「うーみー！！」

海についたディーヴァが荷物を置きながら水平線の彼方に向かって大声をあげた。

「なぜ叫ぶ」
「だって、これだけ広いと叫びたくならない？ダンテも一緒にどう？」
「じゃあ、遠慮なく……？」
「「うーみー！！」」

まだまだお互い子どもということなのだろうか。
ダンテも一緒になって、広大な海へ向かって叫んだ。

周りの人がなんだろうあのカップル…と見ているのに気が付くまで、２人は騒いだ。
赤くなりながらそそくさとその場を離れ、男女に分かれて着替えに向かう。

やはり男だからか、ダンテの方が少し早く着替え終わった。
しばらく着替えコーナーから出てくる女性達を見て待っていたのだが、どれもみな水着姿を惜しげもなく晒し、キラキラ輝いている。

かわいいし美人が多く、ディーヴァと出会う前ならば、ナンパしていたかもしれない。
いや、逆にナンパされていたかもしれない。

今でも、ほら。
こちらに目線を向けて赤くなる女性をちらほらと見かける。

だが、今はディーヴァ一筋。
他の女性が輝きを放っていても、彼女以外の宝石は目に入らない。

「ダンテ！お待たせ！」

そしてとうとうディーヴァが出て来た。
着替えコーナーからお目見えした愛しい者の姿に、ダンテは今までにないくらい目を大きくした。

その辺の女性に負けない豊満な胸が、歩く度にたゆんたゆんと揺れ、結び目のリボンや、同系色で購入した長いパレオが、天使の衣装のように風に舞い遊ぶ。
小麦色…ではないが、白く輝く素肌がキラキラと輝いていた。

周りの宝石は輝きながらもダンテの目にモノクロにしか見えなかったが、こちらの宝石は違う。
美しい五彩を放ち、ダンテを魅了してやまなかった。

「んんん～っ！！正に天使っ！！」
「え？いきなり何なの？…そりゃ天使の血をひいてるけどさ」

いきなりのダンテのよくわからない雄叫びに、若干引き気味なディーヴァ。
ダンテはすがすがしい笑顔でディーヴァの頭をくしゃ、と撫でた。

「いや～。似合うなぁって思ってな！」
「そ、そう？ありがと…」

適当な場所にパラソルを立てて座り込む。
熱されて焼き砂のようになった白砂が手足をサラサラと流れて気持ちいい。
目の前には、どこまでもキラキラ広がる青い海と、さんさんと照り付ける太陽。

「ダンテの目の色みたいな綺麗な海…」
「２人っきりならよかったな」
「それはしかたないよ」

そして、周りは休暇を楽しむ、たくさんの人間達であふれかえっていた。

「ここじゃ２人っきりなんて無理だよな～。プライベートビーチじゃあるまいし。
沖の方まで泳いでみたら２人っきりかもしれないけど」
「そうだね。じゃあぼちぼち泳ぐ？その……沖の方まで」

頬を赤く染めながら言うディーヴァ。
ディーヴァも２人っきりになりたいと、そう言っているのだ。