いや、ディーヴァが関わったから、だろうと思う。
「待って、私は敵じゃない。名前はトリッシュ」
立ち上がり背を向ける女ーートリッシュ。
逃げるわけではなく、ただ、敵ではないと宣い、そしてかけていたサングラスに手をかける。
「力を借りたいの。…魔界を滅ぼすために」
悪魔であろう彼女が、魔界に反旗をひるがえす。それではまるで、スパーダではないか。
思わず銃口を下ろしそうになるダンテだったが、振り向いたトリッシュの顔を見た瞬間、銃を取り落としそうになるほどの衝撃を受け、息を飲んだ。
サングラスの下の顔は、騒動で床に落ちた写真立ての女性、母の顔と瓜二つだった。
詳しい話を聞くことにしたダンテは、とりあえず火を消した。
火事で全てが燃えてしまえば、ディーヴァを助けて戻った後が怖い。
私物の1つでも失おうものなら、烈火のごとく怒る彼女が見れよう。想像するのすらとても怖い。
「せっかく床のガラスを片付けたばっかだってのに、今度は扉の破片に壊れた机、おまけにボヤ騒ぎ…というか火事。まったく、オレはハウスキーパーじゃねぇぞ」
「ガラスの事なんか知らないわよ。でも、汚して悪かったわね」
「汚したとかそんなレベルじゃねぇだろが」
燃え残り、破壊された机の残骸へとダンテと同じように腰かけたトリッシュが、話しだす。
「20年前、魔界の王ムンドゥスが復活を果たした」
「ムンドゥス?」
ディーヴァを攫ったという、3つ目のあの悪魔の事だろう。
復活が20年前と言うことは、母の命を奪ったのもその頃か。糸色言午。
で、だ…奴の名前はムンドゥス、とな。
確かラテン語で宇宙やら世界という意味だったような気がする。
それほど強大で尊大だと自分で言っているようなものだ。自己顕示欲の激しい掃き溜めの王に相応しい嫌な野郎め…うぜぇ爆ぜろ。
爆ぜる前にとりあえず殴らせろいやコロコロしたいさせろ…!
つい近くにあった空瓶を手で握りしめてしまった。手の中でパリンと割れ、破片が突き刺さる。…地味に痛い。
こんな時ディーヴァならキスとかキスとかキスして傷をやさし~~~く治してくれる。
嗚呼、会いたい。
「彼は再び人間界を侵略しようとしている。魔界の扉を開く気よ」
スパーダに阻止された侵略。
それを性懲りも無くまた侵略しようってわけか。
だが残念だな、その息子のオレがテメェの前に立ち塞がるぜ。
ただ開くだけなら、ここまで怒り狂ってはいない。
しかし、テメェはディーヴァを傷つけ、二度も攫った。
そう、テメェはオレを怒らせた。
ムンドゥス死すべし!!
「あの、マレット島で」
「マレット島、だと?」
奴の死を魂に誓っていると、トリッシュがその場所を示してきた。
マレット島…それは書籍でこれから当たる予定だったところだ。
悪魔崇拝やら残酷な儀式などが行われたとされる、昔は栄えていた小さな国。貴族が住む古城。
廃墟と化したその古城は、無法地帯よりも酷い状態となり、誰も…人間は誰も近づかない。
悪魔が根城にするにはちょうどよかろう。
「ところでトリッシュ…ムンドゥスの野郎に攫われたオレのお姫さ…えー、愛しの恋び…ゴホン、sweet bloodって呼ばれてる天使の事は知らないか」
「ふふ、言い直す意味あるのかしら。…そうね、魔界に連れてこられた天使様でしょ?彼女なら幽閉されているようよ」
「よかった……ディーヴァ、いるんだな……」
島のどこかにいるのだろう、とりあえず居場所がわかってホッとする。
だが、いるとわかっただけでは心底安心する事なんてひとッッつも!出来ない。
ディーヴァのいる場所は、悪魔の巣の中なのだから。
そこでハッと気がついた。
幽閉(死体として)だったらどうしようと。
「もちろん、生きて……るんだよな?」
「ええ、生きてるわ。
魔帝にとっては大事な命の源…獲物だもの、まだ生きてる。
すぐ喰われる事はないわ。喰われるとしてもその血から先に啜られていくくらいでしょうね。
その量だって、死なせない程度に少しずつ…」
逆に恐ろしい目にあってるってことか!
そんな恐怖味わうならいっそ………いや、どんな恐怖を味わおうと、ディーヴァには生きていてほしい。
生きていればなんとかなる。
トラウマでもキズでも、それが治るのに一生かかろうとオレがついていてやる。
一緒にゆっくり治していけばそれでいい。
痛い思いをさせたくはない。でも、生きてさえいてくれればそれで…。それだけで…。
しかし、じわじわと痛めつけ、そして、徐々に血を搾取される。
病院の採血にすら恐怖するディーヴァだ。
その恐怖を想像するだけで胸が張り裂けそうだ。
この胸に掻き抱いて、安心させてやりたい。全てはただの悪夢だから忘れろと、そう言い聞かせてやりたい。
とにかく行かねば何も始まらない。
何が何でも助けに行く。
早く彼女の元へ行かなくては。
早く、早くと急く脳に、素早いはずの半魔の手足が追いつかない。まるで鈍行列車だ。
「これからすぐにでも出発するぜ。
場所はマレット島だな!行くぞ!!」
愛銃をホルスターに突っ込み、フォースエッジを背に担いだダンテは、扉のない事務所を飛び出す。
今ならトリックスターレベル100も夢じゃない。
そんなにレベルの上限ないけれど。
「アンタ行き方わかってる??」
「あ」
島の名前は知っていても、その行き方まではわからないダンテだった。
安物のガソリン、古くなった部品の錆びた臭い、バイクのマフラーから排出されていた排気ガスの臭気が一瞬だが鼻に届いた。
剣はない。
防げない、当たるーー。
だが、ダンテは剣だけが相棒ではない。
その剣だって、修理中なだけでダンテには慣れ親しんだ相棒が他にいる。
フォースエッジは彼が戻ってくるまでの期間限定になる予定だ。
「…剣だって?」
ダンテは剣以外の相棒、腰にさしたエボニーとアイボリーという愛銃をクルクル回し、前に構えた。
「こいつを喰らいな!」
ダンテの体から魔力が吹き出す。
炎にも似たその魔力に、空間が歪む。
その手から発射される弾丸の雨。
火薬よりも魔力。超高速で放たれた魔力エキスたっぷりの銃弾に、バイクの巨体が押し負け、女の元へとはじき返された。
…って、炎にも似たどころではない。本当に火が付いている。
ガソリンに引火したのだろう、燃え上がるバイクを間一髪避けた女だが、地に手足をつけ這いつくばってしまった。
「ガキの頃からオレの体には悪魔がいた」
フォースエッジを胸に生やしたまま、ダンテは幽鬼のようにゆらりと女の前に立ちふさがる。
痛みと痺れはまだ多少あるが、これくらいの傷ならなんということはない。
ディーヴァに放たれる言葉の暴力に比べたら……くっ!
この事務所はもう使えない。
マンスリー契約だがここを燃やしてしまった分、これでまた借金が嵩む。
借金総額から言えばたいした金額ではないのが救いか。
とりあえず……またディーヴァに言葉の暴力を振るわれることになりそうだ。嗚呼、やだやだ。
「なんて力なの…?」
恐れ慄いた女が、ゆっくりと後退する。
剣を胸からずるずる抜く気持ち悪さを感じつつ、それを床に投げ捨てて女に銃口を向ける。
「仇の話を知ってるとは…『大当たり』は近いな」
こいつは『大当たり』。
逃げようにも女の後ろには火の海。前には指を滑らせるだけで命を奪う銃口。
前門のダンテ後門の業火。まだ業火の方がマシだろうが、飛んで火に入る夏の虫だ。
ダンテからは逃げられはしない。
「…そのようね」
観念したのか、肩をすくめて銃口を見つめる女。
…こいつを痛めつけ、ディーヴァの居場所を吐かせる。
ダンテの頭にはそのひとつしかなく、引き金に添えた指がじりじりと急いている。
「言え、オレの恋人はどこだ。
言えば数秒は長く生かしておいてやる…言わなければ言いたくなるまで指を一本一本吹き飛ばす……」
ゾッとするほど冷たい目をしているのが自分でもわかる。
銃口が、女の指を自然と狙った。
オレにもバージル並みの冷酷さがあるとはな。
やはり双子というわけか。いや、ディーヴァが関わったから、だろうと思う。
「待って、私は敵じゃない。名前はトリッシュ」
立ち上がり背を向ける女ーートリッシュ。
逃げるわけではなく、ただ、敵ではないと宣い、そしてかけていたサングラスに手をかける。
「力を借りたいの。…魔界を滅ぼすために」
悪魔であろう彼女が、魔界に反旗をひるがえす。それではまるで、スパーダではないか。
思わず銃口を下ろしそうになるダンテだったが、振り向いたトリッシュの顔を見た瞬間、銃を取り落としそうになるほどの衝撃を受け、息を飲んだ。
サングラスの下の顔は、騒動で床に落ちた写真立ての女性、母の顔と瓜二つだった。
詳しい話を聞くことにしたダンテは、とりあえず火を消した。
火事で全てが燃えてしまえば、ディーヴァを助けて戻った後が怖い。
私物の1つでも失おうものなら、烈火のごとく怒る彼女が見れよう。想像するのすらとても怖い。
「せっかく床のガラスを片付けたばっかだってのに、今度は扉の破片に壊れた机、おまけにボヤ騒ぎ…というか火事。まったく、オレはハウスキーパーじゃねぇぞ」
「ガラスの事なんか知らないわよ。でも、汚して悪かったわね」
「汚したとかそんなレベルじゃねぇだろが」
燃え残り、破壊された机の残骸へとダンテと同じように腰かけたトリッシュが、話しだす。
「20年前、魔界の王ムンドゥスが復活を果たした」
「ムンドゥス?」
ディーヴァを攫ったという、3つ目のあの悪魔の事だろう。
復活が20年前と言うことは、母の命を奪ったのもその頃か。糸色言午。
で、だ…奴の名前はムンドゥス、とな。
確かラテン語で宇宙やら世界という意味だったような気がする。
それほど強大で尊大だと自分で言っているようなものだ。自己顕示欲の激しい掃き溜めの王に相応しい嫌な野郎め…うぜぇ爆ぜろ。
爆ぜる前にとりあえず殴らせろいやコロコロしたいさせろ…!
つい近くにあった空瓶を手で握りしめてしまった。手の中でパリンと割れ、破片が突き刺さる。…地味に痛い。
こんな時ディーヴァならキスとかキスとかキスして傷をやさし~~~く治してくれる。
嗚呼、会いたい。
「彼は再び人間界を侵略しようとしている。魔界の扉を開く気よ」
スパーダに阻止された侵略。
それを性懲りも無くまた侵略しようってわけか。
だが残念だな、その息子のオレがテメェの前に立ち塞がるぜ。
ただ開くだけなら、ここまで怒り狂ってはいない。
しかし、テメェはディーヴァを傷つけ、二度も攫った。
そう、テメェはオレを怒らせた。
ムンドゥス死すべし!!
「あの、マレット島で」
「マレット島、だと?」
奴の死を魂に誓っていると、トリッシュがその場所を示してきた。
マレット島…それは書籍でこれから当たる予定だったところだ。
悪魔崇拝やら残酷な儀式などが行われたとされる、昔は栄えていた小さな国。貴族が住む古城。
廃墟と化したその古城は、無法地帯よりも酷い状態となり、誰も…人間は誰も近づかない。
悪魔が根城にするにはちょうどよかろう。
「ところでトリッシュ…ムンドゥスの野郎に攫われたオレのお姫さ…えー、愛しの恋び…ゴホン、sweet bloodって呼ばれてる天使の事は知らないか」
「ふふ、言い直す意味あるのかしら。…そうね、魔界に連れてこられた天使様でしょ?彼女なら幽閉されているようよ」
「よかった……ディーヴァ、いるんだな……」
島のどこかにいるのだろう、とりあえず居場所がわかってホッとする。
だが、いるとわかっただけでは心底安心する事なんてひとッッつも!出来ない。
ディーヴァのいる場所は、悪魔の巣の中なのだから。
そこでハッと気がついた。
幽閉(死体として)だったらどうしようと。
「もちろん、生きて……るんだよな?」
「ええ、生きてるわ。
魔帝にとっては大事な命の源…獲物だもの、まだ生きてる。
すぐ喰われる事はないわ。喰われるとしてもその血から先に啜られていくくらいでしょうね。
その量だって、死なせない程度に少しずつ…」
逆に恐ろしい目にあってるってことか!
そんな恐怖味わうならいっそ………いや、どんな恐怖を味わおうと、ディーヴァには生きていてほしい。
生きていればなんとかなる。
トラウマでもキズでも、それが治るのに一生かかろうとオレがついていてやる。
一緒にゆっくり治していけばそれでいい。
痛い思いをさせたくはない。でも、生きてさえいてくれればそれで…。それだけで…。
しかし、じわじわと痛めつけ、そして、徐々に血を搾取される。
病院の採血にすら恐怖するディーヴァだ。
その恐怖を想像するだけで胸が張り裂けそうだ。
この胸に掻き抱いて、安心させてやりたい。全てはただの悪夢だから忘れろと、そう言い聞かせてやりたい。
とにかく行かねば何も始まらない。
何が何でも助けに行く。
早く彼女の元へ行かなくては。
早く、早くと急く脳に、素早いはずの半魔の手足が追いつかない。まるで鈍行列車だ。
「これからすぐにでも出発するぜ。
場所はマレット島だな!行くぞ!!」
愛銃をホルスターに突っ込み、フォースエッジを背に担いだダンテは、扉のない事務所を飛び出す。
今ならトリックスターレベル100も夢じゃない。
そんなにレベルの上限ないけれど。
「アンタ行き方わかってる??」
「あ」
島の名前は知っていても、その行き方まではわからないダンテだった。
