mission 14:mouth-to-mouth ~キスの雨が降ってくる~
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灰色の世界の中、紫や青、寒色系の色彩で統一された美しい蝶々が視界を次々に舞う。
蝶々で構成されたヴェールが払われると、その向こうには一際大きな漆黒の蝶の羽根。
びっくりしていると、その蝶の羽根はあたしを守るように羽ばたいて外界から隠してくれた。
暗い。けど不思議と怖くない。
まるでダンテといる時のような安心感があった。
この蝶は敵じゃない。あたしは今守られている。直感的にそう感じた。
その暗闇の中では艶やかな黒髪の女性が見えた。ただ、その人の顔や服装は見えない。髪と、かろうじて形の良い唇だけが見える。
暗い中で黒だけが見えるというのも変な感じだ。
黒髪の知り合いというと、レディくらいしか思い浮かばない。それか学生時代の友人くらいか。
女性の口元が弧を描き、言葉を発する。
『起きて。今の貴女が溺死するわけないでしょ?
あの薬で貴女を助けられるのは今回一度きり。はやく戻りなさい。
貴女を待っている者と、そして自分自身の元へ』
細長く美しい指で小さく額を弾かれた。
ぱちん、という音で水の中に落ちる衝撃。全身が水に包まれた。
こぽこぽと水に浸かった時の、優しい水音が心地よい。
安心するそれは夢のような現実のような。母の胎内のようで。ゆりかごのようで……。
ゆらゆらと優しく揺らされ、んん?
ゆらゆら?ゆさゆさ、ぶぉんぶぉん!!
ちょ、なになに!?天変地異!!?地殻変動!!!!?
強い強い!揺れるうううう!!!
巨大な嵐に巻き込まれた気分。あんなにゆるやかな優しい揺れが、すぐに激しいものへと変わり……。
あれ?揺れが一瞬止まった……?
んっ、苦しい。なんなの、この苦しさ!
空気が無理やり体に入ってきているよう。
まるで、風船みたいに膨らまされている感じがする。このままでは、膨れ過ぎてパンクしちゃうかもしれない。
あたしは天使の血族なだけで、風船になった覚えはないんだけどなぁ……。
「オレにアクアフィリアの気はないぞ……!ディーヴァ、起きろ!」
膨張する息苦しさを感じていると、そのダンテの声が耳に届いてきた。
アクアフィリアってなんだろう……?
疑問に思って薄く目を開ければ、冷たい水がぽたぽた、顔に落ちてきた。顔に、頬に、そして目の中にまで落ちてくる。
水滴で揺らいだ視界の中、ダンテの顔が見えた。
わあ、水に濡れてかっこいい。これぞ水も滴るいい男。
「ダンテは今日もかっこいいね」
へにゃり。力なくゆるんだ笑みを作ってしまったのが自分でもわかった。
ぺたん、伸ばした手のひらでダンテの頬をやわく撫でる。
「ディーヴァ……!?目が覚めたか!!……よかった……」
なんでそんなに心配そうなんだろう?
ダンテは涙でも流しそうな、そんな目をしてあたしの手のひらに自分の指を重ねてくる。
あたしの顔を覗き込むダンテの眼差しを不思議に思い、こちらもその青を見つめ返した。
「ふぁ、おはよぉ……」
でもあたしには緊張感のかけらもなく、変な夢を見たせいかあくびがぷあぷあとこぼれるばかり。
お行儀悪く、おっきな口を開けちゃった。
「は?おま……!まさか今の状況で寝てた、とかじゃないだろうな」
「状況?なぁにそれ。
気がついたら眠くなってきてて、ストンって落ちたのかも。
そういえばいつのまにか陸地についてたんだね。ダンテ、お疲れ様」
「ストンって落ちたとか……お前なぁ……。まあいいや。安心したら疲れて、言う気失せた。
それより体調はどうだ」
「すこぶるいいけど、どうして?」
「いいのかよ!
オレがどれだけお前の心配を……!こちとらお前の呼吸と鼓動が〜〜〜!!
くそ、言いたいけどもういいって言ったばかりだった!」
脱力したかと思えば、頭をガシガシとかき乱し出すダンテ。わあ、水がはねる。
「何か大変だったぽい?けど、きっと夢の中で守られてたからだよ」
「……夢のおかげにされちゃたまんねぇな。けど、もしや夢の中でオレにでも助けられたとか?」
「ダンテはぜんぜん出て来なかったよ」
『ぷっ。マスター、夢にすら出てないんだね』
そう、出てないの。なんかごめん……。
ダンテが落ち込んだのが目に見えてわかった。
「大きな蝶々の羽に包まれて守られてるの。それからゆりかごのような水に落ちて揺らされたし、風船みたいに膨らむ感覚があった。
でも誰かに守られてるって感じが、ずーっとしてた。変な夢だよね」
「あー…後半は何のことかわかった。
しかし、天使の羽だったらわかるが、蝶?なんだそれ。お前には蝶々の加護もついてるってのか?」
「うーん……わかんない」
それからダンテはあたしの心臓の音や呼吸の頻度をしっかりと確認してきた。
なんだかお医者さんみたい。そんなことを言ったら、おうち帰ったあとにお医者さんごっこも追加されちゃうかもしれないと思って、おくちチャックしておいた。
「よし、大丈夫そうだな。そろそろ行くか」
「うん。でもダンテ、さむいー」
『濡れたからじゃない?』
何度もいうがあたしの体温はこの島に来てから、ううん、正確には血染めの衣服が真っ白に戻ってからかな?
低下の一途を辿っている。
ダンテの温もりに触れたり、照れるようなことがあれば少しは戻る。けれどまるで気温や水温と同化してしまったかのように、体が冷たいのだ。
変温動物になっちゃったのかなぁ。
「確かにまだ冷たいな。悪い、体調おかしかったらすぐ言うようにいってたの忘れてたよ」
あたしの肌に触れ、抱き込んでその冷たさを確かめるダンテ。ああ、ダンテの体温はあったかいなぁ。
だが、目は合わせてくれなかった。
「ね、ダンテ」
ダンテの懐に顔を押し当て、服の上からじんわりと頬に移る熱を堪能しながら問う。
「なに」
「ありがとうね』
「お前オレの努力も、焦りも覚えてないんだろ。別にいいよ」
ありゃ、ちょっと拗ねてる。
こういうところは、ダンテがおっきな大人の男の人になっても、いくつになってもかわいいよね。
「何が大変だったのか、ダンテがどれだけ焦ったのか、心配してくれたのか……あたしにはわからない。けど、ダンテが助けてくれたって事はわかってるよ。
だからありがと……きゃっ!?」
ダンテの顔を下からしっかりと覗き込んでそう伝えると、ダンテが強く抱きしめ返してきた。
もうすでにダンテの腕に包まれているのに、そんなに強く抱きしめられたら苦しくてたまらないよ。
蝶々で構成されたヴェールが払われると、その向こうには一際大きな漆黒の蝶の羽根。
びっくりしていると、その蝶の羽根はあたしを守るように羽ばたいて外界から隠してくれた。
暗い。けど不思議と怖くない。
まるでダンテといる時のような安心感があった。
この蝶は敵じゃない。あたしは今守られている。直感的にそう感じた。
その暗闇の中では艶やかな黒髪の女性が見えた。ただ、その人の顔や服装は見えない。髪と、かろうじて形の良い唇だけが見える。
暗い中で黒だけが見えるというのも変な感じだ。
黒髪の知り合いというと、レディくらいしか思い浮かばない。それか学生時代の友人くらいか。
女性の口元が弧を描き、言葉を発する。
『起きて。今の貴女が溺死するわけないでしょ?
あの薬で貴女を助けられるのは今回一度きり。はやく戻りなさい。
貴女を待っている者と、そして自分自身の元へ』
細長く美しい指で小さく額を弾かれた。
ぱちん、という音で水の中に落ちる衝撃。全身が水に包まれた。
こぽこぽと水に浸かった時の、優しい水音が心地よい。
安心するそれは夢のような現実のような。母の胎内のようで。ゆりかごのようで……。
ゆらゆらと優しく揺らされ、んん?
ゆらゆら?ゆさゆさ、ぶぉんぶぉん!!
ちょ、なになに!?天変地異!!?地殻変動!!!!?
強い強い!揺れるうううう!!!
巨大な嵐に巻き込まれた気分。あんなにゆるやかな優しい揺れが、すぐに激しいものへと変わり……。
あれ?揺れが一瞬止まった……?
んっ、苦しい。なんなの、この苦しさ!
空気が無理やり体に入ってきているよう。
まるで、風船みたいに膨らまされている感じがする。このままでは、膨れ過ぎてパンクしちゃうかもしれない。
あたしは天使の血族なだけで、風船になった覚えはないんだけどなぁ……。
「オレにアクアフィリアの気はないぞ……!ディーヴァ、起きろ!」
膨張する息苦しさを感じていると、そのダンテの声が耳に届いてきた。
アクアフィリアってなんだろう……?
疑問に思って薄く目を開ければ、冷たい水がぽたぽた、顔に落ちてきた。顔に、頬に、そして目の中にまで落ちてくる。
水滴で揺らいだ視界の中、ダンテの顔が見えた。
わあ、水に濡れてかっこいい。これぞ水も滴るいい男。
「ダンテは今日もかっこいいね」
へにゃり。力なくゆるんだ笑みを作ってしまったのが自分でもわかった。
ぺたん、伸ばした手のひらでダンテの頬をやわく撫でる。
「ディーヴァ……!?目が覚めたか!!……よかった……」
なんでそんなに心配そうなんだろう?
ダンテは涙でも流しそうな、そんな目をしてあたしの手のひらに自分の指を重ねてくる。
あたしの顔を覗き込むダンテの眼差しを不思議に思い、こちらもその青を見つめ返した。
「ふぁ、おはよぉ……」
でもあたしには緊張感のかけらもなく、変な夢を見たせいかあくびがぷあぷあとこぼれるばかり。
お行儀悪く、おっきな口を開けちゃった。
「は?おま……!まさか今の状況で寝てた、とかじゃないだろうな」
「状況?なぁにそれ。
気がついたら眠くなってきてて、ストンって落ちたのかも。
そういえばいつのまにか陸地についてたんだね。ダンテ、お疲れ様」
「ストンって落ちたとか……お前なぁ……。まあいいや。安心したら疲れて、言う気失せた。
それより体調はどうだ」
「すこぶるいいけど、どうして?」
「いいのかよ!
オレがどれだけお前の心配を……!こちとらお前の呼吸と鼓動が〜〜〜!!
くそ、言いたいけどもういいって言ったばかりだった!」
脱力したかと思えば、頭をガシガシとかき乱し出すダンテ。わあ、水がはねる。
「何か大変だったぽい?けど、きっと夢の中で守られてたからだよ」
「……夢のおかげにされちゃたまんねぇな。けど、もしや夢の中でオレにでも助けられたとか?」
「ダンテはぜんぜん出て来なかったよ」
『ぷっ。マスター、夢にすら出てないんだね』
そう、出てないの。なんかごめん……。
ダンテが落ち込んだのが目に見えてわかった。
「大きな蝶々の羽に包まれて守られてるの。それからゆりかごのような水に落ちて揺らされたし、風船みたいに膨らむ感覚があった。
でも誰かに守られてるって感じが、ずーっとしてた。変な夢だよね」
「あー…後半は何のことかわかった。
しかし、天使の羽だったらわかるが、蝶?なんだそれ。お前には蝶々の加護もついてるってのか?」
「うーん……わかんない」
それからダンテはあたしの心臓の音や呼吸の頻度をしっかりと確認してきた。
なんだかお医者さんみたい。そんなことを言ったら、おうち帰ったあとにお医者さんごっこも追加されちゃうかもしれないと思って、おくちチャックしておいた。
「よし、大丈夫そうだな。そろそろ行くか」
「うん。でもダンテ、さむいー」
『濡れたからじゃない?』
何度もいうがあたしの体温はこの島に来てから、ううん、正確には血染めの衣服が真っ白に戻ってからかな?
低下の一途を辿っている。
ダンテの温もりに触れたり、照れるようなことがあれば少しは戻る。けれどまるで気温や水温と同化してしまったかのように、体が冷たいのだ。
変温動物になっちゃったのかなぁ。
「確かにまだ冷たいな。悪い、体調おかしかったらすぐ言うようにいってたの忘れてたよ」
あたしの肌に触れ、抱き込んでその冷たさを確かめるダンテ。ああ、ダンテの体温はあったかいなぁ。
だが、目は合わせてくれなかった。
「ね、ダンテ」
ダンテの懐に顔を押し当て、服の上からじんわりと頬に移る熱を堪能しながら問う。
「なに」
「ありがとうね』
「お前オレの努力も、焦りも覚えてないんだろ。別にいいよ」
ありゃ、ちょっと拗ねてる。
こういうところは、ダンテがおっきな大人の男の人になっても、いくつになってもかわいいよね。
「何が大変だったのか、ダンテがどれだけ焦ったのか、心配してくれたのか……あたしにはわからない。けど、ダンテが助けてくれたって事はわかってるよ。
だからありがと……きゃっ!?」
ダンテの顔を下からしっかりと覗き込んでそう伝えると、ダンテが強く抱きしめ返してきた。
もうすでにダンテの腕に包まれているのに、そんなに強く抱きしめられたら苦しくてたまらないよ。
