mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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ここまで汚れてしまえばもう何度転がろうと一緒だ。
そのままフォースエッジのところまでゴロゴロと転がって移動すると、片手で手に取り立ち上がる。
その時にはディーヴァの翼は消えていた。
「トドメだ!」
「ギャウウゥ!!」
そして虫の息だというに往生際悪く向かってきた赤黒い悪魔を、フォースエッジで分断し、ようやく絶命させた。
「グルルル…」
そういえばもう1匹いたな。
赤黒い悪魔…今更ながらスコルと呼んでおこう。
スコルの相手で忘れていたが、連射の最中に流れ弾を当ててこちらに来ないようしていたもう1匹、こちらは対としてハティとでも呼んでおくか。
といっても、初めて見た悪魔の呼び名など倒してはすぐ忘れ、見知らぬ新たな悪魔が目の前に立ち塞がる…というのがダンテ達の常だが。
「ガァァッ!!」
少し話が逸れた。
半身たるスコルをやられ、今度はハティがこちらに牙を剥いて襲いかかってきた。
「欲しけりゃ返してやるよ。そーら、キョーダイの体を受け取りな」
「ギャンッ!」
上半身と下半身に分かれてもなおビクビクと動くそれを、剣圧だけで軽く吹き飛ばしてハティの体にぶつけるダンテ。
ボトボトベチョリ。
ただぶつけただけなのに、相当の重量と血で濡れた肉塊の落ちる音が、やけにリアルに聞こえディーヴァが気持ち悪さに口を押さえた。
ハティは動きを止める。
死してなお蠢く己が対の存在を鼻を鳴らして一瞥、その後恐ろしい声で遠吠えを響かせる。
「ウォォォーーー………ン」
地獄の底から届くような低い低い声は、空気を裂き、まるで呪歌のよう。
それはダンテが聞けば相方の死を悼んでいるように、ディーヴァからは反対にただただ恐ろしいもののように聞こえた。
「な、何この怖い遠吠え」
「ふ…大方、自分の相方がやられて悲しんでるのかもしれないぜ」
オレなら喧嘩ばかりしてたとしても、あいつが消えたりしたら悲しんじまうからな。
それは、ダンテが自分の兄にいだく感情。
一介の悪魔にそれが通用するとは限らないし、普通の悪魔は感情が動いても泣かない。
涙を流すような感情があるのかすら、危ういものだ。
感情で泣く悪魔は、それすなわち人間の心に触れ、人間の心が理解できるようになったという特殊な例しか存在しないのだから。
そして目の前の悪魔はその特殊な例にはなりえなかった。
「ひっ…!な、なんてこと…!」
「……こいつ…仲間だった悪魔を食ってやがる……」
一通り遠吠えを終えたハティが、牙を剥いて噛み付くのは、ダンテでもディーヴァでもなかった。
鋭い牙で噛み付き、引き裂くのは己が相方の成れの果て。
まだビクビク痙攣して動くのも気にせず、引きちぎって噛み砕き、一心不乱に咀嚼し飲みくだしているという恐ろしい地獄絵図。
次に爪が、牙がとらえるのは大事な臓腑である心の臓。
分厚い毛皮に穴を穿ち、心の臓を抉り出してそれを捕食する光景が目の前に広がり、ダンテもディーヴァも良い心地がしない。
ブチブチッ…と神経の束や血管が千切れ、通常ならばレッドオーブと化すはずのおびただしい量の悪魔の血があたりを紅に染める。
音も匂いも、目に入る全てがこちらに恐怖を植え付けてゆく。
「これ以上見るな」
ディーヴァにとってこれはR指定に入るだろう、カタカタ震える彼女の視界を遮るようにダンテは手のひらで目を覆ってやった。
ひと息で心臓をも捕食し終えた悪魔が、喉をぐびりと鳴らす。
そして、そのまま口からよだれと血を垂らし、眼光鋭く見定めるのは、ダンテとディーヴァである。
まだ足りない、と言いたげに鈍く光る2つの目玉。
「グルゥゥォォォォオオオオ!!」
魔力も体力も回復し、以前より力みなぎる状態にパワーアップした悪魔が、咆哮を解き放つ。
体に強い光を鎧のごとく纏い、こちらは目が開けていられないほど。
光の中で姿形が変わってゆくのがかろうじてわかった。
そろそろ光が収まっていくのか、と思ったと同時、その場に立っていられないほどの刃のように鋭く強い衝撃波が、ダンテとディーヴァを襲う。
相方の亡骸が虚しく吹き飛んだのが見える。
衝撃波に傷つかぬよう、ダンテは咄嗟にディーヴァの体を抱き込んで庇い、守った。
「ぐっ………!」
新たに現れる悪魔に危険を察知したのだろう、ダンテに庇われる腕の中で、ディーヴァの翼が再びバサリと出現した。
魔法陣にも似た聖なる紋章が描かれた、退魔の効果があるであろう、乳白色の結界を携えて。
「ダンテ、大丈夫!?」
ディーヴァを庇ったことで、傷だらけになったであろうダンテを心配してか、眉根を下げて顔を覗き込んでくる彼女。
大丈夫だ、そんな意味を込めて軽く手をあげる。
それはそうと、翼を生やした姿のディーヴァはいつ見ても天使そのもので神々しい…などと思いながらも、ひとつの考えが浮かぶ。
最初からこれくらいの強さで結界を張れれば、こんな傷だらけの血だらけにならなかったのではないか?…と。
「ディーヴァ、もっと早く結界張っとけよ。魔界に落ちた瞬間からとかな。そしたらある程度は安全だっただろ?」
「うう、自分でコントロールできなかったんだもん」
「この不発弾娘め…」
ディーヴァの返答はかわいい語尾付き。
けれども、ディーヴァ本人がこんなにも傷だらけになるまで結界がほとんど仕事しなかった、ということに対しては、文句や小言の一つも言いたくなった。
まぁ、ディーヴァが結界を自分で張れたところで、悪魔に強い攻撃を仕掛けられればなんの意味もなくなる。
それに結界のせいで天使の力は周りに漏れ、それに惹かれた悪魔を更にたくさん呼び出してしまう可能性だってあったのだから、これはこれでよかった…?のかもしれない。
そんなこと言ってる間に光も収まり、衝撃波が収まり、ヴェールの膜がゆっくりと脱げるように目の前の様子が一変した。
そこにいたのはひとまわりもふたまわりも巨大化した、青黒でも赤黒でもない、闇に紛れれば見えなくなる漆黒の狼。
喉元には血が固まって出来たような紅い首輪と、それに繋がる極太の鎖が数本垂れている。
鎖は悪魔が動くたびに、ジャラジャラと無機質で冷たく、そしてやけに不快な音を響かせていた。
びっしり並んだ白い牙以外に、浮かび上がる色といえば、首輪と鎖、瞳の紅色のみ。
「フォ、フォルムチェンジ…!」
「というより、合体したみてぇだな」
フォルムチェンジちがーう。
堂々とした姿は、スコルともハティとももはや言えず、その一族最強の魔狼からとって、マーナガルムとでも呼ぶべきだろう。
最強などと言ったが、つまりは大ボス。
本当に大ボス来た。
そうか、さっきダンテが言った中ボス発言はそういうフラグだったのか。
「ダンテが変なこと言ったから、もっと強そうなのになっちゃったんだ…」
「オレのせいなのかよ」
責任転嫁。
悪魔が恐ろしいからかダンテの腕の中、ぼそりとそう呟いて更に後ろへともぞもぞ動くディーヴァ。
だが背中に生えた大きな翼のせいで、ダンテの後ろに隠れようが翼を折り畳もうが、丸見えで意味のない行動。
ダンテはそんなディーヴァの小さな頭を撫でた。
「まあいいじゃねぇか。モブ悪魔は倒した先からどんどん忘れちまおうぜ。
つーことでディーヴァはここで待機。結界から出るなよ?そんなチンケな結界でもないよりマシだからな」
「チンケな結界とは失礼な」
まだまだ何か言いたそうなディーヴァを宥め賺すように、もう一度その頭を撫でる。
撫で続ければ、あら不思議。
ペットのようにうっとりと目を細め、心地よさそうにダンテの手を甘受した。
そのままフォースエッジのところまでゴロゴロと転がって移動すると、片手で手に取り立ち上がる。
その時にはディーヴァの翼は消えていた。
「トドメだ!」
「ギャウウゥ!!」
そして虫の息だというに往生際悪く向かってきた赤黒い悪魔を、フォースエッジで分断し、ようやく絶命させた。
「グルルル…」
そういえばもう1匹いたな。
赤黒い悪魔…今更ながらスコルと呼んでおこう。
スコルの相手で忘れていたが、連射の最中に流れ弾を当ててこちらに来ないようしていたもう1匹、こちらは対としてハティとでも呼んでおくか。
といっても、初めて見た悪魔の呼び名など倒してはすぐ忘れ、見知らぬ新たな悪魔が目の前に立ち塞がる…というのがダンテ達の常だが。
「ガァァッ!!」
少し話が逸れた。
半身たるスコルをやられ、今度はハティがこちらに牙を剥いて襲いかかってきた。
「欲しけりゃ返してやるよ。そーら、キョーダイの体を受け取りな」
「ギャンッ!」
上半身と下半身に分かれてもなおビクビクと動くそれを、剣圧だけで軽く吹き飛ばしてハティの体にぶつけるダンテ。
ボトボトベチョリ。
ただぶつけただけなのに、相当の重量と血で濡れた肉塊の落ちる音が、やけにリアルに聞こえディーヴァが気持ち悪さに口を押さえた。
ハティは動きを止める。
死してなお蠢く己が対の存在を鼻を鳴らして一瞥、その後恐ろしい声で遠吠えを響かせる。
「ウォォォーーー………ン」
地獄の底から届くような低い低い声は、空気を裂き、まるで呪歌のよう。
それはダンテが聞けば相方の死を悼んでいるように、ディーヴァからは反対にただただ恐ろしいもののように聞こえた。
「な、何この怖い遠吠え」
「ふ…大方、自分の相方がやられて悲しんでるのかもしれないぜ」
オレなら喧嘩ばかりしてたとしても、あいつが消えたりしたら悲しんじまうからな。
それは、ダンテが自分の兄にいだく感情。
一介の悪魔にそれが通用するとは限らないし、普通の悪魔は感情が動いても泣かない。
涙を流すような感情があるのかすら、危ういものだ。
感情で泣く悪魔は、それすなわち人間の心に触れ、人間の心が理解できるようになったという特殊な例しか存在しないのだから。
そして目の前の悪魔はその特殊な例にはなりえなかった。
「ひっ…!な、なんてこと…!」
「……こいつ…仲間だった悪魔を食ってやがる……」
一通り遠吠えを終えたハティが、牙を剥いて噛み付くのは、ダンテでもディーヴァでもなかった。
鋭い牙で噛み付き、引き裂くのは己が相方の成れの果て。
まだビクビク痙攣して動くのも気にせず、引きちぎって噛み砕き、一心不乱に咀嚼し飲みくだしているという恐ろしい地獄絵図。
次に爪が、牙がとらえるのは大事な臓腑である心の臓。
分厚い毛皮に穴を穿ち、心の臓を抉り出してそれを捕食する光景が目の前に広がり、ダンテもディーヴァも良い心地がしない。
ブチブチッ…と神経の束や血管が千切れ、通常ならばレッドオーブと化すはずのおびただしい量の悪魔の血があたりを紅に染める。
音も匂いも、目に入る全てがこちらに恐怖を植え付けてゆく。
「これ以上見るな」
ディーヴァにとってこれはR指定に入るだろう、カタカタ震える彼女の視界を遮るようにダンテは手のひらで目を覆ってやった。
ひと息で心臓をも捕食し終えた悪魔が、喉をぐびりと鳴らす。
そして、そのまま口からよだれと血を垂らし、眼光鋭く見定めるのは、ダンテとディーヴァである。
まだ足りない、と言いたげに鈍く光る2つの目玉。
「グルゥゥォォォォオオオオ!!」
魔力も体力も回復し、以前より力みなぎる状態にパワーアップした悪魔が、咆哮を解き放つ。
体に強い光を鎧のごとく纏い、こちらは目が開けていられないほど。
光の中で姿形が変わってゆくのがかろうじてわかった。
そろそろ光が収まっていくのか、と思ったと同時、その場に立っていられないほどの刃のように鋭く強い衝撃波が、ダンテとディーヴァを襲う。
相方の亡骸が虚しく吹き飛んだのが見える。
衝撃波に傷つかぬよう、ダンテは咄嗟にディーヴァの体を抱き込んで庇い、守った。
「ぐっ………!」
新たに現れる悪魔に危険を察知したのだろう、ダンテに庇われる腕の中で、ディーヴァの翼が再びバサリと出現した。
魔法陣にも似た聖なる紋章が描かれた、退魔の効果があるであろう、乳白色の結界を携えて。
「ダンテ、大丈夫!?」
ディーヴァを庇ったことで、傷だらけになったであろうダンテを心配してか、眉根を下げて顔を覗き込んでくる彼女。
大丈夫だ、そんな意味を込めて軽く手をあげる。
それはそうと、翼を生やした姿のディーヴァはいつ見ても天使そのもので神々しい…などと思いながらも、ひとつの考えが浮かぶ。
最初からこれくらいの強さで結界を張れれば、こんな傷だらけの血だらけにならなかったのではないか?…と。
「ディーヴァ、もっと早く結界張っとけよ。魔界に落ちた瞬間からとかな。そしたらある程度は安全だっただろ?」
「うう、自分でコントロールできなかったんだもん」
「この不発弾娘め…」
ディーヴァの返答はかわいい語尾付き。
けれども、ディーヴァ本人がこんなにも傷だらけになるまで結界がほとんど仕事しなかった、ということに対しては、文句や小言の一つも言いたくなった。
まぁ、ディーヴァが結界を自分で張れたところで、悪魔に強い攻撃を仕掛けられればなんの意味もなくなる。
それに結界のせいで天使の力は周りに漏れ、それに惹かれた悪魔を更にたくさん呼び出してしまう可能性だってあったのだから、これはこれでよかった…?のかもしれない。
そんなこと言ってる間に光も収まり、衝撃波が収まり、ヴェールの膜がゆっくりと脱げるように目の前の様子が一変した。
そこにいたのはひとまわりもふたまわりも巨大化した、青黒でも赤黒でもない、闇に紛れれば見えなくなる漆黒の狼。
喉元には血が固まって出来たような紅い首輪と、それに繋がる極太の鎖が数本垂れている。
鎖は悪魔が動くたびに、ジャラジャラと無機質で冷たく、そしてやけに不快な音を響かせていた。
びっしり並んだ白い牙以外に、浮かび上がる色といえば、首輪と鎖、瞳の紅色のみ。
「フォ、フォルムチェンジ…!」
「というより、合体したみてぇだな」
フォルムチェンジちがーう。
堂々とした姿は、スコルともハティとももはや言えず、その一族最強の魔狼からとって、マーナガルムとでも呼ぶべきだろう。
最強などと言ったが、つまりは大ボス。
本当に大ボス来た。
そうか、さっきダンテが言った中ボス発言はそういうフラグだったのか。
「ダンテが変なこと言ったから、もっと強そうなのになっちゃったんだ…」
「オレのせいなのかよ」
責任転嫁。
悪魔が恐ろしいからかダンテの腕の中、ぼそりとそう呟いて更に後ろへともぞもぞ動くディーヴァ。
だが背中に生えた大きな翼のせいで、ダンテの後ろに隠れようが翼を折り畳もうが、丸見えで意味のない行動。
ダンテはそんなディーヴァの小さな頭を撫でた。
「まあいいじゃねぇか。モブ悪魔は倒した先からどんどん忘れちまおうぜ。
つーことでディーヴァはここで待機。結界から出るなよ?そんなチンケな結界でもないよりマシだからな」
「チンケな結界とは失礼な」
まだまだ何か言いたそうなディーヴァを宥め賺すように、もう一度その頭を撫でる。
撫で続ければ、あら不思議。
ペットのようにうっとりと目を細め、心地よさそうにダンテの手を甘受した。