mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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ディーヴァを撫でているこの時は幸せだが、どうせ幸せを感じるのなら、戦いが終わってから、魔界とおさらばしてから、の方がいい。
ダンテはぬくもりから手を退けると、今度は冷たく光る剣、フォースエッジに手を置いた。
「立ち塞がる悪魔どもは、1匹残らず仕留めるだけだ。そうすりゃその内オレが一番ぶっ飛ばしたい親玉にも御目通り叶うってワケだろ」
それだとこの魔界にいる内は全悪魔を相手取らなくてはならない気がする。
それをダンテはわかっているのだろうか。
そんなことしてる場合じゃないし、この悪魔を退治したあとは早く元の世界に戻るようにいい加減言わなくてはと、そう思うディーヴァだった。
そう、ダンテの強さが相手に負けるなど、露ほども心配していない。
「お前もそう思うよな、デカブツくん?」
口調は軽く、だがその目は敵をしとめる狩人そのものでギラギラと鋭い。
射抜く視線はそのままに、悪魔の全体像を見ながら剣を構える。
悪魔も飛びかかる準備なのか、毛を大きく逆立てて唸り、こちらを威嚇していた。
「ディーヴァは『強そうなのになった』、とか言ったが、お前巨大化して太っただけに見えるぜ」
巨大化は負けフラグにしかならないって、誰かが言っていた。
大抵、最後のボスが最終形態として巨大化してその挙句、主人公に負けるパターンが多い。
どこぞのハゲ…アーカムにしろ、これから先の未来に戦うどこぞのムン…でっかい悪魔にしろ…。
巨大化の弱点、それはそのほとんどが、大きくなったことによる動きの変化と死角の増加だ。
つまり目の届かない場所こそ、最大の攻撃ポイント!
ダンテが先に地面を蹴り、次いで悪魔も飛び上がる。
双方のど真ん中、高く飛び上がったその頂点で、金属と牙がぶつかる高くも鈍い音が響いた。
力の入り具合はダンテの方が上。
「セヤッ!」
フォースエッジの刀身を咥えた悪魔を、ダンテは更に力を込めて横になぎ払う。
やはり体積が増えた分重く感じたがそれを物ともせず、悪魔を軽く吹っ飛ばしたダンテ。
悪魔は岩に激突し、短い悲鳴を上げるがすぐ体勢を立て直したようだ。
もうもうと立ち上る砂煙の中、それが見えた。
その細かな粒子がパラパラと地面に落ちきったと同時、そこから双方の猛攻撃が始まった。
ディーヴァから見えたのは飛び上がる姿だけ。
空中や地面のそこかしこでぶつかり合う音、発砲音と声が聞こえ、砂塵が舞い上がるのがかろうじて見えるが、あとは見えない。
砂塵に隠れているからでなく、攻撃が速すぎるのだ。
「ガァゥ!」
「オラオラオラ!その肉、削ぎ落としてやろうか!」
一体どんな戦いを繰り広げているのやら見えない不安が付きまとうが、声を聞くに一応ダンテの優勢…であっているようだ。
「はっ!懐がガラ空きだ…っ」
ヒュンッ!!
あ、ダンテが一瞬止まった悪魔のちょうど無防備に晒された胸の前に現れた。
振りかぶったフォースエッジを、悪魔に向ける。
勝った…!
ダンテも、そしてディーヴァも、こちらの勝利を確信していた。
「がっ…!?」
しかし、ダンテの体めがけ飛んできた物によって、その考えは易々と打ち砕かれることとなった。
気がついたら地に縫いとめられていた。
「なん…だよ…、この鎖……ッ!」
悪魔の首から垂れ下がる、数本の紅き鎖が、蛇のように蠢き、ダンテに絡みつく。
ただのお飾りだと思っていた。
まさか、これ自体が生き物の如く、動いて攻撃してくるとは思わなかった。
強い魔力の塊で出来ているのか、外そうとしても、余計に体にきつく絞まるばかりで、その内動くことすらできなくなった。
そんなダンテを、悪魔が紅い目を光らせて目の前でじっと見下ろしている。
薄く開いた大顎から牙、そして低い唸り声を吐き出して。
やばい、完全に形勢逆転、悪魔を狩る側のデビルハンターがまな板の上の鯉状態とは笑いたくても笑えない。
せっかくダンテがつけた悪魔の傷も、目の前で徐々に塞がっていく。
そのスピードは、ダンテの傷が治る速度と同等で。
「は…、お前、オレと同じくらい早く傷が塞がるのかよ…ガハッ!?」
ダンテの上に巨体が馬乗りになり、その重さに余計動けなくなったダンテの体へ、容赦なく振り下ろされた悪魔の爪と牙。
銀糸の髪が、肌が、瞬く間に赤く染め上げられていく。
傷の中から紅い血が溢れ、そしてその先の肉が抉られて外気に晒されていく。
あまりの激しい痛みにダンテは大声も出せず、唇を深く噛み締めた。
爪に牙にとついたダンテの紅い血を美味しそうに舐めとり、その先の肉を求める。
その紅い2つの目が、ダンテの心臓の上で止まった。
ダンテは悪魔の相方がされた行動を思い出した。
やばい。
表情がわからないはずの、悪魔の口元がにんまり笑った気がした。
「うぐぅっ!?ああぁぁぁ゛!!」
間髪を入れず、爪が胸に突き立てられた。
心臓の上に穿たれた穴。
この痛みにはダンテの口も叫ばざるを得なかった。
刺した爪を抜かれ、ごぼ、プシュ、血飛沫が飛んでダンテの体、悪魔の顔、その手元を濡らしていく。
ついた血を再び舐めとっている姿に、胸の悪さを覚えた。
こんなのより、ディーヴァの姿を見ていた方がどんなにいいか。
目だけでディーヴァを探すと、彼女が少し遠くにいるのが見えたが、かわいそうにダンテの現状を見て顔面蒼白、体を震わせているようだった。
今すぐ抱き寄せてやりたいが、それも出来ない。
きっとこの爪を舐める行為が終わったら、またその鋭利なモンを胸に突き立てて心臓取るんだろう。
さすがに心臓抜き取られたらオレも死ぬ。
ディーヴァが見てるってのに、かっこつかねぇったらないな…。
悪魔と命のやり取りをしてる以上、自分が死ぬこともある。
それはわかっているつもりだが、こんなところで死んでみろ、魔界に残されたディーヴァはどうなる?今だってすでに恐怖の中にいるってのに、絶望と悲しみの中で悪魔の餌食…そんな恐怖、味わせたくない。
ぶわり、珍しくダンテの体に悪寒が走る。
ダンテは自分の死そのものでなく、その先に控えるディーヴァの結末に恐怖した。
ダンテはぬくもりから手を退けると、今度は冷たく光る剣、フォースエッジに手を置いた。
「立ち塞がる悪魔どもは、1匹残らず仕留めるだけだ。そうすりゃその内オレが一番ぶっ飛ばしたい親玉にも御目通り叶うってワケだろ」
それだとこの魔界にいる内は全悪魔を相手取らなくてはならない気がする。
それをダンテはわかっているのだろうか。
そんなことしてる場合じゃないし、この悪魔を退治したあとは早く元の世界に戻るようにいい加減言わなくてはと、そう思うディーヴァだった。
そう、ダンテの強さが相手に負けるなど、露ほども心配していない。
「お前もそう思うよな、デカブツくん?」
口調は軽く、だがその目は敵をしとめる狩人そのものでギラギラと鋭い。
射抜く視線はそのままに、悪魔の全体像を見ながら剣を構える。
悪魔も飛びかかる準備なのか、毛を大きく逆立てて唸り、こちらを威嚇していた。
「ディーヴァは『強そうなのになった』、とか言ったが、お前巨大化して太っただけに見えるぜ」
巨大化は負けフラグにしかならないって、誰かが言っていた。
大抵、最後のボスが最終形態として巨大化してその挙句、主人公に負けるパターンが多い。
どこぞのハゲ…アーカムにしろ、これから先の未来に戦うどこぞのムン…でっかい悪魔にしろ…。
巨大化の弱点、それはそのほとんどが、大きくなったことによる動きの変化と死角の増加だ。
つまり目の届かない場所こそ、最大の攻撃ポイント!
ダンテが先に地面を蹴り、次いで悪魔も飛び上がる。
双方のど真ん中、高く飛び上がったその頂点で、金属と牙がぶつかる高くも鈍い音が響いた。
力の入り具合はダンテの方が上。
「セヤッ!」
フォースエッジの刀身を咥えた悪魔を、ダンテは更に力を込めて横になぎ払う。
やはり体積が増えた分重く感じたがそれを物ともせず、悪魔を軽く吹っ飛ばしたダンテ。
悪魔は岩に激突し、短い悲鳴を上げるがすぐ体勢を立て直したようだ。
もうもうと立ち上る砂煙の中、それが見えた。
その細かな粒子がパラパラと地面に落ちきったと同時、そこから双方の猛攻撃が始まった。
ディーヴァから見えたのは飛び上がる姿だけ。
空中や地面のそこかしこでぶつかり合う音、発砲音と声が聞こえ、砂塵が舞い上がるのがかろうじて見えるが、あとは見えない。
砂塵に隠れているからでなく、攻撃が速すぎるのだ。
「ガァゥ!」
「オラオラオラ!その肉、削ぎ落としてやろうか!」
一体どんな戦いを繰り広げているのやら見えない不安が付きまとうが、声を聞くに一応ダンテの優勢…であっているようだ。
「はっ!懐がガラ空きだ…っ」
ヒュンッ!!
あ、ダンテが一瞬止まった悪魔のちょうど無防備に晒された胸の前に現れた。
振りかぶったフォースエッジを、悪魔に向ける。
勝った…!
ダンテも、そしてディーヴァも、こちらの勝利を確信していた。
「がっ…!?」
しかし、ダンテの体めがけ飛んできた物によって、その考えは易々と打ち砕かれることとなった。
気がついたら地に縫いとめられていた。
「なん…だよ…、この鎖……ッ!」
悪魔の首から垂れ下がる、数本の紅き鎖が、蛇のように蠢き、ダンテに絡みつく。
ただのお飾りだと思っていた。
まさか、これ自体が生き物の如く、動いて攻撃してくるとは思わなかった。
強い魔力の塊で出来ているのか、外そうとしても、余計に体にきつく絞まるばかりで、その内動くことすらできなくなった。
そんなダンテを、悪魔が紅い目を光らせて目の前でじっと見下ろしている。
薄く開いた大顎から牙、そして低い唸り声を吐き出して。
やばい、完全に形勢逆転、悪魔を狩る側のデビルハンターがまな板の上の鯉状態とは笑いたくても笑えない。
せっかくダンテがつけた悪魔の傷も、目の前で徐々に塞がっていく。
そのスピードは、ダンテの傷が治る速度と同等で。
「は…、お前、オレと同じくらい早く傷が塞がるのかよ…ガハッ!?」
ダンテの上に巨体が馬乗りになり、その重さに余計動けなくなったダンテの体へ、容赦なく振り下ろされた悪魔の爪と牙。
銀糸の髪が、肌が、瞬く間に赤く染め上げられていく。
傷の中から紅い血が溢れ、そしてその先の肉が抉られて外気に晒されていく。
あまりの激しい痛みにダンテは大声も出せず、唇を深く噛み締めた。
爪に牙にとついたダンテの紅い血を美味しそうに舐めとり、その先の肉を求める。
その紅い2つの目が、ダンテの心臓の上で止まった。
ダンテは悪魔の相方がされた行動を思い出した。
やばい。
表情がわからないはずの、悪魔の口元がにんまり笑った気がした。
「うぐぅっ!?ああぁぁぁ゛!!」
間髪を入れず、爪が胸に突き立てられた。
心臓の上に穿たれた穴。
この痛みにはダンテの口も叫ばざるを得なかった。
刺した爪を抜かれ、ごぼ、プシュ、血飛沫が飛んでダンテの体、悪魔の顔、その手元を濡らしていく。
ついた血を再び舐めとっている姿に、胸の悪さを覚えた。
こんなのより、ディーヴァの姿を見ていた方がどんなにいいか。
目だけでディーヴァを探すと、彼女が少し遠くにいるのが見えたが、かわいそうにダンテの現状を見て顔面蒼白、体を震わせているようだった。
今すぐ抱き寄せてやりたいが、それも出来ない。
きっとこの爪を舐める行為が終わったら、またその鋭利なモンを胸に突き立てて心臓取るんだろう。
さすがに心臓抜き取られたらオレも死ぬ。
ディーヴァが見てるってのに、かっこつかねぇったらないな…。
悪魔と命のやり取りをしてる以上、自分が死ぬこともある。
それはわかっているつもりだが、こんなところで死んでみろ、魔界に残されたディーヴァはどうなる?今だってすでに恐怖の中にいるってのに、絶望と悲しみの中で悪魔の餌食…そんな恐怖、味わせたくない。
ぶわり、珍しくダンテの体に悪寒が走る。
ダンテは自分の死そのものでなく、その先に控えるディーヴァの結末に恐怖した。