mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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「くっ…悪いな、さっきのディーヴァの光で鎖が緩んでたぜ…!」
「ダンテッ!!」
ダンテが間一髪、悪魔の振りかざすナイフのような爪と、ディーヴァとの間に割り込んだ。
「待たせたな、ディーヴァ。お前のことはオレが必ず守る。約束だ」
そう魂に誓ったんだ。
と言っても、自分も血濡れであり胸に穴が空いている状況で、気を抜けば倒れてしまいそうだった。
ダンテの魔力も足りない今、フォースエッジで押し返すのがやっと。
「ったく、この悪魔……しつけぇな…っ、くっ!」
押し負ける、そう思った時。
フォースエッジを握る手に重ねられた小さな手。
「あたしだって、ダンテを守る…!」
重ねられた手がじわり、熱を持つ。
優しくて温かい力が、ダンテの奥底から湧いてくる。
それだけでなく、ディーヴァを包む空気が変わった、いや、ダンテも巻き込んでその空気は聖なる風を生み出し、2人を中心に渦を巻いた。
悪魔が押し返され、ジュウジュウと焼かれていく。
「ーーーーーッ!!」
内側のダンテだけを癒し、外側では風がダンテの耳元で轟々と吹き荒れる。
その聖なる風はディーヴァが手から作り出した乳白色の結界を中心に衝撃波を作り、フォースエッジの向こうでもがく悪魔に勢いよくぶつかり、声も出せずに消し飛ばした。
月と太陽を喰らうマーナガルムは消えた。
衝撃波は闇を照らす光を纏って、悪魔を消しとばしたままの形で魔界の遥か彼方へ飛んでいく。
魔に染まる魔界の土が浄化の光で焦土と化したのが、地平線の彼方にまで見えた。
これぞ、悪しきを祓い浄化する、紛うこと無き天使の力の神髄。
相当な猛者だったはずの悪魔も、ダンテを拘束していた赤い鎖も、その場の悪しきもの全て消えて浄化されたということ。
澱んだ空気も消え、清浄な空気に変わった。
ここが魔界であることを忘れてしまうほどこの一画だけは、 びっくりするほど清らかでそのうち花畑にでもなりそうだ。
ここまでの事ができたのは初めてのことで、ディーヴァはよたよたと前に進み、まず周りを、続いて衝撃波が消えていった先を臨み、そして喜びの声をあげた。
「…でき、た…?やった!できた!!」
「はぁ……、とりあえず…ディーヴァが無事で、安心した………ぜ」
初めてだった。
使いたかった形で、自分の意思で力を使えた。
今まで散々苦労した、どんなに練習や特訓を重ねたってこんな事できなかった。
思えば、知らず知らずの内に、力を使うことを恐ろしいと、拒絶していたのかもしれない…なんて今更ながら思う。
これからは、自分の意思で使える時もあるだろうと、なんとなくだがそう感じた。
…とか言いつつ、体力がある時や弱い悪魔を相手取る時限定でしか使えない気もするが。
そう考えると、今回あんな強い悪魔に効いたのはひと時の気まぐれ…と思ったほうがいいかもしれない。
ダンテと一緒だったからっていうのもあるだろうし。
最高100レベルあるところ、10レベルから15レベルくらいに上がったといった感じ、うわなんか微妙。
まだまだ最強の天使への道は長い…。
結論、やっぱり非戦闘員に変わりないということでよろしく。
「ダンテ!あたし、力使え、た…よ…、ダ、ダンテッ!?」
背後でダンテが倒れている。
ダンテが倒れているというのに、自分は気が付かずバカみたいにはしゃいで浮かれていたなんて…!
駆け寄って起こし、軽く揺するも、ダンテの顔は血の気なく蒼白で、意識も、そして息もなかった。
「え……。息、してない…!ダンテ、ダンテ…!!」
そうだこんな時こそキスのエネルギー譲渡、と唇を半ばぶつけるようにダンテの唇と重ね合わせる。
微量だが力が流し込まれる、と思ったら、纏っていた天使の衣服と翼が光と共に消え、体が重くなった。
ディーヴァのエネルギーも枯渇気味なようで、ほとんど意味をなさない。
「キスしてエネルギー送ろうとしても全然ダメ…ダメだよぉ…」
こゆな状況下でディーヴァのキスくらいでダンテが目を覚ますはずもなく、ディーヴァはもっと確実な方法を思い出す。
「あ、ちゅーがダメなら血!ん、んく、…、」
起きて…ダンテ、起きて。
身体中に刻まれた傷口に滲む赤を唇に乗せ、ダンテの口内へ流し込む。
それでも、ダンテの目は閉じられたままだった。
喉が嚥下で上下しない。
もしかして死…。
「う、うぁぁぁん!!ダンテ、死んじゃやだよーっ!あたしをひとりにしないでよぉーーっ!!」
ぶわっ!
どこに涙を流す水分があったのだろうと思うが、ボロボロと泣き崩れてダンテに繕い、その冷たくなったコートを抱きしめるディーヴァ。
生きていても息ができぬほど、強い抱擁だ。
「ごほっ、ディーヴァ…絞め、過ぎだ…」
「ダンテ!生きてた!!」
「ああ。けど、苦しい、息できねぇ…」
「わっ、ご、ごごごごめん!」
このままでは本当にダンテが死んでしまう、と慌ててダンテを解放するディーヴァ。
新鮮な空気を取り込んで一息ついたダンテは、頭痛に苛まれる頭を抑え、ゆっくりと起き上がった。
「あ゛ー…頭いてぇ…さすがに貧血酷いぞ、これ」
「ひぎゃあ!あばばばばばば!!」
ボタリ、ボタボタ、ダバーー…。
恐怖の光景がディーヴァを叫ばせた。
地表の赤黒さで気がつかなかったが、ダンテが起きたその下には、おびただしい量のダンテの赤い血が染み込んで泥濘を見せている。
そしてダンテのその胸には、切り開かれた大きな傷が、未だ塞がれることなく残っていたのだった。
下を向けば、未だ流血を続けるダンテの胸。
コートに染みた血の冷たさでダンテの体が冷たく感じていたようで、よく見ればダンテの血がディーヴァにも移り染みていた。
なぜ気が付かなかったし、あたしのバカ!
「ダンテ、すごい血!すごい怪我!!見たことないくらいものすごい怪我ぁ!!!」
怪我したダンテ本人差し置いて、こっちが泡吹いて卒倒しそうだ。
「あーーー?」
気怠げな赤い目がこちらに向けられる。
赤い悪魔の目が。
そりゃそうか、怪我を負って貧血が酷い状態なら、ダンテが悪魔の目の色に変わるのは当然だ。
もはや自然の摂理。
こんな時は血を飲んでもらって一刻も早く回復を図らねば。
でも、貧血ならばディーヴァの方も深刻な事態であるからして…。
「気にするな。もう動けるから早く帰るぞ。魔界なんざいつまでもいるべきじゃない」
「気にするよ!穴空いてるんだからね!?」
「それより帰るぞ」
「でも」
「帰るぞ」
「あ、うん…そう、だね…」
有無を言わさないダンテの強い発言。
起き上がるのにも一苦労なダンテに手を貸し、ディーヴァは疑問に思いつつ、ダンテが渋い表情をさらす顔を盗み見た。
ダンテ、少し怒ってる…?
ダンテの声が、怒っている時のようにものすごく低い。
がしかし、魔界にいて危険なのには変わりないのでおとなしくダンテに従っておこうと思った。
「ダンテッ!!」
ダンテが間一髪、悪魔の振りかざすナイフのような爪と、ディーヴァとの間に割り込んだ。
「待たせたな、ディーヴァ。お前のことはオレが必ず守る。約束だ」
そう魂に誓ったんだ。
と言っても、自分も血濡れであり胸に穴が空いている状況で、気を抜けば倒れてしまいそうだった。
ダンテの魔力も足りない今、フォースエッジで押し返すのがやっと。
「ったく、この悪魔……しつけぇな…っ、くっ!」
押し負ける、そう思った時。
フォースエッジを握る手に重ねられた小さな手。
「あたしだって、ダンテを守る…!」
重ねられた手がじわり、熱を持つ。
優しくて温かい力が、ダンテの奥底から湧いてくる。
それだけでなく、ディーヴァを包む空気が変わった、いや、ダンテも巻き込んでその空気は聖なる風を生み出し、2人を中心に渦を巻いた。
悪魔が押し返され、ジュウジュウと焼かれていく。
「ーーーーーッ!!」
内側のダンテだけを癒し、外側では風がダンテの耳元で轟々と吹き荒れる。
その聖なる風はディーヴァが手から作り出した乳白色の結界を中心に衝撃波を作り、フォースエッジの向こうでもがく悪魔に勢いよくぶつかり、声も出せずに消し飛ばした。
月と太陽を喰らうマーナガルムは消えた。
衝撃波は闇を照らす光を纏って、悪魔を消しとばしたままの形で魔界の遥か彼方へ飛んでいく。
魔に染まる魔界の土が浄化の光で焦土と化したのが、地平線の彼方にまで見えた。
これぞ、悪しきを祓い浄化する、紛うこと無き天使の力の神髄。
相当な猛者だったはずの悪魔も、ダンテを拘束していた赤い鎖も、その場の悪しきもの全て消えて浄化されたということ。
澱んだ空気も消え、清浄な空気に変わった。
ここが魔界であることを忘れてしまうほどこの一画だけは、 びっくりするほど清らかでそのうち花畑にでもなりそうだ。
ここまでの事ができたのは初めてのことで、ディーヴァはよたよたと前に進み、まず周りを、続いて衝撃波が消えていった先を臨み、そして喜びの声をあげた。
「…でき、た…?やった!できた!!」
「はぁ……、とりあえず…ディーヴァが無事で、安心した………ぜ」
初めてだった。
使いたかった形で、自分の意思で力を使えた。
今まで散々苦労した、どんなに練習や特訓を重ねたってこんな事できなかった。
思えば、知らず知らずの内に、力を使うことを恐ろしいと、拒絶していたのかもしれない…なんて今更ながら思う。
これからは、自分の意思で使える時もあるだろうと、なんとなくだがそう感じた。
…とか言いつつ、体力がある時や弱い悪魔を相手取る時限定でしか使えない気もするが。
そう考えると、今回あんな強い悪魔に効いたのはひと時の気まぐれ…と思ったほうがいいかもしれない。
ダンテと一緒だったからっていうのもあるだろうし。
最高100レベルあるところ、10レベルから15レベルくらいに上がったといった感じ、うわなんか微妙。
まだまだ最強の天使への道は長い…。
結論、やっぱり非戦闘員に変わりないということでよろしく。
「ダンテ!あたし、力使え、た…よ…、ダ、ダンテッ!?」
背後でダンテが倒れている。
ダンテが倒れているというのに、自分は気が付かずバカみたいにはしゃいで浮かれていたなんて…!
駆け寄って起こし、軽く揺するも、ダンテの顔は血の気なく蒼白で、意識も、そして息もなかった。
「え……。息、してない…!ダンテ、ダンテ…!!」
そうだこんな時こそキスのエネルギー譲渡、と唇を半ばぶつけるようにダンテの唇と重ね合わせる。
微量だが力が流し込まれる、と思ったら、纏っていた天使の衣服と翼が光と共に消え、体が重くなった。
ディーヴァのエネルギーも枯渇気味なようで、ほとんど意味をなさない。
「キスしてエネルギー送ろうとしても全然ダメ…ダメだよぉ…」
こゆな状況下でディーヴァのキスくらいでダンテが目を覚ますはずもなく、ディーヴァはもっと確実な方法を思い出す。
「あ、ちゅーがダメなら血!ん、んく、…、」
起きて…ダンテ、起きて。
身体中に刻まれた傷口に滲む赤を唇に乗せ、ダンテの口内へ流し込む。
それでも、ダンテの目は閉じられたままだった。
喉が嚥下で上下しない。
もしかして死…。
「う、うぁぁぁん!!ダンテ、死んじゃやだよーっ!あたしをひとりにしないでよぉーーっ!!」
ぶわっ!
どこに涙を流す水分があったのだろうと思うが、ボロボロと泣き崩れてダンテに繕い、その冷たくなったコートを抱きしめるディーヴァ。
生きていても息ができぬほど、強い抱擁だ。
「ごほっ、ディーヴァ…絞め、過ぎだ…」
「ダンテ!生きてた!!」
「ああ。けど、苦しい、息できねぇ…」
「わっ、ご、ごごごごめん!」
このままでは本当にダンテが死んでしまう、と慌ててダンテを解放するディーヴァ。
新鮮な空気を取り込んで一息ついたダンテは、頭痛に苛まれる頭を抑え、ゆっくりと起き上がった。
「あ゛ー…頭いてぇ…さすがに貧血酷いぞ、これ」
「ひぎゃあ!あばばばばばば!!」
ボタリ、ボタボタ、ダバーー…。
恐怖の光景がディーヴァを叫ばせた。
地表の赤黒さで気がつかなかったが、ダンテが起きたその下には、おびただしい量のダンテの赤い血が染み込んで泥濘を見せている。
そしてダンテのその胸には、切り開かれた大きな傷が、未だ塞がれることなく残っていたのだった。
下を向けば、未だ流血を続けるダンテの胸。
コートに染みた血の冷たさでダンテの体が冷たく感じていたようで、よく見ればダンテの血がディーヴァにも移り染みていた。
なぜ気が付かなかったし、あたしのバカ!
「ダンテ、すごい血!すごい怪我!!見たことないくらいものすごい怪我ぁ!!!」
怪我したダンテ本人差し置いて、こっちが泡吹いて卒倒しそうだ。
「あーーー?」
気怠げな赤い目がこちらに向けられる。
赤い悪魔の目が。
そりゃそうか、怪我を負って貧血が酷い状態なら、ダンテが悪魔の目の色に変わるのは当然だ。
もはや自然の摂理。
こんな時は血を飲んでもらって一刻も早く回復を図らねば。
でも、貧血ならばディーヴァの方も深刻な事態であるからして…。
「気にするな。もう動けるから早く帰るぞ。魔界なんざいつまでもいるべきじゃない」
「気にするよ!穴空いてるんだからね!?」
「それより帰るぞ」
「でも」
「帰るぞ」
「あ、うん…そう、だね…」
有無を言わさないダンテの強い発言。
起き上がるのにも一苦労なダンテに手を貸し、ディーヴァは疑問に思いつつ、ダンテが渋い表情をさらす顔を盗み見た。
ダンテ、少し怒ってる…?
ダンテの声が、怒っている時のようにものすごく低い。
がしかし、魔界にいて危険なのには変わりないのでおとなしくダンテに従っておこうと思った。