mission 9:nostalgia memory ~出会いと別れの誕生日~
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「もう…いい加減にしてよね、ダンテ」
「悪い悪い、嬉しくてつい、な。誕生日おめでとう、ディーヴァ」
「あまりおめでたくないけど…ありがとう」
ここはディーヴァの実家の敷地内であり、お墓参りをしたあとである。
浮かれた気持ちにはなれやしないし、そうでなくても未だ誕生日は好きになれない。
「お前は誕生日嫌いかもしれないけど、俺はお前が生きていて嬉しいし助けられて本当に良かった。ディーヴァと出会えて良かった…生まれてきてくれてありがとう」
「…ダンテ……」
「今でなくていい。いつか自分の生まれたこの日を好きになってくれ」
「うん、ありがとダンテ。ダンテと一緒に1年、2年、3年と時を重ねていけば、きっと好きになれると思うの」
自分からも強く抱き着いてディーヴァはそのぬくもりを確かめる。
ダンテに抱き着いているはずなのに何故だろう、兄に抱き着いた時のぬくもりにも似ていた。
ダンテのそばは、家族と一緒にいる時と同じくらい落ち着く。
「ずっと一緒にいてね?」
「当たり前だ。離れろって言っても離れないからな」
「ふふ、それは嬉しいね!って…なんだか逆プロポーズみたいなこと言っちゃった!」
墓地に備えていた花一輪を持っていたダンテ。
その花をダンテはディーヴァの耳の上にそっと差して飾った。
桃色の花が薄いグリーンの髪と共に揺れている。
「プロポーズはオレから。まだ先のことだけどな」
「ダンテ…うん、楽しみにしてるね」
2人は笑顔を向け合った。
そして、帰ったあと。
ずっと開けることなく自室に置きっぱなしだったプレゼントの箱を、ディーヴァはここに来てようやく開ける決心が出来た。
「…開ける、よ」
「まだつらいなら無理しなくてもいいんだぞ」
「ううん、開けなくちゃ…開けたいの」
大きなリボンをシュルシュル紐解き、ディーヴァはゆっくりとその蓋を開けた。
中に入っていたのは…。
「でっけぇ!」
ダンテがそう叫ぶ大きさのフワフワなティディベア。
その両足には、ディーヴァの名前と一年前のあの日の日付が刺しゅうされていた。
「わぁ…ふわっふわ!やわらかーい…」
抱きしめるととてもやわらかく、肌触りが心地いい。
ディーヴァはゆっくりとその毛並みを堪能した。
そしてティディベアが手にしているカードには
『生まれてきてくれてありがとう』
の家族の文字が。
ディーヴァは嬉しさから一筋の涙をこぼす。
ダンテもわきからその手紙を読んで察したのか「良かったな」とディーヴァの頭を撫でた。
生んでくれてありがとう。
幾度となくのうのうと生きてる自分を呪った、けど今は違う。
素直に自分の生に対し、感謝の気持ちが言える。
『ありがとう』…と。
少しだけ、自分の誕生日が好きになれそうな気がした。
●あとがき
ダンテと出会ったのは誕生日から数日後なのです。
そういう意味をこめて『出会い』、最愛の家族を失ったから『別れ』と、タイトルをつけました。
誕生日を好きになってほしいダンテと、中々そうもいかないディーヴァの気持ちが少しでも文章に出来ていたら…と、そう思います。
「悪い悪い、嬉しくてつい、な。誕生日おめでとう、ディーヴァ」
「あまりおめでたくないけど…ありがとう」
ここはディーヴァの実家の敷地内であり、お墓参りをしたあとである。
浮かれた気持ちにはなれやしないし、そうでなくても未だ誕生日は好きになれない。
「お前は誕生日嫌いかもしれないけど、俺はお前が生きていて嬉しいし助けられて本当に良かった。ディーヴァと出会えて良かった…生まれてきてくれてありがとう」
「…ダンテ……」
「今でなくていい。いつか自分の生まれたこの日を好きになってくれ」
「うん、ありがとダンテ。ダンテと一緒に1年、2年、3年と時を重ねていけば、きっと好きになれると思うの」
自分からも強く抱き着いてディーヴァはそのぬくもりを確かめる。
ダンテに抱き着いているはずなのに何故だろう、兄に抱き着いた時のぬくもりにも似ていた。
ダンテのそばは、家族と一緒にいる時と同じくらい落ち着く。
「ずっと一緒にいてね?」
「当たり前だ。離れろって言っても離れないからな」
「ふふ、それは嬉しいね!って…なんだか逆プロポーズみたいなこと言っちゃった!」
墓地に備えていた花一輪を持っていたダンテ。
その花をダンテはディーヴァの耳の上にそっと差して飾った。
桃色の花が薄いグリーンの髪と共に揺れている。
「プロポーズはオレから。まだ先のことだけどな」
「ダンテ…うん、楽しみにしてるね」
2人は笑顔を向け合った。
そして、帰ったあと。
ずっと開けることなく自室に置きっぱなしだったプレゼントの箱を、ディーヴァはここに来てようやく開ける決心が出来た。
「…開ける、よ」
「まだつらいなら無理しなくてもいいんだぞ」
「ううん、開けなくちゃ…開けたいの」
大きなリボンをシュルシュル紐解き、ディーヴァはゆっくりとその蓋を開けた。
中に入っていたのは…。
「でっけぇ!」
ダンテがそう叫ぶ大きさのフワフワなティディベア。
その両足には、ディーヴァの名前と一年前のあの日の日付が刺しゅうされていた。
「わぁ…ふわっふわ!やわらかーい…」
抱きしめるととてもやわらかく、肌触りが心地いい。
ディーヴァはゆっくりとその毛並みを堪能した。
そしてティディベアが手にしているカードには
『生まれてきてくれてありがとう』
の家族の文字が。
ディーヴァは嬉しさから一筋の涙をこぼす。
ダンテもわきからその手紙を読んで察したのか「良かったな」とディーヴァの頭を撫でた。
生んでくれてありがとう。
幾度となくのうのうと生きてる自分を呪った、けど今は違う。
素直に自分の生に対し、感謝の気持ちが言える。
『ありがとう』…と。
少しだけ、自分の誕生日が好きになれそうな気がした。
●あとがき
ダンテと出会ったのは誕生日から数日後なのです。
そういう意味をこめて『出会い』、最愛の家族を失ったから『別れ』と、タイトルをつけました。
誕生日を好きになってほしいダンテと、中々そうもいかないディーヴァの気持ちが少しでも文章に出来ていたら…と、そう思います。