mission 17:true identity ~救出~
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ディーヴァを追った先の門番室には、目をぱちくりさせて座り込むその姿があった。
悪魔は出ていないようでひとまず安心した。よかった……。
ほっとしたところで、その首根っこを掴みこちらを向かせる。
ぐきゅ、とディーヴァから蛙が潰れたような声がしたようだが、悪魔にやられるよりマシなオレからのお仕置きだ。無視して我慢させる。
「勝手に行くな」
「ごめんー。まさか吸い込まれちゃうとは思わなくて」
「怖がりなんだしもうちょっと大人しくしとけって」
「はあい」
といってもディーヴァは好奇心の塊だからなあ。オレが守ると言ってても、離れてる時だってある。いつでも守れるわけじゃない。
ま、怪我さえしてくれなきゃそれでいいけどよ。
「で。なんでこっち選んだよ。
もう一方を選ばなくてよかったのか?ベッドのある城主の寝室だぞ」
「気にしてなかったってのもあるけど、この怖い空気の中であのベッドに横になってる暇あるのかとあたしは逆に聞きたいよ」
「……ないな」
お互いくっついて寝るというなら自分の部屋で。自宅で。安全な場所で。
こんな場所でのデンジャラスな休憩はもうお腹いっぱいだ。
「とにかく今回はつい触っちまったから仕方ないが、次は勝手な行動するな。レディファーストもここからはもう必要なし。
こちとら心配で心臓止まりそうだわ」
「またまたー。串刺しにされても止まらない鋼の心臓のくせにぃ」
ちょっと腹立ったので、ディーヴァのこめかみを軽くぐりぐりする。オレの力は強いので軽くな。
「お前が関わると別。命がいくつあっても足りねぇの!」
「あいたたたぁ!目が据わってるよ!?
ダンテが刺激あるの好きだからそう言ったのに!」
「こういう刺激は要らん」
たった数秒だがこめかみぐりぐり攻撃でさらにお仕置きをしてようやく解放したディーヴァは、すでに痛みで泣きそうになっていた。
ちょっとやりすぎた気もするが、ここは心を鬼にするべきところだったから放置だ。
「うううう、こめかみズキズキする……あたしヒロインなのにひどい」
「全く、ひどいのはどっちだ。ほら行くぞ」
愛してるからこそ、きちんと注意するんだってわかってるのだろうか。
涙目の彼女を連れ、門番室を出て螺旋階段を上へ上へと登っていく。
「わわっ!」
「おっと」
足を上げたりなかったのか、ディーヴァがつまづいた。ふう、すぐに支えたおかげで怪我させずに済んだ。
「あはは、段差見えづらくてこけちゃった」
「暗いからな。
オレが最初から最後まで運んでやろうか?トイレから風呂までどこだって運んでやるぜ」
「それはダンテが戦えなくなっちゃうし、トイレとか恥ずかしいからいいですー」
「そりゃ残念」
肩をすくめてみせると、ディーヴァはポケットから魔光石を取り出して睨みつけた。
ぜんぜん光ってねぇな。
「あたしの魔光石ほとんど光らなくなっちゃったせいだ。ダンテのは?」
「おお、忘れてたぜ」
結局、暗闇でも見えてしまう半分悪魔のこの瞳。必要ないなと思い、ほとんど取り出すこともなく懐に仕舞い込んでいたそれ。
手に取ってみれば、ディーヴァのものとは対照的に光り輝いていた。
眩しくて命中率が下がりそうだ。
「明るい!えっなんでダンテのだけ?ずるくない?」
『ディーヴァが持ってるのは天使の力で浄化されちゃったんだし仕方ないよ』
「ぐぬぬ。天使パワー、しゅごい……でも今は嬉しくない」
「魔力が浄化されたからこうなったんだろ?なら、オレが持っておいて魔力を補充すればいいよな?
とりあえずディーヴァ、こっち持ってろ」
「あ、はい」
ディーヴァの物と交換し、軽く握り込んでから再び懐に放り込む。
……うん。ディーヴァが持ってる天使サマの優しい力を感じ取れた。
体温だとか何かしらがおかしいとはいえ、やっぱりディーヴァ本人なんだよなぁ。
そうして螺旋階段の一番上まで上がっていくと、ヘルメスの杖を模した装飾が施された重厚な扉が立ち塞がる。
中は本棚から本がこぼれ落ちる、行き止まりにしか見えぬ部屋だ。
床に落ちて開かれたままの本のページにはおどろおどろしい挿絵が載り、魔界と人間界との戦いの記録が綴られている。
部屋の中を物色するとどうしても目に入るので、恐ろしく思いつつもそのまま2人で覗き込んでしまった。
たくさんの戦士達の戦いが記されている中には、歴史的に有名な人物の名も載っていた。
他にも『魔』について書かれている本もあり、つい考えさせられてしまう。
「えーと。『魔とは闇であり、影であり、全てに潜むものである。こころせよ、光あれば影があり、闇の中では影を失うことを』……だって。
よくわかるようなわからないような。ちょっと難しいよね」
小難しく考えすぎると、哲学的になってしまいそうだ。
考え込む態勢に入りつつあるディーヴァを無視し、テーブルの上のもっと重要そうな本へと視線を移す。
「へぇ、魔界に入る方法が載ってるのか」
「超危険!そんなの閲覧も持ち出しも禁止な本じゃない!!」
「まあ待て。多分オレ達は今からその魔界に入って親玉ぶっ飛ばさなくちゃならないんだぞ。これは読むべきだ」
ヒロインがしてはいけない、心底嫌そうな顔を向けられた。
面々の楊貴妃。愛とはそんな顔さえ可愛らしく見えてしまうものなんだよな。いつも思う。
「魔は人の世の写し絵でもある。
すなわち魔は鏡の中にある。
青き霊石『エリキサ』と『魔』の者である証を持ちて鏡の前に立て。……だそうだ」
「魔界は鏡から入るということかぁ。
真夜中に映る姿に、鏡合わせに、4時44分の大鏡、鏡の中からの手、むらさきの鏡……他にもあるけど鏡ってさ、古今東西どの世界でもオカルトの題材になりやすいよねぇ〜」
「真夜中のブラッディマリーとかな」
「お国柄的にあたしの元にもやってきそうなやつだから、その話は思い出させないで」
ま、ディーヴァが言った話も、ブラッディマリーも都市伝説だけどな。
ただ、興味が出てもやめておいた方がいいし、試すのは自己責任だ。
何か問題が起きたとしてもオレは助けに行けない。心霊現象は管轄外ってな。
悪魔は出ていないようでひとまず安心した。よかった……。
ほっとしたところで、その首根っこを掴みこちらを向かせる。
ぐきゅ、とディーヴァから蛙が潰れたような声がしたようだが、悪魔にやられるよりマシなオレからのお仕置きだ。無視して我慢させる。
「勝手に行くな」
「ごめんー。まさか吸い込まれちゃうとは思わなくて」
「怖がりなんだしもうちょっと大人しくしとけって」
「はあい」
といってもディーヴァは好奇心の塊だからなあ。オレが守ると言ってても、離れてる時だってある。いつでも守れるわけじゃない。
ま、怪我さえしてくれなきゃそれでいいけどよ。
「で。なんでこっち選んだよ。
もう一方を選ばなくてよかったのか?ベッドのある城主の寝室だぞ」
「気にしてなかったってのもあるけど、この怖い空気の中であのベッドに横になってる暇あるのかとあたしは逆に聞きたいよ」
「……ないな」
お互いくっついて寝るというなら自分の部屋で。自宅で。安全な場所で。
こんな場所でのデンジャラスな休憩はもうお腹いっぱいだ。
「とにかく今回はつい触っちまったから仕方ないが、次は勝手な行動するな。レディファーストもここからはもう必要なし。
こちとら心配で心臓止まりそうだわ」
「またまたー。串刺しにされても止まらない鋼の心臓のくせにぃ」
ちょっと腹立ったので、ディーヴァのこめかみを軽くぐりぐりする。オレの力は強いので軽くな。
「お前が関わると別。命がいくつあっても足りねぇの!」
「あいたたたぁ!目が据わってるよ!?
ダンテが刺激あるの好きだからそう言ったのに!」
「こういう刺激は要らん」
たった数秒だがこめかみぐりぐり攻撃でさらにお仕置きをしてようやく解放したディーヴァは、すでに痛みで泣きそうになっていた。
ちょっとやりすぎた気もするが、ここは心を鬼にするべきところだったから放置だ。
「うううう、こめかみズキズキする……あたしヒロインなのにひどい」
「全く、ひどいのはどっちだ。ほら行くぞ」
愛してるからこそ、きちんと注意するんだってわかってるのだろうか。
涙目の彼女を連れ、門番室を出て螺旋階段を上へ上へと登っていく。
「わわっ!」
「おっと」
足を上げたりなかったのか、ディーヴァがつまづいた。ふう、すぐに支えたおかげで怪我させずに済んだ。
「あはは、段差見えづらくてこけちゃった」
「暗いからな。
オレが最初から最後まで運んでやろうか?トイレから風呂までどこだって運んでやるぜ」
「それはダンテが戦えなくなっちゃうし、トイレとか恥ずかしいからいいですー」
「そりゃ残念」
肩をすくめてみせると、ディーヴァはポケットから魔光石を取り出して睨みつけた。
ぜんぜん光ってねぇな。
「あたしの魔光石ほとんど光らなくなっちゃったせいだ。ダンテのは?」
「おお、忘れてたぜ」
結局、暗闇でも見えてしまう半分悪魔のこの瞳。必要ないなと思い、ほとんど取り出すこともなく懐に仕舞い込んでいたそれ。
手に取ってみれば、ディーヴァのものとは対照的に光り輝いていた。
眩しくて命中率が下がりそうだ。
「明るい!えっなんでダンテのだけ?ずるくない?」
『ディーヴァが持ってるのは天使の力で浄化されちゃったんだし仕方ないよ』
「ぐぬぬ。天使パワー、しゅごい……でも今は嬉しくない」
「魔力が浄化されたからこうなったんだろ?なら、オレが持っておいて魔力を補充すればいいよな?
とりあえずディーヴァ、こっち持ってろ」
「あ、はい」
ディーヴァの物と交換し、軽く握り込んでから再び懐に放り込む。
……うん。ディーヴァが持ってる天使サマの優しい力を感じ取れた。
体温だとか何かしらがおかしいとはいえ、やっぱりディーヴァ本人なんだよなぁ。
そうして螺旋階段の一番上まで上がっていくと、ヘルメスの杖を模した装飾が施された重厚な扉が立ち塞がる。
中は本棚から本がこぼれ落ちる、行き止まりにしか見えぬ部屋だ。
床に落ちて開かれたままの本のページにはおどろおどろしい挿絵が載り、魔界と人間界との戦いの記録が綴られている。
部屋の中を物色するとどうしても目に入るので、恐ろしく思いつつもそのまま2人で覗き込んでしまった。
たくさんの戦士達の戦いが記されている中には、歴史的に有名な人物の名も載っていた。
他にも『魔』について書かれている本もあり、つい考えさせられてしまう。
「えーと。『魔とは闇であり、影であり、全てに潜むものである。こころせよ、光あれば影があり、闇の中では影を失うことを』……だって。
よくわかるようなわからないような。ちょっと難しいよね」
小難しく考えすぎると、哲学的になってしまいそうだ。
考え込む態勢に入りつつあるディーヴァを無視し、テーブルの上のもっと重要そうな本へと視線を移す。
「へぇ、魔界に入る方法が載ってるのか」
「超危険!そんなの閲覧も持ち出しも禁止な本じゃない!!」
「まあ待て。多分オレ達は今からその魔界に入って親玉ぶっ飛ばさなくちゃならないんだぞ。これは読むべきだ」
ヒロインがしてはいけない、心底嫌そうな顔を向けられた。
面々の楊貴妃。愛とはそんな顔さえ可愛らしく見えてしまうものなんだよな。いつも思う。
「魔は人の世の写し絵でもある。
すなわち魔は鏡の中にある。
青き霊石『エリキサ』と『魔』の者である証を持ちて鏡の前に立て。……だそうだ」
「魔界は鏡から入るということかぁ。
真夜中に映る姿に、鏡合わせに、4時44分の大鏡、鏡の中からの手、むらさきの鏡……他にもあるけど鏡ってさ、古今東西どの世界でもオカルトの題材になりやすいよねぇ〜」
「真夜中のブラッディマリーとかな」
「お国柄的にあたしの元にもやってきそうなやつだから、その話は思い出させないで」
ま、ディーヴァが言った話も、ブラッディマリーも都市伝説だけどな。
ただ、興味が出てもやめておいた方がいいし、試すのは自己責任だ。
何か問題が起きたとしてもオレは助けに行けない。心霊現象は管轄外ってな。
