ストレスが溜まったディーヴァが菓子作り以外にやりだしたこと。
それは天高く馬肥ゆるなんちゃら～やら、食欲の秋を地でいくような行動だった。

つまり、よく食べよく遊びよく眠るではなく、よく食べそしてよく食べさらによく食べること。

菓子作りはどうしたかって？
さすがに作りすぎて飽きたとのこと。

今は食べてばかり。
それはダンテが心配するほどに。

ふと目をやる度に何か口に摘まんでいるのを見れば当たり前か。

「おいおいおい…お前、よく食うなぁ…」
「だって太らないもん、もきゅもきゅ」
「ニキビ出来るって言ってただろ」
「食物繊維も取ってるから大丈夫！」

親指グッ！
ダンテに笑顔と共に親指を立てて見せる。

「………」

ダンテは微妙な面持ちでディーヴァを見た。

そしてダンテは、意地の悪い表情を浮かべてディーヴァに囁く。

「突然お前の中のオレの血が消えるかもしれないぞ。そしたら、また成長始まったりしてな」

食べてる分の体重がいきなり増えるかもしれないな？
横に、ボンッと。

そう耳打ちされた。
ディーヴァは、はっ！！とした表情でダンテの言葉を脳内で反芻し続けていた。

『体重』…『増える』…。
ふたつの単語が繰り返し繰り返し頭の中でリピートされる。

「ま、そうそう簡単に太んないし、血が消えてもオレの魔力は消えないだろうけどな」

頭を抱えて悩むディーヴァに背をむけ、ダンテはいたずらに舌を出した。

もし、今度成長が再び始まったら…。
髪も身長も伸びるだろうし、月の物もやっては来るだろう。

しかし、それは体重も同じ。
ダンテに付き合って今のままの食事量を、だらだら食いを続けていたら……。

いきつく先は、ぽっちゃりどころかおデブちゃん！！
太る！
非常にマズイ！

ディーヴァはサアッと青ざめ、その背景にはピシャーン！という効果音がついた。

だから、その日からディーヴァは、自分に対し心を鬼にした。

食事量を減らした…自分の分だけ。

そう。
食事量コントロールを始めたのだ。
コントロールとは言えども、菓子を減らし脂肪や肉を減らし…炭水化物を減らすという物。

おーい、タンパク質は摂取したほうがいいぞー。

簡単に言えばサラダだけの食事。
非常にヘルシーであるが、それを肉体労働のようなこと仕事とするダンテにまで強要するわけにもいかず…。

ダンテが肉や魚を食べる傍らで、今日もディーヴァはサラダをつまむのであった。
気分ははらぺこあおむしだ。