mission 9:nostalgia memory ~出会いと別れの誕生日~
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その日はディーヴァの誕生日。
愛娘たるデディーヴァのため、父親は仕事を早めに切り上げて帰宅し、母親は昨日の夜から準備を進めていたごちそうの用意をしていた。
仲睦まじい兄妹は、学校から一緒に帰りパーティーが始まるのを今か今かと待った。
そのうち、ごちそうが長いテーブルにところせましと並べられ、それを囲むように家族全員が着席する。
家族全員みな、ニコニコと笑顔を浮かべていた。
母親が時計の針を見て、微笑む。
「ふふっ、ディーヴァ。貴女はね、あと5分後の時間に生まれたのよ?ね、パパ?」
「うん。ママの言う通り。ディーヴァがこの世に生を受けた聖なる日、聖なる時間。それがあと5分のことだったね」
兄とディーヴァは両親の目線の先、壁にかかった大きな振り子時計を見た。
5分後…ちょうど長い針が一番てっぺんにくる時間だ。
「もうすぐだね。じゃあ、その瞬間ちょうどにお祈りを捧げて祝おうよ!」
にっこりと笑顔を浮かべた兄の言葉に「「ナイスアイディア!」」と両親は賛同する。
ディーヴァは照れ臭く感じつつ、それを甘んじて受け入れた。
ボーンボーンと短い針の数の分だけ、時を告げる振り子時計。
何度も聞いてきたはずのその音が、今ばかりはとても特別なものに感じる。
その瞬間、あたしは16歳になった。
なんだか不思議な感じがするのは、気のせいだろうか?
「さ、みんな目をつぶって」
母の言葉に父親と兄、言った母親が食卓を囲む形で手を繋ぎ、目を閉じる。
ディーヴァも、急いで目を閉じた。
そして黙祷しながら、食事前の神へのお祈りを捧げるのだった。
祈りの言葉のあと、ディーヴァは目を開けようとするが…
「ディーヴァはまだ目を閉じていてくれるかい?」
その目を優しい手が覆い、隠した。
この感触は…。
「ふふ、お兄ちゃん?開けないから大丈夫だってば」
「年には念を入れておくよ」
兄が後ろから、ディーヴァに囁くようにそう言う。
数秒後、「もういいよ」の言葉とともに手をどかす兄。
ディーヴァはゆっくりとその双眸を開けた。
目の前には大きなプレゼントの箱が置かれており、そのとなりには歳の数の分だけ蝋燭が刺さったバースデーケーキが鎮座している。
蝋燭の暖かな灯りだけがその場をやわらかく照らしていた。
「わあ……」
「お誕生日おめでとう、ディーヴァ」
「私達の元に生まれてきてくれてありがとう」
「ハッピーバースデー。さあ、蝋燭の炎を消して?」
おめでとうの言葉の嵐と、拍手。
ディーヴァは家族一人一人の顔をみたあと、幸せそうに微笑み、
「ありがとう」
蝋燭の炎を吹き消した。
…そこまでは。
そう。
そこまでは、幸せだった。
そういえば、あのプレゼントはこちらに持ってきているが、まだ開けていない。
見ると家族のあの最後をより鮮明に思い出してしまい、涙があふれるだろうから。
このあと…。
何が起こったか思い出すのは、今でもつらい。
愛娘たるデディーヴァのため、父親は仕事を早めに切り上げて帰宅し、母親は昨日の夜から準備を進めていたごちそうの用意をしていた。
仲睦まじい兄妹は、学校から一緒に帰りパーティーが始まるのを今か今かと待った。
そのうち、ごちそうが長いテーブルにところせましと並べられ、それを囲むように家族全員が着席する。
家族全員みな、ニコニコと笑顔を浮かべていた。
母親が時計の針を見て、微笑む。
「ふふっ、ディーヴァ。貴女はね、あと5分後の時間に生まれたのよ?ね、パパ?」
「うん。ママの言う通り。ディーヴァがこの世に生を受けた聖なる日、聖なる時間。それがあと5分のことだったね」
兄とディーヴァは両親の目線の先、壁にかかった大きな振り子時計を見た。
5分後…ちょうど長い針が一番てっぺんにくる時間だ。
「もうすぐだね。じゃあ、その瞬間ちょうどにお祈りを捧げて祝おうよ!」
にっこりと笑顔を浮かべた兄の言葉に「「ナイスアイディア!」」と両親は賛同する。
ディーヴァは照れ臭く感じつつ、それを甘んじて受け入れた。
ボーンボーンと短い針の数の分だけ、時を告げる振り子時計。
何度も聞いてきたはずのその音が、今ばかりはとても特別なものに感じる。
その瞬間、あたしは16歳になった。
なんだか不思議な感じがするのは、気のせいだろうか?
「さ、みんな目をつぶって」
母の言葉に父親と兄、言った母親が食卓を囲む形で手を繋ぎ、目を閉じる。
ディーヴァも、急いで目を閉じた。
そして黙祷しながら、食事前の神へのお祈りを捧げるのだった。
祈りの言葉のあと、ディーヴァは目を開けようとするが…
「ディーヴァはまだ目を閉じていてくれるかい?」
その目を優しい手が覆い、隠した。
この感触は…。
「ふふ、お兄ちゃん?開けないから大丈夫だってば」
「年には念を入れておくよ」
兄が後ろから、ディーヴァに囁くようにそう言う。
数秒後、「もういいよ」の言葉とともに手をどかす兄。
ディーヴァはゆっくりとその双眸を開けた。
目の前には大きなプレゼントの箱が置かれており、そのとなりには歳の数の分だけ蝋燭が刺さったバースデーケーキが鎮座している。
蝋燭の暖かな灯りだけがその場をやわらかく照らしていた。
「わあ……」
「お誕生日おめでとう、ディーヴァ」
「私達の元に生まれてきてくれてありがとう」
「ハッピーバースデー。さあ、蝋燭の炎を消して?」
おめでとうの言葉の嵐と、拍手。
ディーヴァは家族一人一人の顔をみたあと、幸せそうに微笑み、
「ありがとう」
蝋燭の炎を吹き消した。
…そこまでは。
そう。
そこまでは、幸せだった。
そういえば、あのプレゼントはこちらに持ってきているが、まだ開けていない。
見ると家族のあの最後をより鮮明に思い出してしまい、涙があふれるだろうから。
このあと…。
何が起こったか思い出すのは、今でもつらい。