mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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こわい。
このままだとダンテが殺されちゃう、食べられちゃう。
足がガクガクして、手が震えて、どうしたらいいのかディーヴァにはわからなかった。
助けなきゃって、思うのに。
何かしなきゃって、思うのに。
「あ、あぁ、…どうしよう……どうしたら……」
どうしたら?いいや、違う。
『自分はどうしたらいいのか?』じゃない。
『自分がどうしたいか?』だ。
こうして守られてばかりのままでいいの?
あたし、本当に何も出来ないままでいいの?
ううん、あたしに出来ること、まだある!
あたしがどうしたいか、それはあたしに出来ることと同じこと!
ダンテを助けたい、それだけだ。
何かを決心したようにきゅっと唇を結んだディーヴァ。
蒼白な顔よりも白くなるほど震える手を握りしめ、ポケットの中へ入れたままだったそれを手にした。
この悪魔とどこか近似している、神話に登場するマーナガルムは、死者の肉を腹に収め、捕まえた『月』の血で天や空を地に染める。
そのために『太陽』が光を失うと記述されている。
お互い少し自意識過剰に感じるが、ダンテが月として自分が太陽だというのならば、決してこの神話の通りにはさせない。
月も太陽も穢させやしないんだから。
考えるのはダンテと同じ事。
手にしっかりと握る
のは、洞穴の奥で手に入れた鋭い短剣。
鋭くもリーチは短く、敵に一撃浴びせるには懐に飛び込むしかないのに加え、ディーヴァが不意打ちや奇襲攻撃ができるかどうかと言われれば否だ。
自分でもわかっているのか、ディーヴァは攻撃のために使うのではなかった。
ディーヴァが刃先を向けたのは、自分自身。
「ちょっと!ダンテから離れてこっち見なさいよ!!」
ガクガクと恐怖に震える足を叱咤し、悪魔から見える位置に飛び出したディーヴァ。
「グル?」
「ぅぐ、……ディーヴァ…?」
悪魔の爪と牙が止まり、ディーヴァを見る。
ディーヴァの鬼気迫る声に気がついたダンテも、ディーヴァの方を見た。
ダンテも獲物であるが、ディーヴァは悪魔にとってダンテ以上の獲物で、悪魔はディーヴァの方へと標的を変えようか悩み始めた。
「ディーヴァ…く、るな……、逃げ、……ろ!」
拘束する血色の鎖はそのままに、ダンテの体からその重みが移動していくのがわかり、ダンテは息も絶え絶え気味にディーヴァに危険を知らせる。
なのにディーヴァは、ただ小さく笑い返し、また悪魔に真剣な眼差しを向けた。
ダンテを信じてた。
だから、ダンテとまた会えた。
今度はあたしがダンテを助ける番。
助けるなんて言い方は少し烏滸がましいけれど、でも少しでもダンテに力を貸せたらなっていう気持ちは本物で。
あたしも強くなりたい。
ううん、怖がってばかりの弱いあたしはもうおしまい。
強くならなきゃいけないんだ。
まだ標的がディーヴァに変わりきっていない。
悪魔の注意をこちらに完全に惹きつけるべく、ディーヴァはとうとう、持っていた短剣を使った。
刃先を手のひらに滑らせ、一閃。
「ぅ、ーーーーーッ!」
鋭く燃えるような痛みが走り、直線で描かれた傷口から最初はじわり、そして徐々にぼたぼたと流れて落ちる紅い血。
流れ落ちるだけに飽き足らず、拳を握りしめてその血をまとめて周りへビシャリと、ディーヴァ自ら飛ばした。
次いであたりに広がる濃ゆい血の香り。
目の前の悪魔を、いや、この魔界にいるすべての悪魔、そしてダンテをも魅了するエサとなる天使の血の香りだ。
「ディーヴァ、お前…なんてことを……!」
悪魔の標的はこれで完全にディーヴァに変わり、ダンテは絶望を覚えた。
「きゃっ…!」
「くそっ!ディーヴァ……!」
悪魔が高く跳躍したと思った時には、もうディーヴァの目の前だった。
ディーヴァが持っていた短剣を軽く腕を振るって弾き飛ばし、ディーヴァを組み伏せる。
その重量だけでディーヴァの骨が折れそうだった。
「い、いやぁぁぁ!!」
ディーヴァの叫びも獲物が美味くなるスパイスだと、悪魔は頭を振り上げて大顎を開きディーヴァの首に噛みつこうとしたようだ。
ああ、もうだめだ。
魔力で構成された鎖は全く解けないし、自分は間に合わない。
ディーヴァが殺される、食べられる。
自分が殺されるよりも食べられるよりも、ディーヴァの死の方がよっぽどオレは嫌なのに。
母親の時と同じように、オレはまた守れなかったのか。
ディーヴァの姿が、目から流れる涙で霞む。
鋭い牙の先が薄く皮膚を裂き、喉元の肉に入っていこうとした時だった。
今までにないくらいの眩い光がディーヴァを包みこみ、あたりを太陽光のように照らした。
優しくも、魔を浄化する強い意志を感じる光だ。
「キャィン!」
光が炎のように悪魔の顔を舐めて軽く焼いたのか、ジュッという音とともに咄嗟に飛び退く。
光が収まったそこにいたのは、真っ白というより光の輝き色の流れるようなガウンを身に纏い、その背に光の粒子を煌めかせた5枚の翼を生やした天使の姿のディーヴァ。
その白さを魔界で負った傷や怪我が、余計に痛々しく見せていた。
清浄で清らかすぎる空気を纏うディーヴァに、ダンテの悪魔の部分さえ浄化されるかと思うほどだったが、今回は違った。
まるでディーヴァにキスされている時のように、ダンテを優しく包み込む温かさ。
いつもと違う。
いつも無意識ではる結界や癒しの力と違う感じだ。
自分でもなんでこんな格好になっているのか、何が起こったのかよくわからずに戸惑うディーヴァを現実に戻したのは、一度退いた悪魔だった。
「グガァァゥウ!」
ディーヴァの力で顔に火傷を負ったらしい悪魔が、ディーヴァめがけて飛びかかる。
いくら今までより更に天使らしい姿になっても、ディーヴァはディーヴァのまま、弱いままで、ただ腕で体をかばうだけだった。
その爪が再びディーヴァを傷つけるべく迫った時だ。
このままだとダンテが殺されちゃう、食べられちゃう。
足がガクガクして、手が震えて、どうしたらいいのかディーヴァにはわからなかった。
助けなきゃって、思うのに。
何かしなきゃって、思うのに。
「あ、あぁ、…どうしよう……どうしたら……」
どうしたら?いいや、違う。
『自分はどうしたらいいのか?』じゃない。
『自分がどうしたいか?』だ。
こうして守られてばかりのままでいいの?
あたし、本当に何も出来ないままでいいの?
ううん、あたしに出来ること、まだある!
あたしがどうしたいか、それはあたしに出来ることと同じこと!
ダンテを助けたい、それだけだ。
何かを決心したようにきゅっと唇を結んだディーヴァ。
蒼白な顔よりも白くなるほど震える手を握りしめ、ポケットの中へ入れたままだったそれを手にした。
この悪魔とどこか近似している、神話に登場するマーナガルムは、死者の肉を腹に収め、捕まえた『月』の血で天や空を地に染める。
そのために『太陽』が光を失うと記述されている。
お互い少し自意識過剰に感じるが、ダンテが月として自分が太陽だというのならば、決してこの神話の通りにはさせない。
月も太陽も穢させやしないんだから。
考えるのはダンテと同じ事。
手にしっかりと握る
のは、洞穴の奥で手に入れた鋭い短剣。
鋭くもリーチは短く、敵に一撃浴びせるには懐に飛び込むしかないのに加え、ディーヴァが不意打ちや奇襲攻撃ができるかどうかと言われれば否だ。
自分でもわかっているのか、ディーヴァは攻撃のために使うのではなかった。
ディーヴァが刃先を向けたのは、自分自身。
「ちょっと!ダンテから離れてこっち見なさいよ!!」
ガクガクと恐怖に震える足を叱咤し、悪魔から見える位置に飛び出したディーヴァ。
「グル?」
「ぅぐ、……ディーヴァ…?」
悪魔の爪と牙が止まり、ディーヴァを見る。
ディーヴァの鬼気迫る声に気がついたダンテも、ディーヴァの方を見た。
ダンテも獲物であるが、ディーヴァは悪魔にとってダンテ以上の獲物で、悪魔はディーヴァの方へと標的を変えようか悩み始めた。
「ディーヴァ…く、るな……、逃げ、……ろ!」
拘束する血色の鎖はそのままに、ダンテの体からその重みが移動していくのがわかり、ダンテは息も絶え絶え気味にディーヴァに危険を知らせる。
なのにディーヴァは、ただ小さく笑い返し、また悪魔に真剣な眼差しを向けた。
ダンテを信じてた。
だから、ダンテとまた会えた。
今度はあたしがダンテを助ける番。
助けるなんて言い方は少し烏滸がましいけれど、でも少しでもダンテに力を貸せたらなっていう気持ちは本物で。
あたしも強くなりたい。
ううん、怖がってばかりの弱いあたしはもうおしまい。
強くならなきゃいけないんだ。
まだ標的がディーヴァに変わりきっていない。
悪魔の注意をこちらに完全に惹きつけるべく、ディーヴァはとうとう、持っていた短剣を使った。
刃先を手のひらに滑らせ、一閃。
「ぅ、ーーーーーッ!」
鋭く燃えるような痛みが走り、直線で描かれた傷口から最初はじわり、そして徐々にぼたぼたと流れて落ちる紅い血。
流れ落ちるだけに飽き足らず、拳を握りしめてその血をまとめて周りへビシャリと、ディーヴァ自ら飛ばした。
次いであたりに広がる濃ゆい血の香り。
目の前の悪魔を、いや、この魔界にいるすべての悪魔、そしてダンテをも魅了するエサとなる天使の血の香りだ。
「ディーヴァ、お前…なんてことを……!」
悪魔の標的はこれで完全にディーヴァに変わり、ダンテは絶望を覚えた。
「きゃっ…!」
「くそっ!ディーヴァ……!」
悪魔が高く跳躍したと思った時には、もうディーヴァの目の前だった。
ディーヴァが持っていた短剣を軽く腕を振るって弾き飛ばし、ディーヴァを組み伏せる。
その重量だけでディーヴァの骨が折れそうだった。
「い、いやぁぁぁ!!」
ディーヴァの叫びも獲物が美味くなるスパイスだと、悪魔は頭を振り上げて大顎を開きディーヴァの首に噛みつこうとしたようだ。
ああ、もうだめだ。
魔力で構成された鎖は全く解けないし、自分は間に合わない。
ディーヴァが殺される、食べられる。
自分が殺されるよりも食べられるよりも、ディーヴァの死の方がよっぽどオレは嫌なのに。
母親の時と同じように、オレはまた守れなかったのか。
ディーヴァの姿が、目から流れる涙で霞む。
鋭い牙の先が薄く皮膚を裂き、喉元の肉に入っていこうとした時だった。
今までにないくらいの眩い光がディーヴァを包みこみ、あたりを太陽光のように照らした。
優しくも、魔を浄化する強い意志を感じる光だ。
「キャィン!」
光が炎のように悪魔の顔を舐めて軽く焼いたのか、ジュッという音とともに咄嗟に飛び退く。
光が収まったそこにいたのは、真っ白というより光の輝き色の流れるようなガウンを身に纏い、その背に光の粒子を煌めかせた5枚の翼を生やした天使の姿のディーヴァ。
その白さを魔界で負った傷や怪我が、余計に痛々しく見せていた。
清浄で清らかすぎる空気を纏うディーヴァに、ダンテの悪魔の部分さえ浄化されるかと思うほどだったが、今回は違った。
まるでディーヴァにキスされている時のように、ダンテを優しく包み込む温かさ。
いつもと違う。
いつも無意識ではる結界や癒しの力と違う感じだ。
自分でもなんでこんな格好になっているのか、何が起こったのかよくわからずに戸惑うディーヴァを現実に戻したのは、一度退いた悪魔だった。
「グガァァゥウ!」
ディーヴァの力で顔に火傷を負ったらしい悪魔が、ディーヴァめがけて飛びかかる。
いくら今までより更に天使らしい姿になっても、ディーヴァはディーヴァのまま、弱いままで、ただ腕で体をかばうだけだった。
その爪が再びディーヴァを傷つけるべく迫った時だ。