mission 1:mallet island ~美女とパペットと謎解きと~
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2000年前、魔帝と呼ばれる存在が人間界への侵略を企てた。
魔術や呪術使い、人知を凌駕する悪魔の軍勢に対し、人間の力など無力に等しかった。
そこにひとりの悪魔が現れる。
彼は悪魔でありながら、正義の魂に目覚めた孤高の騎士。
彼の名こそ、スパーダ。
壮絶なる死闘の末、魔を退けた彼は、人間界へ降臨し、その平和を見守り続けた。
その命が伝説に刻まれるまでーー。
それが誰でも一度は読んだことのあるおとぎ話。フェアリーテール。
まさか自分の父の話だったなんて、幼い頃はまったく知らなかった。
いや知っていたかもしれないが、そんな小さな頃の記憶は、母の壮絶な最期の記憶に上書きされ、焼け焦げた紙切れのように黒く塗りつぶされてしまった。
ダンテはため息を吐いて、悪魔の書籍群の中に紛れていたその本を、静かに閉じる。
昨晩のピザが最期の食事になってしまった。あれから酒しか飲んでいない。
書籍と一緒に卓上には酒瓶が転がる。
…少し根を詰めすぎたかもしれない。目の間を抑え、ジントニックの酒瓶を傾ける。……空っぽだ。
舌打ちを打ちたくなりつつ、次の書籍に手を伸ばせば途端、ジリリリ鳴る電話。
「デビルメイクライ?」
空の瓶を転がし、受話器をあげる。
「……今夜は閉店だ」
そこから聞こえてきたのは、表向きのそれだった。
9時で閉店にしてしまう、その仕事内容はダンテの望むものとまったく違う。
「合言葉なしか。ロクな仕事が来ねぇな」
今度こそ舌打ちをして、ダンテは受話器を乱暴に戻した。
ーー見つからない。嗚呼、見つからない…!
ディーヴァの手がかりはなし。
満月の夜だというのに、ロクな仕事内容の電話が来ないときた。
ロクな、と言っても、普通の人間の感覚からすれば、ダンテが求める電話の方がロクな物ではないだろうが。
おまけに空には雷雲。
ゴロゴロと不快な音とともに、せっかくの満月は分厚い雲に覆われ、おどろおどろしく妖しく光り、暗闇に浮かび上がるばかり。
まるでこれからの不幸を暗示するようで不吉である。
だが、不吉であろうとも、その暗示の通りになんてさせない。
嗚呼、本当に見つからない。
ディーヴァが見つからない。
このまま呪いの言葉を吐いて、オレ自身が人間界を破壊する悪い悪魔になってしまいそうだ。
ーーその時、空気がピンと張りつめた。
生ぬるいスラムの風が、一瞬だが肌を鋭く刺す氷のような冷たい物に変わった。
…何か向かってくる。
爆音?いや、エンジン…バイクが走行する音だ。
ガシャーーーン!!
わかった時には、事務所の出入り口が突っ込んできたバイクで吹っ飛んだあとだった。
「慌てた客だ」
あまりにも派手な登場に笑うしかない。
突っ込んだ時に切ったとされる腕の傷。それが一瞬にして消えた。
オレと同じだ。女はどう考えても人間のそれではなかった。
女の衣服は悩殺的且つ、前衛的な黒のビスチェ。
どこが悩殺的で前衛的か?胸元からざっくりと腹のあたりまで、雷模様に開放してあるところだ。
そして長い長いブロンドに、目元を隠す大ぶりのサングラス。
なんともグラマラスな美女だが、この女何かある。ひっかかる。
「深夜の美女か。トイレなら奥だぜ、急ぎな」
バイクはともかく、悪魔であろう女がここに突っ込んで来れたのは、昨日の鳥のせいだ。
鳥が割った窓ガラス。あの穴のせいで簡易結界に綻びができ、そしてこの中へと侵入できたのだろう。
ということは、綻びがなかったらバイクだけが突っ込んできて、女が扉の前で弾かれるのか。
…悪い、その場面少し見てみたいとか思っちまった。
ダンテも、そして壁にかかるハンティングトロフィーと化した悪魔の首達も、女の行動ひとつひとつに注意を払う。
一挙に押し寄せる数多の視線も気にせず、女は店内を隅々まで眺めた。
「どんな仕事も請け負う便利屋ってアンタね」
悪魔と思われる女は、同時に依頼者とでもいうのか。
ダンテは詳しく聞こうと、立ち上がって壁のフォースエッジを手にする。
「まあな。ヤバい仕事は大歓迎だ。…わかるだろ?」
襲ってこようと、なんだろうとこれならすぐに対処できる。
そんじょそこらの悪魔よりは手応えがある。女からはそんな気配がひしひしと感じた。
「20年前、母親を悪魔に殺された…。
伝説の魔剣士スパーダの息子、ミスターダンテね」
何故それを知っている。
お前は誰だ。
ダンテはフォースエッジの柄をグッと握り締める。
「この商売やってると悪魔どもの食い付きがいい。来る端から片付けりゃいつか仇に『大当たり』だ」
くるり、一回転させたフォースエッジ。その切っ先を女に向ける。
こいつは黒…なのか?敵なのか?
…だったらいつでも向かって来い。
とはいえ、目こそ見れないがなかなかの美人。女を相手にするのは、フェミニストを謳うダンテには気が引けた。
「なら覚悟はいいわね」
「…は、?」
その油断にも似たダンテの隙が悪かった。
女が自然な動きで出した右手に電撃が纏わりつく。
バチバチと激しい火花を上げるその手で、女はフォースエッジの剣先を掴んだ。
「ぐああああっ!!」
剣を伝い、ダンテの体に電流が流れる。
心臓や脳を揺さぶる激しい痛みと痺れに、ダンテは一瞬白目をむいた。
まじヤバイ。偶然とはいえディーヴァに金蹴りされた時よりヤバイかもしれない。
ヒロインが金蹴りはよろしくない?仕方ない、起こったのは事実だ。
電流が暴れて思考が低下する脳内。
動きの止まるダンテに向かって、女は追撃の蹴りをダンテの顎や体めがけて放つ。その蹴りすら電撃を纏っている。
おぬしはピカ●ュウか!
長い足から繰り出される鋭い蹴りに、ダンテは吹っ飛んだ。
「ぐがぁっ!?」
…クソ、女だからと手を出さないでいればこれだよ。
ディーヴァは除外させてもらうが、つくづく女運は悪いようだ。いや、ある意味ではディーヴァにもよく酷い目に遭わされているぞ。
早く会いたいし、見つけ出したいのはもちろんだが、目的の1つにその報復も入れておこう。
吹っ飛んだ先、先ほどまで自身が座っていた事務机に強かに当たる。
この住居に備え付けだったそれが、クッキーかビスケットのように衝撃で真っ二つに割れる。コントか。
やはりディーヴァの言う通り、この仮の事務所はよろしくない。欠陥住宅だ。早く出て行こう。
吹っ飛んだダンテが離したフォースエッジを構える女。
電撃をそれにも纏わせ、そして投げる。
ズッ!!
「ガハッッッ!!」
ダンテの胸へとまっすぐ飛んできたフォースエッジが、心臓を串刺しにする。
体の中で臓器を一直線に突き刺して血が吹き出すこの感覚は久しぶりだ。嬉しくない再会である。
傷口からおびただしい鮮血が飛び散る。
痛いのも嫌だが、何より一張羅が破け、血で汚れるのが嫌だ。きっとこの感覚は一般人には理解できなかろう。
「それでも魔剣士の息子かしら?
パパから剣の使い方は教わらなかった?」
フォースエッジが刺さっているだけでも激痛。なのに、女は更に遠距離攻撃で電撃を浴びせてくる。
だが、この電撃が剣の痛みを中和して、ダンテを現実へと引き戻した。
見れば女が乗ってきたバイクを頭上に掲げている。
…おいおい、なんて馬鹿力だよ。
魔術や呪術使い、人知を凌駕する悪魔の軍勢に対し、人間の力など無力に等しかった。
そこにひとりの悪魔が現れる。
彼は悪魔でありながら、正義の魂に目覚めた孤高の騎士。
彼の名こそ、スパーダ。
壮絶なる死闘の末、魔を退けた彼は、人間界へ降臨し、その平和を見守り続けた。
その命が伝説に刻まれるまでーー。
それが誰でも一度は読んだことのあるおとぎ話。フェアリーテール。
まさか自分の父の話だったなんて、幼い頃はまったく知らなかった。
いや知っていたかもしれないが、そんな小さな頃の記憶は、母の壮絶な最期の記憶に上書きされ、焼け焦げた紙切れのように黒く塗りつぶされてしまった。
ダンテはため息を吐いて、悪魔の書籍群の中に紛れていたその本を、静かに閉じる。
昨晩のピザが最期の食事になってしまった。あれから酒しか飲んでいない。
書籍と一緒に卓上には酒瓶が転がる。
…少し根を詰めすぎたかもしれない。目の間を抑え、ジントニックの酒瓶を傾ける。……空っぽだ。
舌打ちを打ちたくなりつつ、次の書籍に手を伸ばせば途端、ジリリリ鳴る電話。
「デビルメイクライ?」
空の瓶を転がし、受話器をあげる。
「……今夜は閉店だ」
そこから聞こえてきたのは、表向きのそれだった。
9時で閉店にしてしまう、その仕事内容はダンテの望むものとまったく違う。
「合言葉なしか。ロクな仕事が来ねぇな」
今度こそ舌打ちをして、ダンテは受話器を乱暴に戻した。
ーー見つからない。嗚呼、見つからない…!
ディーヴァの手がかりはなし。
満月の夜だというのに、ロクな仕事内容の電話が来ないときた。
ロクな、と言っても、普通の人間の感覚からすれば、ダンテが求める電話の方がロクな物ではないだろうが。
おまけに空には雷雲。
ゴロゴロと不快な音とともに、せっかくの満月は分厚い雲に覆われ、おどろおどろしく妖しく光り、暗闇に浮かび上がるばかり。
まるでこれからの不幸を暗示するようで不吉である。
だが、不吉であろうとも、その暗示の通りになんてさせない。
嗚呼、本当に見つからない。
ディーヴァが見つからない。
このまま呪いの言葉を吐いて、オレ自身が人間界を破壊する悪い悪魔になってしまいそうだ。
ーーその時、空気がピンと張りつめた。
生ぬるいスラムの風が、一瞬だが肌を鋭く刺す氷のような冷たい物に変わった。
…何か向かってくる。
爆音?いや、エンジン…バイクが走行する音だ。
ガシャーーーン!!
わかった時には、事務所の出入り口が突っ込んできたバイクで吹っ飛んだあとだった。
「慌てた客だ」
あまりにも派手な登場に笑うしかない。
突っ込んだ時に切ったとされる腕の傷。それが一瞬にして消えた。
オレと同じだ。女はどう考えても人間のそれではなかった。
女の衣服は悩殺的且つ、前衛的な黒のビスチェ。
どこが悩殺的で前衛的か?胸元からざっくりと腹のあたりまで、雷模様に開放してあるところだ。
そして長い長いブロンドに、目元を隠す大ぶりのサングラス。
なんともグラマラスな美女だが、この女何かある。ひっかかる。
「深夜の美女か。トイレなら奥だぜ、急ぎな」
バイクはともかく、悪魔であろう女がここに突っ込んで来れたのは、昨日の鳥のせいだ。
鳥が割った窓ガラス。あの穴のせいで簡易結界に綻びができ、そしてこの中へと侵入できたのだろう。
ということは、綻びがなかったらバイクだけが突っ込んできて、女が扉の前で弾かれるのか。
…悪い、その場面少し見てみたいとか思っちまった。
ダンテも、そして壁にかかるハンティングトロフィーと化した悪魔の首達も、女の行動ひとつひとつに注意を払う。
一挙に押し寄せる数多の視線も気にせず、女は店内を隅々まで眺めた。
「どんな仕事も請け負う便利屋ってアンタね」
悪魔と思われる女は、同時に依頼者とでもいうのか。
ダンテは詳しく聞こうと、立ち上がって壁のフォースエッジを手にする。
「まあな。ヤバい仕事は大歓迎だ。…わかるだろ?」
襲ってこようと、なんだろうとこれならすぐに対処できる。
そんじょそこらの悪魔よりは手応えがある。女からはそんな気配がひしひしと感じた。
「20年前、母親を悪魔に殺された…。
伝説の魔剣士スパーダの息子、ミスターダンテね」
何故それを知っている。
お前は誰だ。
ダンテはフォースエッジの柄をグッと握り締める。
「この商売やってると悪魔どもの食い付きがいい。来る端から片付けりゃいつか仇に『大当たり』だ」
くるり、一回転させたフォースエッジ。その切っ先を女に向ける。
こいつは黒…なのか?敵なのか?
…だったらいつでも向かって来い。
とはいえ、目こそ見れないがなかなかの美人。女を相手にするのは、フェミニストを謳うダンテには気が引けた。
「なら覚悟はいいわね」
「…は、?」
その油断にも似たダンテの隙が悪かった。
女が自然な動きで出した右手に電撃が纏わりつく。
バチバチと激しい火花を上げるその手で、女はフォースエッジの剣先を掴んだ。
「ぐああああっ!!」
剣を伝い、ダンテの体に電流が流れる。
心臓や脳を揺さぶる激しい痛みと痺れに、ダンテは一瞬白目をむいた。
まじヤバイ。偶然とはいえディーヴァに金蹴りされた時よりヤバイかもしれない。
ヒロインが金蹴りはよろしくない?仕方ない、起こったのは事実だ。
電流が暴れて思考が低下する脳内。
動きの止まるダンテに向かって、女は追撃の蹴りをダンテの顎や体めがけて放つ。その蹴りすら電撃を纏っている。
おぬしはピカ●ュウか!
長い足から繰り出される鋭い蹴りに、ダンテは吹っ飛んだ。
「ぐがぁっ!?」
…クソ、女だからと手を出さないでいればこれだよ。
ディーヴァは除外させてもらうが、つくづく女運は悪いようだ。いや、ある意味ではディーヴァにもよく酷い目に遭わされているぞ。
早く会いたいし、見つけ出したいのはもちろんだが、目的の1つにその報復も入れておこう。
吹っ飛んだ先、先ほどまで自身が座っていた事務机に強かに当たる。
この住居に備え付けだったそれが、クッキーかビスケットのように衝撃で真っ二つに割れる。コントか。
やはりディーヴァの言う通り、この仮の事務所はよろしくない。欠陥住宅だ。早く出て行こう。
吹っ飛んだダンテが離したフォースエッジを構える女。
電撃をそれにも纏わせ、そして投げる。
ズッ!!
「ガハッッッ!!」
ダンテの胸へとまっすぐ飛んできたフォースエッジが、心臓を串刺しにする。
体の中で臓器を一直線に突き刺して血が吹き出すこの感覚は久しぶりだ。嬉しくない再会である。
傷口からおびただしい鮮血が飛び散る。
痛いのも嫌だが、何より一張羅が破け、血で汚れるのが嫌だ。きっとこの感覚は一般人には理解できなかろう。
「それでも魔剣士の息子かしら?
パパから剣の使い方は教わらなかった?」
フォースエッジが刺さっているだけでも激痛。なのに、女は更に遠距離攻撃で電撃を浴びせてくる。
だが、この電撃が剣の痛みを中和して、ダンテを現実へと引き戻した。
見れば女が乗ってきたバイクを頭上に掲げている。
…おいおい、なんて馬鹿力だよ。
